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広帯域 2ウェイ スピーカ

〜トランスミッションライン型スピーカの設計〜





トランスミッションライン型スピーカ(以下、TLS と略)は、近年になって急激に増えてきた方式です。有名所ではPMCですが、私の愛用するMeadowlark Audio もあります。(他に TLS専門では無いけれど作っている、という所は沢山 ^^;)

大きな特徴は、低域レンジの拡張と高い制動でしょうが、更に低域ドライバの背面からの音が、薄いコーン紙を通して前に抜けて来ない、と言うのも特筆すべき点でしょうか。

低域レンジに関しては、メーカの宣伝文句で語られる内容には、若干の疑問もありますが、広帯域化に向いた方式であるのは間違いないでしょう。
今回は、ズバリ 30Hz迄 をほぼ平坦に再生する事を狙っています。

歪みも少ないと言うデータを見たことが在りますが、少々特殊な条件だったので、これは何とも言えません(^^;)。
ただ、低域でドライバ背面から見た音響インピーダンスは、設計次第で相当高くなるので、低域で背面の音が支配的になる設計であれば、コーン振幅が減って二次歪みは減るかも知れません。もっとも、バスレフだって設計次第でそうなるのですが。

低域の制動に関して付け加えると、低域の電気的インピーダンスの周波数とピークが共に低くなって Q が低くなる訳ですから、即ち、優れた低域での群遅延特性を持つ点も特徴に挙げておくべきでしょうね。


TLS の原理

TLSとは、簡単に言って吸音された細長いスピーカです、終わり (をひ m(^^;))。

これで終わりじゃマズイんで(^^;)もちっと書きますと、一般的には、特に低域でいわゆる気柱共鳴管の原理 を用い、それを十分に吸音材で制動をかけたものです。 共鳴(或いは共振)とは、小学校の理科の実験で、音叉を並べて片方鳴らせば、もう一方も鳴るっていう、あれです。

バスレフとの違いは、バスレフがヘルムホルツ共振であるのに対し、TLS は 1/4 波長の気柱共振である点と、 吸音による十分な制動にある、と言って良いでしょう。バスレフは制動のための吸音材はあまり用いません。 (理論的にも、TLS ほど精密に考慮しないのが普通しょうし)

TLSは、見た目にはむしろバックロードホーンに似ていますけど、バックロードはどちらの意味でも共振は用いて いません。( 図らずも共振してしまった、って事はあるでしょう· · · って言うか、 ぶっちゃけ共振している方が普通ですけど ^^;)

バックロードは、背面はホーンですから、ホーンによる音響制動のかかる周波数範囲では、ほぼ完全にレジス ティブな制動がかかり、その意味では理想的です。 ホーンと言うのは、等価回路は下の図 1 の様になり、ホーンカットオフ周波数付近ではその喉の音響インピーダンス はリアクティブですが、それより上ではほぼレジスティブとみなせるからです。(もちろん、キチンとしたホーン ロードがかかっている場合ならば、です。切り貼りしたホーンモドキなら、容易に共振してリアクティブ負荷になり ます。現実には大半が切り貼りなのですが。)
Fig.1

バスレフは背面の負荷がリアクティブです。

TLS はどちらかと言えばレジスティブですが、設計次第ですね。
とは言え、ホーンロードの様な負荷と言う意味でも無く、主に吸音材を十分に充填した効果であり、その意味では Acoustic air suspension に近いでしょう (“その意味では”ですよ、あくまで)。吸音材の充填でQが低くなり、 超低域での群遅延特性に優れる点も似ていますね。

超低域の群遅延に関して言うなら、一般的には大型密閉箱が最良です。
つまりドライバの要求する特性に対して大型で、過制動の場合ですね。
但し、私自身は、50Hz 以下の群遅延特性を云々する事には、何らの意味も見いだせませんが(^^;)。


ドライバ

使用するドライバは、2 way を前提にしていたので、16cm前後を基準として探しました。候補としては Vifa、 Peerless、Focal、Morel、SEAS、Scanspeak 等々、このレンジには、いずれ劣らぬ優秀なドライバが粒ぞろいです(^^;)。

私は、こうみえても ミーハー なので、なるたけ高価なメーカー製スピーカーシステムに採用 されたドライバを選択する事にしました(笑)。

と言うわけで、約五百萬圓のクレル LAT-1 で採用されたミッドバス (Scanspeakの Reverator 18cm 18W8531G00)とトウィータ XT25TG30-04 を使う事にしました。

尚、LAT-1 は更に 25cmウーファを加えた 3wayですが、同じクレルの LAT-2 は本機と同じ 2way で、ドライバも 全く同じです。また、このミッドバス・ドライバは、他にもやはり“廃円度”機で、ウィルソンのソフィアにも使わ れています。

なお、最終的な特性は、低域レンジは LAT-1 と殆ど同じ、高域は全く同じ(同じトウィータだから、当たり前 ^^;) です。 また、トウィータの上限は40kHz以上迄伸びています。

冗談はさておき(ホントに冗談なのか? ^^;)、TLS に適切なドライバは、 最近の欧州製ドライバとしては Qts が大きめの物になります(あくまで最近のものとしては、ですが)。従ってこの口径であればあまり極端に BL積の 大きなものだと、難しくなります。もう少し大きめの口径でもう少し fs が高めなら、BL積も高めのものが選べます けど、口径を大きくすれば指向性は悪化するので、2way で 18cm(日本サイズで言えば16cm。測り方の違い)と言う のは限界に近いのでは無いかと。
(つまり、故長岡氏が、かつてバックロードで用ひたやうな、「駆動力:命〜」なものは全く向かないワケですな。 抵抗でも直列に入れたりすればまた別ですが。^^;)

まぁ、実際問題として Reverator の 18cm は、Scanspeak で選ぶなら適切な選択と思いますよ。
より BL積の大きな Scanspeak ドライバ(そっちの方が値段は安かったりしますが ^^;)でもシミュレーションして 見ましたが、多少だら下がり っぽくなりますね。(それが悪いって事も無いかも知れませんけど。)

口径をもっと大きくすれば指向性の問題が出てくるし、逆にもっと口径を小さくして、なお同程度の帯域幅を確保 すれば効率が下がるわけですから、球アンプ党としては、それも苦しいのでして(A^^;)。


TLS の設計

箱の設計は、基本的に Dr. Martin J. King の作成した Mathcad スプレッドシートを使いました。 吸音材による制動と音速の低下を織り込んだシミュレーションと言うのは、私は初めて見ました。彼の作成したシート は、それだけでも価値があると思います。(もっとも吸音材無しで TLS の意味は?ですけど ^^;)

Dr. King の考え方は、早い話がラインを区間に分けて、或る意味 “力ずく” で(^^;)、波動方程式を解いている 訳です。

下図 2 は、今回の設計の音圧特性のシミュレーションです。
いきなり、30Hzがちゃんと出ている所を見せて、度肝を抜くことにしましょう(^^;)。点線は無限大バッフルでの特性、 赤い実線が本機のシミュレーション特性です。

もしも吸音材を、限界一杯まで詰め込めば、基本的に Fig.2-1 の実線は点線に重なります。
Fig. 2-2 は、この時の開口端とドライバ、それぞれの音圧を示しています。

Fig.2-1  音圧特性


Fig.2-2 開口端とドライバの周波数-音圧特性


λ/4 の共振周波数は28Hzで、ドライバのFsに合わせています。ドライバ固有の低域インピーダンスピークに合わせて、 そのピークを抑え込む感じです。
共振は (2n-1)λ/4 で発生しますが、吸音材は高い周波数の吸音率が大きいので、実際には高次の項は無視できます。

この時のドライバ背面の音響インピーダンスをレジスティブにする為に、ドライバを管の閉口端から28cmオフセット しました。このぐらいで、最もレジスティブな周波数範囲が広かったのと、開口端からの中域の漏れが小さかった からです。


Fig.3 
音響インピーダンスの位相特性

この時の音響インピーダンスの位相特性を上図 3 に示します。

300Hz以上でほぼレジスティブですが、吸音しても、オフセットが小さいと中域で案外とリアクティブになります。
ドライバ・オフセットがより短い方が、中域の振幅で僅かに優位のようですが、その代わり 300Hz 付近までリアク ティブになりますから、これは選択の問題でしょうね。余程振幅に差が在れば、また別ですけど。

下の方で出てくる 図6 に音響インピーダンスの絶対値が出てきますが、120Hz付近にピーク(3次の共振項)のせい で、上の図でも 100Hz 付近から上で一旦はリアクティブになります。

もし低域を伸ばすことだけを重視するのであれば、こんな特性だって可能です。


Fig.4 
超低域を狙った設計

これだと低域の-3dBポイントは25Hz付近、日本風(?)に-10dB で表せば、なんと 20Hz 以下です。
ただ、キャビネットは倍以上のサイズになります。18cm ドライバでもやろうと思えばこんな特性だって得られ ますよ、というアピールに過ぎませんから、本気でこんなアホな事はしない様に(^^;)。

基本的に、ライン先端の大体1/4ぐらいで絞り込む事で、平坦に近い特性が得やすいようです。これは、 Dr. King の製作した Focal のドライバでも同じで、彼の設計をそのまま先端の部分だけ絞り込むと、下図 5 に 示すようにより低い周波数まで延びて、しかも平坦になり、リップルを減らせるようです。


Fig.5 
Focal の設計例

上図 5 は、先端 1/4 程度から Sd/2 に絞り込み、その部分だけ吸音材無しにした状態で、他はラインの長さ も含めて、Dr. King の設計そのままです。つまり、先端を絞り込むことは低域濾波とラインの長さの短縮 (λ/4 共振点の低下)と言う二つのメリットを生みます。

最近知ったのですが、どうやら Dr. King は自分のサイトでなにげに自分で考えたかのように書いているようですが、このやり方は私がオリジナルです。
なんか、これが標準だと思ってらっしゃる方もいるようなので、敢えて追記しておきます。(2010)

最初、この現象を開口端補正係数で考えました。気柱共振の開口端補正は、開口端が狭くなるほど 全反射に近づく為に、補正係数は大きくなるはずで、だから絞り込みが共振点を下げるのか? と。

共振周波数では、そもそも反射が起こります。(反射しなければ、共振もしないですから)
開口端補正が生じるのは、言ってみれば空気の慣性のせいです。開口を絞ることで粒子速度が速くなり ますよね?すると慣性は大きくなります。だから反射のポイントが開口端よりも離れて行くわけです。

λ=4(L + x)  但し、ここに L:ラインの長さ、x:開口端補正係数

この x が補正係数です。一見、これで説明できそうです。
ただ残念なことに、より高次のモード、例えば 3λ/4 は、周波数が下がっていないのですが、それを上手く説明 できません・・・ _| ̄|○

別の考え方では、共振点が低下すると言うことは、波長が短縮したと言うことで、音速が落ちるから、とも考えら れます。
音響インピーダンスは、ラインの断面積を S、媒体の粒子速度を u、音圧を p とする時、
Za = p/(S·u) ですよね。
音速を c 、媒体の密度をρとする時、固有音響インピーダンスは Z =ρc ですから、

ρc = p/u

です。ここで、明らかにρは一定値です。粒子速度は開口を絞れば上昇する筈ですから、音速が落ちているのか? (とすると、逆にホーンみたく、開口が exponetial に広がれば、開口端で音速は上昇するのかしらん? 本当なら、 正真正銘のハイスピードサウンドやね(笑)。じゃあTLS は超ロースピードサウンドだって?(爆)。)

と色々書いたけど、実は自信ないっす (笑)。
と言うのは、依然として高次モードの説明ができません...(;¬_¬);¬_¬); (‥ ;)ゞ

勿論、この高次の周波数が下がらないと言う性質 (これは間違いなく正しいです)が、より好適であるのは、 言わずもがなです。何故なら、高い周波数ほど少量の吸音材で抑えやすいので、一緒になって高次モードが下がった ら難しいのですよ。

計算してみると、絞りを入れた時、音響インピーダンスの絶対値のピークの周波数は下がり、高次のモードは殆ど 下がりませんから、より短いラインで好適な特性を得ることが可能になります(下図 6)。
基本周波数は、周波数で 3次の項の 1/4 近くまで低くなっています。


Fig.6 
音響インピーダンスの絶対値
#波動方程式の境界条件が判って、それで微分方程式を解くことが出来て、数値的なシミュレーション 結果が得られて、それが示すものが Fig.6 である訳です。
「その式が理解できて、その結果として高次共振周波数が下がらない事が確認できたのなら、それで良いじゃないか」 と思われるかも知れません。 科学の問題としてはその通り(^^;)。
しかし、だからと言って 「納得できたか」 と言われると、そうでも無かったりする訳ですね(^^;)。納得できるか 否かは、結局の所「自分なりの物理的イメージ」だ、という事です。
共振点が示すのは、波動方程式の解の分母多項式が零に近づく周波数です。だから、共振周波数付近ではライン内部 の音響インピーダンスが上昇している、と言う事です。LCフィルタの共振と同じですね。

極端な話、面積に段差を付けるというか、急激に断面積を小さくすれば、(吸音材の無い場合)勿論それは 音響低域濾波になります。だから、それだけで高域を減らすことが出来ます。

高域が減衰できれば、当然吸音材を減らしても中高域での背面との干渉は小さくなりますから、リップルも 減りますし、低域のレベルを上げることが出来ます。

しかし、その行き着く先がバスレフに他ならないのは明らかで、TLS の良さは期待できないと思うのです。
だから、私はラインを滑らかに絞り込み、極端な音響フィルタにはならない様にしています。

勿論、滑らかに絞り込んでも、開口が小さくなった分だけ、中域でもドライバから見た音響インピーダンスの 絶対値は高くなります。しかしそれがレジスティブであれば、ダンプされるだけで問題は小さいと思います。 (吸音材の非線形という問題は残りますけど。)

私は設計の上で、この特性を整えた上で --つまりできるだけレジスティブにして-- 低域の拡張を図ること にしました。
それこそが TLS を特徴付ける点だと思うからです。

尚、ついでに言っておくと、今回選択した Vifa のトウィータも、Non reflective dual chamber を謳っています。

振幅特性だけから言えば、私がやった様に開口端付近で滑らかに絞り込まなくても、適当に絞り込んだ所から、一定の長さを与えても同じ様になります。(その場合、動作はよりバスレフに近い・・・ML-TQWT と言って良いでしょうね。)

私の滑らかに絞り込むやり方でも、吸音材が少ない時に、共振周波数付近での開口部とドライバの位相が 合ってきます。
つまり、吸音材が少ない方が、開口端に於ける共振周波数での反射は明確になるみたいです。(バスレフや ML-TQWT ほどじゃ無いですけどね...)

同じ条件で吸音材を増やすと、位相が合う周波数範囲は狭くなりますが、依然としてその兆候は伺えます。
とは言え、ほぼ同容積で同開口面積のバスレフとは、以前としてかなりの隔たりがあり、前面と開口端との位相はあまり厳密には一致しません(下図 7)。

それだけ、開口端からの音はブロードな特性になります。共振点より下でも変化はブロードになり、バスレフほど急峻に低域端が下降しなくなります。 赤の実線がドライバ側、青の点線がラインの開口端の位相推移です。

phase
Fig.7 
開口端とドライバの位相の比較


バスレフの特性に付いて述べますと、下図 8 に、同容積で同開口面積のバスレフのポート出力とドライバとの位相関係のシミュレーションを示しますが、ほぼ 1dec に渡り位相が一致しています。青の点線がポート出力の位相です。


Fig.8
 バスレフでのポートとドライバの位相

同容積で同開口面積のバスレフの音圧特性は下図 9 の様になります。


Fig.9 
バスレフの振幅特性

こちらのほうが 40-100Hzに 限った周波数振幅特性はフラットですが、中域でも前面からの音響出力に位相と振幅の乱れが見られるように なります。背面の制動が無く、リアクティブに大きく変化する背圧の為です。
低域端20Hz付近でも、逆に落ちている点に注意して下さい。低域端では無制動により近くなります。

電気インピーダンスは、そのピークの周波数も絶対値も共に高くなり、低域での位相回転は大きくなります。 (つまり Q が高くなります。)
この時、バスレフ箱でのドライバ背面の音響インピーダンスは、下図 10 のように全帯域に渡り明らかに リアクティブです。TLSとの違いは明らかでしょう。(±90°に近い程、リアクティブです)

Fig.10 
バスレフにおける 音響インピーダンスの位相特性


TLS では電気インピーダンスも異なります。下図11 にシミュレーション結果を示します。赤の実線が TLS、 青の点線は無限バッフルの特性です。

electric impedance
Fig. 11 TLS の電気インピーダンス特性

ピークが通常のバスレフよりも、ずっと低くなります。吸音材で制動される為です。周波数も低いです。
(吸音材を目一杯詰め込むと、音圧特性は無限バフルに近づくと言う話を最初にしましたが、しかし電気 インピーダンスは、青の点線に重ならないのは明らかです。赤の実線のピークが低くなるだけです。)

最終的な図面 (pdfです。 ココをクリック) を示します。 陰を付けた所が、 吸音材を詰めた部分です。

図面の黄色の部分は、檜の三角材で、DIY ショップで買ってきました。18mm角、12mm、8mm と使い分け ています。

吸音材には、開口に近い方の側に 50g 程のグラスウールを用い、他はエステルウールです。
エステルウールは片chで 200g 程を用いています。(商品名:ロカ綿。一袋が約 65g です。)

吸音材の密度としては、最初の 50cmが 8[kg/m3]、中間以降が4[kg/m3] 程度です。(この値は、調整段階で設計値とは 変えています) 最後の狭くなっていく部分には無し (これが重要な点) です。

計算してみれば判りますけど、絞ってあると、あまり吸音材で共振周波数が変化しません。

但し、絞っている箇所に入れるとおかしくなりますので、斜めに絞ってある部分には、仮に必要な場合でも最小量にとどめて下さい。

グラスウールは高域での減衰が遥かに大きい(数値的には10倍も違う)ので、高域の漏れを小さくする為に入れています。吸音材を減らせば低域は出るようになりますが、高域の漏れも増えます。
グラスウールを出口に近い所に使う事で、吸音材を減らした低域特性と、最初に示した中高域の特性とを合わせた形になる筈で、理想的になる・・・筈ではなかろうか(^^;;;)、と期待しています。

極端なワイドレンジを狙わないのでしたら、ラインを短く出来るので、ここまで大きな箱は必要でなくなります。
私は、四七定尺合板でぎりぎりでとっていますので、効率的ですけど(^^;)。板取はこれ(pdf ファイル)です。
色々と計算してみると、面白いと思います。

開口部付近は、図面を見ても何だかワケが判らないですが、図面は三次元CADで無いと見えません。だから諦めて 下さい...ってワケにも行かないでしょうから(^^;)、写真で判断して下さい。

要するに、滑らかに先端に向けて絞り込んでいます。その為に、三角材とバルサブロックで削りだしたものを 白樺合板に張り付けたのが下の形です。

クリックすると、大きな画像になります。
新しいウィンドウで開きます。ブラウザのボタンで消して下さい。



先端部を組んでみたのが、下の写真です。


開口端面積は 0.0024[m2] だから、幅 24[cm]、 高さ 1 [cm] でも同じです。
つまりラインの出口に 1 [cm] の隙間を作ってやれば、 こんな面倒な細工の必要は無いように思えてきます。

・・・この考え方は、音響理論的には正しいのですが、力学的な疑問が残ります。

音とは、空気の気圧変化です。ラインの中は平面波に近い筈で、絞って行くに従って粒子速度が大きく なります。(音速は逆に遅くなります。媒質の速度と波の速度は別、なんてのは高校で習う筈ですね ^^;)
ベルヌーイの定理に従って、絞り込んだ開口端付近の壁にはその流速比に従って、大きな力が働く筈です。
その力は壁を振動させ、エネルギーをロスし、箱を無駄に鳴らすのでは無いかと思うのです。

だから極端な扁平にはしない方が良いのではないか、と考えて、敢えてこういうカタチにして、強度を稼い でいます。

開口端を絞り込んだ分だけ、バッフルをスラントさせていますが、これはネットワークとも関係する話なので、次のページに譲りたいと思います。

尚、Meadowlark Audio もスラントの形が似ているせいか、同じ構造だろうと思われる場合があるようですが、実は全然違います。

Ketrel これがMeadowlark Audio の構造ですので、私のとは相当違うのが解ると思います。

なんか既に半分製作に入ってしまいましたが、次の頁がネットワークの設計と箱の製作です(^^;)。

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