ITリーダーやITマネージャーのための"ゆる〜い"学びの研究室

太陽を抱く月 感想


ドラマの見どころ



時代劇とは言え、史実に捕らわれない創作劇
時代劇ならではの呪術や巫女という、現代劇では扱えないテーマを違和感なく取り込んでいる
それが物語にファンタジー要素を与え、時代劇の枠に捕らわれないストーリー展開が可能となっている。
(ある意味、何でもありのストーリー)

朝鮮王朝を舞台にした政治の世界
朝鮮王朝を舞台に据えることで、王と両班階級との「熾烈な権力な争い」という構図も、物語に緊迫感を与えている。
特に、大義名分(孝、忠、義とか言う)で動かざるを得ない政治の世界に主人公達が巻き込まれ、毎話ハラハラ、ドキドキ感が楽しめる。
不用意な発言が命取りになる怖さは政治劇ならでは。

時代劇版の「冬のソナタ」
主人公が記憶喪失になり、初恋の人と再会、徐々に記憶を取り戻し・・・というストーリーは、まさしく冬のソナタのプロット。
韓国ドラマでは比較的よく出てくる型ではあるが、決して二番煎じにはなっていないのは、時代劇や呪術という背景の違いと、巧みなストーリー仕込みがあるため。

もっと見たかった子役達
ヨヌ役の、キム・ユジョン(撮影時13歳)、フォン役のヨ・ジング(撮影時15歳)の1話から5話までの演技は、物語のベースになる主人公2人の恋心と純粋な気持ちを余すところなく見るものに植え付ける。
キムユジョンは、あの「トンイ」のハンヒョジョの子役として、素晴らしい演技をしていたが、今回もそれに劣らない、さらに優美さも加わり、見る者の心を引き付ける。
本人のインタビューを見たら、「恋心を演ずるのは難しかった」と言っており、これからもっと人生経験を重ねて偉大な女優になってほしい。
そんなこともあり、子役が一斉に入れ替わる第6話は、少し喪失感を味わったのは私だけではあるまい。

配役の妙

持ち味を出した2人の主役
子役達の演技が秀逸だったため、ヨヌ役がハン・ガイン、フォン役がソン・スヒョンに代わった時には果たして大丈夫なのかと正直思った。
龍頭蛇尾的なドラマになってしまわないか・・・。しかし、物語が進むうちにそれは杞憂に終わる。   
特にハン・ガインは、美貌的には、ライバルのキム・ミンソの方に花があって(失礼!)、どうかな?と感じていたが、彼女の眼の力、比較的低音によく響く声の迫力、落ち着いた身のこなしなど圧倒された。
年齢的にも撮影時ちょうど30歳、という女優キャリアから来る自信みたいなものを感じた。   ・
一方で、ソン・スヒョンは、ハン・ガインの大人っぽさとは逆に少々童顔で若い王という感じで(当時24歳)   
ハンガインとのバランスが気にはなったが、死別して8年、という経過年数から見れば妥当な年齢か。
いずれにしてもこの2人の主役は、子役からのプレッシャーに打ち勝ち、持ち味を充分に発揮したと感じた。

脇役陣にも注目
主役2人を支える、脇役陣もこれまたユニークな方々がそろった。
ハンガインのライバル、正室役のキムミンソ。「トキメキ成均館」の妓生役にも出たことがあり、上品さを装いながら、嫉妬で狂気に走る姿が痛々しい。
ヨヌの母親役は、あの「チャングムの誓い」に出てくる「ハン尚宮」こと、ソン・ミュギョン。ヨヌを宮廷に送り出す不安感、ヨヌを失った悲壮感、再会した時の驚愕と喜び、そんなわが子を思う母親としての切実な感情をうまく演じている。
ソル役のユン・スンアは、キラリと光る役回りだった。ヨヌを守る下女として、大人役のスタートは剣士として男装していたが、途中から女性に戻った時の、美しさ、愛らしさには、本当にドキッとした。撮影当時29歳とのことだが10代に見えた。
男性陣では陽明君役のチョンイルが良い。
庶子であるたために自分の持てる能力を発揮する場もなく、ただ弟のフォン王を立てるしかない、その不条理さを絶妙なバランス感覚で演じている。政治の世界だけでなく、恋するヨヌとも一緒になれない悲しさは見ていて辛くなるばかり。