Home丸め方の基礎最近接丸め五捨六入エクセル関数五捨五超入銀行丸め

1. 偶数に丸める

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

偶数に丸める

丸めの幅が 1 のとき「切り捨て」は床関数を用いて ⌊x⌋ で求めることができる。 丸めの幅を 2 に変更すると ⌊x÷2⌋×2 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{切り捨て(1)}\lfloor x\rfloor,\qquad x\xrightarrow{切り捨て(2)}\lfloor x\div 2\rfloor \times 2 \] 丸めの幅が 1 のとき「切り上げ」は天井関数を用いて ⌈x⌉ で求めることができる。 丸めの幅を 2 に変更すると ⌈x÷2⌉×2 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{切り上げ(1)}\lceil x\rceil,\qquad x\xrightarrow{切り上げ(2)}\lceil x\div 2\rceil \times 2 \] 丸めの幅が 1 のとき「四捨五入」は床関数を用いて ⌊x+0.5⌋ で求めることができる。 丸めの幅を 2 に変更すると ⌊x÷2+0.5⌋×2 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{四捨五入(1)}\lfloor x+0.5\rfloor,\qquad x\xrightarrow{四捨五入(2)}\lfloor x\div 2+0.5\rfloor \times 2 \]

0.2の整数倍に丸める

丸めの幅が 1 のとき「切り捨て」は床関数を用いて ⌊x⌋ で求めることができる。 丸めの幅を 0.2 に変更すると ⌊x×5⌋÷5 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{切り捨て(1)}\lfloor x\rfloor,\qquad x\xrightarrow{切り捨て(0.2)}\lfloor x\times 5\rfloor \div 5 \] 丸めの幅が 1 のとき「切り上げ」は天井関数を用いて ⌈x⌉ で求めることができる。 丸めの幅を 0.2 に変更すると ⌈x×5⌉÷5 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{切り上げ(1)}\lceil x\rceil,\qquad x\xrightarrow{切り上げ(0.2)}\lceil x\times 5\rceil \div 5 \] 丸めの幅が 1 のとき「四捨五入」は床関数を用いて ⌊x+0.5⌋ で求めることができる。 丸めの幅を 0.2 に変更すると ⌊x×5+0.5⌋÷5 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{四捨五入(1)}\lfloor x+0.5\rfloor,\qquad x\xrightarrow{四捨五入(0.2)}\lfloor x\times 5+0.5\rfloor \div 5 \]

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2. 二捨三入・七捨八入

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

「四捨五入」から「二捨三入・七捨八入」へ

丸めの幅が 1 のとき「四捨五入」は床関数を用いて ⌊x+0.5⌋ で求めることができる。 丸めの幅を 0.5,5,50 等に変更したものを「二捨三入・七捨八入」または「24捨25入・74捨75入」あるいは簡単に「二捨三入」という。 丸めの幅が 0.5 の「二捨三入・七捨八入」は ⌊x×2+0.5⌋÷2 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{四捨五入(1)}\lfloor x+0.5\rfloor,\qquad x\xrightarrow{二捨三入(0.5)}\lfloor x\times 2+0.5\rfloor \div 2 \] 丸めの幅が 5 の「二捨三入・七捨八入」は ⌊x÷5+0.5⌋×5 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{四捨五入(1)}\lfloor x+0.5\rfloor,\qquad x\xrightarrow{二捨三入(5)}\lfloor x\div 5+0.5\rfloor \times 5 \] 丸めの幅が 50 の「二捨三入・七捨八入」は ⌊x÷50+0.5⌋×50 で求めることができる。 \[ x\xrightarrow{四捨五入(1)}\lfloor x+0.5\rfloor,\qquad x\xrightarrow{二捨三入(50)}\lfloor x\div 50+0.5\rfloor \times 50 \]

丸めの幅が5の場合(スウェディッシュ・ラウンディング)

商品価格は 1 セント単位で表示されるが,支払いは 5 セント単位で行うような場合は,丸めの幅を 5 として丸めればよい。 1,2 セントは 0 セントに,3,4,6,7 セントは 5 セントに,8,9 セントは 10 セントに丸められる。 0,5 セントは丸める必要はない。 この方法を「スウェディッシュ・ラウンディング」という。

価格二捨三入増減
1→ 0−1
2→ 0−2
3→ 5+2
4→ 5+1
6→ 5−1
7→ 5−2
8→ 10+2
9→ 10+1

表示価格を 5 セント単位で丸めるとき, \[ \lfloor x\div 5+0.5\rfloor \times 5 \] で求められる。

スウェディッシュ・ラウンディングはスウェーデン,ニュージーランド,カナダで一時的に使用された。 スウェーデンの通貨クローナの補助単位はオーレであるが, 1オーレ硬貨と2オーレ硬貨が廃止され,最小単位が5オーレになったとき,スウェディッシュ・ラウンディングが使用された。 現在は使用されていない。

丸めの幅が50の場合(24捨25入・74捨75入)

高速道路の通行料金やその他の運賃が,50円の整数倍になるように設定されていることがある。 丸めの幅を 50 として丸めればよい。 十の位と一の位の2桁について,00 ~ 24 円は 0 円に,25 ~ 74 円は 50 円に,75 ~ 99 円は 100 円に丸められる。 この方法を「24捨25入・74捨75入」という。

料金二捨三入増減
105→ 100−5
115→ 100−15
125→ 150+25
135→ 150+15
145→ 150+5
155→ 150−5
165→ 150−15
175→ 200+25
185→ 200+15
195→ 200+5
料金二捨三入増減
205→ 200−5
215→ 200−15
225→ 250+25
235→ 250+15
245→ 250+5
255→ 250−5
265→ 250−15
275→ 300+25
285→ 300+15
295→ 300+5

通行料金や運賃を 50 円単位で丸めるとき, \[ \lfloor x\div 50+0.5\rfloor \times 50 \] で求められる。

高速道路の通行料金は,距離単価や税率をもとに算出した料金を「24捨25入・74捨75入」して 50 円単位で丸められていた。 現在は「四捨五入」して 10 円単位で丸める方式に変更されている。

丸めの幅が0.5の場合

紙1000枚あたりの重量のことを連量といい,0.5 キログラムの整数倍に丸めて表示される。 丸めの幅を 0.5 として丸めればよい。 小数第1位と小数第2位の2桁について,.00 ~ .24 キログラムは 0 キログラムに,.25 ~ .74 キログラムは 0.5 キログラムに,.75 ~ .99 キログラムは 1 キログラムに丸められる。

小数部分二捨三入
.00 ~ .24…→ .0
.25 ~ .49…→ .5
.50 ~ .74…→ .5
.75 ~ .99…→ 1.0

連量を 0.5 キログラム単位で丸めるとき, \[ \lfloor x\times 2+0.5\rfloor \div 2 \] で求められる。

苦肉の策の二段階丸め

問題 二捨三入して 5mm 刻みで答えよ。

丸めの幅が 5mm なので,「二捨三入」の意味は「二捨三入・七捨八入」になる。 また,「24捨25入・74捨75入」で計算しなければならない。

残念ながら「二捨三入・七捨八入」はほとんど理解されていない。「29捨30入・79捨80入」で計算してしまう人が多い。 苦肉の策として,「四捨五入」の後に「二捨三入・七捨八入」することで,計算間違いを回避できる可能性がある。

端数四捨五入(1)二捨三入(5)
0.0 ~ 0.49…→ 0→ 0
0.5 ~ 1.49…→ 1→ 0
1.5 ~ 2.49…→ 2→ 0
2.5 ~ 3.49…→ 3→ 5
3.5 ~ 4.49…→ 4→ 5
4.5 ~ 5.49…→ 5→ 5
5.5 ~ 6.49…→ 6→ 5
6.5 ~ 7.49…→ 7→ 5
7.5 ~ 8.49…→ 8→ 10
8.5 ~ 9.49…→ 9→ 10
9.5 ~ 9.99…→ 10→ 10
端数二捨三入(5)
0.0 ~ 2.49…→ 0
2.5 ~ 4.99…→ 5
5.0 ~ 7.49…→ 5
7.5 ~ 9.99…→ 10

丸めの幅が 5 のとき,二段階丸めをすると, 32.4 → 32 → 30, 32.5 → 33 → 35, 32.6 → 33 → 35 となって正しく「二捨三入・七捨八入」できる。

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3. 法令違反となる丸め(打刻丸め)

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

「29捨30入」,「14捨15入」,「7捨8入」

「29捨30入」は,30未満を切り捨て,30以上を切り上げて60にする丸め方で,丸めの幅が 60 の最近接丸めである。 時間数の端数(0分~59分)は 0分,60分 のいずれかに丸められる。

「14捨15入」は,15未満を切り捨て,15以上を切り上げて30にする丸め方で,丸めの幅が 30 の最近接丸めである。 時間数の端数(0分~59分)は 0分,30分,60分 のいずれかに丸められるから「14捨15入・44捨45入」になる。

「7捨8入」は,7分30秒未満を切り捨て,7分30秒以上を切り上げて15分にする丸め方で,丸めの幅が 15 の最近接丸めである。 時間数の端数(0分~59分)は 0分,15分,30分,45分,60分 のいずれかに丸められるから「7捨8入・22捨23入・37捨38入・52捨53入」になる。

丸め床関数
29捨30入⌊x÷60+0.5⌋×60
14捨15入⌊x÷30+0.5⌋×30
7捨8入⌊x÷15+0.5⌋×15

賃金全額払いの原則

労働基準法第二十四条:

(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

時間外労働の時間数を「29捨30入」や「14捨15入」や「7捨8入」で丸めると,法令違反となるおそれがある。 これらは最近接丸めであるため,1か月の総額ではほぼ平準化されるが,端数によっては時間数が切り捨てられる場合もある。 例外として,時間外労働の時間数について,1か月の合計を「29捨30入」で丸めることまでは認められているが,1日単位で丸めると法令違反になる。

「打刻丸め」とは出勤時刻や退勤時刻を15分ごとや30分ごとに丸めることである。「打刻丸め」は1日単位の丸めであるから法令違反になる。 また,1か月単位であっても,時間外労働の時間数を常に切り捨てること,遅刻の時間数を常に切り上げることは法令違反になる。

賃金について以下の処理は例外として認められている。 1時間あたりの賃金の1円に満たない端数を四捨五入すること, 1か月の賃金の100円に満たない端数を四捨五入すること, 1か月の賃金の1000円に満たない端数を翌月に繰り越すこと。

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4. 気温

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

気温の丸め方

気象庁「気温に関する用語」によると,

度の単位に丸めるときは十分位を四捨五入するが、0度未満は五捨六入する。

と定められている。 +0.5 度は 1 度に,−0.5 度は 0 度に丸められる。

気温(+)四捨五入
1.9→ 2
1.7→ 2
1.5→ 2
1.3→ 1
1.1→ 1
0.9→ 1
0.7→ 1
0.5→ 1
0.3→ 0
0.1→ 0
気温(−)五捨五超入
−0.1→ 0
−0.3→ 0
−0.5→ 0
−0.7→ −1
−0.9→ −1
−1.1→ −1
−1.3→ −1
−1.5→ −1
−1.7→ −2
−1.9→ −2

この場合の「五捨六入」は「五捨五超入」と考えられる。 四捨五入をする関数を R(x),五捨五超入をする関数を Ř(x) とする。 \[ R(x)=\begin{cases} \lfloor x+0.5\rfloor &x>-0.5\\\lceil x-0.5\rceil &x<0.5 \end{cases},\qquad \check{R}(x)=\begin{cases} \lceil x-0.5\rceil &x>-0.5\\\lfloor x+0.5\rfloor &x<0.5 \end{cases} \] 気温が 0 度以上のとき四捨五入するから ⌊x+0.5⌋,0 度未満のとき五捨五超入するから ⌊x+0.5⌋ で求められる。 つまり,常に ⌊x+0.5⌋ でよい。 \[ x\longrightarrow \lfloor x+0.5\rfloor \]

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5. 保険年齢(六捨七入)

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

契約年齢

保険証券に記載される被保険者の年齢のことを「契約年齢」という。 契約年齢の算出方法には「満年齢方式」と「保険年齢方式」がある。 保険契約の契約日は各月1日となるため,契約時の満年齢も1か月単位で考える。

満年齢(切り捨て),保険年齢(六捨七入)

満年齢方式: 満年齢の端数を切り捨てる。

保険年齢方式: 満年齢の端数が6か月以下ならそれを切り捨て, 端数が6か月を超えるならそれを切り上げる。

年齢(歳・月)満年齢保険年齢
29歳 0か月29歳29歳
29歳 1か月29歳29歳
29歳 2か月29歳29歳
29歳 3か月29歳29歳
29歳 4か月29歳29歳
29歳 5か月29歳29歳
29歳 6か月29歳29歳
29歳 7か月29歳30歳
29歳 8か月29歳30歳
29歳 9か月29歳30歳
29歳10か月29歳30歳
29歳11か月29歳30歳

「五捨五超入」から「六捨七入」へ

満年齢の端数は0か月から11か月までで,丸めの幅は12か月になっている。 保険年齢で用いられている「六捨七入」は,丸めの幅が12か月の「五捨五超入」とみなすことができ, 「六捨七入」は最近接丸めになる。 \[ x\xrightarrow{五捨五超入(1)}\lceil x-0.5\rceil,\qquad x\xrightarrow{六捨七入(12)}\lceil x\div 12-0.5\rceil \times 12 \]

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6. 薬剤料

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

薬剤料

調剤報酬点数は,調剤技術料,薬学管理料,薬剤料,特定保険医療材料料からなる。 このうち,薬剤料の点数は次のように計算される。
使用薬剤の薬価が調剤料の所定単位につき15円以下の場合:  1点
使用薬剤の薬価が調剤料の所定単位につき15円を超える場合の加算:  10円又はその端数を増すごとに1点
注 使用薬剤の薬価は、別に厚生労働大臣が定める。

たとえば内服薬の場合は1剤1日分が所定単位になる。 薬剤料の点数は,所定単位につき薬価を10で割った値を五捨五超入したものであるが, 例外として薬価が5円以下であっても1点とする。

薬価(円)薬価÷10五捨五超入点数
 1.000.100→ 01
 3.000.300→ 01
 5.000.500→ 01
 7.000.700→ 11
 9.000.900→ 11
11.001.100→ 11
13.001.300→ 11
15.001.500→ 11
17.001.700→ 22
19.001.900→ 22
薬価(円)薬価÷10五捨五超入点数
21.002.100→ 22
23.002.300→ 22
25.002.500→ 22
27.002.700→ 33
29.002.900→ 33
31.003.100→ 33
33.003.300→ 33
35.003.500→ 33
37.003.700→ 44
39.003.900→ 44

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7. 給与から控除される保険料(五捨五超入)

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

標準報酬月額と標準賞与額

標準報酬月額の対象となる報酬は, 労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるもの, または年4回以上支給される賞与を指し, 標準賞与額の対象となる賞与は, 被保険者が労働の対償として受けるもののうち,年3回以下支給されるものを指す。 なお,労働の対償となるものには,基本給,役付手当,勤務地手当,家族手当, 通勤手当,住宅手当,残業手当等を含み,結婚祝金等は含まない。

標準報酬月額は,保険料額表によって報酬の月額を区分したもの, 標準賞与額は,賞与総額から千円未満の端数を切り捨てたもので, 上限が設定される。

保険料額

給与の保険料額は,標準報酬月額に保険料率を乗じて求める。 賞与の保険料額は,標準賞与額に保険料率を乗じて求める。 厚生年金の場合は,保険料額を事業主と被保険者で折半する。

被保険者ごとの保険料額

事業主が給与から保険料の被保険者負担分を控除して支払う場合, 被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て, 50銭を超える場合は切り上げて1円とする。

被保険者が保険料の被保険者負担分を現金で支払う場合, 被保険者負担分の端数が50銭未満の場合は切り捨て, 50銭以上の場合は切り上げて1円とする。

事業所の保険料額

事業所の保険料額(合計額)は, 被保険者ごとの標準報酬月額と標準賞与額に各々保険料率を乗じた額を合計し, その合計額に1円未満の端数がある場合は,端数を切り捨てる。

保険料額(事業主負担分)は,事業所の保険料額(合計額)から, すべての被保険者の保険料額(被保険者負担分)の合計を差し引いた額になる。 端数処理のため,事業主負担分と,被保険者負担分の合計は一致しない。

日本年金機構
全国健康保険協会

債務の弁済

端数計算の根拠となる法律は次のとおり(第2項以下割愛)。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律

第三条(債務の支払金の端数計算)
債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。

国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律

第二条(国等の債権又は債務の金額の端数計算)
国及び公庫等の債権で金銭の給付を目的とするもの(以下「債権」という。)又は国及び公庫等の債務で金銭の給付を目的とするもの(以下「債務」という。)の確定金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする。

事業主が給与から保険料を控除して支払う場合(五捨五超入)

事業主が給与から保険料を控除して支払う場合, 「給与−保険料の支払い」が債務の弁済となるので, 給与−保険料の端数が四捨五入される。 \begin{align*} \text{給与}-\text{保険料}\xrightarrow{四捨五入} \lfloor \text{給与} &-\text{保険料}+0.5\rfloor \\ =\text{給与} &+\lfloor -\text{保険料}+0.5\rfloor \\ =\text{給与} &+\lfloor -(\text{保険料}-0.5)\rfloor \\ =\text{給与} &-\lceil \text{保険料}-0.5\rceil \end{align*} 結果として,保険料が ⌈保険料−0.5⌉ に丸められるから,五捨五超入となる。 \begin{equation} \text{保険料}\xrightarrow{五捨五超入}\lceil \text{保険料}-0.5\rceil \end{equation} ただし,特約がある場合はこの限りでない。

被保険者が保険料を現金で支払う場合(四捨五入)

反対に,被保険者が保険料を現金で支払う場合, 「保険料の支払い」が債務の弁済となるので,保険料の端数が四捨五入される。 \begin{equation} \text{保険料}\xrightarrow{四捨五入}\lfloor \text{保険料}+0.5\rfloor \end{equation} ただし,特約がある場合はこの限りでない。

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8. フォン・ノイマン丸め

1. 偶数に丸める
2. 二捨三入・七捨八入
3. 法令違反となる丸め
4. 気温
5. 保険年齢(六捨七入)
6. 薬剤料
7. 給与から控除される保険料
8. フォン・ノイマン丸め

フォン・ノイマン丸め

実数 x は二進法で表現されているとし, 仮数部の下位に保護ビット(guard bits)が付加されているとする。 x に対してフォン・ノイマン丸めをするには, もし,すべての保護ビットが 0 なら何もせず, 反対に,少なくともひとつの保護ビットが 1 なら,仮数部の最下位ビット(LSB)に 1 を代入する。 下表の 太字 は最下位ビット(LSB)である。

二進法ノイマン
00.00→ 00
00.10→ 01
01.00→ 01
01.10→ 01
10.00→ 10
10.10→ 11
11.00→ 11
11.10→ 11
十進法ノイマン
0.0→ 0
0.5→ 1
1.0→ 1
1.5→ 1
2.0→ 2
2.5→ 3
3.0→ 3
3.5→ 3

言い換えると,小数部が 0 なら何もせず, 整数部が偶数(LSB=0)で小数部が 0 でないなら,整数部に 1 を加えて奇数とし,小数部を切り捨てる。 整数部が奇数(LSB=1)で小数部が 0 でないなら,小数部を切り捨てる。 フォン・ノイマン丸めをすると,小数部が 0 ならば丸められず,小数部が 0 でないならば最も近い奇数に丸められる。 区間 (0, 1) は 0<x<1 を満たす実数 x の集まりである。

十進法ノイマン
0→ 0
(0, 1)→ 1
1→ 1
(1, 2)→ 1
2→ 2
(2, 3)→ 3
3→ 3
(3, 4)→ 3
4→ 4

フォン・ノイマン丸めは, x を丸めの幅を 2 として切り捨てた値 ⌊x÷2⌋×2 と, 丸めの幅を 2 として切り上げた値 ⌈x÷2⌉×2 の平均値になっている。 \[ \lfloor x\div 2\rfloor +\lceil x\div 2\rceil \] フォン・ノイマン丸めは最近接丸めではないが,正のバイアスや負のバイアスはもたない。

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2012.12.24 作成 / 2020.4.26 更新

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