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ingの区別
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The 2008 OECD Economic Survey of Japan comes at a time when the economic outlook is clouded by growing concerns about global growth triggered by the U.S. subprime housing loan crisis.

上の英文の中にある

growing concerns

という部分に注目してみましょう。byという前置詞の後ろにあるので、この部分が名詞であることは間違いありません。そして、動詞のingの形で始まっているので、「名-ing句」である可能性があります。そう考えると、

イメージ3を利用している形となり、「不安を、大きくすること」という意味が読み取れますね。

しかし、この部分には、他の可能性もあります。それは、growingという単語が、grow「大きくなる」という動詞から派生した形容詞「大きくなっている」であり、「大きくなっている不安」という意味を表すという解釈です。こちらは、形容詞→名詞という形なので、たとえば、big concerns「大きな不安」などと同じ形ということです。

この英文の場合、形からはどちらか判断が出来ないので、前後の文脈から判断することになります。すると、growingは形容詞と考えるべきだとわかります。

このように、動詞のingの形はいくつかの解釈の仕方があるので、場合によってはその区別が難しいことがあります。まずは、英文全体の構造から、その部分が名詞なのか形容詞なのか副詞なのかを判断し、その上でさらにその部分の内部構造を確認するわけですが、今回のように、名詞の場合は形だけでは判断が出来ない場合もあります。たとえば、次の英文を見てみましょう。

In addition to lingering deflationary pressure, the OECD said Japan faces a number of challenges, including huge and growing public debts and a widening gap between regular workers and non-regular workers.

まず、1番はじめの「副-前置詞句」の中にあるlingering deflationary pressureという部分は、前置詞の後にあるので名詞であることがわかります。そして、ingで始まっているので「名-ing句」の可能性もありますね。ただ、lingerという動詞が「長引く」という動詞1でしか使えないので、

このような「名-ing句」として解釈することが不可能です。したがって、これはlingering「長引いている」という形容詞と考えるしかありません。

次に、growing public debtsという部分を見てみましょう。この部分だけを見れば「名-ing句」の可能性もありますが、その前にhuge andとなっていて、形容詞とandで結ばれていることから、growingもやはり形容詞であることがわかります。「莫大で、ますます大きくなっている公の借金」ということですね。

そして、その後のa widening gapという名詞の場合は、aがついているおかげでwideningが形容詞であることがすぐにわかりますね。これが、widening gapsとなっていれば、場合によっては「名-ing句」の可能性も出てきますが、ここではその可能性はありません。

それでは、このように動詞のingの形の判断が難しい英文をいくつか見て、練習してみましょう。

<例文1>

There is no end to the infestation of businesses that try to trick consumers into concluding damaging contracts.

end<名詞>終わり
infestation<名詞>横行
trick<動詞3>だます
conclude<動詞3>結ぶ
damage<動詞3>損害を与える
contract<名詞>契約

名詞Aには「形容-代用詞節」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ3です。その名詞Bは「名-to原形句」です。その内部構造は、

イメージ3+「副-前置詞句」を利用しています。

この「副-前置詞句」の中の名詞に注目してみましょう。動詞のingの形が2つ並んでいますね。よ〜く頭の中を整理してください。これは、

というイメージ3を利用した「名-ing句」になっていて、その中の名詞Bdamaging contractsは「損害を与える契約」という形容詞→名詞の形です。これで「損害を与える契約を結ぶこと」という意味になります。両方のingを正確に読み取ることが重要です。

There is no end to the infestation of businesses that try to trick consumers into concluding damaging contracts.

「消費者をだまして損害を与える契約を結ばせようとする商売の横行には終わりがない。」

<例文2>

Cross-cultural couples who succeed in maintaining fulfilling relationships and marriages do not passively view their differences as a cultural barrier.

cross-cultural<形容詞>異文化間の
succeed<動詞1>成功する
maintain<動詞3>維持する
fulfill<動詞3>充たす
relationship<名詞>関係
marriage<名詞>結婚
passively<副詞>消極的に
view<動詞3>見る
difference<名詞>違い
barrier<名詞>障害


イメージ3+「副-前置詞句」です。

名詞Aには「形容-代用詞節」の修飾がついています。その内部構造は、

イメージ1+「副-前置詞句」です。

この「副-前置詞句」の中の名詞に注目してみましょう。前置詞の後ですから名詞であることは確実ですね。maintainingfulfillingという2つのingの形をどのように解釈すればよいのかわかりますか?この名詞は、

イメージ3を利用した「名-ing句」になっていて、その中の名詞Bの部分は形容詞→名詞の形で「充実した→関係や結婚」という意味になります。

Cross-cultural couples who succeed in maintaining fulfilling relationships and marriages do not passively view their differences as a cultural barrier.

「充実した関係や結婚を維持することに成功している異文化間カップルは、彼らの違いを文化的な障害として消極的には見ていない。」