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前置詞ofの省略
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英文法則の全体像

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I have been surprised that Japanese are so unfamiliar with the problem in Tibet.

上の英文は、イメージ2の後にthatで始まる部分がついています。イメージ2の後ろですから、この部分はad(副詞)となるわけですが、なんかちょっと不思議です。というのは、thatで始まって「イメージの型の全体を利用する」ものといえば、「名-サイン節」が一般的ですものね。しかし、この英文の場合、イメージ2の後に名詞が来るイメージの型はないので、「名-サイン節」とも考えられません。

すると、この部分は、thatを「副詞節のサイン」とする「副-サイン節」と考えるしかないわけですが、ちょっと、他の法則との整合性がとれません。そこで、いろいろ調べていくと、この部分に前置詞の省略があると考えると、すっきりと理解できることがわかります。つまり、この英文は、

I have been surprised (of) that Japanese are so unfamiliar with the problem in Tibet.

というように、ofという前置詞の省略があると考えるわけです。

「名-サイン節」というものは、基本的に「頭の中で考えたこと(主張や疑問の内容)」を表します。「〜ということ」や「〜かどうか」という意味からもそれがわかりますね。

一方、ofという前置詞も、「認識内容(頭の中で考えた内容)」を表すときに使います。of the newsという前置詞句が「そのニュースについて(そのニュースを思い浮かべて)」という意味になることを考えれば、これも納得がいくと思います。

すると、たとえば、「日本人がその問題に通じていないということ、について」という意味を表したい場合、

of that Japanese are unfamiliar with the problem

という形になることがわかりますね。前置詞句で、中の名詞が「名-サイン節」になっています。ただ、実際にこの形で英文の中で使われることはありません。なぜかというと、ofthatは、両方とも「認識内容」を表すことを示すサインなので、役割が重なってしまうわけですね。ですから、この場合はofを省略して使います。すると、

I have been surprised that Japanese are unfamiliar with the problem.

「私は、日本人がその問題に通じていないことについて驚いている。」という英文になります。

このようなことを理解することによって、いろいろなことがわかってきます。この英文の意味だけを理解するためなら、暗記するだけでも何とかなりますが、英語の全体像を身につけて、英語を自由に扱うためには、全体像の中にうまく位置づけることが必要です。

たとえば、次の表現を見てください。

the idea that Japanese are unfamiliar with the problem

これは、the ideaという名詞に、「形容-サイン節」の修飾がついた形ですね。「形容-サイン節」は、修飾する名詞の内容を表すので、「日本人がその問題に通じていない、という考え」という意味になります。

ただ、先ほどのofの省略の法則を知ってしまうと、実はこの表現は、

the idea (of) that Japanese are unfamiliar with the problem

なんだろうな、ということがわかると思います。つまり、the ideaに「形容-前置詞句」の修飾がついていて、その中の名詞が「名-サイン節」になっているのだと。ここでもやはり、ofは「認識内容」を表し、「名-サイン節」も同様に「認識内容」を表すので、ofが省略されてしまうわけですね。考え方は、先ほどと全く同じです。

では、同じ考え方で理解できる例文を少し見てみましょう。

<例文1>

Because everyone living around us has also suffered due to the earthquakes, I think that we'll be able to understand each other's feelings.

suffer<動詞1>苦しむ
due to<前置詞>〜が原因で
earthquake<名詞>地震
understand<動詞3>理解する
feeling<名詞>感情

この英文は、今までの知識では、

「副-サイン節」+イメージ3としていました。この理解の仕方でも、意味は把握できるので問題はありません。

ただ、もう少し突き詰めてみると、違った見方をすることが出来ます。think「考える」という動詞は、イメージとして考えれば、walkなどと同じように「独自の動作」と考えられるので、イメージ1と合います。実際、「私は、それについて考えている。」と言う場合は、

I think of it.

とイメージ1を使って表現します。ということは、考えている内容を「名-サイン節」で表現する場合も、

I think (of) that we'll be able to understand each other's feelings.

「私は、我々はお互いの感情が理解できると、考えている。」という形が思い浮かびます。もちろん、この場合もofが表現されることはありません。ただ、この省略を知っておいた方が、thinkの表すイメージをうまく捉えられると思います。

Because everyone living around us has also suffered due to the earthquakes, I think that we'll be able to understand each other's feelings.

「我々の回りに住んでいる人は皆、その地震によって苦しんできたので、我々はお互いの感情を理解することが出来ると私は考えている。」

この英文は、イメージ1の後に省略があるものですね。イメージ2の後に省略があるものについては、最初に検討しました。次は、イメージ3の後に省略があるものについて見てみましょう。

<例文2>

In one typical case, a self-styled home renovator visited two elderly sisters and convinced them that their home was in dire need of renovation.

typical<形容詞>典型的な
self-styled<形容詞>自称の
home renovator<名詞>家屋修理業者
visit<動詞3>訪ねる
elderly<形容詞>年老いた
convince<動詞3>確信させる
dire<形容詞>差し迫った
renovation<名詞>修理

この英文も、今までの知識では、

2つ目の英文はイメージ4としていました。その捉え方でも「彼女たちに、家が修理の差し迫った必要があることを、確信させた」という意味が読み取れますので問題はありません。

ただ、convinceという動詞は、通常は、

He convinced them of it.

「彼は、彼女たちに、そのことについて確信させた。」のように、イメージ3で使われます。それを考えると、この英文も、

という捉え方も出来ると考えられますね。やはり、「名-サイン節」の前のofは省略されてしまうわけです。

In one typical case, a self-styled home renovator visited two elderly sisters and convinced them that their home was in dire need of renovation.

「ある典型的なケースでは、自称家屋修理業者が2人の年老いた姉妹を訪ね、彼女たちに家が緊急の修理の必要があると確信させた。」