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「副-分詞句」の動作主
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英文法則の全体像

講義の内容について質問

All together, they are believed to have gained a total of ¥50 million from insider trading involving shares of 21 companies, investigative sources said.

上の英文の文頭にあるAll togetherという表現は、形は単純に見えますが、正確に理解することは意外に難しいと思います。実は、この部分は「副-分詞句」なのです。

「副-分詞句」は「副詞の機能を持ち、分詞で始まる句」ですが、この表現には分詞が見あたりませんね。つまり、省略されているわけです。省略できる分詞といえば、そう、beingです。

ただ、だからといって、being all togetherというわけではありません。これは、

All (being) together

という省略です。では、分詞beingの前にあるallは何を表しているのかというと、この「副-分詞句」の動作主を表しています。「副-分詞句」は「イメージの型の動詞より後の部分を利用」していますので、基本的にはその動作の動作主は示されていませんね。つまり、英文の名詞Aと同じなので、示さなくてもよいわけです。

しかし、違う場合には、しっかりと示さないと誤解されてしまいますので、「副-分詞句」の直前にその動作主を表す名詞を置くわけです。それが、allということです。

すると、

All are together

というイメージ2が元になっていることがわかり、「副-分詞句」は同時進行の動作を表すので、このAll togetherという表現は、「すべてが一緒になっている状態で」という意味を表します。「全部合わせると」ということですね。

では、これと同じように、「副-分詞句」においてbeingが省略されて、なおかつ、動作主が示されている英文を見てみましょう。一見簡単そうなものもありますが、しっかりと法則を理解して、正確に意味を読み取るようにしてください。それで初めて、自分でも使えるようになりますからね。

<例文1>

That said, Koizumi deserves praise for his plans to shake up the bureaucratic and budget empires which do such harm to Japan.

deserve<動詞3>値する
praise<名詞>賞賛
shake up<動詞3+副詞>再編する
bureaucratic<形容詞>官僚的な
budget<形容詞>予算の
empire<名詞>帝国
harm<名詞>害悪

「副-分詞句」+イメージ3+「副-前置詞句」です。

この文頭のThat saidという表現に注目してください。このままでは、この部分がどんな構造になっているのかわかりにくいですね。だからといって、いい加減に解釈しないように注意してください。この部分は、「副-分詞句」として理解できます。

まずは、beingの省略ですね。

That (being) said

ということになります。thatは、「副-分詞句」の動作主を表しています。すると、この部分は、

That is said

という表現が元になっていることがわかります。「そのことが言われる状態で」という意味ですね。

That said, Koizumi deserves praise for his plans to shake up the bureaucratic and budget empires which do such harm to Japan.

「それを考えると、Koizumiは、日本にそのような害を与えている官僚的な予算帝国を再編するという計画によって、賞賛に値する。」

<例文2>

"Wasabi" stars French actor Jean Reno and Japanese actress Ryoko Hirosue. It was produced by Luc Besson and directed by Gerald Krawczyk, both of France.

star<動詞3>主演させる
actor<名詞>俳優
actress<名詞>女優
produce<動詞3>製作する
direct<動詞3>指揮する

2つ目の英文の構造を確認すると、

イメージ1+「副-前置詞句」までは簡単ですが、最後の部分がどうなっているのかわかりますか?「フランスの両方」なんて理解では、とても英語が理解できているとは言えません。

まずは、この部分はすでにイメージの型が終わっている部分なので、副詞要素にしかならないことを確認してください。「フランスの両方」では、ただの名詞なので、前の部分につながっていきませんね。

そして、「副-分詞句」におけるbeingの省略の法則を知っていれば、

both (being) of France

という可能性に思い当たります。すると、この「副-分詞句」は、

both are of France

というイメージ2を元にしていることがわかり、「両方とも、フランス出身であって」という意味を表していることがわかりますね。

"Wasabi" stars French actor Jean Reno and Japanese actress Ryoko Hirosue. It was produced by Luc Besson and directed by Gerald Krawczyk, both of France.

「「Wasabi」は、フランス人俳優Jean Renoと日本人女優Ryoko Hirosueを主役としている。それは、Luc Bessonによって製作され、Gerald Krawczykによって指揮されたが、両人ともフランス出身である。」

<例文3>

The Meteorological Agency registered more than 250 aftershocks, most too weak to be felt, following the biggest quake, and warned that another temblor of similar power could strike the region over the next week.

Meteorological Agency<名詞>気象庁
register<動詞3>記録する
aftershock<名詞>余震
following<前置詞>~に続いて
warn<動詞3>警告する
temblor<名詞>揺れ
similar<形容詞>同様の
strike<動詞3>襲う
region<名詞>地域

イメージ3+「副-分詞句」+「副-前置詞句」と、イメージ3です。

では、イメージ3の後ろにある次の表現に注目してみましょう。

most too weak to be felt

これだけでは、なんのことなのかわからないと思います。そこで次のように省略を補ってみましょう。

most (being) too weak to be felt

こうすると、この部分が「副-分詞句」であり、その動作主が表現されていることがわかります。つまり、この部分は、

most (of the aftershocks) are too weak to be felt

というイメージ2が元となっているわけですね。それがわかれば、「ほとんどが、感じられるには弱すぎる状況で」という意味が読み取れますね。

The Meteorological Agency registered more than 250 aftershocks, most too weak to be felt, following the biggest quake, and warned that another temblor of similar power could strike the region over the next week.

「気象庁は、最大の地震に続いて、250回以上の余震(そのほとんどが弱すぎて感じられない)を記録し、同程度の強さの揺れがもう一度、来週にかけてその地域を襲うかもしれないと警告した。」