概要

今や、ファミリー1BOXの定番ともいえるステップワゴン。現行二代目となるこの車は先代に比 べてどんな進化をしたんだろうか?これからのユーティリティ面ではどうなんだろうか?
5ナンバー最大級の居住性とコストパフォーマンスを誇る実力車を観察してみたいと思う。 


外観

初代となる先代モデルは、徹底的なコストパフォーマンスと5ナンバー最大級の居住性を追及した モデルだった。よって、華やかさというよりも質素で、実を取るユーザー向けであったように思う。 特徴はなんといっても先代から継承するBOXデザインだが、現行となる新型はきっちりデザイン 性にも面白さが出てきた(さすがはホンダ)。
前は角目のヘッドランプに横長で横線のグリルの上側にめっき処理でアクセントをつけている。サ イドはボックス基調とした箱デザインだが、ヘッドランプ上側から伸びるアクセントラインはリア テール、バックドアを周り、全体的な一体感を出している。
今回のデザインの見所と思われる(筆者の)、テール処理だが、Cピラーに一体化する大型の縦型 テールランプは従来車と共通イメージだが、ルーフからゲートにかけての独特の曲面はガラス面も 同曲面に仕上げており、今回の個性と見所といっていいのではないだろうか。
側面は窓の面積を大きく取り、室内に光を取り込むことで室内の開放感に効果を出している。

STEP WGN FRONT

ステップワゴン・フロント部

STEP WGN REAR

ステップワゴン・リア部

写真の仕様からは確認できないが、エアロを装着しない標準仕様ではバンパー4隅が無塗装グレー 地で傷や破損してしまったときに部分交換を可能とすることで修理代の低減にも効果をあげている。 また、好みが分かれるが4隅のグレーがボディ色のいいアクセントになっているのもデザイン効果で はないだろうか。

カラーバリエーションは7色だが、ベースグレードのYはパールホワイト(正式名:ブリリアント ホワイトパール)が選択できず、逆にソリッドのホワイト(正式名:タフタホワイト)はYのみの 設定になっており、各グレードは6色からの選択になる。ソリッド色は設定なく、ブルー系、ブラ ック系、チタン系、レッド系、シルバーと全色メタリック、パール色の採用も特徴だ。

写真は,ステップワゴン I モデューロエアロ&オプション装着車

ボディーカラーは,ブリリアントホワイトパール


装備

インパネはBOX基調で凹凸の少なくシンプルなデザイン。見た目の配置をわかりやすく設置する ことですっきりした印象。全体的にライト調の色で室内は明るい雰囲気を出している。又、コラム シフトではなく、インパネシフトを採用することで、従来のコラムシフトのゲート式でうまくシフ トを動かせなかったという苦手な人にもうれしく、ストレートシフトになるので乗用車からの乗換 えではじめてのBOX車を購入した人にも操作しやすくなっている。

in-pane.

インパネ

※写真はディーラオプション 木目調パネルを装着したものです。

計器は、通常のポジションでアナログ式メーターを採用。ポップ調の大きな文字で親しみやすく見 やすい。

METER

メーター

内装のシートには最上級グレードのKはジャガーモケット地のベージュ色を採用し、その他グレー ドにはソフトウィーブという毛足の短い生地を採用している。ソフトウィーブ採用車はボディーカ ラーによって2色から選べるようになっておりブルー、イエロー、ベージュの3色が設定されてい るが、Yはベージュのみの設定となっており、I,Dはシート色の選択式を採用している。(全車 選べるのはベージュのみ。)
又、インテリアカラーもシート地に合わせて色が決められており、ダッシュボード上部やステアリ ングハンドル、ドア内側の窓の下部の色などがコーディネートするという方式。

FIRST SHEET

1列目座席部

SECOND SHEET

2列目座席部

THIRD SHEET

3列目座席部

全ドアともに開口部が大きく、車内へはワンステップで乗れるために乗降性も非常に良好。窓の開 口面積も大きくて、室内の閉鎖感覚はなく、開放的。室内色の明るいめの色の採用もあって乗車イ メージもいい。

シートアレンジは多彩で、フルフラットはもちろん。1列目シートがIタイプ以上のグレードには 回転機構がつき(Dタイプにはオプション設定、Yタイプには未設定)、2列目のシートにはシー トバックテーブルがついてるので、これを倒せば、3列目シートとで何とリビングになる!これは、 室内広さがなければものすごく窮屈になるが、室内有効長さ(カタログ値では2800mm)の有効さで なかなかこれが快適。オートキャンプなどではテントなども要らず、かなり重宝しそう。
2列目シートをただ後に向けたアレンジや、2列目シートをチップアップ、3列目シートをたたむ (両サイドへはねあげる)ことで、広大なカーゴルームも得られる。人のみならず、荷物のも対応 できるのがこのカテゴリーの車の強み。中でも、クラストップのボディサイズはその有効性を発揮 できるというわけだ。これだけ広いときまったスペースに物の大きさを考えて積めてゆく作業の苦 手な人もあまり考えずに荷物が積めてうれしい?かも。

安全装備系では、G−CONに加え、デュアルエアバッグ、ABS(アンチロックブレーキシステム)、 ブレーキアシスト、EBD(電子制動力配分制御)、ロードリミッター付きプリテンショナーシート ベルト(前席)、1列目用i−サイドエアバックシステム(全車にメーカーオプション)、室内難燃材 など充実。ドライバー、搭乗者のサポートもしっかり。


現車の感想

ここのところクリーンエンジンのラインナップを続々と市場に送り、充実させているホンダ。このステ ップワゴンも例外なく、新型i−VTECエンジンを採用している。燃費はクラストップの13.2km/L( 10・15モード FF、車重1510kg以下)で、かつ排気ガスは「優−低排出ガス」を認定取得する。
ひところ、環境性能のエンジンには動力性などに不満があるものも少なくなかったが、試乗したところ 非常に加速性能もよく元気なエンジンで大きな不満はなかった。ロールもこの車高の割には少なく、ハ ンドリングも軽快でレーンにも乗せやすい。運転しやすい車。当然、無理をすればBOX特有の挙動も 出るが、安定感は格段によくなっている。ブレーキもしっかりとした効き具合が上々で、走行中の室内 への騒音の進入もかなりよくなっているのではないかと感じた。
見た目のわりにきびきび走るのでなかなか楽しくドライブできるのではないかと思う。


車種構成

搭載エンジンは一機種。駆動方式にはFFと4WDがあるがそれぞれ4グレードの設定。もっとも簡素 になるエントリーモデル Yタイプ(FF:185.8万円〜、4WD:210.8万円〜)、スタンダードモデ ル Dタイプ(FF:196.0万円〜、4WD:221.0万円〜)、快適モデル Iタイプ(FF:209.8万円 〜、4WD:234.8万円〜)、ナビ・アルミホイールなどを標準化した上級モデル Kタイプ(FF:229 .8万円〜、4WD:254.8万円〜)となっている。ミッションは全車AT。
ディーラーではかなり細かくオプションの設定をしているので、購入の際には要不要をしっかり吟味して 商談にあたりましょう。


おせっかい

では、興味がわいた人への一つお節介。
ここは、当然、ステップワゴンのコストパフォーマンスを生かした検討するのがベスト。あれつけ、これ つけして高価にしてしまっては何か味がなくなってしまう。当然、その分装備が選べるのも事実なんだが ・・・。ここは、Dタイプ(FF:196.0万円〜)から装備の組み合わせを考えたい。但し、1列目回転シー トなどに魅力を感じて装備を展開するとその上級Iタイプに手が届く価格になることも充分にあるので、 注意が必要。
あと用品などはカー用品店での汎用品の価格と見比べて安い方を取るなどしてもいいだろう。初めてのミ ニバンデビューの方にもなかなかお勧めできるモデルなので是非、検討車種の1台に加えてみては?
余談だが、もし、このクラスの車種をもっと勉強(装備、構造など)してみたいという方には、トヨタ  ノア、ニッサン セレナ、マツダ ボンゴフレンディなどを見学されて、このクラスのスタンダードをじ っくり吟味するのもいいでしょう。


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