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<詳しくチェック>「名-ing句」の動作主
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They discovered that relatively shorter sleep periods contributed to many of the children becoming obese.

この英文の名詞Bに当たる「名-サイン節」の中の英文は、イメージ1+「副-前置詞句」という形になっていますが、その「副-前置詞句」には、少々注意が必要です。

「前置詞句」というのは「前置詞+名詞」という形になっているのが原則ですね。この「副-前置詞句」を見てみると、

to    many of the children    becoming obese

このような感じで、前置詞の後に2つの部分があります。1つ目は「その子供たちの多く」ですが、2つ目はこれだけでは「形容-分詞句」なのか「名-ing句」なのか判断がつきません。しかし、前の名詞が「その子供たち」という名詞ですでに限定されているので、さらに内容を限定する「形容-分詞句」は、つけることができません。ということは、「名-ing句」ということになります。

ただ、そうすると、前置詞の後に名詞が2つあることになってしまいますね。これはおかしなことですし、その2つの名詞の関係がよくわからなくなってしまいます。

実は、この表現は次のような成り立ちでできているのです。まず、前置詞の後に「名-ing句」が置かれます。

to becoming obese

前置詞の後には名詞がくるので、「名-ing句」になることは当然ですね。「肥満になること、に」という意味です。

ただ、「句」というものは「型の動詞より後の部分を利用」しているので「肥満になる」のが「誰」なのか、つまり「名-ing句」の動作主が表現できませんよね。通常の場合は、英文の名詞Aと同じであることが多く、誰にでも推測できるので問題にはなりません。

たとえば、

I like playing baseball.

「私は、野球をすることが好きだ。」という表現の場合、「野球をすること」の動作主が「私」であることは誰にでもわかりますね。

しかし、今回の英文では、

relatively shorter sleep periods contributed to becoming obese.

と表現しただけでは、「誰が」「肥満になること」なのか推測ができません。そこで、その「誰」という動作主を表すために、「名-ing句」の前にmany of the childrenという名詞をおいて表現してるわけです。

relatively shorter sleep periods contributed to many of the children becoming obese.

こうすれば、「その子供たちの多くが、肥満になることに」という意味が読み取れますからね。

ここまで読んでくると、当然のことながら、他の「動詞より後の部分を利用」している「句」すべてに同じことが言えるのではないか、という疑問がわいてきます。その通りです。「句」にはそれぞれ動作主の表し方があります。今回は「名-ing句」の動作主の表し方を学習しました。それ以外は、また出てきたときに学習することにしましょう。

それでは、例文を見ながら、その表現手法に慣れておきましょう。

<例文1>

People who have known the suspect since childhood expressed surprise at the case, saying they do not remember him having violent tendencies.

suspect<名詞>容疑者
childhood<名詞>子供時代
express<動詞3>述べる
surprise<名詞>驚き
remember<動詞3>覚えている
violent<形容詞>暴力的な
tendency<名詞>性向

イメージ3+「副-前置詞句」+「副-分詞句」となっています。

最後の「副-分詞句」の部分に注目してください。その中にある「名-サイン節」の内部構造は、

イメージ3になっていますが、名詞Bの部分がちょっと変わっていますね。ここには、

him    having violent tendencies

やはり、2つの部分があるように見えます。後ろの部分は「形容-分詞句」か「名-ing句」ですが、前の名詞がhimというすでに限定された名詞なので、「名-ing句」であるとわかります。そして、その前のhimは、「名-ing句」の動作主を表しているわけですね。「彼が」「暴力的な性向を持っていること」という関係になります。

注意することとしては、「彼が」という意味を表しますが、heではなくhimとなることです。場合によってはhisとなることもありますが、heにだけはなりません。

People who have known the suspect since childhood expressed surprise at the case, saying they do not remember him having violent tendencies.

「その容疑者を子供時代から知っている人々は、その事件に驚きを述べ、彼らは彼が暴力的な性向を持っていることを覚えていないと語った。」

<例文2>

The family was notified of the test results ahead of their being made public.

notify<動詞3>知らせる
test result<名詞>テスト結果
ahead of<前置詞>〜の前に
public<形容詞>公開の

イメージ1+2つの「副-前置詞句」となっています。

この2つ目の「副-前置詞句」に注目してください。ahead ofという前置詞の後に、

their    being made public

このような形がありますね。この部分もやはり、「名-ing句」の前に動作主が示されている形です。「名-ing句」の内部構造は、

イメージ2を利用したものです。「それらが」「公開されること」という意味になります。

ここでは、theirとなっていますね。themとなることもあります。

The family was notified of the test results ahead of their being made public.

「その家族は、テスト結果について、それらが公開される前に知らされた。」

<例文3>

The territorial dispute involves Russian-held islands off Hokkaido and is an obstacle to the countries' signing a World War II peace treaty.

territorial<形容詞>領土の
dispute<名詞>紛争
involve<動詞3>含む
Russian-held<形容詞>ロシアに占領されている
obstacle<名詞>障害
sign<動詞3>署名する
World War II peace treaty<名詞>第二次世界大戦平和条約

イメージ3とイメージ2です。

イメージ2のA’の部分に注目してください。名詞に「形容-前置詞句」の修飾がついていますね。その「前置詞句」の中は、

the countries' signing a World War II peace treaty

こうなっています。the countries'「その国々の」となっているので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、これも「名-ing句」の前に動作主が置かれた表現です。つまり、

an obstacle to signing a World War II peace treaty

「第二次世界大戦平和条約に署名することへの障害」という部分は今までの知識でわかりますね。そして、「誰が」「第二次世界大戦平和条約に署名する」のかを示すために、その前に動作主を表す単語を置きます。その場合、the countries「その国々」という名詞を置いてもよいですし、the countries’「その国々の」という形を置く場合もあります。上の例文で見た、himtheirの場合と同じことですね。

an obstacle to the countries' signing a World War II peace treaty

これで、「その国々が第二次世界大戦平和条約に署名することへの障害」という意味になります。

The territorial dispute involves Russian-held islands off Hokkaido and is an obstacle to the countries' signing a World War II peace treaty.

「その領土紛争は、北海道沖のロシアに占領された島々を含み、その2国が第二次世界大戦平和条約に署名することの障害となっている。」