部品コレクション

 長い間この趣味の世界にいると、何時の間にか手元に色々な部品が集まっていました。その内で古いラジオ部品を中心に掲載しました。ビンテージラヂオ物語と云うすごい本がありますので、それには及びませんが雰囲気ぐらいはするでしょうか?


1.バリヤブルコンデンサー3種


 昭和初期のバリコンです。左端はエボナイト製フレームの大正時代の型式です。中央はアルミフレームのギルフィラン型です。昭和初期のラジオには良く用いられており、ラジオコレクションページの山中電機のラジオもギルフィラン型のバリコンです。右端も昭和初期のバリコンです。いずれも程度の良さが自慢です。



2.いろんな部品


 昭和初期のラジオに使われていた部品です。上段はスパイダーコイルでアンテナコイルと同調コイルで一組です。中段はレオスタットと電源スイッチ。下段はレシーバジャックとグリットリークです。


3.真空管ソケット


 昭和初期の真空管ソケットです。UX−201Aを挿してみました。最初の頃はこの様なソケットを板に固定してターミナル間を角銅線で配線していたようです。つまり半田ごては要らなかった訳です。


4.Telefunken EH333 レシーバ


 有名なテレフンケン製のレシーバーです。(ヘッドホンではありません) 両耳用4000Ωです。程度はすばらしく良く錆びひとつ無い上、ケーブルも柔軟性を失っていません。これを入手して始めて、クリスタルイヤホン無しで鉱石ラジオが聞こえていた理由が分かりました。両耳で聞くためもあってクリスタルイヤホンより高感度に感じます。あまりに程度が良いので比較的最近の製造なんではないか?と疑問を感じています。私の宝物のひとつです。



5.横河電機 電圧,電流計


 左は昭和18年製の交流電圧計、右は昭和14年製の交流電流計です。YEWのプレートに曳かれて購入してしまいました。(私、HPとYEWに弱いんです。)電流計は30A計でターミナルには30Aと書いてありますが、このターミナルで30A流せるとは思えません。CTが外付けなのかとも思いますが不明です。


6.マイクロ波発振器


 左はNEC製クライストロン11V54。10.7から11.7GHzを発振します。上に置いてあるのは放熱器。外観は綺麗ですが、3本の端子の接続が分かりませんので動作確認が出来ません。
 真中は東芝製ガンダイオードS−RX8Y。ミキサーダイオード付きですので、このままでダイレクトコンバージュン受信機として使えます。そこで、出力側に反射板を置き、ミキサー出力をオシロで見るとドップラー効果が観察できます。反射板を固定しておくとミキサー出力は直流ですが、反射板を動かすと正弦波が観測され、動かす速度を増すほど正弦波の周波数が上がります。
 右はINTERNATIONAL MICROWAVE製トンネルダイオード発振器。8.93GHzで65μW出力。



7.トリオ製コイル

 トリオ(現ケンウッド)製の真空管ラジオ用コイルです。左は2バンド高周波1段増幅用コイルパック、右は中間周波トランスです。3連バリコンと真空管、トランスがあれば高1付きスーパーラジオが作れます。


 60φもある大きな並4コイルです。以前、秋葉原のラジオデパート1F?にあった小さなお店で購入しました。その店は1m四方ぐらいで3面の壁に真空管が置いてあって、仙人みたいなおじいさんがやってました。ある日行った時にそれまで見たことの無いおばさんが店番していて、店先にこれが吊るしてありました。結構高かったと記憶してますが、あまりの大きさに衝動買いしてしまいました。いっしょにトリオ製の超大型60φ並4コイルの説明書コピーが付いていましたが、これには銘板は無く、トリオ製であるかは不明です。購入した店はその後すぐ無くなってしまいました。店頭にクライストロンの2K25が置いてあったのを今でも覚えていますが、店の名前はまったく覚えていません。

8.光り物

 初期の表示デバイス。左は蛍光表示管(VFD)、NEC製で初期の単管タイプです。VFDは日本の発明品で伊勢電子(今はノリタケの子会社になっています)で開発されました。基本的に直熱3極真空管で、低速電子線で蛍光体を光らせます。形状は平板型になりましたが、今でも各方面で使われています。右はニキシー管です。ガラス管の内に数字の形をした電極があって、ネオンガスの放電でオレンジ色に光ります。測定器に多用されたので、昔のSFなどにはこれを使った表示が必ず出てきました。

 上のサンプルではありませんが、ソニーの卓上計算器に使われていたニキシー管の表示です。数字の形をした電極が奥から0,1,…,8,9と並んでいるので、表示する数字によって位置が前後します。


 これはマジックアイと呼ばれる表示管で、ラジオのチューニングインジケータに使われました。ターゲット(頭部のお椀型の所)に蛍光体が塗ってあって、グリット電圧により光る面積が増減します。個人的にはVFDの元になった物と思っています。
光っている様子は、大塚 久さんのクラッシックバルブと云う本に沢山出ています。


 計数放電管デカトロン
です。名前の通り、放電を利用して数を数えると同時に表示します。つまり、カウンターICとニキシー管の機能を一つで行うものです。これ1本で10カウントしますから、必要桁数カスケード接続すれば10進のカウンターができます。しかし最大動作速度は数10KHz程度です。私の通った高校の物理教室にあった古いガイガーカウンタにこれが使われていました。(想像ですが)どんな物か知りたくて長らく捜していたのですが、最近新品が1本100円で売られているのに遭遇して10本も購入してしまいました。動作している所が見たくなって、
おもちゃを作りました。


9.光り物2

 非常に珍しい電球を入手しました。左はカーボンフィラメントの電球でいわゆるエジソン電球です。新品未使用です。もちろんフィラメントも生きています。トップチップですから、もしかすると1900年代の製品かもしれません。もったいなくて電源に繋げません。メーカー名はありませんが、100−50の文字が印刷されていますので、これが100V50Wを示すならば、日本で作られた物かもしれません。
 中央はタングステンフイラメントですが、フィラメントがコイル状になっておらず、直線状に吊ってある初期の構造をしています。トップチップですからこちらも1910年代の製品かもしれません。こちらにはGEのマークが入っています。カーボンフィラメント電球と同様の100−50の文字が印刷されているので、こちらも日本で作られた物かもしれません。これも入手したときは生きていたのですが、誤って落としたらフィラメントが数カ所で切れてしまいました。(下はカーペットでたった40cmぐらいの高さだったのですが。タングステンフィラメントが非常に脆くなっていたのでしょう。落とした直後はあまりの事態に30分ぐらい固まってしまいました。100年近く生き延びていた電球が、目の前でお亡くなりになったのですから。)
 右は数年前エジソンの電球発明から100年を記念して、浅田電球製作所が製造したレプリカです。エジソン電球を忠実に復刻しています。カーボンフィラメントは温度が低く、フィラメント長も短いですからとても暗いです。その後フイラメントがタングステンになり、ステム排気化で危ないトップチップが無くなり、ガスが封入され、ダブルコイルフィラメントにより明るくなり、内部つや消しによって眩しく無くなって、今日の白熱電球が完成しました。(といっても昭和初期の頃ですが。)

 トップチップのガラス球を並べてみました。電球は上の写真とは左右逆に並んでいます。右端は真空管のUV−201です。初期の真空管は電球から始まったことがなんとなく想像されます。


10.コヒーラ


 コヒーラ?らしき物を入手しました。ガラス管の中に銀メッキ?されているような電極があってキャップに金属紛が封入されています。長さは約10cm、ガラス管径は6mmです。電極部の直径は約4mm、ギャップはV字状で狭い側は0.8mm、広い側は1.5mm程度で、金属紛はギャップの1/3程度詰まっています。ガラス管両端の金具はリード線の断線を防ぐために取り付けました。
 最初テスターで抵抗を測ると無限大で、SGで100MHzの信号を加えてみると数百から数十Ωの抵抗を示しました。ポコンと衝撃を加えると抵抗は無限大になります。 ちゃんと動作していると思って電圧を加えてみたりしましたが、どうもよく分かりません。ポポフのデコヒーラ回路のように電圧を加えておくとSGの信号ではコヒーレント動作しません。高周波信号でなくても直流的な電流でも抵抗は下がります。(これは当たり前でしょうね。あまり直流電流を流すと金属紛がくっ付きます。もう少しで壊すところでした。)
 直流電圧を加えておくと電極間の電位は変動しませんから高周波電流が流れなくて駄目なんだろうと思って直列に1mHのインダクタを入れてみたんですが、どうしても抵抗が下がりません。放電による衝撃的な高周波電流じゃないと金属紛粒子表面の酸化皮膜?が破れないのでしょうか?SGの信号を直接加えると簡単に抵抗が下がるんですが。
 コヒーラは明治末から大正初期で役目を終えたはずです。このサンプルがそんなに古いとは思えませんので誰かが試作したんでしょうが、よく出来ています。