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節の中の省略
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The supplement, although nonbinding, serves as a guide for teachers and textbook publishers.

上の英文に含まれる「副-サイン節」では、その一部が省略されています。

although (it is) nonbonding

という形が本来の「副-サイン節」の形です。これならば、内部構造が、

というイメージ2であることがわかりますね。

このように、「副-サイン節」では、「名詞Abe動詞」はセットで省略されます。この場合、名詞Aは、英文の他の部分で表現されていて、当然わかる名詞なので省略されるわけですね。

ただ、これだけではおもしろくないので、他の「節」ではどのような省略が起こるのかを確認してみると、おもしろいことがわかります。というのは、「名詞節」でも「形容詞節」でも、全く同じように「名詞Abe動詞」の省略が起こるのです。

まずは「名詞節」から見てみましょう。「名詞節」では「名-疑問詞節」において「名詞Abe動詞」の省略が起きます。次の英文を見てください。

He doesn’t know what to do.

この英文の名詞Bは、疑問詞whatで始まっていますね。しかし、その中に「イメージの型の全体」を確認できないので、「名-疑問詞節」とは違うように思えます。実は、これは「名詞Abe動詞」が省略されているのです。つまり、

what (he is) to do

ということです。この「名-疑問詞節」の内部構造は、

イメージ2で、「彼が、これから何をする状態なのか」ということです。英文全体では「彼は、これから何をすればよいのかわからない。」となります。

この省略が理解できていれば、次のような誤りをすることがなくなります。たとえば、「彼らは、誰がそこへ行けばよいのかわからない。」という意味を表す場合、

They don’t know who to go there.

この英文が誤りであることがわかりますか?「疑問詞+to原形句」の形の意味を暗記しているだけの場合、この誤りをする人を多く見かけます。しかし、この形が「名詞Abe動詞」の省略であることを理解していれば、このような誤りはしませんね。これでは、省略を補っても、正確な形にはなりませんものね。

who (they are) to go

ですからね。この場合は、

They don’t know who should go there.

とするのが正解です。ちなみに、次の英文は正しいということもわかりますね。

They don’t know who to go with there.

この場合は、省略を補ってみると、

「彼らが、誰と一緒にそこへ行けばよいのか」という意味がわかりますね。

では、「名-疑問詞節」の省略の例文を1つ見ておきましょう。

<例文1>

He entered Amherst College in Massachusetts without a specific idea about what discipline to embrace.

enter<動詞3>入る
specific<形容詞>明確な
discipline<名詞>学科
embrace<動詞3>採る

この英文の中には、

what discipline to embrace

という表現がありますね。この部分は、前置詞aboutの後ろにあるので名詞であり、whatという疑問詞で始まるので「名-疑問詞節」であることがわかります。しかし、「イメージの型の全体」が確認できません。そこで、「名詞Abe動詞」の省略と考えて、それを補ってみましょう。

what discipline (he was) to embrace

こうなります。whatは疑問形容詞です。すると、

というイメージ2が読み取れます。「彼が、(これから)どの学科を専攻する状態なのか」ということですね。

He entered Amherst College in Massachusetts without a specific idea about what discipline to embrace.

「彼は、どの学科を専攻するのかについて明確な考えなしに、マサチューセッツでAmherst Collegeに入学した。」

では、次は「形容詞節」の場合を見てみましょう。「形容詞節」の場合は、「形容-代用詞節」において「名詞Abe動詞」の省略が起こります。これは、これまでにもよく出てきているので、知っている方も多いと思います。たとえば、前回の講義の英文の

Eisai will turn Sanko Junyaku Co., a clinical test drug maker, into a wholly owned unit.

この英文では、

Eisai will turn Sanko Junyaku Co., (which is) a clinical test drug maker, into a wholly owned unit.

このように「形容-代用詞節」の中の「名詞Abe動詞」が省略されていますね。この形の省略は、非常に頻繁に起こります。

また、今回のニュースの中にもある次の英文でも、

The supplement referring to the island called Takeshima in Japanese and Dokdo in Korean will be compiled around June or July for use from fiscal 2012, the officials at the Education, Culture, Sports, Science and Technology Ministry said.

名詞Aの中には、2つの「形容-分詞句」がありますが、これを、

The supplement (which is) referring to the island (which is) called Takeshima in Japanese and Dokdo in Korean

というように「名詞Abe動詞」の省略された「形容-代用詞節」と考えることもできます。これは「形容-分詞句」と理解すればそれで十分ですが、英語の法則がそれぞれ関連を持っていることを理解しておくと、様々な用法に対応する力がつきます。

最後は、「副詞節」ですね。今回の英文で見たように、「副詞節」では「副-サイン節」」において「名詞Abe動詞」が省略されます。これは特に難しいこともないので、例文を1つ見ておきましょう。

<例文2>

A food safety panel on Monday adopted a draft report that, once finalized, will pave the way to ending the two-year-old ban on imports of U.S. and Canadian beef.

food safety panel<名詞>食品安全委員会
adopt<動詞3>採用する
draft report<名詞>草案
finalize<動詞3>完成させる
pave<動詞3>整える
ban<名詞>禁止
import<名詞>輸入

イメージ3です。名詞Bには、「形容-代用詞節」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ3ですが、「副-サイン節」が挟まれていることに注意してください。この「副-サイン節」は、「名詞Abe動詞」が省略された形になっています。省略を補ってみると、

once (it is) finalized

ということです。「それがひとたび完成させられると」という意味ですね。

A food safety panel on Monday adopted a draft report that, once finalized, will pave the way to ending the two-year-old ban on imports of U.S. and Canadian beef.

「食品安全委員会は、月曜日に、ひとたび完成すれば、アメリカとカナダの牛肉の輸入に対する2年間の禁止を終わらせる道を開く草案を採用した。」