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Less than a month into his presidency, Ma managed to kick-start cross-strait talks and ink pacts with Beijing on establishing direct air and tourism links.

さて、上の英文の文頭にある表現に注目してみましょう。当てずっぽうで考えてしまうと、応用が利きませんので、正確に理解しておきましょう。

まず、less thanという表現は2語で副詞の役割をしてa「1つの」という形容詞を修飾しています。つまり、less than a monthという部分は「1より少ない月→1ヶ月以下の期間」という名詞です。すると、その名詞の後にinto his presidencyという前置詞句があるので、通常ならば「名詞←形容-前置詞句」という形で、「彼の大統領任期の中への1ヶ月以下の期間」となりますね。

しかし、この解釈は誤りです。なぜかというと、この部分が名詞なら、その後のイメージの型へつながっていかないからです。つまり、英文の中の1つの要素とならないということですね。

では、どのように考えればよいのか。たとえば、次の英文を見てください。

The restaurant is a 10-minute walk from Kumamoto train station.

この英文の成り立ちを考えてみましょう。この英文を、

このように考えてしまってはいけません。「そのレストランは、10分の徒歩である?」となってしまって意味がわかりませんよね。この間違いは、上の英文の先ほど見た誤りと同じ間違いということがわかりますか?

では、どのように考えればよいのかというと、成り立ちを理解するために、まずは次の英文を見てください。

イメージ1+「副-前置詞句」です。「そのレストランは、熊本駅から離れて、存在する。」という意味です。まあ、あまり使われそうにない表現ですが、この英文が基本と考えてください。

で、この表現は「場所」を表す表現ですが、これに「距離の差」を表す表現を付け加えます。つまり「どれだけ離れているのか」を表す表現を付け加えるわけです。その場合、その差を表す数値を、そのまま「場所」を表す表現の前に置きます。すると、

「そのレストランは、熊本駅から10分歩いたところにある。」という意味を表すことができます。つまり、a 10-minute walkという表現は、独立した名詞ではなく、その後の「副-前置詞句」につく「差」を表す表現ということですね。

では、元の英文も同じように考えてみましょう。

Less than a month into his presidency, Ma managed to kick-start cross-strait talks and ink pacts with Beijing on establishing direct air and tourism links.

まずは、次の表現を考えます。

Into his presidency, Ma managed to kick-start cross-strait talks.

これも少々不自然な表現ですが、「大統領の任期に入って、Maは海峡をまたいだ会談を何とか開始した。」という意味になります。

そして、文頭の「時」を表す「副-前置詞句」に、「時間の差」を表す表現を加えてみます。つまり、「差」を表す数値をその直前にそのまま置けばよいわけですね。すると、

Less than a month into his presidency, Ma managed to kick-start cross-strait talks.

「大統領の任期について1ヶ月もしないうちに、Maは海峡をまたいだ会談を何とか開始した。」という意味になることがわかりますね。やはり、Less than a monthの部分は、独立した名詞ではなく、その後の「副-前置詞句」につく「差」を表す表現ということになります。

では、同じように「差」を表す数値が、「場所」や「時」を表す表現の直前に置かれている英文をいくつか見てみましょう。

<例文1>

The runway site was shifted 800 meters to the north from the original plan to avoid the areas that landowners have refused to sell.

runway site<名詞>滑走路の場所
shift<動詞3>移す
original<形容詞>元の
avoid<動詞3>避ける
landowner<名詞>地主
refuse<動詞3>拒否する

イメージ1+「副-前置詞句」+「副-to原形句」です。

「副-前置詞句」に注目してください。まず、800 metersという名詞で始まっていますが、この部分を名詞と勘違いしないことが重要です。名詞では、どこにもつながっていきませんからね。

この部分は「副-前置詞句」が基本にあって、「元の計画から北へ」という意味です。つまり「場所」を表す「副-前置詞句」ですね。そして、その前に「差」を表す数値が置かれています。「800メーター北へ」ということですね。

The runway site was shifted 800 meters to the north from the original plan to avoid the areas that landowners have refused to sell.

「その滑走路は、地主が売ることを拒否している地区を避けるために、元の計画よりも北へ800メートル移された。」

<例文2>

Thirty-nine years after the government's decision to build Tokyo's new international airport in Narita, the government are expected to adopt a new policy that may help end the conflict between the government and local farmers who have opposed airport construction.

decision<名詞>決定
adopt<動詞3>採用する
end<動詞3>終わらせる
conflict<名詞>争い
oppose<動詞3>反対する
airport construction<名詞>空港建設

「副-前置詞句」+イメージ2です。

文頭がThirty-nine years39年」という名詞で始まっているので注意してください。この部分を「〜後の39年」という名詞と考えてしまうと間違えてしまいます。

この部分は、afterという前置詞で始まる「副-前置詞句」ですから、「成田に東京新国際空港を作るという政府の決定の後」という副詞要素が基本となります。そして、その前についている数値は、「差」を表すので、この場合は「どれだけ後か」を表しています。

Thirty-nine years after the government's decision to build Tokyo's new international airport in Narita, the government are expected to adopt a new policy that may help end the conflict between the government and local farmers who have opposed airport construction.

「成田に東京新国際空港を作るという政府の決定の後39年経って、政府は、空港建設に反対してきた地元農民との間の争いを終わらせるのに役に立つかもしれない新しい政策を採用すると見られている。」

<例文3>

The origins of the giving of red packets can be traced back several hundreds of years to when parents and senior family members would place small gifts under their children's pillows after dinner on New Year's Eve.

origin<名詞>起源
giving<名詞>贈ること
packet<名詞>包み
trace<動詞3>たどる
senior<形容詞>年長の
pillow<名詞>枕

イメージ1+「副-前置詞句」です。

この英文もよく注意してくださいね。V(動詞)の部分は受け身になっていてbackという副詞もついています。「さかのぼることができる」という意味です。そして、その後にseveral hundreds of years「数百年」という名詞があって、toで始まる「副-前置詞句」につながっています。この部分は、to「〜まで」を使った前置詞句があり、「〜までさかのぼることができる」という意味が基本です。そして、その場合の「時間の差」を表す数値が、前置詞句の直前に置かれているわけですね。「〜まで、数百年、さかのぼることができる」ということです。

The origins of the giving of red packets can be traced back several hundreds of years to when parents and senior family members would place small gifts under their children's pillows after dinner on New Year's Eve.

「赤い包みを贈ることの起源は、両親や年長の家族が大晦日の夕食の後に子供たちの枕の下に小さな贈り物を置いていた時代まで、数百年さかのぼることができる。」