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比較の差
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講義の学習の仕方

英文法則の全体像

講義の内容について質問

In the dairy industry, milk is sold by the kilogram, and the farmers are demanding that milk companies pay at least ¥10 more and pass the cost on to consumers.

上の英文で、at least \10 moreという表現がありますね。この部分は、payという動詞3の名詞Bになっています。ただ、ちょっと注意が必要です。日本語の感覚のままでこの部分を解釈してしまうと、「少なくとも10円より多い」と勘違いしてしまいかねません。ここでは、この表現の法則をマスターしておきましょう。

まず、この部分は、moreが表現の中心です。つまり「より多い(お金)」を払う、ということです。そして、その比較表現の前に、at least \10「少なくとも10円」という数値を表す表現がありますね。このように、比較表現の前に数値が置かれている場合は、その数値は、「比較の差」を表します。つまり、「今より、少なくとも10円分多い(お金)」という意味です。

ここで、前回の講義で学習した「比較の差」の知識を思い出してみましょう。たとえば、

Thirty-nine years after the government's decision to build Tokyo's new international airport in Narita,

このような「副-前置詞句」の表現を学習しました。この表現も、同じように、「時の前後の比較」を表す表現の前に数値を置くことによって、「比較の差」を表しています。「~から39年後に」ということですね。つまり、今回の表現と同じ法則で成り立っているということです。

では、いくつか例文を見ながら「比較の差」を表す表現になれていきましょう。

<例文1>

The overall budget is 0.1 percent larger than the initial fiscal 2004 budget because debt-servicing costs outpaced policy-spending cuts.

overall<形容詞>全体の
budget<名詞>予算
initial<形容詞>元々の
fiscal<形容詞>会計年度の
debt-servicing<形容詞>負債の利子返済の
outpace<動詞3>勝る
policy-spending<形容詞>政策費用の

イメージ2+「副-サイン節」+「副-サイン節」です。

この英文のA’の部分に注目してください。largerという比較表現の前に、0.1 percentという数値を表す表現がありますね。この部分が「比較の差」を表す表現です。つまり、「0.1パーセント分、大きい」ということです。

The overall budget is 0.1 percent larger than the initial fiscal 2004 budget because debt-servicing costs outpaced policy-spending cuts.

「全体の予算は、元々の2004年度予算よりも0.1パーセント大きい{負債の利子返済費用が、政策費用の削減に勝ったから}。」

<例文2>

The victory gave Bush four more years to pursue the war on terrorism, a conservative domestic agenda and probably the opportunity to name one or more justices to an aging Supreme Court bench.

victory<名詞>勝利
pursue<動詞3>続ける
conservative<形容詞>保守的な
domestic<形容詞>国内の
agenda<名詞>協議事項
opportunity<名詞>機会
name<動詞3>指名する
justice<名詞>判事
aging<形容詞>古くなった
Supreme Court bench<名詞>最高裁裁判官

イメージ4です。

名詞Bに注目してください。four more yearsとなっていますね。これを「4年以上の年」と間違えてしまわないように注意してください。more than four yearsではないですからね。

four more yearsという表現は、moreという比較表現の前にfourという数値が置かれていますね。ということは「比較の差」を表す表現ということです。つまり「(今までと比べて)もう4年多くの年」ということです。

The victory gave Bush four more years to pursue the war on terrorism, a conservative domestic agenda and probably the opportunity to name one or more justices to an aging Supreme Court bench.

「その勝利によって、ブッシュは、テロリズムに対する戦争、保守的な国内の事案、そしておそらく古くなった最高裁裁判官に1人以上の判事を任命する機会を追求するためのもう4年を手に入れた。」

<例文3>

JR East said a 50-meter stretch of track about 5 cm higher than usual was found about 600 meters south of JR Takadanobaba Station in Shinjuku Ward.



stretch<名詞>範囲
track<名詞>線路
south<副詞>南に

イメージ3です。

名詞Bの内部構造を確認すると、

イメージ1+「副-分詞句」です。

では、まずはこの中の名詞Aに注目してみましょう。この名詞は、

a 50-meter stretch of track ←  about 5 cm higher than usual

というように「50メートルの線路の範囲」という名詞に「形容-分詞句」の修飾がついています。「形容-分詞句」の内部構造は、

このようにイメージ2+「副-サイン節」を利用しています。このA’の部分が「比較の差」の表現になっていますね。higherという比較級の前に数値が置かれているので、「約5センチ分、高い」ということです。

また、V(動詞)の後のadの部分も注目してみましょう。

about 600 meters south of JR Takadanobaba Station in Shinjuku Ward

この部分は、副詞要素で、

south of JR Takadanobaba Station in Shinjuku Ward

「新宿区の高田馬場駅の南に」という場所を表す表現が元となっていて、その前に「どれだけ南か」を表す数値が置かれています。やはり、「距離」という場所の「比較の差」を表す表現です。

JR East said a 50-meter stretch of track about 5 cm higher than usual was found about 600 meters south of JR Takadanobaba Station in Shinjuku Ward.

JR東日本は、通常よりも約5センチ高い50メートルにわたる線路の範囲が、新宿区の高田馬場駅の約600メートル南で発見されたと語った。」