ITリーダーやITマネージャーのための"ゆる〜い"学びの研究室

アイデアやひらめきを生むには




なかなか良いアイデアが出ないと悩んでいる人へのヒント

〜アイデアが出てこないという悩み〜

皆さんは事を進めるのに大きな壁にぶち当たったり、難しい問題に直面した時、よいアイデアが湧き水の様に出てきますか?
多くの人はなかなかよいアイデアが出てこないよ〜、というのが普通だと思います。

その証拠にアイデアを生み出すための手法やメソッドに関する本は結構たくさん発刊されています。
例えば、なぜなぜ分析、ブレインストーミング、オズボーンのチェックリスト、マインドマップなど、一般的にも効果が実証されているものもあるので、皆さんも何かしらの経験はお持ちでしょうか。
それらの手法を生かすために、もう少しベースとなる考え方を習得するとよいと思います。


〜示唆に富むCM〜

昔、Friskというミント系キャンディの会社が、アイデアを生むことに関する示唆に富むコマーシャルを流していました。
このCMは本当に秀逸で「Hello Idea!」というシリーズものになっており、何本かが製作されていましたが、その中で「アイデアはどこで生まれますか?」というのがありました。

答えは、
トイレ:32%、お風呂:29%、ベッド:22%、公園:18%、バス:17%、洗面所:7%、空港:4%、プール:2%ステージ:1%

これらの合計が100%にならないのもジョークなのですが、一番面白いのが最後に会議室:0%というオチがあるのです。
このCMはまだYouTubeにアーカイブされています。
https://www.youtube.com/watch?v=W3PxZR3Nbs8

実際に皆さんも良いアイデアを、トイレで思いついた、とか、朝方目が覚めたらハッと謎が解けたとかあるのではないでしょうか。
これは決して偶然ではなく、アイデアが生み出されるメカニズムや脳の働きから、ある程度科学的に説明ができるようです。
色々な手法を有効活用する上でも、このメカニズムを理解しておくとよいかもしれません。


〜アイデアが生み出されるプロセス〜

アイデアそのものがどういうプロセスを経て生まれやすいものか?
研究した本からの引用と自分の経験から、少し紹介したいと思います。

ひらめきを生む「4つのプロセス」

1.準備段階
-問題の理解、分解や分析、解決策検討、シミュレーション
-アイデアを出し切って「完全に行き詰まった」時にこの準備が終わる

2.孵化(インキュベーション)
-問題をあえて一時的に脇においた時に始まる
-無意識状態、構成要素への分解と再組立が行われる

3.ひらめき(アハ体験)
-「なるほど」というアイデアが浮かぶ
-いわゆるアハ体験と呼ばれるもの

4.検証
-そのアイデアが本当に問題の解決に耐えうるものか(実行に耐えうるものか)を検証する

驚くべきことにこのプロセスに関する研究は1926年にグラハム・ウォーラスという英国の学者が、「The Art ofThought」という本で発表されています。
そんな昔、既に人間の脳の働きについて深く研究したモデルが提唱され、現代でも生き残っているのですからこれは本物でしょう。

さらに、この孵化〜ひらめきへのプロセスの可能性を高める方法を研究している人もいました。

@無意識に周囲から問題解決のヒントを得る
A固定観念から脱する、一歩引いて周囲を見回す
B一旦思考を中断し忘却する

この中断時間にやると良いこととして以下の3つが挙げられています。
-ちょっとした休息(ソファで横になる、散歩するなど)
-緩やかな活動(TVを見る、ネットサーフィンなど)
-高い集中力を要する活動(違う課題に取り組む、メールを書くなど)

ただし、これは比較的小さな課題に対するアイデア出しに適用すると効果があることです。
一方で、新製品を生み出す、新ビジネスを考える、といった長期的な活動においてはさらに体系的なアプローチが必要です。
それはまた別の機会に。


〜まとめ〜

色々アイデアを生み出すためのベースとなる考え方を書いてきました。
しかし、それでも一番大切なことは、アイデアをひねり出すためには、あーでもない、こーでもないという、とことん悩む過程が非常に重要だということ。上記のプロセスでは準備段階と孵化インキュベーションにあたります。
そういう意味では、今回のまとめは、どういう悩み方をすればよいか? ということに行き着きます。

今回はこれらのことを資料にまとめてみました。
こちらのPDFファイルを確認ください。
Aha_study2.pdf


参考文献
「脳が認める勉強法」ベネディクト・キャリー著 2015年刊
「思考の整理学」外山滋比呂著 1986年刊