ITリーダーやITマネージャーのための"ゆる〜い"学びの研究室
人前で話すことが増えて胃が痛い
|
|
スピーチが苦手なのに人前で話す機会が増えて悩んでいる人へのヒント |
〜スピーチすることが仕事になる〜
リーダーやマネージャーになると人前で話す機会が増えると思います。
ITの仕事の世界では、プログラマーの時にはそんなに機会は多くはないかも知れませんが、システムエンジニアになるとグッと増え、お客様への提案プレゼン、仕様のレビュー、トラブル時の報告など、日常的に発生します。さらにマネジメントになると、しゃべる相手側の人数が格段に増えます。
話すことが苦手だと思っている人はこれが大きなストレスになりえます。
例えば、組織の年度目標を所属員全員へ説明するとなれば、数十人、時には百人以上のケースもあるでしょう。何かのイベントやセミナーなどでしゃべることもあるかもしれません。
これはシステムエンジニアの時とはまた違い、プレゼンテーション的な側面やリーダーとしての立ち振る舞いの要素なども加わり、大きなプレッシャーに感じてしまいますね。
〜話し下手でも大丈夫〜
自分もマネジメントになる前からしゃべることは苦手でした。といいますか、今でも苦手です。
人前でしゃべる前は緊張して変な汗をかいたり、胃が痛くなったり。人によっては他の症状が現れるかもしれません。
そんな時にどうしたらよいのでしょうか?
うまくしゃべれる人は一体どうしているのだろう?
うまくしゃべれる人に聞いても、あまり良いヒントにはなりません。苦労しないでしゃべっているので、苦労している人の頭の内は判らないのです。
そんな時、自分にとって参考になった本が2冊あります。
その本の紹介は最後にしますが、それらの本をリファレンスした自分なりの克服方法を紹介します。
〜極意はないが原則はある〜
素晴らしいスピーチをする極意を期待しても、残念ながらそれはありません。あるのかも知れませんが私には見つけられませんでした。
しかし、原則はあると思います。
それを一言で言うと、1に「話のあんこ」、2に「あなたの熱意」、3、4、5に「準備と練習、練習」です。この3つを解説します。
まず1つ目
「あんこ」とは話す内容に、聴く人にとっての「価値」があるかどうかである。
どんなにうまいしゃべり方で、表現豊かにプレゼンをしても、話の内容が聴く人にとっての「価値」、言い換えると「なるほどね」「そうだよね」と思わせる内容が無ければ、よいスピーチになりません。これはあたりまえのことですが、人前でしゃべることが得意な人に案外陥り易い落とし穴です。価値を生み出すためには、あなた自身が話す内容の「価値」に対して深い理解と経験、聴く方々に対する洞察が必要になってきます。
2つ目
話の内容がとても「価値」のあることだったとしても、スピーチするあなたが、本当にそれを伝えたい、理解して欲しいという「熱意」を持ってしゃべらなければ、聴いている人には伝わらないということです。これはスピーチのテクニックの良し悪しとは関係なく、聴いている人には感情的に判ってしまいます。
あなたが本当にしゃべりたいこと、何としても伝えたいことがあれば、多少は話下手でも何とかなります。
3つ目
準備と練習です。本番スピーチの前に練習しないで臨むことは、全く練習しないで夏の甲子園球場でピッチャーをやるようなものです。
自分が一番大切にしている準備は、本番で原稿を読むか読まないかは置いといてスピーチ原稿を書くことです。最近はパワーポイント等の視覚的なプレゼン資料やツールを活用することもあると思いますが、それでも原稿は書きます。
よく、しゃべりたい項目だけ書いて、あとはそれを膨らませればよい、という人がいますが、これはしゃべりが得意な人の考え方です。
得意でない人は、本番当日にしゃべることを一旦は一字一句漏らさず書いた方が良いと思います。それによって、だらだらしゃべることを避けられるだけでなく、言い回しのバリエーションを磨くことができます。
丸暗記するには非常に多大な工数が掛かるのですが、丸暗記はしなくてもよいです。
また、原稿は最低でも本番の2〜3日前までに書き上げ、声に出して練習する時間を設けることです。声に出さないと効果が半減します。声に出すことで自分に適した言い回しや、逆にそぐわない言葉をテストすることができます。
この練習を何度も繰り返すことで、原稿の内容が自分自身の言葉となり、原稿そのものを丸暗記しなくても当日しゃべることができます。
もし、頭が真っ白になった時のために、原稿を胸ポケットに忍ばせておくことも重要です。
〜まとめると〜
スピーチのテクニックに関すること、例えば、声の出し方、話すスピードと強弱、視線の保ち方、効果的な手振り身振り、などはこの他にもたくさんあります。関連する本もいくつも出ていますので参考にしてください。
それでもベースとなる考え方=原則が重要です。まずこちらから対策していくべきです。
「あんこ・熱意・準備と練習&練習」を実践していくことで、より効果的なスピーチになっていくと思っています。
それがない状態で、テクニックだけを習得しても緊張感が増えるだけです。
あとこれはどちらが先かの議論になりますが、場数を踏むことで慣れるのは間違いなくあると思います。300人を前にしてしゃべるのは1度でもその経験があるとないとでは、緊張の度合いが全く違ってきます。最初からうまくいくはずはありません。前回より今回、今回より次回という風に、場数を踏むごとに成長していくものと考えたいですね。
それでも緊張するものはします。結婚式の主賓のスピーチなんかは何度やっても緊張しますね。そもそも人前でしゃべることは緊張するものだって考えることが普通の感覚だと思います。
参考文献
「話し方入門」D・カーネギー著 2000年刊
「TED TALKS」クリス・アンダーソン著 2016年刊
〆