読後感想

7つの習慣


7、8年前にこの本を読んだことがあったのだが、改めて読み返してみてこの本の奥深さに圧倒された。歴史の賢人からの引用や、著者自身の豊富な経験と実例を交え、人生の道しるべになるような本だと思う。ただ、あまりに深すぎて、なかなか実践まで行かないのが世の常で私もそれに漏れない。

まず最初に「農場の法則」が好きだ。場当たり的な詰め込み主義では、継続的な成果を上げられない。春に種をまき、夏の暑い時キチンと手入れしないと秋には予定した収穫は出来ない。当たり前のことではあるが、自分自身それを忘れてしまうことが多い。種すらまかないで、収穫をしようとしてもメンバーの戸惑いや反感を買うだけ。まいた種の芽を見逃して、摘んでしまわないように。また、成長が早い稲穂に十分な水と太陽を与える。そういう地道なフォローがあってやっと収穫の時期を迎える。狩猟民族には無い、そういう考えが自分に合っているように感じる。

本題の7つの習慣を習得するには順番がある。どの章も重みがあるのだが、自分が特に注目しているのは、 第2の習慣である「目的を持って始める」と、第6の習慣である「相乗効果を発揮する」である。

第2の習慣の冒頭に、3年後の自分の葬儀をイメージする、というのが衝撃的である。3年後に自分が周りからどういう存在になっていたいのか、というのが重要である。会社だけでなく、家族や地域社会や趣味など、自分の関わりのある人々との関係をどう築いていき、そのセグメントでどう貢献するかというのが重要である。以前、簡単な自分のミッションステートメントを作ったことがあるが、今回もう一度、見直しをしてより成熟したものに仕上げてみたいと思っている。

第6の習慣は、著者の言葉を借りると、1〜5の習慣は、この第6の習慣のための準備に過ぎない。この相乗効果=シナジーを習得することが、7つの習慣の最大の成果であると思う。相違点を尊ぶこと、それによるカオスを恐れないこと。最大の相乗効果を得るためには、混沌とした状態の寸前で、もしくはその後で得られることが多い。

 人生はテクニックではなく、原理原則に誠実に従うことが、継続的な成果を上げる近道であることを教えてくれる。しかし、この本自体は、原則の具体的な中身については教えてくれない。どこを読んでも書かれていない。それを期待して読むと肩すかしを食らう。原則は誰しも自分の中にあるものであって、それを真剣に考えること自体がやはり一番の重要な原則なのであろう。