100円ラジオ

 今年の初め頃から100円ラジオがネット上で話題になっていました。私は100円ショップと云うと昔の雑貨中心のイメージしか無く、最近はまったく覗いたこともありませんでしたので、気にはなっていたのですが目にする機会はありませんでした。今年の夏休みに実家に帰った際、偶然100円ショップが目に入ったので覗いてみました。しかし、入ってみてその品数の多さに驚きました。CDや本まであります。100円CDなら10枚買って聞き捨てても良いかなと云った気になります。キッチンタイマーや電卓も100円?私がニッカドの急速充電用に購入したキッチンタイマーは1000円弱もしました。これなら100円ラジオもうなずけます。
 ありました100円ラジオ。しかし外観はキッチンタイマーほどの感激はありません。”やっぱり安っぽいな”と思いながらも購入することにしました。AMとFM用の2種類、電池とイヤホンは別売りです。FM用のイヤホンは両耳タイプになっていましたがジャックがモノラルでしたのでAM用のイヤホンで十分と思って購入しませんでした。単4電池と合わせて400円。正規のFM用イヤホンを購入しても500円で電池付きのラジオ2台が入手出来る訳です。


 AMはMODEL DD2000−A FMはMODEL DD2001−F、両方ともスピーカは無くてイヤホン専用です。前にあるイヤホンはAM用です。裏ケースは品番等がモールドされているので個別部品ですが、表ケースは共用と思われます。裏ケースに受信方式スーパーヘテロダインとモールドされていますが、こんなこと書いてあるラジオは見たことありません。一般人には何の事かまったく分からないと思いますが!。

DD2000−A

 AMラジオの内部写真です。ディスクリート部品で構成された確かにスーパーヘテロダインです。トランジスタが3個ダイオードが1個、コイルからみて局発と混合に1石、中間周波数増幅に1石、AF増幅に1石ってところでしょうか。しかしこの部品数で100円で売って利益が出るとすると驚異的です。
 実際に使ってみましたが性能はやはりいまいちです。感度が悪いのです。電波の強い放送局は音が大きく、弱い放送局は音が小さくなります。ゲインが少ないのでAGCが掛からないのか、もともとAGCが無いのか、ゲインの低いストレートラジオみたいです。
 ラジオとして使えますが、実用性としては???ってところでしょうか。

DD2001−F

 FMラジオの内部です。LA1800の1ICですがこのICが三洋のLA1800とするとAMとFMの2バンドラジオ用の筈ですからなぜAMラジオにもこれを使わなかったのでしょうか疑問です。
 こちらも実際に使ってみると異常に感度が悪いです。FM用のイヤホンを買わなかった祟り?チューニングダイヤルを回すと放送周波数の近辺でピューピュー音がします。どこかが異常発振しているような感じです。LA1800ならまともに動けばちゃんと受信出来る筈ですからこの1台が不良品なのかもしれませんが、使い物になりません。

 どちらのラジオも100円で売っているところは驚異ですが、実用性は低いと思います。FMラジオは不良品だったのかもしれませんが、AMラジオはゲインが低過ぎてAGCが掛からず(無い?)ラジオを持ち歩くと音の大きさが変化していらいらします。購入しても少し使ってゴミ箱行きって感じです。100円だから気にならないかもしれませんが、資源の無駄使いで環境にも良くありません。
 もはや大量消費の時代ではないはずです。個人的にはそれなりの性能の物をそれなリの価格で購入して大切に使いたい思っています。しかし、最近の家電品など工業製品の安っぽさには閉口します。乾いた雑巾を絞るようなコストダウンの成果なのでしょうが、修理してまで使おうとは思いません。だからリサイクルも粉砕して原料として再生するしか手段がないのでしょう。経済的には仕方ないのかもしれませんが、なんとかならないものでしょうか?