
熱電対について 熱電対が、Seebeckにより2種類の金属を接合し一方の端と接合部に温度差があった場合微電流が発生する事を発見して以来温度測定に広く利用されております。中でも高温域における信頼性は他の測温装置に比べ非常に高くなっております。
弊社が取り扱う熱電対、補償導線用合金素線は、ドライバーハリス社からカンタル社へと引き継がれた長い経験と実績を持っており、原子力プラントから、原子力潜水艦や航空宇宙産業並びに工業炉など広くご使用いただいております。
Kタイプ熱電対は、1,260℃までの温度域において広くご使用いただいておりその性能をさらに向上したNタイプ熱電対からJ,T及びEタイプ熱電対用素線をご用意いたしております。
合金グレードについては、スタンダード、スペシャルおよびMI 用の3種類を用意しております。
関連規格はこちらをご参照ください。
補償導線についてはこちらをクリックしてください。
取り扱いタイプ及び仕様(各タイプには、タイプのマークをクリックしてください。)
熱電対タ
イプ |
組成タ
イプ |
合金名 |
使用雰囲気 |
温度域℃ |
K |
KP
KN |
THERMOTHAL P
THERMOTHAL N |
酸化雰囲気
不活性 |
-200 +1200 |
E |
EP
EN |
THERMOTHAL P
(EP)
CUPROTHAL
(EN) |
酸化雰囲気
不活性 |
-200 +900 |
T |
TP
TN |
銅
CUPROTHAL TN |
酸化、真空
不活性、還元 |
-200 +350 |
J |
JP
JN |
鉄(JP)
CUPROTHAL JN |
酸化(限定的)、真
空
還元、不活性 |
-40 +750 |
N |
NP
NN |
NICROSIL
NISIL |
酸化、不活性 |
-200 +1200 |
熱電対の選定について
熱電対の選定は、測定温度域、使用雰囲気並びに構造で選定しなければなりません。

タイプサイズ別最高推奨使用温度
タイプ |
保護の有無 |
3.20 mm |
1.60 mm |
1.00 mm |
0.80 mm |
0.50 mm |
0.30 mm |
0.25 mm |
K |
裸
保護あり |
1050
1150 |
930
1080 |
900
1050 |
860
970 |
800
910 |
750
860 |
710
820 |
E |
裸
保護あり |
890
1000 |
800
910 |
750
860 |
700
810 |
660
770 |
620
730 |
580
690 |
T |
裸
保護あり |
400
450 |
400
450 |
360
410 |
320
370 |
280
370 |
250
330 |
220
270 |
J |
裸
保護あり |
760
760 |
760
760 |
720
760 |
680
760 |
650
760 |
600
710 |
560
670 |
N |
裸
保護あり |
1100
1250 |
1010
1180 |
960
1110 |
990
1040 |
890
1000 |
840
950 |
800
910 |


Kタイプ熱電対
ニッケル含有量が他のタイプに比べ多いことから500℃以上の酸化雰囲気における使用に適している。弊社取り扱いの素線は各脚ともそれぞれ対ASTM認証済みプラチナにおいて起電力を測定していることから、ロットや、溶解による起電力のばらつきが少なく基本的にどの対でも公差を満足するものである。起電力測定は、200℃-400℃-600℃-800℃-1000℃の5段階を対Pt67で測定され各ボビン及び検査票に記載される。Kタイプ熱電対は、変換酸化雰囲気、還元雰囲気における使用は、避ける事。
還元雰囲気中においては、THERMOTHAL KP +脚(Ni-90% Cr10%)から、グリーンロット(Cr2O3)が酸化ニッケルクロム(NiO-Cr2O3)の代わりに形成されこの為、合金中のクロム含有量が減少し起電力値を816℃から1038℃において最大55%引き下げる。尚クロム含有量減少の為、磁性を持つ。これを避けるためには、シース管などによる保護をしなければならない。
トッキンでは、Kタイプを中心に在庫しております。
THERMOTHAL KPの対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
1000 |
1100 |
1200 |
起電力 (mV) |
0 |
2.
814 |
5.97 |
9.
323 |
12.764 |
16.214 |
19.618 |
22.951 |
26.205 |
29.386 |
32.499 |
35.544 |
38.508 |
THERMOTHAL KNの対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
1000 |
1100 |
1200 |
起電力
(mV) |
0 |
1.
283 |
2.168 |
2.886 |
3.633 |
4.431 |
5.287 |
6.178 |
7.070 |
7.940 |
8.777 |
9.575 |
10.330 |
Kタイプ熱電対の起電力表をご希望の時は別途こちらからご請求ください。 


Eタイプ熱電対
Eタイプ熱電対は、一般熱電対の中で最も大きな起電力を発生させるタイプである。最高使用温度は、900℃で低温から300℃のレンジにおいて優れた安定性を発揮する。+脚は、Kタイプ同様Thermothal Pとなり−脚は、銅ニッケル合金のCuprothal ENが使用される。
THERMOTHAL KPの対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
1000 |
1100 |
1200 |
起電力 (mV) |
0 |
2.
814 |
5.97 |
9.
323 |
12.764 |
16.214 |
19.618 |
22.951 |
26.205 |
29.386 |
32.499 |
35.544 |
38.508 |
CUPROTHAL EN の対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
|
|
|
起電力 (mV) |
0 |
3.
505 |
7.451 |
11.
713 |
16.182 |
20.792 |
25.475 |
30.161 |
34.812 |
39.401 |
|
|
|



Tタイプ熱電対
+脚を純銅とし、−脚を銅ニッケル合金のCuprothal TNとした熱電対である。−185℃から+370℃の間において民生から研究室まで広く使用されている。銅の酸化が考えられることから370℃以上の温度域での使用は、控えなければならない。−185度以上の温度域における一般純銅(ASTM B3相当)は、その起電力特性が溶解ロット間でのばらつきもなく、熱電対用金属としての使用に耐えると考えるため、弊社では−脚のCuprothal TNのみを供給しております。Cuprothal EN, TN とJNでは、その起電力特性に相違があるため交換して使用する事は出来ません。また0℃以下で使用が考えられる場合は、別途ご指示をお願い申し上げます。
純銅(+脚)の対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
-
200 |
-100 |
0 |
+100 |
+200 |
+300 |
+400 |
|
|
|
|
|
|
起電力 (mV) |
-0.
195 |
-0.
369 |
0 |
0.773 |
1.837 |
3.149 |
4.690 |
|
|
|
|
|
|
CUPROTHALTN(−脚) の対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
-
200 |
-
100 |
0 |
100
+
100 |
+200 |
+300 |
+400 |
|
|
|
|
|
|
起電力 (mV) |
-5.
408 |
-3.
010 |
0 |
3.
505 |
7.451 |
11.713 |
16.182 |
|
|
|
|
|
|



Jタイプ熱電対
このタイプの熱電対は、+脚に純鉄と-脚にCuprhtal JNを使用し組成され、その起電力特性と価格により最も広く使用されているものです。酸化雰囲気中でも760℃まで使用でき還元雰囲気中においては、約900℃まで使用できます。高温域でのご使用については、より太いサイズのご使用を提案いたします。又+脚の純鉄は、770℃において磁性変化が発生し900度において結晶変化が見られます。これらの変化により純鉄の起電力特性は、大きく変動いたします。タイプJ熱電対は、500℃以上の硫化雰囲気中での仕様は、避けなければなりません又、脆化防止の為、0℃以下での使用も避けてください。
熱電対として使用できる純鉄を製造している溶解メーカーは、極めて限られており又、起電力特性を保持するためには、一般の溶解では出来ません。この為弊社では、Jタイプ用として純鉄を供給させて頂いております。この純鉄に合わせて-脚のCuprothal JNを製作していることからCuprothal JN には、互換性がありませんのでご注意ください。



Nタイプ熱電対
1000℃程度までの測温に最も多く使用されてきたKタイプに代わるものとして開発されたのがNタイプ熱電対です。これは、+脚にNicrosiを使用し-脚にNisilを使用したものです。Kタイプは、安定し正確な起電力特性、対酸化性が高く価格的メリットが高いという良さがありますが、その反面、*長時間裸で使用した場合起電力のドリフトが見られる。*250℃〜550℃において起電力が短時間に変化する。といったような欠点があります。これらの対策品として開発されたのがNタイプ熱電対です。Nタイプは、起電力のドリフト及び変化を抑えるとともに対酸化性を-脚にNisilを使用する事によって向上させた熱電対です。
Nタイプの起電力は、Kタイプに比べ若干低いことからKタイプからNタイプへと交換する場合は、起電力測定装置を改良もしくは交換しなければなりませんが、現在の工業及び化学における温度管理の重要性を考えた場合、補って余りある安定的起電力特性及び寿命を提供いたします。エクステンション並びにコンペンゼーションもご用意いたしております。
Nicrosil (NP) の対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
1000 |
1100 |
1200 |
起電力 (mV) |
0 |
1.
784 |
3.
943 |
6.348 |
8.919 |
11.603 |
14.370 |
17.202 |
20.094 |
23.045 |
26.046 |
29.083 |
32.144 |
NISIL (NN) の対プラチナ(Pt67)起電力
温度(℃) |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
1000 |
1100 |
1200 |
起電力
(mV) |
0 |
.
990 |
1.
970 |
2.993 |
4.055 |
5.145 |
6.243 |
8.325 |
8.360 |
9.327 |
10.210 |
11.004 |
11.702 |
Nタイプ熱電対の起電力表をご希望の時は別途こちらからご請求ください。  
公差について スタンダード
ANSI Standard (JIS 0.75級)公差を基本としており広くご使用いただいております。各脚とも対Pt67プラチナの起電力を各ボビンに表示しております。表面処理は、Kタイプについては、酸化皮膜処理並びに光輝焼鈍処理の2通りをお選びいただけます。その他のタイプについては光輝焼鈍処理となります。光輝焼鈍は、還元または、真空雰囲気中で1100℃で30分間行われます。又酸化皮膜処理は、裸で使用する場合H20やCO2による合金への影響を防止します。
スペシャルグレード
ご要望により、追加サーチャージの上スタンダード公差の1/2公差、1/4公差の2種類のスペシャル起電力公差を用意しております。またご要望がありましたら±0.25℃または±0.002Tも製造いたしております。表面処理は、Kタイプについては、酸化皮膜処理並びに光輝焼鈍処理の2通りをお選びいただけます。その他のタイプについては光輝焼鈍処理となります。光輝焼鈍は、還元または、真空雰囲気中で1100℃で30分間行われます。又酸化皮膜処理は、裸で使用する場合H20やCO2による合金への影響を防止します。
MI用(シーズグレード)
ミネラルインシュレーターなど特殊シーズを行う場合や特殊な起電力特性をご要望の場合こちらとなります。ミネラルインシュレーター等に加工した場合起電力の変化が起こる場合があります。この理由として以下の3点が考えられます。
・加工後の焼鈍
・シースの材質
・ミネラルインシュレートの割合及び量
これらの変化に対応するもの。
熱電対タイプ別一般公差表(JIS C 1602)
熱電対タイプ |
温度域 (℃) |
Class 1 |
K Type |
-40〜+1000 |
±1.5℃また
は0.40% |
E Type |
-40〜+800 |
±1.5℃また
は0.40% |
T Type |
-40〜+350 |
±0.5℃また
は0.40% |
J Type |
-40〜+750 |
±1.5℃また
は0.40% |
N Type |
-40〜+1000 |
±1.5℃また
は0.40% |
熱電対タイプ |
温度域 (℃) |
Class 2 |
K Type |
-40〜+1200 |
±2.5℃また
は0.75% |
E Type |
-40〜+900 |
±2.5℃また
は0.75% |
T Type |
-40〜+350 |
±1.0℃また
は0.75% |
J Type |
-40〜+750 |
±2.5℃また
は0.75% |
N Type |
-40〜+1200 |
±2.5℃また
は0.75% |
熱電対タイプ |
温度域 (℃) |
Class 3 |
K Type |
-40〜+40 |
±2.5℃また
は1.5% |
E Type |
-40〜+40 |
±2.5℃また
は1.5% |
T Type |
-40〜+40 |
±1.0℃また
は1.5% |
N Type |
-200〜+40 |
±2.5℃また
は1.5% |
線径公差
Wire Size ( mm ) |
公差 ( mm ) |
0.10-1.12 |
±0.004 |
0.13-0.19 |
±0.005 |
0.20-0.31 |
±0.006 |
0.32-0.55 |
±0.008 |
0.56-0.89 |
±0.010 |
0.90-1.39 |
±0.020 |
1.40-2.10 |
±0.025 |
2.11-4.49 |
±0.030 |
4.50-9.00 |
±0.040 |
*コイル巻きご希望の場合は、単重も指定ください。
荷姿及び風袋
 |
名称 |
線径
mm |
巻き
重量
Kg |
D
mm |
d1
mm |
d2
mm |
L
mm |
l
mm |
風袋
重量
g |
DIN 500 |
0.80-1.40 |
90 |
500 |
315 |
36 |
250 |
189 |
8000 |
DIN 355 |
0.50-1.40 |
40 |
355 |
224 |
36 |
200 |
160 |
1850 |
DIN 250 |
0.30-1.00 |
20 |
250 |
160 |
36 |
200 |
160 |
1050 |
DIN 200 |
0.25-0.80 |
14 |
200 |
125 |
36 |
200 |
160 |
600 |
DIN 160 |
0.20-0.80 |
7 |
160 |
100 |
22 |
160 |
128 |
350 |
DIN 125 |
0.15-0.80 |
3 |
125 |
80 |
16 |
125 |
100 |
200 |
DIN 100 |
0.10-0.50 |
1.5 |
100 |
63 |
16 |
100 |
80 |
125 |
DIN 80 |
0.04-0.15 |
0.5 |
80 |
50 |
16 |
80 |
64 |
70 |
*標準ボビンを適正数量づつ、ダンボール箱詰にて発送いたしております。重量によってパレット積みにて出荷します。
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関連規格
ASTM |
American Standard for Testing and Materials E230 |
ANSI |
American National Standard Institute MC 96.1 |
IEC |
European Standard by International Electrotechnical Commission
584-1/2/3 |
DIN |
Deutsche Industrie Normen EN 60584-1/2 |
BS |
British Standard 4937-1041, EN 60584-1/2 |
NF |
Norme Francaise EN 60584-1/2-NFC 42323-NFC 42324 |
UNI |
Unificazione Italiana UNI-7938 |
JIS |
Japan Industrial Standard C 1602-C 1610 |
GHOST |
Unification of the Russian Specifications 3044 |
|