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仮定法原形
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講義の内容について質問

In finding unlawful the clause requiring that the parents be married, the ruling stated, "The disadvantages caused to the children by this biased treatment cannot be disregarded."

上の英文の中にある「名-サイン節」の

the parents be married

という部分は、V(動詞)がbeとなっています。なんか不自然ですね。be動詞は通常、am, are, is, was, wereというような形になって現在や過去という時制を表すはずですよね。それなのに、ここは原形がそのまま使われています。これでは、時制がわかりませんよね。

ん?時制がわからないということは、つまり、時制がない=実際に起きていない、ということでは?

こう思えた人は、鋭いですね。1つ前で詳しくチェックした「仮定法」の解説で、実際に起きていないことは時制がないので、仮定法というルールで動詞の時制を判断するということを学習しました。実は、この部分のV(動詞)も、仮定法のルールによっているのです。

今まで学習したルールは、「現在の事実に反することを仮定する場合は、仮定法過去形にする」と「過去の事実に反することを仮定する場合は、仮定法過去完了形にする」というものでしたね。今回の英文は、仮定しているわけではなく、事実ではないことを主張している部分です。このような場合は、「事実ではないことを提案、主張する場合は、仮定法原形にする」というルールを使います。つまり、この英文の場合、

the clause requiring that the parents be married

「両親が結婚していることを要求している条項」という部分の「両親が結婚している」という部分は、事実を述べているわけではなく、その状態を要求しているわけですね。あえていえば、その状態ではないことが多いので、わざわざ要求しているわけです。したがって、実際に起きていないことなので時制がありません。そこで、仮定法のルールに従って、「仮定法原形」の形、つまり動詞の原形の形にして表します。

ちなみに、一般的には、この形は、仮定法現在と呼ばれていますが、「仮定法で過去形を使う場合=仮定法過去形、仮定法で過去完了形を使う場合=仮定法過去完了形」という名前と合わせて考えると、「仮定法で原形を使う場合=仮定法原形」となると考えられるので、私は仮定法原形と呼んでいます。

さらに、「事実ではないことを提案、主張する場合」に、その主張の主観的な強弱を付け加えたい場合は、仮定法原形の直前に助動詞を置きます。たとえば、

The parents must be married.

「その両親は、結婚していなければならない」というような形です。つまり、助動詞の後の動詞は仮定法原形の形になっているのですね。

それでは、仮定法原形の使われている例文を見ていきましょう。

<例文1>

The Democratic Party of Japan argues for an increase on the condition that the revenue be used specifically for funding public pensions.

Democratic Party of Japan<名詞>日本民主党
argue<動詞1>主張する
condition<名詞>条件
revenue<名詞>収入
specifically<副詞>明確に
fund<動詞3>資金を提供する
public pension<名詞>公的年金

イメージ1+2つの「副-前置詞句」です。

2つ目の「副-前置詞句」の中には「形容-サイン節」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ1+「副-前置詞句」です。

この中のV(動詞)に注目してください。be usedというように、受け身の形が原形になっていますね。つまり、仮定法原形になっているということです。この部分は「条件」の内容を表している部分で、事実ではないことを条件として提示しているので、仮定法原形になっているというわけですね。「事実としては、そのようには使われていないが、そのように使われることを条件として」ということです。

The Democratic Party of Japan argues for an increase on the condition that the revenue be used specifically for funding public pensions.

「日本民主党は、その収入が明確に公的年金に資金を提供するために使われることを条件として、引き上げに賛成の主張をしている。」

<例文2>

We have considered the issue from the recognition that it is most important that the Emperor system, which has continued from ancient times in hereditary succession, be stably maintained in the future.



recognition<名詞>認識
important<形容詞>重要な
Emperor system<名詞>天皇制
continue<動詞1>続く
ancient<形容詞>古代の
hereditary<形容詞>世襲の
succession<名詞>継承
stably<副詞>安定して
maintain<動詞3>維持する

イメージ3+「副-前置詞句」です。

「副-前置詞句」の中には「形容-サイン節」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ2ですが、相関語句によって、名詞Aの内容は後ろの「名-サイン節」で表現されています。その内部構造は、

イメージ1+「副-前置詞句」です。

このV(動詞)の部分に注目してください。仮定法原形になっています。ここでは、何らかの事情により天皇制が安定的に維持できないような状況がある中で、「天皇制が安定的に維持されること」ということを主張として表現しています。このような場合も、仮定法原形が使われます。

We have considered the issue from the recognition that it is most important that the Emperor system, which has continued from ancient times in hereditary succession, be stably maintained in the future.

「我々は、古代から世襲継承により続いてきた天皇制が、この先も安定して維持されることが最も重要であるという認識から、この問題を考えてきた。」

<例文3>

Other proposals include a stipulation that House of Councilors members not be allowed to be Cabinet members, and that some new human rights be created.

proposal<名詞>提案
include<動詞3>含む
stipulation<名詞>規定
House of Councilors<名詞>参議院
allow<動詞5>許可する
Cabinet member<名詞>閣僚
create<動詞3>創設する

イメージ3です。

名詞Bには「形容-サイン節」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ2とイメージ1です。

この中の2つのV(動詞)に注目してください。両方とも、仮定法原形になっています。1つ目は、その否定形ですね。notの位置に注意してください。この内容は、提案していることの内容なので、事実とは違うということで仮定法原形が使われているわけです。

Other proposals include a stipulation that House of Councilors members not be allowed to be Cabinet members, and that some new human rights be created.

「他の提案は、参議院議員は閣僚になることを許されないという規定と、いくつかの新しい人権が創設されるという規定を含んでいる。