遠隔操作型受信機製作記録

1999年8月某日

 恐怖の大王の地球訪問もどうやらキャンセルされてようで、巷には平和な時間が流れていました。私は夏の長期連休で広島の実家に帰省し、また悪い癖でふらふらとジャンク屋に足を運びました。(私はジャンク屋、蚤の市、古本屋が好きです。) 

 混沌としたジャンクのなか探検していると片隅に目を引くものがありました。大きくFANUCと書かれたダイヤルが付いているVHSビデオテープぐらいの箱です。ダイヤルは1回転100目盛で1目盛ごとクリックがあり、ケースからは太いケーブルを接続する穴が空いています。何かの産業機器のコントローラでしょう。無線機に興味を持つ人がこのダイヤルを見ればすぐ思い出すでしょう。そう、どう見てもチューニングダイヤルです。このとき神の声が聞こえました 「買いだ!」。 どう見ても新品ジャンクで値段も3000円ですので許容範囲ですが、入っている箱に不良品と書いてあるのが気になります。まあ神の声が聞こえた以上、購入して帰りましょう。


1999年8月後日

 
自宅に帰って早速分解しました。(自宅は愛知県です。)


 ダイヤルは思った通りロータリーエンコーダでした。1回転100分解能クリック付き、2相パルス出力と云う仕様です。さっそく5Vの電源を接続し出力をオシロで見てみます。通常のエンコーダと同じ波形が出ます、壊れてはいません。
良かった!消費電流は5V60mA、大飯食らいです。


 さて何を作りましょう。やっぱりこれは受信機(トランシーバ)のチューニングダイヤルですからこんなのかな?

 しかし、こんなのお店で売ってます。お金出せば買えるもの作っても仕方ありません。この案は
ボツ
 以前より思っていたのですが、最近の家電製品は全てと言ってもいいほどリモコンで操作できます。なぜ受信機はリモコンで操作できないのでしょう?アンテナを接続しなければなりませんので、部屋の片隅に設置しているのが普通です。操作するにはその場所にへばりついていますから、夏は暑く、冬は寒いです。
 ソファーに寝そべってテレビを見ながら、海外放送を耳を傾ける。これです!作るべき形が見えてきました。

 まず、受信機はどうしましょう?

1.新規に作る。
2.手持ちを改造する。
3.市販品を購入する。

 最初は全て作ろうと思いました。DDSとPLLを組み合わせた局発でシングルスーパーとか考えていたのですが、リモコン操作が目的なので受信機本体を作るのはあまり興味が湧きません。手持ちの受信機の改造も考えたのですが、いずれも古強者ばかりで改造は困難です。そこで、以前より興味があったパソコンで操作する受信機をこの機会に購入することにしました。ICOMのIC−PCR1000は本体がとっても小さく(128×30×199) RS−232Cですぺてを制御できるので、今回の目的にはピッタリです。同期検波があればもっと言う事は無いのですが。

 
さっそく買っきて(衝動買いは始まると止まりません)使ってみるとなかなか快適です。バンドスコープを見ながらマウスでスペクトルピークをピックすると受信できるといった、子供の頃のあこがれの使い方ができます。「RS−232Cの無線LANを買ってきてノートパソコンで制御すればそのままリモコンになるな」と思ったりもしますが、ソファーに寝そべって使うには向きませんから、計画を進めましょう。

 しかしここで予定外の事態が発生しました。制御コードが分からないのです。薄っぺらい説明書には何も書いてありません。パソコンで制御するんだからそのくらいのことは書いてあるものと思い込んでいました。ICOMに問い合わせましたが、「公開の予定はありません」とのつれない返事。所詮RS−232Cで制御してるんだから読み出せばすぐ分かるはずと考えて、リモコンを作り始めることにしました。(これが後で大変なことになるとは思いもよりませんでした。)
 

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