展示室13   長 唄 「高尾懺悔」







この作品に出てくる「高尾太夫」は、亡霊です。一世を風靡しながら
も、死後に現世への思いが断ち切れず、塚の中から迷い出て、在りし
日の思い出を語った後、煩悩の炎に責め苛まれて、何処ともなく消え
うせると言う内容です。あまり僕の趣味ではないのですが、何故か同
じ年に2回も踊りました。ホントは、こういうのが好きなのかもしれ
ませんネ!(笑)踊る事になったキッカケは、中村歌右衛門丈の、一
枚の写真でした。その写真の雰囲気が、あまりにも素晴らしかったの
で、ついフラフラッと踊ってみたくなったのですが、実際に踊ってみ
ると、予想していた以上に大変でした。            






全体に陰鬱な感じなんですが、それでもチャンと四季の移り変わりが
あって、当然季節ごとに気分を変えなければならないのです。しかし
春だからといって、急に浮かれる訳にもいかず、全体のセピア色みた
いなトーンを大切にしながらも、微妙に踊り分けなければならないの
が、僕みたいな「陽気」な人間には、かなり難しい仕事でした。ラス
トの「責め」のシーンも、「鷺娘」みたいに思い切り暴れちゃいけな
いんです。どちらかというと、恐れ慄いてばかりで・・・。こういう
のを、「イイ勉強をした」と言うんでしょうネ!でも、根っから「陰
気」な人が踊ると、遣り切れない位「陰々滅々」になるところを、僕
の「陽気」さが辛うじて食い止めたという感じもあります。救いのな
い踊りを観ても、ちっとも楽しくないですからネ!コレ、負け惜しみ
かな?(笑)                        






押入れを整理してたら、二回目に踊った時の写真が出てきました。鬘
は細身の伊達兵庫にして、紗袷の着付けにしています。写真では判り
難いのですが、帯も絽にして、全体に夏物の着付けになっています。






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