ITリーダーやITマネージャーのための"ゆる〜い"学びの研究室

あなたのマネジメントの基軸は?




自分のマネジメントスタイルがないという悩みを持つ人へのヒント

〜管理職になるということ〜

こんな私も40歳あたりで管理職へ昇格し、15名程の組織マネジメントを担当することになった。
管理職として組織運営を任され、時には部下の相談にのり、お客様との問題交渉なども担当し、目の前の問題課題解決に忙殺される毎日。
それなりにやりがいも出てきたが、組織が良い方向に向かっているのかどうか今一つ確信が持てずにいた。

ある時上司から「君のマネジメントの基軸となっているものは何?」と聞かれ、思いついたまま「メンバーが働き易いような環境作りと支援をすること」と答えた。
マネジメントというのは先輩の背中を見て学ぶものだと思っていたし、あの先輩の様なリーダーになりたい、そんなアバウトなことしかイメージできていなかった。


〜会社の変革〜

そんな中、会社の社長が交代し、これからはISO9000をベースにした仕事のやり方に変えていくという宣言がなされた。

早速コンサルタントが入り、ISO9000の勉強会が始まった。
ISO9000の規格や要求事項を最初からじっくり読み合せを行い、解釈の理解と共有化を実施。
さらに、自社の仕事の流れを業務フローに落としながら、品質マニュアルを作り込んでいく。そのルールにのっとってプロセスを回し、文書の記録、レビューの実施、そして監査。
 (監査での苦労はまた別の記事にしますので、ここでは割愛)

苦労のかいあって外部の認証機関からのお墨付きを受け、晴れてISO9001認証企業となった。しかしながらISO9000の取り組みが、自身のマネジメント力向上に繋がっているのか、今一つ実感がわかなかったのも事実で、先の上司の言葉にもやはり答えを出せずにいた。


〜転機が訪れる〜

 ある重大トラブルの報告を社長へした際、「君はISO9000のマネジメント8原則を言えますか?」と問われる。
 (当時は8原則でしたが今は7原則となっています)
悔しかったのですが何のことだか判りませんでした。
あれだけISO9000に関わる勉強や実務、監査をしてきたはずなのに、すっかり忘れてしまっていたのです。

要求事項の原文をもう一度読み返してみました。
この7原則以下の通りです(かっこは2000年度版の8原則の表現)

-顧客重視
-リーダーシップ
-人々の積極的な参加(人々の参画)
-プロセスアプローチ(マネジメントへのシステムアプローチ包含)
-改善(継続的改善)
-客観的事実に基づく意思決定(意思決定への事実に基づくアプローチ)
-関係性管理(供給者との互恵関係)

※ここではこの7原則の解説はしません
 詳細は「ISO9001:2015 品質マネジメントシステム−基本及び用語」を参照ください。

今まで取り組んできたISO9000の活動のエッセンスがきれいにまとめられており、「そうそう、そこが大事なんだよね」とまさに目から鱗。


〜まとめると〜

 マネジメントの基軸としてよく言われる「PDCA」を回せ、とかアウトプットの「QCD」を達成せよ、というのもありますね。
しかし、この8原則は組織マネジメントを網羅的にとらえており、しかもグローバルでの標準規格ですので、海外の会社やメンバーと仕事をする時にも共通の言葉になりえます。
 
もちろん、組織の目指す姿や目標がキチンと定義されていることが大前提ですが、ISO9000を適用していない組織のマネジメントの皆さんでも、この7つをStudyすることで多くの気づきを得ることができると思います。

ドラッカーのマネジメント論に触れるには少々気が重いですから、まずはこの様なシンプルではあるが奥深い7原則を自身のマネジメント基軸の1つにしてみるのはいかがでしょうか?