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作品 | ブルックナー 交響曲第4番 「ロマンティック」 | ||
鑑賞 日 |
201X年1月28日 | ||
鑑賞 記録 |
ここ数日の冷え込みは今日も続き、駐車場から開場までの徒歩は、それほど長い距離では無かったが、完全防備が必要なほど寒い日であった。今日は浜松市民オーケストラの第9回目の定期演奏会に来ている。チケットは浜松アクトシティのチケットセンターで購入。全席自由席で950円、安い。オーケストラそのものの歴史は新しいようで、どんな演奏を聞かせてくれるのか楽しみである。 浜松市アクトシティー中ホールは2回目。大ホールとは違って、1Fから素直に入っていく形式。今回の座席はすべて自由席。開場は開演の30分前となっており、私が到着した13:35には既に行列はホールに吸い込まれていくところ。中に入ると中央付近を中心に7割位は埋まっていた。私は思い切って前方の席に向かった。座った席は2列目15番、指揮台のほぼ真ん前で、ステージを見上げるような位置。距離にすると3m位、こんなステージの近くで鑑賞するのは今回が初めて。バイオリンやチェロなどの弦楽器は至近距離で見えるが、コントラバスやホルンやクラリネットなどの管楽器は見えなかった。こんな位置で果たしてオーケストラの音をバランス良く聴くことができるものか、少々不安になった。 開演までの間、入り口で配布されたパンフレットをゆっくり眺めた。「浜松市民オーケストラ」というだけあって、浜松市長さんのコメントも載っていた。内容は非常に丁寧で、特に曲目の紹介は会話形式で面白く書かれていた。また、子供向けのパンフレットも付いており、初心者にも判り易い内容で感心した。 14:00、開演を知らせるブザーが鳴り、オーケストラの面々が現れる。配置は旧来の第1バイオリンと第2バイオリンが左右に展開するスタイル。パンフレットには今回初めて取り入れたと書かれていた。合わせるのが難しいらしい。少し遅れて、コンマス、いやコンサートミストレスの小島多恵さん(パンフレットに紹介されていた)がバイオリンを手にさっそうと現れる。すらっとした体型で年のころは30歳前後か、その端正で色白な凛々しい表情が手に取るように判る。団員の中でもきっと人気があるんだろうな、なんて下世話な想像。丁寧なお辞儀のあと、ちょっと高めのピアノ椅子に背すじをきりっと伸ばして、団員の方を見てチューニングに入る。 音合わせが終わり、スッと一瞬の静けさの中、指揮者の角田鋼亮(つのだこうすけ)氏が早足で現れる。団員に起立するように促し一同で礼。角田氏個人のWebサイトを調べると1980年名古屋市生まれで現在32才。何という若さ。それで既に1人前の指揮者となっているところを見ると、相当な実力の持ち主か。 曲目の1曲目はモーツアルトのフィガロの結婚の一部、2曲目はハイドンの交響曲101番「時計」。いすれも自分にとっては、あまり響いてくる音楽では無かった。休憩15分を挟んで、いよいよブルックナー。 第一楽章。 最初の霞がかかったような音からスタートし、一気に盛り上がる。この和音の何という重厚な響きであることか。これぞブルックナー。悪いがハイドンの交響曲がまるで練習曲であったのかという思いに駆られるほどの迫力。音の広がり感、スケールの大きさは独特のトレモロ奏法が功を奏している。 第二楽章 バイオリンのピッチカートに支えられながら、ビオラが奏でるもの悲しいテーマが非常に印象的なアダージョ楽章。そんな中でも短調だけで落ち込まず、長調でのフレーズが交互に出てくる。 第三楽章 ファンファーレで始まる跳ねる感じの明るい楽章。 第四楽章 第1楽章から3楽章までのモチーフが微妙に形を変えて出てくるのが面白い。ただ、どこに行っちゃうのー、といった感じが所々あるように思えた。が、最後はパイプオルガンの様なブルックナー独特の重厚なサウンドで大きく盛り上がり終わった。 裏話1: ブルックナーの交響曲がかすかなざわめきのような音からスタートし、あー始まったぞーっと胸の高まりを抑えつつこの後の展開をワクワクしながら待ち構えて聴いていると、なっなっなーんと! 私から左側3人位挟んだ席のおばさんが、おもむろに何かしゃべり出したのだ。誰か知り合いが演奏者に居たようで、「ほれ、あそこに、いるでしょ〜」みたいなことを平然と隣に居た連れに伝えている。正直私が思うにこの手の交響曲の最初は、一番静かに神経を集中して聴くべきところであって、同席する観衆にとっての最大の聴き所を、ほんの十数秒ではあったがそのおばさんは奪ってしまったのだ。周りの人たち何人かが一斉に睨みを利かせてくれたおかげで、その後のおしゃべりは収まったものの、何だか映画館が一瞬明るくなって、スクリーンがよく見えないまま映画が始まってしまったみたいな感じに陥ってしまった。私自身はもう一度気持ちを立て直して前方の音に集中するのに5分位掛かってしまった。「あー私の5分を返してくれ〜っ」と叫びたい気持ちであったが、次第に演奏が盛り上がり、その嫌な事件を何とか感情の流れの外に追い出すことが出来た。よくコンサートガイド等を見ると、観賞マナーとして「おしゃべりは慎みましょう」みたいなことが書いてあるが、大音量でオーケストラが演奏している時は実のところ大した影響は無い(と思う、試したわけではないので想像)。しかし、これを小音量の時、特に楽章の最初にやられると、それは「妨害行為」にもなりうるものだと改めて実感した。自分自身もせきだとかくしゃみだとか可能性はあるわけで、本当に気をつけなくてはいけない。そのおばさんもうっかり口に出してしまい「しまった!」と反省して帰路についたのかも知れないが・・・いや、そう願いたい。 裏話2: もう1つ大発見。チェロを弾いている中に、どうも見覚えがある顔があった。パンフレットを見ると、同じ会社のNくんであることが判明。そういえば、オーケストラやってるって言っていたなあ。本当によくがんばっている。何だか自分のことのようにうれしいのはなぜか(全く自分本位の考え方なのでご容赦ください)。向こうも気が付いているように思えたが、ステージから客席がどの程度見えているのか判らないので、今度会ったら聞いてみよう。 |