トヨタから出た新感覚のデザインを採用したセダン。イタリー調のエキゾチックな造形とマークU
譲りの完成度高いエンジン&駆動系を合体させた。バリエーションは、2.0の1G系と直噴D−
4で進化した2.5のNA 1JZ−FSE、クラストップのパフォーマンスを誇る2.5ターボ
1JZ−GTEの三機種で展開。ボディサイズが3ナンバー専用になることからも2.5Lが主体と
なる。その個性を象徴するかの筋肉質で力強いデザインからもターボ系があっても似合う。しかも
ターボ車にはMTも用意するこだわりようだ。
躍動感ある外観とターボもラインアップする車種展開からも想像できるように足回りもスポーティ
なチューニング。といっても、ガチガチサスではなく、腰の入った硬さ。柔らかくはないが、挙動
の中に芯があるような感じ。当然だが、スポーツカーのようなクイックさはない。しかし、市街地
走行から高速巡航、ワインディングまでハイレベルな安定感を実感できる。
また、セダンとしての機能性、ユーティリティに余念はなく、しっかり作りこまれている。この個
性派セダンの紹介をここでしよう。
エキゾチック・ムードむんむんなデザインは誰もがそのスタイルからも実感できるようと思う。前
後フェンダー部やボンネット上部に入ったアクセントライン。まるで筋肉の流れを見るかのような
力強く活動的なデザインは妥協をすると中途半端でカッコも悪くなってしまうのだが、一切の妥協
と守りに入らなかったのが本当によかったと思う。フロントグリルの細かい目のメッシュや両端に
寄せた、上部にまで切れ上がったヘッドランプ、グリル両サイドに開けたエアインテーク。リアも
左右独立の異形テールを採用し、サイドからの流れをうまくまとめている。個性的であるが上質で
力強く躍動感あふれるこのスタイリングは一目で”ヴェロッサ”とわかる。
この繊細で大胆なデザインをここまで加工できた技術には脱帽。是非、感性でじっくりとこの造形
美を味わっていただきたい。と正直に思う。
ヴェロッサ・フロント部
ヴェロッサ・リア部
ヴェロッサ・サイド部
カラーバリエーションは6色を設定。車のイメージからシルバーやダーキーなカラーの方がイメー ジにあっているよう。ホワイトパールクリスタルシャインのみオプション(+3.0万円)設定とな る。
写真は,ヴェロッサ 20
ボディーカラーは,ライトブルーマイカメタリック
インパネの基本はブラック調(一部、ミディアムチャコール色も選択可)で外観デザインをイメージ
させるもので、エアコンダクトなどの盛り上がった造形とアクセントのめっきリングは躍動感と力強
さを感じる。インパネ上部にはナビゲーションシステム(メーカーオプション)、エアコンの操作系
を配置。手の動きはできるだけ小さくしているところは、さりげない心配りがうれしい。
又、写真下部に少し覗かせているのが、アルミペダル。これは全車標準装備となり、スポーティさと
パーソナル性のこだわり。
インパネ
※写真は20のインパネ。
標準は、エアコンパネルの上部に小物入れが装備される。DVDナビのEMV(エレクトロマルチビ ジョン)はメーカーオプションの設定となる。
センターコンソール部拡大
センターコンソール部拡大
EMV装着車:写真は VR25
計器は大型の円形を重ねたデザインで斜体のゴシックが印象的なアナログ式を採用。また、点灯時に は文字、指針が赤色になる。
計器
内装のシートには、基本はファブリック生地を採用。ブラックが標準となるが、ホワイトパール、
シルバーメタリック、ブラックチェリーマイカの三色にはミディアムチャコール色も用意され、
ブラックのダッシュボード、インパネとツートン内装になり、スポーティさの中にさりげない高
級感も楽しめる。
又、本革仕様もオプション設定されており、こちらはブラックのみが用意されている。
前席
後席
トランクルームはバンパー上部から開けられるため荷物の出し入れはしやすい。タイヤのホイール
ハウスの張り出しの奥にはその空間にあわせたラゲージユーティリティボックスが納まり見た目の
すっきり感だけでなく、後席のトランクスルーから直接ものを取り出せるちょっとしたアイデア品。
長尺ものを積みたいときはあらかじめボックスを下ろしておけば、長尺ものも積める。
トランクルーム容量自体は特にクラス的に他に劣ることはなくまずまず実用レベルはしっかり確保
している。
トランクルーム
安全装備系では、GOAに加え、デュアルエアバッグ、ABS(アンチロックブレーキシステム)、 ブレーキアシスト、EBD(電子制動力配分制御)、全席ELR付3点式シートベルト(前席プリテ ンションナー&フォースリミッター機構/後左右席チャイルドシート固定機構付)、SRSサイドエ アバックSRS&カーテンシールドエアバックシステム(全グレードにメーカーオプション)、WI Lコンセプトシート(Whiplash Injury Lessening:頸部障害軽減)、頭部衝撃緩和構造、TRC( トラクションコントロールシステム:VR25に標準、V25、25にオプション)など充実している。
流れるような曲面を多様化したまるで生物的なものを感じさせる外観。フロントに大型のグリルとそ
の両脇に口開くエアインテークが目を引く。ボリューム感を増した前後両フェンダーは見るからにキ
ャラクターを”活動的”と意識付けさせてくれる力強いもの。このあくの強さが”ヴェロッサ”の個
性であり、特徴であると思う。
短距離、短時間であったが”20”グレードの試乗ができた。エンジン自体は、”1G−FE”を採
用している。これは、ベースとなる”マークU”や、高級セダンの”クラウン”の2L、スポーツセ
ダンの”アルテッツァ”などにも採用される実績ある6気筒エンジンだ。”マークU”と異なるとこ
ろは”音”を室内に取り入れて、ドライバーに”走る”ことへの意識を高めているところ。重低音と
かいわれるスポーツ性の強い音では無いにしても、確かに走りを意識付けられるものだ。これを”落
ち着かない”と考える人にはあまり心地よいものではないかもしれないが、決して不快な音ではなか
った。足回りも若干スポーツ性を意識しているのか硬め。道路の走りもステアリングを通して伝わっ
てくるのは”ヴェロッサ”のキャラクター性を生かしていると思われる。
室内の演出もペダルもアルミペダルを採用したり、めっき部位もアクセントに極まっており、大人の
さりげないスポーツセダンといってもいいだろう。
搭載エンジンは、全機種直列6気筒。2.0Lと2.5Lには直噴D−4と206kw(280PS)を
発生するターボの3機種。駆動方式には2.0、2.5L、ターボに2WD(FR)と2.0Lに4WD
を採用し、5グレード。フォーマル系の20、25系とスポーティなV25とVR25(ターボ車)の2
系統、好みで選択できる。
全車装備は充実しており、日常用途での格差は大まかにはオーディオくらい。思い入れでグレードが選べ
るような設定になっている。
では、お節介。
3ナンバー専用のボディサイズをもつ車格、”ヴェロッサ”のもつ雰囲気からスポーティなV25(29
4.0万円)がお薦め。ターボのVR25にも目が行かないわけではないが、扱いやすさ、バランス性か
ら考えてもV25の方が長く付き合いやすい。気軽に”ヴェロッサ”の雰囲気を味わいたいなら20がい
いだろう。
とにかく個性重視の車だけに現車はみて試乗してみてほしい。気に入れば逆にこれ以上の車はないはずだ。