LOWPASS FILTER 特性測定

 多摩川電気?製カットオフ周波数30MHzLPFの特性を測定してみました。通常の通過特性だけでは面白くないので、方向性結合器HP86205Aを使ってリターンロスも測ってみました。(HP86205Aはネットワークアナライザーに使われる方向性結合器です。これがあるとアンテナの共振周波数なども一発で分かります。但し、こいつもとても高価なおもちゃです。)

 左がフィルターの通過特性。カットオフ周波数30MHzの綺麗なLPF特性を示しています。このように周波数特性が一目で分かるのところがトラッキングジェネレータの便利な点です。
 右は入力端子から見たリターンロス特性です。


100MHzクリスタル 特性測定

 100MHzと表記されたクリスタルの特性を測定してみます。インピーダンスのマッチングはまったく無視してトラッキングジェネレータの出力とスペアナの入力の間にクリスタルを入れて測ってみました。

 右が測定の結果です。100MHzと表記されていますが、基本波20MHzの5倍オーバートーン発振用と分かります。基本波(20MHz)、3次(60MHz)、5次(100MHz)、7次(140MHz)、9次(180MHz)の共振の様子が分かります。

 基本波、3次、5次の共振部分を拡大した特性です。山と谷はクリスタルの直列共振と並列共振の周波数を示しています。クリスタルはこの直、並列共振周波数間の誘導性を示す領域で発振します。クリスタル発振の周波数精度、安定度がLC発振に対して良いのはこの領域が極めて狭いためです。しかし、狭いといっても幅はあるわけで直列に入るLやCにより周波数は変化します。これを有効に利用してある程度周波数可変範囲を得るのがVXO動作です。昔、初めてクリスタルを用いて発振回路を作った時にその周波数が結構変化するのに驚いた記憶があります。10.24MHzのクリスタルに直列にLを入れるとすぐ10KHzぐらい周波数が下がりました。しかし、3次オーバートーンの発振回路では数KHzしか下がりませんでした。なぜオーバートーン発振は周波数が下がらないのか?どの本を見てもそれに対する答えは書いてありませんでした。上の特性を見れば答えが分かります。基本波(20MHz)では直、並列共振周波数差が40KHzぐらいありますが、3次(60MHz)では10KHz、5次(100MHz)では6KHzぐらいしかありません。つまり高次になるほど発振周波数は高くなるのに、周波数を調整できる範囲が狭くなるわけです。これの特性を見て3次オーバートーン発振回路でVXO動作が殆ど出来ない理由がやっと分かりました。