1. 10の倍数
2. 9の倍数
3. 11の倍数
4. 判定法(基本)
整数 a,b について,「a が b の約数である」または「b が a で割り切れる」とき, あるいは「ka=b を満たす整数 k が存在する」とき,それを次のように表現する。 \[ a\mid b \]
十進法で表された数 42350 は各位ごとに分解して表せる。 \[ 42350=4\times 10^4 +2\times 10^3 +3\times 10^2 +5\times 10+0\times 1 \] 42350 が10の倍数であることを確かめるために,一の位とそれより上位の部分に分ける。 上位の部分は常に10の倍数である。 \[ 42350=10\times (4\times 1000+2\times 100+3\times 10+5\times 1)+0 \] 一の位は10の倍数(つまり0)だから,42350 も10の倍数である。
10の倍数は2,5の倍数でもあるので,上の方法で2,5の倍数を判定できる。 たとえば 27816 が2の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 2\mid 27816\iff 2\mid 6 \] 一の位は2の倍数だから,27816 も2の倍数である。
十進法で表された数を2桁ごとに区切って百進法とみなすと,100の倍数を判定できる。 百進法とみなして 62500 を各位ごとに分解する。 \[ 62500=6\times 100^2 +25\times 100+0\times 1 \] 62500 が100の倍数であることを確かめるために,十の位以下の2桁とそれより上位の部分に分ける。 上位の部分は常に100の倍数である。 \[ 62500=100\times (6\times 100+25\times 1)+0 \] 十の位と一の位の2桁は100の倍数(つまり0)だから,62500 も100の倍数である。
100の倍数は2,4,5,10,20,25,50の倍数でもあるので,上の方法で2,4,5,10,20,25,50の倍数を判定できる。 たとえば 36975 が25の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 25\mid 36975\iff 25\mid 75 \] 十の位と一の位の2桁は25の倍数だから,36975 も25の倍数である。
十進法で表された数を3桁ごとに区切って千進法とみなすと,1000の倍数を判定できる。 千進法とみなして 2516000 を各位ごとに分解する。 \[ 2516000=2\times 1000^2 +516\times 1000+0\times 1 \] 2516000 が1000の倍数であることを確かめるために,百の位以下の3桁とそれより上位の部分に分ける。 上位の部分は常に1000の倍数である。 \[ 2516000=1000\times (2\times 1000+516\times 1)+0 \] 百の位から一の位までの3桁は1000の倍数(つまり0)だから,2516000 も1000の倍数である。
1000の倍数は2,4,5,8,10,20,25,40,50,100,125,200,250,500の倍数でもあるので,上の方法で2,4,5,8,10,20,25,40,50,100,125,200,250,500の倍数を判定できる。 たとえば 14352 が8の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 8\mid 14352\iff 8\mid 352 \] 百の位から一の位までの3桁は8の倍数だから,14352 も8の倍数である。
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2. 9の倍数
3. 11の倍数
4. 判定法(基本)
十進法で表された数 73629 は各位ごとに分解して表せる。 \[ 73629=7\times 10^4 +3\times 10^3 +6\times 10^2 +2\times 10+9\times 1 \] 各位の単位(105,104,103,102等)から1を引いたものは,すべて9の倍数である。 \begin{align} &10^5-1=(10-1)(10000+1000+100+10+1)=9\times 11111 \\ &10^4-1=(10-1)(1000+100+10+1)=9\times 1111 \\ &10^3-1=(10-1)(100+10+1)=9\times 111 \\ &10^2-1=(10-1)(10+1)=9\times 11 \end{align} 73629 が9の倍数であることを確かめるために,次のような変形をする。 \begin{align} 73629 &=7\times 10^4 +3\times 10^3 +6\times 10^2 +2\times 10+9\times 1 \\ &=7\times (10^4-1)+3\times (10^3-1)+6\times (10^2-1)+2\times (10-1) \\ &\qquad +7+3+6+2+9 \\ &=7\times 9\times 1111+3\times 9\times 111+6\times 9\times 11+2\times 9\times 1 \\ &\qquad +7+3+6+2+9 \\ &=9\times (7\times 1111+3\times 111+6\times 11+2\times 1)+7+3+6+2+9 \end{align} 9×(7×1111+3×111+6×11+2×1) の部分は9の倍数なので, 7+3+6+2+9 が9の倍数なら,73629 も9の倍数になる。 \[ 9\mid 73629\iff 9\mid 7+3+6+2+9 \] 7+3+6+2+9=27 は9の倍数だから,73629 も9の倍数である。
9の倍数は3の倍数でもあるので,上の方法で3の倍数を判定できる。 16248 が3の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 3\mid 16248\iff 3\mid 1+6+2+4+8 \] 1+6+2+4+8=21 は3の倍数だから,16248 も3の倍数である。
十進法で表された数を2桁ごとに区切って百進法とみなすと,99の倍数を判定できる。 百進法とみなして 24156 を各位ごとに分解する。 \[ 24156=2\times 100^2 +41\times 100+56\times 1 \] 各位の単位(1003,1002等)から1を引いたものは,すべて99の倍数である。 \begin{align} &100^3-1=(100-1)(10000+100+1)=99\times 10101 \\ &100^2-1=(100-1)(100+1)=99\times 101 \end{align} 24156 が99の倍数であることを確かめるために,次のような変形をする。 \begin{align} 24156 &=2\times 100^2 +41\times 100+56\times 1 \\ &=2\times (100^2-1)+41\times (100-1) \\ &\qquad +2+41+56 \\ &=2\times 99\times 101+41\times 99\times 1 \\ &\qquad +2+41+56 \\ &=99\times (2\times 101+41\times 1)+2+41+56 \end{align} 99×(1×101+52×1) の部分は99の倍数なので, 2+41+56 が99の倍数なら,24156 も99の倍数になる。 \[ 99\mid 24156\iff 99\mid 2+41+56 \] 2+41+56=99 は99の倍数だから,24156 も99の倍数である。
99の倍数は3,9,11,33の倍数でもあるので,上の方法で3,9,11,33の倍数を判定できる。 45287 が11の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 11\mid 45287\iff 11\mid 4+52+87 \] 4+52+87=143 は11の倍数だから,45287 も11の倍数である。
十進法で表された数を3桁ごとに区切って千進法とみなすと,999の倍数を判定できる。 千進法とみなして 8572419 を各位ごとに分解する。 \[ 8572419=8\times 1000^2 +572\times 1000+419\times 1 \] 各位の単位(10003,10002等)から1を引いたものは,すべて999の倍数である。 \begin{align} &1000^3-1=(1000-1)(1000000+1000+1)=999\times 1001001 \\ &1000^2-1=(1000-1)(1000+1)=999\times 1001 \end{align} 8572419 が999の倍数であることを確かめるために,次のような変形をする。 \begin{align} 8572419 &=8\times 1000^2 +572\times 1000+419\times 1 \\ &=8\times (1000^2-1)+572\times (1000-1) \\ &\qquad +8+572+419 \\ &=8\times 999\times 1001+572\times 999\times 1 \\ &\qquad +8+572+419 \\ &=999\times (8\times 1001+572\times 1)+8+572+419 \end{align} 999×(8×1001+572×1) の部分は999の倍数なので, 8+572+419 が999の倍数なら,8572419 も999の倍数になる。 \[ 999\mid 8572419\iff 999\mid 8+572+419 \] 8+572+419=999 は999の倍数だから,8572419 も999の倍数である。
999の倍数は3,9,27,37,111,333の倍数でもあるので,上の方法で3,9,27,37,111,333の倍数を判定できる。 38591 が37の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 37\mid 38591\iff 37\mid 38+591 \] 38+591=629 は37の倍数だから,38591 も37の倍数である。
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4. 判定法(基本)
十進法で表された数 45287 は各位ごとに分解して表せる。 \[ 45287=4\times 10^4 +5\times 10^3 +2\times 10^2 +8\times 10+7\times 1 \] 各位の単位(105,104,103,102等)のうち,奇数乗の場合は1を加えたもの,偶数乗の場合は1を引いたものは,すべて11の倍数である。 \begin{align} &10^5+1=(10+1)(10000-1000+100-10+1)=11\times 9091 \\ &10^4-1=(10+1)(1000-100+10-1)=11\times 909 \\ &10^3+1=(10+1)(100-10+1)=11\times 91 \\ &10^2-1=(10+1)(10-1)=11\times 9 \end{align} 45287 が11の倍数であることを確かめるために,次のような変形をする。 \begin{align} 45287 &=4\times 10^4 +5\times 10^3 +2\times 10^2 +8\times 10+7\times 1 \\ &=4\times (10^4-1)+5\times (10^3+1)+2\times (10^2-1)+8\times (10+1) \\ &\qquad +4-5+2-8+7 \\ &=4\times 11\times 909+5\times 11\times 91+2\times 11\times 9+8\times 11\times 1 \\ &\qquad +4-5+2-8+7 \\ &=11\times (4\times 909+5\times 91+2\times 9+8\times 1)+4-5+2-8+7 \end{align} 11×(4×909+5×91+2×9+8×1) の部分は11の倍数なので, 4−5+2−8+7 が11の倍数なら,45287 も11の倍数になる。 \[ 11\mid 45287\iff 11\mid 4-5+2-8+7 \] 4−5+2−8+7=0 は11の倍数だから,45287 も11の倍数である。
十進法で表された数を2桁ごとに区切って百進法とみなすと,101の倍数を判定できる。 百進法とみなして 68074 を各位ごとに分解する。 \[ 68074=6\times 100^2 +80\times 100+74\times 1 \] 各位の単位(1003,1002等)のうち,奇数乗の場合は1を加えたもの,偶数乗の場合は1を引いたものは,すべて101の倍数である。 \begin{align} &100^3+1=(100+1)(10000-100+1)=101\times 9901 \\ &100^2-1=(100+1)(100-1)=101\times 99 \end{align} 68074 が101の倍数であることを確かめるために,次のような変形をする。 \begin{align} 68074 &=6\times 100^2 +80\times 100+74\times 1 \\ &=6\times (100^2-1)+80\times (100+1) \\ &\qquad +6-80+74 \\ &=6\times 101\times 99+80\times 101\times 1 \\ &\qquad +6-80+74 \\ &=101\times (6\times 99+80\times 1)+6-80+74 \end{align} 101×(6×99+80×1) の部分は101の倍数なので, 6−80+74 が101の倍数なら,68074 も101の倍数になる。 \[ 101\mid 68074\iff 101\mid 6-80+74 \] 6−80+74=0 は101の倍数だから,68074 も101の倍数である。
十進法で表された数を3桁ごとに区切って千進法とみなすと,1001の倍数を判定できる。 千進法とみなして 5402397 を各位ごとに分解する。 \[ 5402397=5\times 1000^2 +402\times 1000+397\times 1 \] 各位の単位(10003,10002等)のうち,奇数乗の場合は1を加えたもの,偶数乗の場合は1を引いたものは,すべて1001の倍数である。 \begin{align} &1000^3+1=(1000+1)(1000000-1000+1)=1001\times 999001 \\ &1000^2-1=(1000+1)(1000-1)=1001\times 999 \end{align} 5402397 が1001の倍数であることを確かめるために,次のような変形をする。 \begin{align} 5402397 &=5\times 1000^2 +402\times 1000+397\times 1 \\ &=5\times (1000^2-1)+402\times (1000+1) \\ &\qquad +5-402+397 \\ &=5\times 1001\times 999+402\times 1001\times 1 \\ &\qquad +5-402+397 \\ &=1001\times (5\times 999+402\times 1)+5-402+397 \end{align} 1001×(5×999+402×1) の部分は1001の倍数なので, 5−402+397 が1001の倍数なら,5402397 も1001の倍数になる。 \[ 1001\mid 5402397\iff 1001\mid 5-402+397 \] 5−402+397=0 は1001の倍数だから,5402397 も1001の倍数である。
1001の倍数は7,11,13,77,91,143の倍数でもあるので,上の方法で7,11,13,77,91,143の倍数を判定できる。 48295 が13の倍数であることは,次のようにして確かめられる。 \[ 13\mid 48295\iff 13\mid -48+295 \] −48+295=247 は13の倍数だから,48295 も13の倍数である。
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4. 判定法(基本)
十進法で fedcba と表される数は次のように分解できる。 \[ fedcba=f\times 10^5 +e\times 10^4 +d\times 10^3 +c\times 10^2 +b\times 10+a\times 1 \] fedcba が10の倍数であるかどうかは,a によって判定できる。 \[ 10\mid fedcba\iff 10\mid a \] 同様に,100の倍数であるかどうかは ba によって,1000の倍数であるかどうかは cba によって判定できる。 \[ 100\mid fedcba\iff 100\mid ba,\qquad 1000\mid fedcba\iff 1000\mid cba \]
fedcba が9の倍数であるかどうかは,f+e+d+c+b+a によって判定できる。 \[ 9\mid fedcba\iff 9\mid f+e+d+c+b+a \] 同様に,99の倍数であるかどうかは fe+dc+ba によって,999の倍数であるかどうかは fed+cba によって判定できる。 \[ 99\mid fedcba\iff 99\mid fe+dc+ba,\qquad 999\mid fedcba\iff 999\mid fed+cba \]
fedcba が11の倍数であるかどうかは,−f+e−d+c−b+a によって判定できる。 \[ 11\mid fedcba\iff 11\mid -f+e-d+c-b+a \] 同様に,101の倍数であるかどうかは fe−dc+ba によって,1001の倍数であるかどうかは −fed+cba によって判定できる。 \[ 101\mid fedcba\iff 101\mid fe-dc+ba,\qquad 1001\mid fedcba\iff 1001\mid -fed+cba \]
fedcba | 分類 | 判定法 |
2 の倍数 | 10 の倍数の判定法 | a が2の倍数になる |
3 の倍数 | 9 の倍数の判定法 | f+e+d+c+b+a が3の倍数になる |
4 の倍数 | 100 の倍数の判定法 | ba が4の倍数になる |
5 の倍数 | 10 の倍数の判定法 | a が5の倍数になる |
7 の倍数 | 1001 の倍数の判定法 | −fed+cba が7の倍数になる |
8 の倍数 | 1000 の倍数の判定法 | cba が8の倍数になる |
9 の倍数 | 9 の倍数の判定法 | f+e+d+c+b+a が9の倍数になる |
10 の倍数 | 10 の倍数の判定法 | a が0になる |
11 の倍数 | 99 の倍数の判定法 | fe+dc+ba が11の倍数になる |
11 の倍数 | 11 の倍数の判定法 | −f+e−d+c−b+a が11の倍数になる |
13 の倍数 | 1001 の倍数の判定法 | −fed+cba が13の倍数になる |
20 の倍数 | 100 の倍数の判定法 | ba が20の倍数になる |
25 の倍数 | 100 の倍数の判定法 | ba が25の倍数になる |
27 の倍数 | 999 の倍数の判定法 | fed+cba が27の倍数になる |
33 の倍数 | 99 の倍数の判定法 | fe+dc+ba が33の倍数になる |
37 の倍数 | 999 の倍数の判定法 | fed+cba が37の倍数になる |
40 の倍数 | 1000 の倍数の判定法 | cba が40の倍数になる |
50 の倍数 | 100 の倍数の判定法 | ba が50の倍数になる |
77 の倍数 | 1001 の倍数の判定法 | −fed+cba が77の倍数になる |
91 の倍数 | 1001 の倍数の判定法 | −fed+cba が91の倍数になる |
99 の倍数 | 99 の倍数の判定法 | fe+dc+ba が99の倍数になる |
100 の倍数 | 100 の倍数の判定法 | ba が0になる |
判定基準 | 素因数分解 | 約数 |
9 | 32 | 3 |
11 | 素数 | |
99 | 32×11 | 3,9,11,33 |
101 | 素数 | |
999 | 33×37 | 3,9,27,37,111,333 |
1001 | 7×11×13 | 7,11,13,77,91,143 |
判定法が上の表にない場合は,複数の判定法を組み合わせて判定できる場合がある。 たとえば,2の倍数でもあり3の倍数でもある数は,6の倍数になる。
判定法 | |
6 の倍数 | 2 の倍数かつ 3 の倍数 |
12 の倍数 | 3 の倍数かつ 4 の倍数 |
14 の倍数 | 2 の倍数かつ 7 の倍数 |
15 の倍数 | 3 の倍数かつ 5 の倍数 |
18 の倍数 | 2 の倍数かつ 9 の倍数 |
21 の倍数 | 3 の倍数かつ 7 の倍数 |
22 の倍数 | 2 の倍数かつ 11 の倍数 |
24 の倍数 | 3 の倍数かつ 8 の倍数 |
26 の倍数 | 2 の倍数かつ 13 の倍数 |
28 の倍数 | 4 の倍数かつ 7 の倍数 |
30 の倍数 | 3 の倍数かつ 10 の倍数 |
35 の倍数 | 5 の倍数かつ 7 の倍数 |
36 の倍数 | 4 の倍数かつ 9 の倍数 |
39 の倍数 | 3 の倍数かつ 13 の倍数 |
42 の倍数 | 2 の倍数かつ 3 の倍数かつ 7 の倍数 |
44 の倍数 | 4 の倍数かつ 11 の倍数 |
45 の倍数 | 5 の倍数かつ 9 の倍数 |
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2015.10.31 作成 / 2020.2.17 更新
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