展示室8   常磐津 「山  姥」






「山姥」と言っても、あの髪を振り乱した鬼のような「山姥」の事で
はありません。簡単に言えば、「金太郎のおっ母さん(?)」です。
本来は大掛かりな長い舞踊劇ですが、最近では「山めぐり」という、
主人公の一人踊りの部分だけを、踊る事が多くなりました。この母親
は、実年齢は若いのですが、ある程度年を重ねた踊り手でなくては、
なかなか踊りこなせない難曲と言われています。その訳は、(1)元
は遊女であったという、残り香のような色気が必要である。(2)亡
き夫の魂が宿って怪力となり、山中にこもって1人で子供を産み育て
た強さを持っている。(3)子供を都の武士に託し、生きては2度と
会わないと言う決意を、胸に秘めている。といった複雑な性格を、さ
りげなく表現しなければならないからでしょう。勿論、母性愛の表現
も欠かせません。僕は、「まだ早すぎるカナ・・・」と思いながら、
40代で踊らせて頂きましたが、50代でもう一度、60代でもう一
度と、再演を重ねたくなるような、とても深みのある作品です。 






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