アルファード G MX ”L edition”
トヨタ発のフラッグシップミニバン。名前のアルファードは星座で最も明るい星のギリシア語αに由来する 造語でエンブレムにも”α(アルファ)”をデザインしたものがグリル中央に輝いている。その輝きをミニ バンでのトップでありたい、あるべきの意味を込めているのだろうか、なにやら意気込みを感じるネーミン グ、由来である。実質のグランドハイエースの後継にあたり、排気量はもちろん質感、室内の快適性、ゆと りは定評があった。今回、新型に切り替わるにあたりいかな進化を遂げたのか、また次なるスタンダードの 予感とは何か、装備ユーティリティなどから見ていくことにしよう。
エンブレム
基本の1.5BOXミニバンデザインである。先代にあたるグランドハイエースなどから見ると全体を 緩やかな曲線、曲面で構成されたものではなく、シャープなラインの中にアクセントにあたるフェンダー部 、フロント〜ルーフ処理に曲線を入れ、各面の境にははっきりとしたラインを浮き立たせキャラクターの表 情を大胆にかつ力強く表現している。特に”AS”、”MS”のスポーティグレードには標準でエアロが装 着されるが、バンパーにもグリルからつながる大きな切れ込みが入りよりデザインの主張を濃くしている( 下写真参照)。
アルファード G・フロント部
アルファード G・リア部
アルファード G・サイド
カラーバリエーションは8色。全色質感際立つメタリック&マイカ系。
写真上は、アルファード G(ボディカラー:グレーマイカメタリック) AS オプション装着車
流石と思わせる質感の高いダッシュ&インパネ。継ぎ目も自然で部位部位に配される木目調パネルもさりげ ない。木目調パネルは通常はブラウンだが、スポーティグレードとなるMS、ASは紺木目調を採用。上級 グレードは配置箇所が助手席側など増え、より質感向上に寄与している。座席側に大きく向けた丸みを帯び たゆとりを感じる飽きのきにくいデザインが特徴。
インパネ周り
メーター配置は中央に大きくスピードメーター左にタコメーター右にATインジケーター、水温、燃料計と なる。文字はブラックバックに白文字とスタンダードながら見やすい。グレードによって三種類あり、MS, ASのメモリの淵にブルーを配し、小文字を含めた10km/h刻みにしたスポーティメーターとMZ系に 使用される自発光式のオプティトロンメーターもある。
メーター周り
大きさにゆとりがあり長距離もいとわないであろう。セカンドシートもしっかりとしたつくりで安心感ある 座り心地。ユーティリティでは、7人乗りで最大550mm、8人乗りで最大570mmのスライド機構を もつ。他に回転対面シートにも対応している(但し、MZ系の7人乗りは除く)。フルフラット機構とサー ドシートのスペースアップ(中央からウォール側に開く)機構は全車に共通したシートユーティリティ。こ のあたりは広い室内を充分に堪能できるだろう。
フロントシート部
セカンドシート部
収納には特にうるさくなるRVクラスだが、クラスに反せず充実振りを発揮。ここでは写真に以下のものを 紹介しよう。どの収納も開閉時の質感、仕上がりが良くプラスチッキーな安っぽい動きもない。細部までも 上質感を感じることができる。センターフロアコンソールボックスは大型で容量も勝手も上々、”つかえる” を実感できる。他には運転席バイザー中のルーフポケットやドア内側のトリムポケット、バイザー中央の オーバーヘッドコンソール等の充実ぶり。
運転席収納:カードホルダー&小物入れ
センターコンソール〜助手席収納
センターフロアコンソールボックス:通常時
センターフロアコンソールボックス:使用時
サードシートスペースアップ&収納例
運転席の背にはお買い物フック(運転席側セカンドシートの背にもある)、セカンドシートの背にはトレー がつけられ、ロングドライブにも快適に過ごせる装備。もちろん、フックはその名の通り買い物時の買い物 後の袋や手提げをつるも可だ。サードシート両脇にはカップホルダー、脱着式灰皿、サイドポケットも用意 されている。
お買い物フック
バックシートトレイ
バックシートトレイ
サードシート両脇のユーティリティ
安全装備系では、GOAに加え、デュアルエアバッグ、サイドエアバッグ、カーテンシールドエアバ
ッグ(MZ G editionを除く全車にメーカーオプション)、ABS(アンチロックブレー
キシステム)、ブレーキアシスト、EBD(電子制動力配分制御)、フロント3点式プリテンショナ
ー&フォースリミッター付ELRシートベルト、WIL(頸部障害低減)コンセプトシート(フロン
ト)など充実内容。
また、対歩行者に対する歩行者障害軽減ボディをワイパー、ボンネット各所に採用している。
ここでは、Lクラスならではのゆとりの装備を紹介。
フロントグリルのエンブレム下に見えるのがブラインドコーナーモニターのプリズム内蔵カメラ。車両
左右方向約20mの状況をカメラで撮影、車内のモニターに映し出してくれる。死角の多いT字路など
では本当にありがたい装備。これは、DVDボイスナビゲーション付AVステーションとセットで全車
にメーカーオプション設定となっている。
ブラインドコーナーモニター
従来のクルーズコントロールと言えば車速設定を行い定速巡航をおこなうもの。もちろんこの機能もあ り45〜100km/hで設定可能。レーダークルーズコントロールはここから。バンパーの下部にレ ーザーレーダーセンサー、ステアリングセンサーを内蔵し、先行車と走行レーンを認識、判断して、先 行車の加減速に対しても追随走行する。高級サルーンにも見られる装備。これはMZ系のグレードにメ ーカーオプション設定。
レーダークルーズコントロール
まだまだ絶えないが、あと注目はパワーバックドア。大きなドアで重さもそこそこになってくるのでス イッチひとつで開閉してくれるのは本当にありがたい。助手席側スライドドアのイージークローザーや パワースライドドアなどはミニバンには多く採用されてきているもののバックドアは珍しい装備。他車 とのアドバンテージを感じる。Gエディションを除くMZ系にオプション設定。
エンジンは2.4Lと3.0Lの2機種を用意。エントリー用の2.4Lはエスティマなどにも採用さ
れるいまや主力エンジンで実用重視型。上級の3.0LはV6でゆとりと上質さがうり。2WDはFF
で、フルタイム4WDと駆動設定があり、全グレード選択可能(4WDは24.0万円高となる)。
グレードは汎用のAX(2.4L)/MX(3.0L)系(3種ある)、エアロで武装したスポーティ
なAS(2.4L)/MS(3.0L)、上級のMZ系と大きく志向は3つに分かれ、6グレード設定
されている。
3.0Lのゆとりと上質な乗り味、質感あふれる内装、車格とアルファードの売りである装備を堪能するな
らMZ。エントリーでもMXから選びたい。
今回乗れたのはV6 3.0L、1MZ−FE搭載のMX Lエディション。おそらくはエアロ装着のS系
とコスト的にも主流になるであろうグレード。見た目の迫力のまま本当に印象どおり大きい。ドアの開閉の
質感、動きを味わいながら運転席に腰掛ける。大きなウィンドウから降り注ぐ太陽の日を存分に受けながら
エンジンを始動、静かに走り出せる。加速もスムーズで、外観の上級イメージを裏切らないフィーリングだ。
このまま「さぁて、どこ行こうかな・・・」なんて遠出でもしたくなる。
高い位置のアイポイントは視界が広く、3.0Lの静粛でゆとりあるフィーリングと相まって運転にも自然
に余裕ができてくる。「オレが先!」というわがまま運転をしようとすると恥ずかしくなる車だ。この辺り
は上級車の所有の喜び、ステータスも感じられるだろう。
高い重心ながら安定性高く、大きさのわりには素直な特性。大きさのハンデはあるだろうが、ミニバン初心
者でも乗れる懐の深さを感じる。全域に気品を感じさせてくれた。
MX L edition front
MX L edition rear
MX L edition side
MX ENGINE ROOM
ちょっとユーティリティを実行してみた。気になるフルフラット、サイドスペースアップは方法から一回は
見ておきたい、そんな好奇心からだ。
操作自体は、慣れが解決する複雑さは全くないもの。苦手意識のある人も落ち着いて段階を踏めば何ら心配
はない。それよりも、フルフラットユーティリティを使用した広大なフラット面積やサイドスペースアップ
による広大なラゲージにはアウトドア派にはたまらないゆとりをもてるもの。これは是非現物の大きさを体
感してほしい。
セカンドシート以降フルフラット実施
セカンドシート以降フルフラット実施
サードシートサイドスペースアップ実施