先般のデトロイトショーで先にお目見えとなったあのコンセプトカーがついに登場。ミドルクラス 都会派クロカンのジャンルで、ここのクラスは多種多様。3.0Lクラスになると各社面々の実力車 も顔をつられるのだが、このクラスでは、ミドルクラスクロカン(パジェロイオ、エスクードなど )か、ライト(シティ)クロカン(RAV4、CR−V、エクストレイルなど)か、または、ロー ドクリアランスを高く設定したステーションワゴン(レガシィランカスター、フォレスター、アベ ニールブラスターなど)かの選択になり、各々の間で選択車が集中していないのが特徴。このエア トレックは、この従来の3ジャンルを何らかの形でそれぞれラップしたような車。ニューブランド で先にあげたジャンルの車に比べて知名度では現状低いが、このクラスで検討される方には、一見 の価値あり。では、その内容をナビゲートしましょう。
特徴は、フロントの独立四灯ヘッドランプを採用し個性的なマスクを仕上げ、ワイドな車格に15 50mmとロールーフ、前後のオーバーハングをつめて全長を4410mmと短めに設定し、ホイール ベースを長く取ったスタイル。基本的にはクロカンクラスのつくりをしているが、異なる最大の点 は、スペアタイヤを応急タイヤとし、ラゲージルーム下に収めている点、比較的に低く構える車体 から左ボンネット先端に補助ミラーがつかない点、前後バンパーもボディデザインに一体化してい ることで無骨さはなく、このあたりは非常に乗用車・ステーションワゴン調に近くスタイリッシュ。 今では有名になった1550という数値は立体駐車場に入れるという高さ。取り回し性を考慮に入 れたデザインは、乗用車からの乗り換えの方にも比較的自然に溶け込めるだろう。
エアトレック・フロント部
エアトレック・リア部
写真は、24V オプション装着車。
ボディカラーは、アーバングレー パール
また、ROAR製のエアロをまとったドレスアップオプションも存在する。こちらは、本当に厚み のあるステーションワゴンのようなデザインで、”ねらった”エアロのように下品さなく、自然で 美しい。好みで、選ぶのもいいだろう。
エアトレック・ROAR フロント
エアトレック・ROAR リア
写真のベース車両は 24V オプション装着車
ボディカラーは、サテライトシルバー メタリック
外観もさることながらこの車の個性の主張とも言える内装。実はインパネのカラーは3色から選べ る(但し、ベースグレードの20Eは除く)。カジュアル内装はオレンジ基調のアクセントカラー が、ダッシュボード正面やシートの外淵、アームレストなどに配色され、パーソナルな印象。ジェ ントル内装は、ダッシュボード正面やパワーウィンドウスイッチのベースにブラック木目調パネル を配置し、シートの外淵やアームレストなどは黒い配色の落ち着いた印象。そして、メーカーオプ ション指定になるが、ラグジュアリー内装は、ダッシュボード正面にブラウン木目調パネル、本革 製のステアリングハンドル、シフトノブ、シートなどを採用した高級志向のものとなっている。こ れは、自分の嗜好やこだわりで決めれるというわけ。
エアトレック・カジュアル内装 インパネ
エアトレック・ジェントル内装 インパネ
エアトレック・前席 ジェントル内装
エアトレック・後席 ジェントル内装
メーターは、アナログの二眼式でシンプル。メーターフードの形状がなんともこだわりかな?と思 わせる。また、センター部には、アナログ式の時計を採用。一部ミドルクラスやLクラスセダンな どには見たことがあるが、このクラスでは珍しい。但し、オプションでナビをつけるとこの部分に 内蔵されるため時計がなくなる。これは、きわどいかも・・・?オーディオは全車オプション設定。
エアトレック・メーターパネル
シフトは、インパネシフトでINVECS−Uのスポーツモード4速オートマチックを採用。コラ
ムが苦手な人にはありがたいし、乗用車ユーザーからの乗り換えも違和感が少ない。しかも、フロ
ントウォークスルーが可能となり、窮屈間がない効果もあって上々。
エアコンは、20Eのアナログ以外は全車フルオートを採用。風向のAUTOは気温と室内温とエ
アコンの温度設定に応じてそのつど、空気の循環方法が変わるもの。今回、エアトレックはこのエ
アコンの吹き出し口にもこだわった。そう、この吹き出し口、使わないときには蓋を閉じ、風向は
何とこの吹き出し口を回して好きな向きに変えられる!通常の吹き出し口でも調整はできるが、何
か風向がわかりやすくてかわいいと思いませんか?
エアトレック・エアコン吹き出し口 閉鎖時
エアトレック・エアコン吹き出し口 開放例
エアトレック・エアコン吹き出し口 開放・回転例
操作系では、ハザードアンサーバック機能付のキーレスエントリー(20Eは除く)やインジケー タランプ付のセキュリティアラーム(20Eは除く)が装備されている。
安全装備系では、独自の衝突安全強化ボディRISE(Realized Impact Safety Evolution)に加え、 デュアルエアバッグ、ABS(アンチロックブレーキシステム)、ブレーキアシスト、EBD(電 子制動力配分制御)、フォースリミッター付きプリテンショナーシートベルト(前席)など充実。
室内は、凹凸感の少ない非常にすっきりしたシンプルな作りでまとまっている。もともと高級志向 ではないので、必要なものがわかりやすく収まっている小難しくない機能的といっていいだろう。 また、特に窓の開口面積が大きいというわけではないが、閉鎖感も少なく全体的にシートはゆった りと座れる。
ラゲージルームは、左右のタイヤハウスの出っ張りを少なくし、右サイドには収納ボックス、ラゲ ージフロアアンダーボックス(サブトランクの方がわかりやすい?)など限られたスペースの工夫 が伺える。6:4分割可倒式(7:3にも見える)リアシートを採用することで、リアシート部位 までフラットフロアになるのはものが置き易くて評価できる。また、20E以外は12Vアクセサ リーソケットが標準になり、アウトドアでのいい補助になるだろう。
エアトレック・ラゲージルーム 通常時
エアトレック・ラゲージルーム 後席を倒した状態
エアトレック・ラゲージフロアアンダーボックス
カタログを入れて見ました。大きさの参考になります?
比較的厚みもあるので車のケア用品程度は収められるはず。
エアトレック・ラゲージルーム右サイド収納ボックス
左サイドには、おそらくは燃料タンクのパイプの関係でありません。
エアトレック・ラゲージルームフロアボックス(左)
右側には、ジャッキ、工具が納められています。
2.0Lと2.4Lの2機種あるが、2.0Lはなんと!non-GDIのSOHCだ。GDIイメージが定着
しつつある三菱だけにちょっと意外。しかし、”優−低排出ガス”の環境志向エンジンなのだ。しか
も、レギュラー仕様もうれしい。エンジンの出力等は後の諸元表のページで紹介するが、実用レベル
といったところ。主力となるのは、車格から見ても2.4Lになるだろう。グランディスやレグナム等
にも採用される実績あるGDIエンジンだ。
筆者は機会あって、この2.4L搭載車(FF)に試乗することができた。足回りは固めの設定で、ロー
ドでのロール感を少なくしたもの、また、悪路での挙動を考えてのことのようだ。安定感が高く、旋回
時の自然なフロントに沈み具合は乗用車に近い。少し硬めなので路面状態を拾うが落ち着きない挙動で
はなかった。ロードノイズは控えめで、実用走行での静粛性は高く、快適な移動を味わえる。ブレーキ
のタッチもスポーツカーのようなとがったものはなくて当然だが、フィーリングはよかった。駐車や狭
い場所での微動時の車格や車の動きはクロカンのそれに近いが、腰高な印象がないのが扱い易かった。
大きくは2WD4グレード、4WD4グレードの計8種の設定。
ベーシックグレードとなる2.0Lの20Eが170.0万円〜。20Vが185.0万円〜。2.4L
の24Vが205.0万円〜、上級グレードとなる24V−Sが215.0万円〜、の構成で4WDは
それぞれ15.0万円高となる。ミッションは全車スポーツモード付のAT。
では、検討ポイントについて一つお節介。
エアトレックの良さを裏付ける装備面での特徴が一通り充実しているのが、20Vであり、24V。
カジュアル内装/ジェントル内装の選択や、キーレスエントリーにセキュリティアラーム、センター
アームレストなど。
車格から見ると3ナンバーボディで1300kgを超える重量を考えると2.4LのGDI仕様がいい。
パワフル感は特にないが、いたって自然で扱い易い。
燃料が2.4Lではハイオクになったり、自動車税があがってしまうという懸念をもたれるユーザー
には、簡単な燃費シミュレーションをしてみてはいかがですか?方法は10・15モードの燃費(
カタログなど参照、当ページ主要諸元表にも記載)から実際の燃費比較はできないが、見込みで7
0〜80%掛けで現在の月あたりの走行距離とレギュラーとハイオクでのリッターあたりの燃料代
をそれぞれかけてやれば、目算の比較はできる。これで月あたりの燃料代と年単位(12倍)では自
動車税の差額(\5,500)での維持費を計算してやるといい。あとは、試乗でのフィーリング、排気量分
のアドバンテージを感じられれば当然投資し甲斐もあるでしょう。2.0Lとこういう点で迷われて
いる方には是非、検討してみてください。
4WDについては、フルタイム式が採用されている。特にスキーが趣味ですとか、ラフロードを走る
のが好きだとか、雪国にお住まいの方は検討の対象になるとは思いますが、街中での使用の方には、
2WD(FF)で充分でしょう。
是非、現車を見に行ってみてください。試乗されることをお薦めします。そこで、検討されている方
の好みや、必要性の有無なんかも具現化されてくると思うので・・・。では、よい”発見”をしてき
て下さい。