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「形容-代用詞節」の形
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Earlier this month, the government decided not to appeal rulings delivered by high courts in Sendai and Osaka in late May, both of which recognized all the plaintiffs in those suits as having radiation-induced ailments, including plaintiffs who do not meet new criteria set by the Health, Labor and Welfare Ministry in April.

上の英文のrulingsという名詞には、後ろに「形容-代用詞節」の修飾がついています。

both of which recognized all the plaintiffs in those suits as having radiation-induced ailments, including plaintiffs who do not meet new criteria set by the Health, Labor and Welfare Ministry in April

ただ、「形容-代用詞節」というものは「形容詞の機能を持ち、代用詞で始まる節」なので、代用詞が先頭にあるはずですが、そうはなっていないですね。ここでは、その理由について考えてみましょう。

この「形容-代用詞節」の元となっている英文は、

という英文です。「それら(判決)の両方ともが、認めた」ということですね。そして、themrulingsを指しているので、これを代用名詞に置き換えます。そして、通常は一番前に出ますね。

which both of recognized all the plaintiffs in those suits as having radiation-induced ailments

これが基本ですね。この形でも間違いというわけではありませんが、非常に意味がわかりにくいですね。どうしてかというと、of whichの「前置詞句(前置詞+名詞)」という意味のまとまりを崩してしまっているからです。そこで、この部分を1つのまとまりとして前に出すことは頻繁にあります。

of which both recognized all the plaintiffs in those suits as having radiation-induced ailments

こうなります。もちろん、これも間違いではありません。ただ、やはりわかりにくさは残ります。その原因は何かというと、このof whichが「形容-前置詞句」だからです。「副-前置詞句」なら、それだけでadという意味のまとまりなので、前置詞句を前に出せばわかりやすくなるのですが、「形容-前置詞句」は、その前の名詞と密接に結びついているので、それだけでは意味のまとまりとは言えないわけですね。この英文の場合も、both of whichで名詞Aとなりますから、それ全体を1つとして捉えます。すると、

both of which recognized all the plaintiffs in those suits as having radiation-induced ailments

こうなります。代用詞が一番前ではなくなるので、「形容-代用詞節」であることが少しわかりにくくなりますが、書籍「イメージの組み合わせで英語の全体像がわかる」で述べたように、代用詞を置き換えて前から理解していけば、特に問題はないと思います。

では、同様に代用詞以外のものが前に出ている例文を見て、その意味の取り方を練習しておきましょう。

<例文1>

He strongly criticized Pyongyang for handing over the wrong remains after repeated demands by Tokyo to supply all evidence on the fates of the 10 Japanese abductees, eight of whom it claims have died.

criticize<動詞3>非難する
Pyongyang<名詞>北朝鮮政府
wrong<形容詞>誤った
remain<名詞>遺骨
supply<動詞3>提供する
evidence<名詞>証拠
fate<名詞>運命
abductee<名詞>拉致被害者
claim<動詞3>主張する

イメージ3+「副-前置詞句」です。

「副-前置詞句」の中の名詞は「名-ing句」になっています。その内部構造は、

イメージ3+「副-前置詞句」を利用しています。「副-前置詞句」の中の名詞には「形容-to原形句」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ3を利用しています。

さて、ようやく出てきましたね。この名詞Bの中のthe 10 Japanese abducteesという名詞には、「形容-代用詞節」の修飾がついています。ただ、始まり方がeight of whomとなっているので注意してください。eight of the abducteesと考えればよいですね。その内部構造も少々複雑です。語順を元に戻してみると、

イメージ3で、名詞Bが「名-サイン節」になっている形です。その「名-サイン節」の中の名詞Aeight of whomとなっているわけですね。

He strongly criticized Pyongyang for handing over the wrong remains after repeated demands by Tokyo to supply all evidence on the fates of the 10 Japanese abductees, eight of whom it claims have died.

「彼は、北朝鮮政府を強く非難した{日本政府によるその10人の日本人拉致被害者{その内の8人は死亡したと北朝鮮は主張している}の運命に関するすべての証拠を提供するようにという度重なる要求の後で、誤った遺骨を渡したことに対して}。」

<例文2>

July will mark the beginning of a six-year transition period, at the end of which southerners will vote in a referendum on whether to secede and form their own country.

mark<動詞3>示す
transition period<名詞>移行期間
southerner<名詞>南部の人
vote<動詞1>投票する
referendum<名詞>住民投票
secede<動詞1>分裂する
form<動詞3>作る

イメージ3です。

さて、この英文に含まれる「形容-代用詞節」にも注意してください。a six-year transition periodという名詞の後ろに「形容-代用詞節」がありますが、これもわかりにくい形をしています。抜き出してみると、

at the end of which southerners will vote in a referendum on whether to secede and form their own country

今度は、前置詞で始まっていますね。しかも、at whichではなく、at the end of whichです。ただ、今までの学習の流れからすれば、これも意味のまとまりごと前に出ていると考えることができますね。内部構造を確認すると、

となります。「副-前置詞句」の中の「形容-前置詞句」に代用詞がある形ですね。

July will mark the beginning of a six-year transition period, at the end of which southerners will vote in a referendum on whether to secede and form their own country.

「7月は、6年の移行期間の始まりを示し、その期間の最後に、南部の人々は独立して彼ら自身の国を作るかどうかに関する住民投票に投票するであろう。」

<例文3>

The documents indicate that the doctor involved had performed just 12 of the endovascular operations, of which six ended in failure and two in death.

document<名詞>文書
indicate<動詞3>示す
involved<形容詞>関係している
perform<動詞3>行う
endovascular<形容詞>脈管内皮の
operation<名詞>手術
failure<名詞>失敗

イメージ3です。

名詞Bは「名-サイン節」です。その内部構造は、

イメージ3です。

さて、この名詞Bの部分には、「形容-代用詞節」の修飾がついていますね。その形をよく見てください。一瞬迷うかもしれませんが、このページの説明を呼んでいれば、すぐに理解できますね。つまり、「形容-前置詞句」だけが前に出た形です。

では、なぜsix of whichとなっていないのでしょうか?こっちの方がわかりやすいはずなのに。

それは、後ろにあるtwoがポイントですね。of whichtwoにもかかっているわけです。「それらの内の→6件、そして2件」ということです。したがって、six of whichという形でsixだけにつなげるのではなく、of whichを前に出してtwoにもつながりやすいようにしているわけです。そう考えると、この表現の方がわかりやすいことが理解できます。

The documents indicate that the doctor involved had performed just 12 of the endovascular operations, of which six ended in failure and two in death.

「その文書は、件のその医師がそれらの脈管内皮手術の内の12件を施術し、その内の6件は失敗に終わり、2件は死に至ったことを示している。」