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二重平衡差動型帰還回路
EL34 パラプッシュ


 
 
 
 
 
 

100W構想

TLS スピーカを作って早一年、音は非常に気に入っているのですが、何しろ能率が低い。そこで大出力アンプを作ることにしました。

当たり前ですけど、アンプというのは出力が大きいほど設計も製作も難しくなります。一昔前だと半導体でも 100W はたいへんでしたが、現在の半導体ならさほど難しくありません。しかし真空管となると、これがなかなか大変です。

球としては一般的なところならEL34、6550/KT88、マニアックな(?)方向なら EL156、珍もの好きなら 8417 とか PL519 なら手持ちがあるな··· なんて考えていましたが、周辺部品の制約にはたと気がつきました。

まず、500Vを越える電圧となると、電解コンデンサの耐圧の問題があります。500V迄なら比較的低価格で手に入りますが、それ以上は急激に高価になります。

次に、出力トランス。100W の許容出力で国産の優秀な特性のものだと優に3万円以上です。B電圧が高いということはトランスの最大入力電圧振幅が大きいと言うことですから、当然巻き数は多くする必要があります。 それで十分な性能を維持する為には、級数的に高価格にならざるを得ない訳です。

電源トランスの問題もあります。高圧電源トランスはやはり相当高価ですし、電流がとれるものが市販品に無いのでやるとしたら特注になりそうです。

逆に言って電圧を下げれば、言い換えると低圧大電流なら、問題は一挙に解決します。低インピーダンスで許容一次電圧の低い(つまり一次巻き数の少ない)出力トランスなら、高い性能でも低価格になります。巻き数が少なくて済む(後述)からです。

そこで結局、EL34 のパラレルPPで100Wを狙う事としました。

それに、これなら電源トランスにも低価格で高性能なノグチのものがありますから、安上がりです。
(ただ、買いに行ったら、余りにも巨大で重かったので、秋葉原から運ぶためにタイヤ付きの鞄を千円で買ったため、千円高くつきました(笑))


回路構成

今回、当初は超三極管接続 VX 類似の回路をさんざんつつき回したのですが、どうにも上手くいかないので、一度やり直しています。

1. 超三結VX:壮大なる失敗(^^;)

最初に作ったのがこれ。

STC-VX

上條氏の考案になる 超三結VX の、改造版です。

要するに、超三結VX を、差動帰還とでも言いますか、抵抗でPP間を分圧して帰還した回路に、初段を直結した回路です。

等価回路解析をここに示します。

所がこれがどうやっても安定しない。

先ず、二段目を交流的に接地する(つまり差動ではなくカソード接地)と、無帰還で発振します。
高周波利得の大きい high-gm 管のカスコードで終段をドライブすると、高周波のコモンモードに対しても利得を持ちます。この為に終段との間で正帰還が成立します。
これはコンデンサと直列に数 kΩ程度の抵抗を入れたぐらいでは収まりませんでした。

実際、二段目を差動増幅にするとこの寄生発振は止まりました。

差動増幅は基本的に 電源やGNDに発生する雑音をはじめとする、コモンモードに対して抑圧が大きいのです。利得の減少と出力抵抗分の上昇と引き替えに、利点も手に入るのです。但し実際にはAC差動にするか、でなければ相当深い電流帰還をかける必要があります。

言うまでも無いですけど、単純な普通の差動は、初段の DCオフセットと DCドリフトが 0.01Vぐらいに出来ないと実用にならないので、これは問題外です。

初段の入力グリッド抵抗も、無いと無帰還で発振します。また、入力ラインはある程度容量のあるシールド線にしないと、発振したりします。また、センターピンは必ず接地しないとこれも発振する事があります。
大きめの電流を流していますから、この種の高gm管 (6922) では当然の処置です。

しかし、初段の電流値を減らして出力抵抗を大きくすれば、二段目の電圧振幅は VX帰還のせいで大きくなっているので、Miller 容量の影響が強く出るために、別の意味で発振してしまいます。(rp は電流値が大きい程小さく、負荷抵抗も小さくなるので二重に効いてきます。)

終段のグリッドの直列抵抗も同様に寄生発振防止で、無いと無帰還で発振します。

発振の話ばかりですが、定電圧電源まで発振してしまい、ほとんど一ヶ月間、発振との戦いでした(笑)。
それでも、どうにもならない(というか私の考え方では十分な性能を得るのが難しい)と判って、結局は回路変更と相成りました。

本質的に、VX帰還は下側の管の利得を低くしない上に、出力抵抗分も高くなるので、トランス二次側からの帰還を難しくしていると思います。ま、だからこそゲインが稼げるんですがw

だから、上條氏がやられたように、二次側からの帰還をかけず、DCバランスを別に設けて差動増幅を追加するのが、この回路では良いように思いますね。

2. 二重平衡差動型回路の採用

で、変更した回路がこれ。

double ballanced differential

いわゆる二重平衡差動を用いて局部帰還系を構成しています。
二重平衡差動は高周波では良く用いられる回路ですが、この回路は Gilbert cell を用いた fT doubler に平衡帰還をかけた状態に近いですね。これは原理図ですが、実際には二段目の局部帰還は直流はカットしないと動作しません。

回路自体は難しくは無いので、定量的評価にも等価回路は不要でしょうが、注意すべきは初段、二段目共に帰還がかかっているので、入力電圧が同相だと言うこと。
言い換えると、開回路利得は半分になる(帰還がないときの入力電圧は Vin/2 である)ので、二段差動に比してゲインが 6dB 減っていると言うことと、二段目の入力電圧が局部帰還の為に相当大きくなることです。

二段目のカソードが定電流で縛ってあるのはその為で、VX なら抵抗でも十分な定電流性が得られますが、この回路ではそうは行かないのは、ご理解戴けると思います。

明らかに利得は元の回路(VX)の方がとれます。しかし実質的には VX は電流帰還をかけないと安定しなかったので、実質的にはこちらが大きな帰還量を得られます。

大きな帰還をかけても安定な理由は、ドライバ段の出力抵抗が低いからです。
さんざんシミュレーションしたのですが、こういう所の実質的な影響って、やってみないと判らない物です。実際、元の回路は無帰還でも発振したわけですし。

球の数自体は VX と同じで、故·浅野勇氏の好んだウィリアムソン型でも同じ球数が必要です。要するに帰還量を増やせば球は増える訳ですが、増幅段は差動なのでウィリアムソン型よりも段数は少なくなっています。帰還量はトータルではこちらが多いですが、出力端から入力段への帰還量はウィリアムソンの設計の方が多いです。(ウィリアムソンの設計はファイナルも差動に近い A級動作ですが)

同じ球数でも、超三結MX類似の回路も考えらます。しかし採用した回路にはメリットが二つあります。一つは増幅段が少なく、低域時定数でそれほど苦労しなくて済むこと。
もう一つは、なんと言っても、回路がかっこいいことです!(爆)


ワイドラー型負帰還

ワイドラー型と言うのは、いわゆる 709型の演算増幅器の回路形式での極配置の事で、要するに普通のOPアンプです。即ち、一つの十分に低い有意な極を実軸上に持ち、十分に高い直流利得を持たせる事で、鉄壁90°の位相回転で、仕上がりゲインが幾つでも安定(理想的には、ですが ^^;)と言うやつです。

最初の monolithic IC-Op amp、702とか709とかを設計した人が Bob Widler ですが、その卓越した思想は今も連綿と受け継がれています。

R. J. Widlar, "Design techniques for monolithic operational amplifiers,"
IEEE Journal of Solid State Circuits, vol. SC-4, pp. 184-191, 1969.

今回はこの考え方を採用しています。と言ってもまさか100dBに及ぶ帰還をかけるとか言う訳じゃなくて、基本的な概念と言うか、90°に向かって漸近する開回路位相による安定な負帰還という思想です。

実際、今回の場合、無理をすれば普通の位相補償でも可能な範囲です。(局部帰還があるので、そんなに単純でも無いのですが)

上記した局部帰還回路に、時定数を持たせる事で、安定なドミナントポールを得ることが出来ます。


ラグ-リード補償

真空管増幅器をしてワイドラー型から遠ざけている大きな理由が、出力トランスの存在です。 出力トランスは、優秀な物でもせいぜいが100〜200kHzに変曲点を持ち、しかも実はそれは二次複素極に近いです。

つまり 高域に向かって、比較的低い周波数から 90°を越えて位相回転します。

これを補償するため、ラグリード補償を用いています。

前述のウィリアムソンの設計もラグリード補償ですが、出力トランスを含む深い負帰還には必要な措置(古典制御の範囲では、ですが)と言うことです。


ボーデ線図

実際にこうやった訳では無いのですが、古典制御の概念に従って、ラグ・リード補償値の設計手順を示します。

実際問題、二次複素極を含む高次関数を昔ながらのボーデ線図での折れ線近似設計なんて、できっこ無いのですが(A^^;)、何をどうしようとしているのかと言うイメージを掴んで下さい。

使用した出力トランスの特性は下図 1 のようになっています。

図 1

実際にはドライブインピーダンスとかでも違うのですが、トランスの詳細は後述します。

一般的な非反転増幅器の帰還抵抗に並列にコンデンサーを抱かせた回路、つまりこんなのですが、

lag leaf feed back 図 2

これ、積分補償だと思うかも知れませんが、ラグリードです。式で書くと

  · · · 式 1

この回路は、理論的には高域で利得 1 に漸近します。普通は別の要因で更に落ちるので気にしていないだけです。

図 3 の水平になっている部分が 0dB(利得1)になります。
ここで、C と直列に抵抗 R3 を挿入すると、下に示す式 2 になります。

lag lead2   · · · 式 2

これで、最小利得を1より大きくとれます。

この回路の零点をトランスの変曲点にとり、想定される裸利得と、零点から6dB/octのスロープでつないだ点を回路の極値にします。

図 3

これで、図 1 と図 3 を合成することで、仮想的に一次の関数っぽく見せようと言うわけです。

lag lead * transformer図 4

図 3, 4 からも判るように、負帰還量が定まれば、必然的にドミナントポールが定まる事になります。

もちろん、実際にはトランスの高域伝達関数は複素極を持つし、他にも極はあるし、局部帰還によって複素極が変化するので相当高次の関数(今回のシミュレーションでは有意な物だけとって7次、実際は更に高次)なのですが。

これだけだと、多少暴れが出るので、更に進相補償(先のラグリード補償)をメジャーループにも加えて適正化します。(VX改のメジャーループはこんな程度では無く、相当凝ったことをやらないと安定しませんでした)

実際には数学CADを駆使して解いています。
まあ元々ある意味でアナログ回路の回路図と言うのは、線形微分方程式の一つの記法である、と言っても嘘では無いのでして。

実際のトランスの高域特性はドライブインピーダンスで異なるのですが、トランスを設計した van der Veen の発表したパラメータと彼の論文で示された伝達関数に従って計算しています。

ir. Menno van der Veen; "Theory and Practise of Wide Bandwidth Toroidal Output Transformers"; preprint 3887, 97th AES Convention San Francisco

この論文で示された伝達関数に、二重平衡差動帰還で得られるであろう出力抵抗を入れて、更に各段でのMiller容量とそれをドライブする出力抵抗との時定数を加味します。
当然、局部帰還は別に考える必要がありますから、多重帰還の影響も出てきます。

で、最終的なボーデ線図(計算値)は、こんなです。

final charcter図 5

実際にこの通りに行くかどうかは別の問題もありますが(^^;)


最大振幅

各部の最大振幅は局部帰還の関係で変化します。
二段目と終段で構成される 段の利得は、20倍程度ですが、高域で帰還量βを大きくして (即ち利得を低下させて)います。

この為に、初段の高域での振幅は大きくなります。これは初段負荷にCRを入れたり、二段目にミラー容量の補償を入れたりしても同じ事で、初段振幅が電圧性か電流性かの違いにすぎません。
但し、初段負荷にCRを入れたとき(ウィリアムソンの例)などと、この回路の大きな違いは、二段目以降終段の NFB量が、逆に高域で増えている、という点です。

二段目〜終段での帰還後の利得は、低域で約20倍、高域で約3.6倍です。従って初段の振幅は、最大出力時でも(仮に終段最大振幅が約800Vp-pとれたして)約40Vp-pですから、10kHz以下では十分に低歪みでのドライブが可能です。

一方、高域でのドライブ段の最大入力振幅は、ローカル帰還のラグリード補償故に周波数によって変化し、(概ね150kHz以上で)最大で222Vp-pです。 これは勿論、初段でのフルスウィングは不可能です。

これがあるので、最初は VX構成で探っていたのですが、実際問題としては可聴帯域で最大出力が得られれば良しとして問題は無いです。そもそも、CD には絶対に入ってない信号なわけだしw

でも、さすがに可聴帯域での最大出力の低下や歪みの増大は如何にも都合が悪いので、最初に述べたように補償回路の C に直列抵抗を加えて、最小利得を上げるわけです。また、これでドミナントの定数選択の自由度がある程度できます。

ただ余り最少利得を高くすると、位相が同じカタチなのに最小利得が上昇する訳ですから、当然、トランスを含むループ帰還の安定度としては不利な方向に働きます。

あちらの都合とこちらの都合が両方巧くいくとは限らないのでして、結局、そこそこバランスするポイントを探る事になります。このあたりは、設計のセンス、と言うやつで決まります。

勿論、初段の+B電圧を上げればこの周波数は高くなるわけですけど、しかしB電圧を上げて、もし同じ動作電流なら、出力抵抗は高くなりますから、結局位相余裕は不利になります。


実際の回路

最終的な回路図を下に示します。

Gilbert cell

図 6 最終回路図

抵抗はほとんど全て金属被膜を用いています。結構な電力を喰わせているので、カーボンでは直流動作点のずれが大きくなって、実用に支障が出るかも知れません。

ラグリードの位相補償コンデンサの耐圧には注意が必要です。私は 500V耐圧のマイカ・コンデンサを使用しています。本当は1000Vぐらい欲しいのですが、小容量で信頼性の高い部品は市場に出回っていない様です。

カップリング・コンデンサには高耐圧が必要です。高耐圧フィルムは、PPフィルムが多いですが、その他諸特性でもPPフィルムは優れています。

二段目の帰還回路のコンデンサは、耐圧は250Vですみますが容量はこれぐらい無いと無負荷時の安定度に不安が残ります。低域時定数は三つあるので、スタガには注意して下さい。同じ理由で、終段のカップリングも時定数を簡単に変える事はできませんので、お間違いなきよう。

説明するまでも無い事かも知れませんが、二段目にも帰還がかかっているので、共通カソードを抵抗にするとロードラインが立ってきて歪みが増えます。だから抵抗での置き換えは問題があります。それでも半導体はいやだ、というならしょうがないですけどw

トータルの帰還量は25dBほどで、うち平衡差動へのローカル帰還が15dBぐらいですから、それほど深い訳でも無いです。要するにゲインが足りないからで、gm が100mSぐらいある双三極管が欲しいww

局部帰還電圧にはリップル等の電源性雑音が加算されますが、二つの差動増幅が同相成分に対しては逆相になって打ち消しますから、出力段のグリッドにはそれほど漏れてきません。


電源回路

回路図を示します。

power supply

図 7 電源回路

インダクタは左右別になっていますが、手に入るものの電流容量のためです。勿論、クロストークやレギュレーションは有利になります。

電源電圧は、終段に電流が流れる迄は 20V以上高いので、コンデンサの耐圧には注意が要ります。我が家ではぎりぎりでしたが、特に、一次電源電圧が高い地域では、105Vタップを使用した方が良いかも知れません。
その方が電源トランスの磁束密度や温度も下がりますから、連続大出力でも安心ですしね。

負電源は、終段バイアスと初段を共用しています。余った電圧(?)が初段の正電圧になっています。

負電源回路は、変な感じを受けるかも知れませんが、これで問題ありません。動作の基準はいつも GND だと思うと判らなくなるかも知れません(^^;)

制御Tr がカスコードになっているのは耐圧が足りないからです。高耐圧のものを使うより、実質的にはこの方が有利です。小さなヒートシンクに、放熱シートを介して取り付けてあります。

誤差増幅器も耐圧の関係でカスコードになっています。
10nFと、かなり大きめの位相補償が入っていますが、誤差増幅器の負荷抵抗にかかる電圧が高い為に、誤差増幅器のゲインが大きく、これも無いと発振します。

初段に定電圧電源が入っていますが、三段増幅は利得が高いので、初段電源雑音には神経質にならざるを得ません。
実際に、負帰還の効きにくい超低域での雑音が問題になったので、他に方法がありません。

初段電源のダイオードには超高速リカバリータイプを使っています。
どうでも良いですけど、私はこのダイオードを数年前に秋葉原の鈴商で5本セット百円ぐらいで買いましたが、○○通商では四倍の値段が付いていました(笑)。

秋葉原の部品屋さんの値段は、店によってこのぐらいの差があるのはざらです。
特に数を買うものは、安い店で買わないと馬鹿らしくなります。

例えばバイアス調整用の半固定抵抗は、小沢電気商会で一個数十円で買いました(良く覚えていない A^^;)が、有名オーヂオ部品屋さんだと同じ物が十倍ぐらいしていたりします。

こういうのを積み重ねると、一万円ぐらいは簡単に差が出るので、研究して買いましょうねw

なお、部品表はこちら


出力トランス

出力トランスは、かつて一世を風靡した(?)Van der Veen の手になる、Amplimo のトロイドを使用しました。特性は素晴らしいの一言。しかも低価格です。
Philipsお膝元の阿蘭陀製ですから、きっとEL34との相性も良いに違いない?(^0^)

トランスのスペックは、100W/30Hz になっていますが、実際の負荷は6Ωなので、この時のトランスの許容最大出力はもう少し大きくなります。(或いは、出力を同じにすれば許容する最低周波数が下がります)
また高域特性からの帰還安定度の算出は、カタログスペックから論文に示された方法で計算される値を用いています。

トランスの出力等の詳細はこちらに。


調整


回路図を見ても、調整方法が良く判らない人が、こんな変な物を作ろうとするとは思えませんが(^^;)、一応書いておきます。

当然、オシロは必要です。深い帰還をかけるので、何度書いたように、実装状態次第で簡単に発振します。定数が同じでも、回路図に現れない定数が同じとは限りません。借りてでも用意して下さい。

受動部品の銘柄でも、微妙な特性の違いがあり、影響があるかも知れないのです。


シャシー

シャシーは、ノグチトランスの別店舗で買いました。電源トランスの角穴とボルト穴が最初から空けてあるので、加工が楽です。(角穴が一番大変です)
材質は2mm厚の5052ですが、これぐらいがシャシーパンチで穴空けする限界ですね。でかいレンチで締め上げるようにして抜きました。パンチの歯は今回で終了しちゃいましたがw


結果

ダンピングファクターは約11。普通の真空管アンプよりはだいぶ高い値ですが、個人的には30ぐらいにしたかった(^^;)。それには開回路利得が不足ですね。

歪みは以下の通り。最初に発表したデータは大嘘でした(笑)。ま、悪く嘘付いたんだから良いでしょ(爆)

distortion

実際問題としては、私の部屋でどんなに大音量で聴いても瞬間的なピークで20W程度なので、歪みが問題になるとは思えません。
だからまあどうでも良いのですが(w

最大出力は、ノンクリップだと80W/8Ω程度です。ですから100Wだと多少のクリップがあって、それで途中から急激に歪みが増えています。

6Ω負荷だと出力は少し増えます。計算ではノンクリップで概ね100Wです (6Ω/100Wのダミーロードが無いので測れないけどw)
まあ、80Wと100Wなんて電圧で見れば殆ど違いはないので、どうでも良いのですがw

最終的な閉回路利得は17.5dBで、使いやすい所ですが、スピーカーの能率からすると、もうちょっとあっても良いかな。

雑音は、10-200kHz フィルタ無しで0.2mV程度ですから、無問題です。
ちょっと試しに測ってみると、超低域のクロストークが非常に小さい(私の測定環境では、雑音レベル以下で測定不能)です。左右でパワーインダクタを別にした効果がこんなところで出ています。
インダクタを分けたのは、単純に電流容量のせいでしたが(^^;)

方形波応答は、まるで半導体の様な感じに見えます。


本機の音

本機の優れた音質は、比肩するアンプが見あたらない。

優しい音から激しい音まで、あらゆる音を余すところ無く表現し、その圧倒的な音楽的情報量は、今まで気づかなかった、CD に含まれる新しい音楽の魅力を教えてくれる。しかし、これは無論 CD に正しく音楽が録音されている場合である。

逆に人工的な録音の CD をかけると、如何にもわざとらしい音楽の抜け殻しか聞こえてこない。しかし、もちろんこれはアンプのせいでは無い。
余りにも優れたデティールの再現性が、録音のデメリットすらも暴いてしまうのだ。

従って、本機を聴いて、もし音楽の再現性に些かでも疑問を感じたなら、それは録音か、又はスピーカーに癖があるからだ、と判断できるのである。

・・・なーんて書くと思いました?
嘘ですよ、う・そ (爆)

雑誌で自画自賛してる、センセーの文章を真似ただけですってばwww
読んだ事があるでしょ、こういうの。
私は、こんな文章を書くと自分で笑っちゃいますが、こういうことを書く人ほど人気があったりするんですよねー。とても私には理解できませんが。w

御霊 御球がご覧になりたい? では、ちょっとだけ、御開陳


変更

どういう訳か、使っているうちに段々と不安定になってきた(?)様な感じで、超低域発振に似た動きをする様になりました。

CD 直結よりもボリュームを介すると悪くなる所からすると、初段ソケットの接触不安定によるグリッド電流が疑われますが、しかしそれのみならず音量にも比例するし、最初は短時間だったのが段々と長くなって自然治癒(?)しなくなって来たので、複数の要因が絡み合っているようです。

そこで、以前から修正しようと思っていた部分を変えてみました。

変更点は以下の通り。

変更した回路図を下に示します。

modified circuit 図 8. アンプ部

変化点は既に書いた通りです。C17 が追加した容量です。




power supply with fan 図 9. 電源回路

ファンは必ずしもこれでなくても良いですが、PC用はうるさいので向きません。




裏面写真もここに追加しました。




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15th/Apr/2006   Last update
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