代謝機能、骨
Metabolish. Bone.


代謝機能
 特筆するべくは「胃」と「腎臓」「水分の補給」。歯クジラの多くは3つの胃で食べ物を消化しています。ヒゲクジラは4つの胃を持っています。但し補食するモノの種類で胃の数が決定されてる訳でも無く、とりあえず胃の数が多い理由に祖先(おそらく偶蹄類)の特徴を良い方向で受け継いでいる。とでも言って置きましょう。食べるのは良いが「一緒に飲んじゃった海水」はどうしましょう?
 魚はエラに有る特殊な組織を使って体外に塩分を排出していますが、クジラやイルカ達はどうやって塩分を排出するかと言うと良く解っていないのが現状です。ただし腎臓の機能は抜群で、これが直接体内の塩分をコントロールしているかどうかは解りませんが「小腎」と呼ばれる複数個からなる腎臓で血液中の不要なモノを体外に排出しているようです。「小腎」は小さな腎臓がぶどうの房の様に寄り集まったモノ。大きなナガスクジラ辺りでは6千個前後、バンドウイルカでも3百個以上も有るのです。要するに腎臓の表面積を増やして効率を上げる・・という訳です。ちなみにウマなどもこの「小腎」を持ってます。
 水分の補給ですが、腎臓が高性能だからと言って海水をガブガブ飲んでいる訳ではありません。体に蓄えた脂肪をエネルギーに換えた時に発生する「水」で水分補給しています。彼らには汗腺が無いので水分の消失は少なく、脂肪から得る水分で充分な訳です。気が着いたと思われますが、脂肪から水分を得るのは「ラクダ」も同じですね?祖先が持っていた「高性能」な部分は海で過ごす為にもって来いだったのですね。あ、ちなみに祖先は「ラクダ」の様な種類・・と言って於きます。ラクダも「そういう様な機能」を祖先から受け継ぎ、砂漠で活かす事に成功した訳です。ですからイルカもクジラもラクダも「きつい環境」で上手く繁栄できたと言えるでしょう。

 重力の影響を殆ど受けない彼らの骨は軽石の様に「スカスカ」しています。でも筋肉を支えなくてはなりませんから柔らかい訳ではありません。
 シャチやオキゴンドウの頭蓋骨は下顎が大きく発達し、肉食恐竜を連想させる程キョーレツな形。ヒゲクジラの顎は二つに分かれ弓状で細長くなっています。実際に何種類ものイルカやクジラの頭蓋骨に触れてみましたが、軽く、スポンジ状の小さな孔が沢山空いています。又、顎の骨は内側でV字又はU字に切れ込みが有り骨の中は中空です。(音響測位時に受信部として特殊な脂肪質が詰まっている為ね。)※例外少し有り。
 その頭蓋骨を支える首の骨は一般の哺乳類と同じ7つの骨で形成されてますが、多くの種類は幾つかの頚椎が融合しており首振りは不得意。鼻の穴が頭の上に移動して首を上下に振る必要性が減ったのと、水流に負けない強力な首の為に「融合した」のではないでしょうか。又、例外として障害物の多い所に住むカワイルカ科や、氷の多い所に住むイッカク科の仲間は融合しておらず、ベルーガやスナメリは頭を上下左右自由に動かせます。マッコウに至っては首の骨はガッチガチで、出っ張ったおでこで前は見えないし、もう潜水マシン状態です。  (写真左右共シャチ骨格、国立博物館)

足の骨
 鯨類の足の骨は消失しており、かろうじて棒状になった骨盤の一部が体内に残っているに過ぎません。過去に120センチ程の足を持つマッコウや日本・ロシアでも体外に10〜15センチ程足を出すミンククジラも確認されていますが、もちろん機能していた訳では無いでしょう。現在のクジラ・イルカが体内に残す骨盤の大きさは、シロナガスクジラで60センチ程度、バンドウイルカは人間の小指程度。完全に消失しない理由に「生殖器を支える為」です。
 写真左中央に小さく見えるのが「シャチの骨盤」。脊椎からは離れており、棒状に二本並列するような形で並んでいます。
(写真:国立科学博物館所蔵)

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