「アバのCDたくさん持ってます」と言って「お前の歳はいくつだ!」と同僚(40代女性)からつっこまれた過去を持つ私としては、「マンマ・ミーア!」を見逃すわけにはいきません。そんなわけで今回は東京は汐留の四季劇場「海」に行ってきました。
「マンマ・ミーア!」は70年代にたくさんのヒット曲を持つスウェーデンのポップ・グループ「アバ」の曲だけを使ったミュージカル。メロディーはそのまま使い、歌詞を少しずつ変更するだけで物語を上手に語らせている。この変更が気にならないほど見事に自然に(そしてストーリーにマッチするように)歌詞が置き換えられている。
…というのがアメリカでの評価(らしい)。しかし、いくら英語→英語の歌詞を上手に変更したって、英語で聞き慣れたアバの歌を日本語で聴く違和感は、それはそれはもの凄いものがあります。「Dancing
Queen」とか「Money, Money, Money」、「Mamma Mia」、「Thank You For The
Music」のようなサビの部分は英語そのままで歌うから、余計日本語の違和感があるのかなあ…。尤も、英語で歌われたら全く意味が分かりませんが(←じゃあどうしろと)。
さて、その「マンマ・ミーア!」の舞台はギリシアの小島。自由奔放な70年代を生きたシングルマザーとその友人2人、20歳で結婚するその娘、そしてその父親(候補)3人が主な登場人物です。母親ドナの日記を読んで自分の父親候補が3人いることを知ったソフィーが、誰が自分の父親か見極めるべく、3人全てに結婚式の招待状を送ったことから物語がスタート。結婚観やシングルマザーの気持ちといった真面目なテーマも織り込みつつ、メインは70年代ばりばり(だった)ドナ、ターニャ、ロージーのトリオのはじけっぷり。特に背が高くてグラマーで離婚歴2回(?)のターニャの迫力が凄かったです。かっこいいなあ、マダム…。
以下、印象に残ったシーンを。
「Honey, Honey」
ドナの日記がなかなか面白くて(セックスした日の記述は3回あって、「素敵な夜だった。(中略)そして…」で統一してある)私は思わず笑いそうになったんですが、客席はクスリともしていない…下ネタはNGですか。ソフィーがこの日記を読み上げるという場面で使われる「Honey,
Honey」の下ネタな日本語歌詞とメロディーが合っていて良い感じ。下品な感じの歌い方も良かったなあ。
「Dancing Queen」
アバの曲の中で一番有名な曲のひとつ。愛娘の結婚式直前に昔の男3人があらわれたせいで落ち込んでいるドナを励ますためにターニャとロージーがドライヤー片手に熱唱。最初は落ち込んでいたドナも途中から派手に歌う踊るで、昔取った杵柄だろうと何だろうと、3人のはしゃぎっぷりが若くて可愛い。
「Under Attack」
後半の最初のシーン。3人の父親候補がでてきてしまったりで不安なソフィの内心を歌い上げる「ソフィの悪夢」とパンフレットにはあるんですが、悪夢の割にはやたらコミカルで可愛い。だって後ろで踊っている人たちの衣装がウェットスーツにゴーグルにシュノーケル、水掻き。足をばたばたと上げて走ったり、水をかき分ける動きをしたり、妙な動きがたくさん。ある意味悪夢かも知れないけど、随分コメディーな悪夢。ソフィーがいるのに別の人がウエディング・ドレス着て出てきたけれど、あれはスカイだったような気がする…(オペラグラス持参しなかったのでよく見えなかった)。
「Does Your Mother Know」
セクシーな熟女ターニャが随分年下の男の子から誘われたときに使われた歌。「こんな年上の女を口説いているなんて、ママは知ってるの、坊や?ハハン」といった感じで、鼻先で笑いつつドスの利いた声で歌うターニャが本当に格好いい!途中で開脚180度(以上かも)で何回もジャンプする男の子も凄かった!…結局相手にされないんだけどね。
「Take A Chance On Me」
曲が始まる前の「私、フリー」のロージーの台詞が面白すぎ。椅子を盾にしながら逃げるビルをものともせず迫っていくロージーは迫力満点でした。追っかけていくときの体勢ががに股っぽくて更にコメディーな雰囲気。ワイルドな旅人ビルよりも更にワイルドでした。
ここまで書いて、気に入ったシーンがことごとくコメディーなシーンだということに気付きました。いや、しんみりとしたシーンも良かったですよ?でも70年代(に若かった)おばさんズ3人のパワフルさの方が印象が強いです。ポスターのイラストがウェディングドレスの女の子だったから、てっきり主役は娘のソフィーだと思っていたけれど、真の主役はこの3人(特にドナ)だったようで。
多少話に無理があるところもあるけれど(20年前の日記読んだだけで3人の現住所が分かるのか?とか、いきなり娘らしき女の子が現れて喜べるものか?など)、話のテンポが良かったせいかそれほど気にはならなかったです。
ついでに客席と観客について。舞台上はもちろんのこと、カーテンコールでは客席でもスタンディングして踊っている人が沢山いました。40〜50代のお客さん(そして夫婦連れ)が多くて、この世代の人たちはアバが全盛だった頃に20歳前後だったはず。昔は踊ったりしていたのかなあ…。
席は2階だったのですが、1階席の前半分くらいまで2階席が被さっていて意外に舞台に近いです(京都劇場の2階は舞台が遠く感じた)。舞台全体が見えるし傾斜もきついので、「海」劇場の2階席はなかなかお勧めです。終演後1階席に降りてみると、中央より後ろだと舞台の上半分が2階席のせいで見えなくなっていました。劇の最後に大きな月が上の方から降りて来るんですが、1階席だと満月になる月の下半分しか見えないんじゃないかなあ…。
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