第2部 沖縄で…

第5章 沖縄の夜

「トゥルルル…」
エダがホテルの部屋に戻った途端、携帯が鳴った。「○○さん?」電話の声はM氏だった。「今、○○さんの泊まってるホテルが見えるスナックで飲んでるんだけど…○○さんはどこにいるの??」夕方の別れ際、「夜、時間があったら電話してください」と言っていたM氏だが、ちょっとアルコールが入っているらしく、しびれを切らして電話して来たのだった。

「今ホテルに戻ったところです」エダは応えた。「じゃ、これからおいでよ!」M氏はホテルの向かいのビルにあるスナックに居ると言う。M氏は単身赴任をしているため夜がヒマである。エダは、「今日は一日M氏にお世話になったし、お付き合いしよう!」と決めていたが、まだやりたいことがあったので、「すみません、ちょっとやりたいことがあるので、もう少ししたらこちらから連絡します」と電話を切った。

エダはクリスマス前の那覇の雰囲気をカメラの収めようと街へ出た。これも出発前から決めていて、みんみんさんから「パレット久茂地辺りがキレイなんじゃない?」を教えてもらっていた。パレット久茂地は、ホテルのすぐ近くで、沖縄不案内のエダでも迷うことなく行くことができた。そこは、電飾に彩られ、クリスマスの雰囲気たっぷりだった。「一人じゃなぁ…」エダは思わずつぶやいた。(苦笑)

<パレット久茂地のイルミネーション・・・手ぶれしまくりデス。。。カメラが下手でスミマセン!>










「何かリクエストはありますかぁ?」
沖縄とは言え12月、少し冷たくなった風の中から聞こえてくる澄んだ歌声に、エダは思わず足を止めた。見ると、歩道で二人の少女がライブをやっていた。廻りには同じぐらいの世代の少女達を中心に観客が集まっている。いつもその辺りでライブをしているらしく、観客の少女達からもリクエストの声があがる。

エダは、しばらくその歌声に耳を傾けていた。仕事ばかりで、ゆっくり街を歩いていないエダにとって、ストリートライブは新鮮で、少女達の澄んだ歌声に心が洗われる思いがした。街角の雑踏の中、クリスマスイルミネーションに照らされた二人の少女が作り出す空間だけ、おとぎばなしの世界のように止まって見えた。どのぐらい聴いていたのだろうか…ストリートライブは終わり、その空間は何事もなかったように街の喧騒に飲まれていた。

(ライブの終わりに、近々TV出演することが決まったと言っていた。グループ名が良く聞き取れなかったが、いつかTVで見かける日がくるのだろうか…)


<ストリートミュージシャン・・・フラッシュの光で歌を邪魔しないように・・・結局手ぶれです(笑)>







「いらっしゃい♪」
クリスマス前の沖縄の街の雰囲気を満喫し、エダは指定されたスナックに向かった。扉を開けると、M氏はカウンターでゆっくり水割りのグラスを傾けていた。M氏の目の前の窓には、エダの泊まっているホテルが見えていた。「ここからだと、私の部屋見えますね」エダが言うと、「やっぱりね」とM氏はニヤリと微笑んだ。そう、ホテルの部屋についた途端に電話があったのは、M氏が、外を見ながら、灯りついた部屋が私の部屋だと感じて掛けて来たものらしかった。(どこの部屋かまで話はしていなかったんですが。。。(^^; )


「何にする?」
酒の飲めないエダは、カウンターに座りウーロン茶を飲みながらM氏から沖縄のいろいろな話を聞いていた。(話の内容は、仕事関係が多かったので省略します。)ちょうど一杯を飲み干した頃、ママはちょうどどこかへ行っていてカウンターの中には誰もいなかった。すると、常連客のM氏は、気を効かせて私が何を飲みたいか聞いてくれた。「これは…?」エダの目がカウンターに置いてあるシークァーサー果汁の瓶に向けられると、「あっ、これね!」とM氏はその瓶の中味を私のコップに注いでくれた。

ちょっと口にすると、シークァーサーの酸味が口中に広がった。ちょっとすっぱかったが、昼間飲んだシークァーサージュースよりずっと刺激的で美味しかった。「乾いた喉にゴクゴクと飲める味」ではなかったが、水割りを飲んでいる人と一緒に飲むには丁度良かった。エダはチビリチビリとシークァーサージュースを口にしながらM氏との話を続けた。


「何を飲んでるのかしら?」
エダのグラスがあとわずかになった頃、カウンターのママが言った。「あっ、これを…」エダがシークァーサー果汁の瓶を指差すと、ママはその瓶の中味を少しエダのグラスに注いだ。そして当然のようにエダの前からグラスを取り上げた。「あっ!」エダが小さく声を上げた。するとママは、驚いたように言った。「ひょっとして、このまま飲んでるの!?」

「これ、そのまま飲んでる人はじめて見た!」すべてを察したママは、そう言って笑った。私のグラスに注がれたのはカクテル用のシークァーサー100%果汁で、シークァーサージュースにするには水で割ってガムシロップで甘味を足すらしかった。しかし、エダはそれをそのまま飲んでいたのである。まぁ、シークァーサーのまるかじり状態と言ったところである。しかし、エダとしては決してマズイものを飲んだとは思っていなかった。

夜12時を過ぎた頃、どちらが言い出すともなくお開きにすることになり、エダとM氏はそのスナックを出た。


「ちょっと夜の沖縄を案内しようか」
店を出ると、M氏はそう言って歩き出した。ちょっと歩くと、「松山」という那覇の夜の街があるという。もう1件飲みに行くわけでもなかったが、二人はぶらぶらと夜の街を散歩した。M氏は「昔はもっと大人の街だったけど、最近は若い人が増えてねぇ…大人の街はちょっとはずれに移動したかなぁ」などと説明してくれた。途中何度か呼び込みに声を掛けられたが、(そりゃ、男二人でキョロキョロしながら歩いてれば・・・)すべて振りきって夜の街を通り抜けた。繁華街は、特に「沖縄らしい!」と感じることも無かったが、もう12時近いというのに人が多いのには驚いた。
「それじゃぁ、おやすみなさい」
M氏がタクシーでエダをホテルまで送ってくれた。そのとき、時計はもう1時を過ぎていた。これで素直に寝れば良かったのだが・・・ひとしきり歩いたエダは、ちょっとお腹が空いていた。そこで、「国際通りにでも行けば、沖縄そばの店でもやってるかな?」と思い立ち、もう1度街に出ることにした。


「パパァ〜ン!!」
国際通りには、「松山」とはまたちがった賑やかさがあった。若者達が舗道にたむろし、ちょっと暴走族風(?)の車がクラクションと大きな音楽を鳴らしながらゆっくり通りすぎて行く。男とは言え、一人で歩くにはちょっと怖い感じがした。しばらく歩いて見たが、国際通り沿いにエダが期待するような「沖縄そば」の店はみつからなかった。「ちょっと横道に入るとあるのかなぁ?」と思ってはみたものの、大通りから離れるのが怖くてそのまま国際通りを歩いていった。「もうちょっと歩けばあるかも…」そんなことを考えながら歩きつづけたエダは、ホテル西武オリオンの前を通り抜け程なく、国際通りの東の端(北の端?)に着いていた。

「こっちからも帰れるかな?」
「沖縄そば」をの夜食をあきらめきれないエダは、ホテルへ帰りながらもう一度「沖縄そば」の店を探そうと考えた。中途半端に沖縄の地図を理解していたエダは、国際通りの北側(西側?)に並行に道が一本あるような気がしていた。(何の根拠もないんですが…(^^; )エダは、国際通りの東の端に到達すると、何気なく左へ曲がり歩き出した。しかし…しばらく歩いて、エダは少し不安になった。何もないのである。「沖縄そば」のお店どころか、ホテルへ帰れそうな道も見当たらない。しかし、「もうここまで来たら行って見るしかない!」そんなワケのわからない思い込みでエダは歩きつづけていた。すると、大きな道へ出て、目の前に「とまりん」という大きな看板が…(これって、随分歩いてますよね??(笑))

結局、「沖縄そば」のお店に出会うことなく58号線を歩きつづけ、パレット久茂地の裏にあるホテルへ戻ってきたとき、時計は既に2時を廻っていた…


さあ、いよいよ次は二日目です!