耳とエコロケーション
Ear and Echolocation

耳とエコロケーション
 音を聞く内耳のシステムはエコロケーション(音響定位)と呼ばれる機能に使われています。
 魚類の多くは測線により「振動」を感じますが、イルカのエコロケーションシステムは噴気孔下の気嚢を使い、ひだを振動させ頭部のメロン内で音質を調整し発射〜反響してきた振動を下顎内の脂肪層で捕らえ、内耳を通って脳で感覚となります。(右イラスト)
 エコロコーションの能力はおもに距離/大きさ/形/材質/水温/会話など水中生活に必要な物ばかり。
 歯クジラが音響定位で有名ですが、これは補食する生物の動きが速いのと、暗い海中で補食行動する為、さらには天敵の「サメや同種族のシャチ」の襲撃を察知す為等「補食と防衛」を兼ね備えています。高性能な歯クジラのエコロケーションは有名な訳ですね。
 さて、ヒゲクジラの音響定位ですが、ヒゲクジラの発する音域は低く、音の振動幅が広い為小さな餌生物を確認する事は出来ないと考えられます。ですが低い音は遠くまで伝わる事から、主に地形を探ったり、交信などに使っているというのが定説のようです。一応ヒゲクジラもロケーションは行っている訳ですね。
 声(音)に関しては、
●クリック音(響測音)=エコロケーション
●ホイッスル(会話音)=会話
●バーク音(層状音)=威嚇や異性に対して発する3種類があげられます。
 音源は気嚢2ヶ所/咽頭の一部1ヶ所と3箇所確認されており、2種類の音と同時に発する事が可能です。又、同時に周波数の違う音を発する事が可能で、エコロケーションの可能性はまだまだ広がります。
 実際イルカのクリック音を水中で人間が聞くと「カリカリ・キリキリ・チリチリ」と結構キツイです!(頭蓋と内耳に響きまくり)
自然界では他にコウモリが使い手。我々人間は航空機のレーダーや魚群探知機などに応用していますね。
バンドウイルカの水槽で目の前のイルカに「キュ〜キュキュキュ」(実際には「ゴボボバガボバガボガボ」)と話しかけて見た事が有るが、目を丸くして驚いているだけで返事は返って来なかった。(やっぱ無理か?)

エコロケーション概念図


●ハンドウイルカ(一例)
気嚢で発せられた振動は→→直接/反射させ、おでこのメロンで指向性を持たせつつ発射→→反響音は下顎の特殊脂肪層を通り内耳へ向かいます。




●退化してしまった外耳の痕
目の後ろのくぼみが外耳の痕跡です。

 歯鯨達は音を補食に役立てているという話ですが、音で魚を殺す事は可能で、殺さないまでも神経をマヒさせたり動きを鈍らせるなどして魚や頭足類を補食をしていると考えられます。

関連文「歯クジラの波動砲」エコロケーションとクチバシにの関係

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