出産と育児
Clving and Nursing




出産と育児
妊娠期間はハンドウイルカ/
イロワケイルカでおよそ12ヶ月、ベルーガ14〜15ヶ月、シャチ17〜18ヶ月。
メスは生殖孔左右のスリット内に乳首が有ります。子供は葉状突起の有る舌をストロー状に丸めてスリット内の乳首に吸い付くのです。
★何でまたそんな下の方にお乳が有るかと言うと、本来哺乳類には7対(2×7)のお乳が有り人間は上方の1対、クジラやイルカは一番下の1対が使い易かったのでしょうか。犬や豚などはフルに使ってるみたいですね(多産ですから)。(写真:ハンドウイルカの授乳)
 妊娠する子供の数は一頭で、妊娠期間は10ヶ月〜16ヶ月、回遊や採食サイクルと合致しています。双子/三つ子の報告はありますが、確率はおよそ1%。

胎児は体内で陸上の哺乳類の胎児と同じ様に体をくの字に折り曲げています。尚、彼らの骨盤は退化(殆ど無い)しているので出産は安産です。出産は尾から生まれるのが一般。クジラ・イルカの背鰭には骨が無く、出産時はクニャクニャしておりさほどつっかえない様。生まれた直後の子イルカの肺には空気が無く、生まれたばかりの子イルカの仕事は気合い入れて水面を目指す事が最初。群で生活する歯クジラ類は乳母役に雌、まれに雄も子供の吸気を手伝ったりもします。
写真左:舌のフチに見える
葉状突起のなごり
写真右:雪印海獣ミルク

※雌雄の同定
シャチ(雄)
生殖器の左右に黒いハの字状の色が在ります。
※おなかの黒い小さな点がオヘソです。
ハンドウイルカ(雌)
未だ若い個体の為写真では左右のスリットが見にくいですね。
※直腸で体温検査を行います。
シャチの雌雄
左:オス、右メス
ハンドウイルカの雌雄
左:オス、右メス
 性的二型により成長した背鰭や牙等で判断出来るが、雌雄に差が無い場合は腹部の生殖孔の構造で区別する。
イラストは「シャチ」と「ハンドウイルカ」の腹部。オスの生殖孔はタテに長く溝も浅い、上部の黒点はおへそ、中程のスリットはチンチンが格納されてる溝、下部の黒点は肛門。
(シャチのオスは生殖器格納庫の左右にハの字の色が入ります)
 雌の生殖孔は小の字に見える。左右に乳首があります。おへそと肛門はオスと同じ。この形は体の大きなヒゲクジラもボリューム以外はほぼ同じと言って良いでしょう。
 写真左:雌のシャチの生殖孔。スリット内の乳首は意外に大きく、ツルツル・フワフワしています。又、授乳時にお乳で大きく腫れたりするのは他の哺乳類と変わりありません。

 シャチ雄のオシッコ(黄色い部分)  同じくウンチ(濃い緑部分)        ベールーガのチンチン
 れっきとした哺乳類でしょ?ちなみにチンチンを出してたベルーガは交尾中でもないのに2分以上も出しっぱなしでい
 ました。アメリカのとある研究者は「ハンドウイルカは意識的に7秒間出していられる」と発表してましたが・・。

★特筆したいのが海洋生物の食物連鎖頂点「シャチの妊娠期間18ヶ月」、さらにシャチはは次の出産迄に8年〜20年と他のクジラやイルカよりも再生産が遅いです。これは確実に子供を残す事と、増えすぎて同種間での自滅を避けていると考えられますね。
 又、乱獲によりシロナガスクジラが減り、逆にミンククジラが増えている様です。これはシロナガスのプランクトン割り当てがミンクに還元されたというより、ミンクの生息域が増えたという理由が妥当と考えています。生息域が広がった事により同種間での競争ストレスを減らしたのではないでしょうか。又、彼らが再生産(妊娠〜子育て)までのサイクルを短くしている事も判明しています。かつてのミンククジラは出産してから次の妊娠までの期間(4〜5年)を現在では、授乳(育児)しながら妊娠をしています。これは野生生物としては極めて珍しく、生活環境の良質化は短期間でも体質に影響を及ぼす事と、野生生物の生活がいかに厳しいかが判ります。

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