観劇感想(02-03年)

観劇歴は浅く、且つ劇団四季以外はほとんど見たことないです。
そんな管理人による雑感。あまりミュージカルの教養がないのがよく分かります…。

 観劇記録
03.09 「美女と野獣」劇団四季(京都)
03.07 「レ・ミゼラブル」東宝(東京)
03.07 「マンマ・ミーア!」劇団四季(東京)
03.07 「キャッツ」劇団四季(静岡)
03.03 「アンデルセン」劇団四季(名古屋)
03.01 「コンタクト!」劇団四季(名古屋)
02.08 「オペラ座の怪人」劇団四季(京都)
02.08 「コンタクト!」劇団四季(東京)
02.07 「キャッツ」劇団四季(大阪)
02.06 「クレイジー・フォー・ユー」劇団四季(名古屋)
02.04 「異国の丘」劇団四季(名古屋)

 03年9月  「美女と野獣」劇団四季

 8月初めに「ディズニー・オン・アイス 美女と野獣スペシャルエディション」(題長い)を見に行っていたので、今回の京都は劇団四季の「美女と野獣」は、ついそれと比較して見てしまいました。
 全体のストーリーは、両方とも単純で分かりやすいです。さすがディズニー原作。ちなみにDoIがアニメの原作そのまま
(会場で使う曲自体もアニメそのまま使用)、四季のほうは多少アレンジありでした。四季バージョンは、アレンジの結果ちょっと内容が面白くなくなったように感じました。例えばベルの父親の役割が見事にカット。彼は発明家なんで、アニメでは自分が牢獄から逃げ出すときには自分が作成した自動薪割り機を使って見事脱獄するんですが、四季バージョンではただ娘に助け出されるのを待っていただけ。単なる変な父親(しかも足手まとい)になってしまってました。うーん。
 あ、ストーリーとは全然関係ないですが、会場で売っていたグッズもDoIの方が可愛かったです。野獣ぬいぐるみは思わず買いそうになるくらいプリティー。 

 印象の残ったキャラクターとしては、ルミエールが一番インパクトがありました。声が声優の神谷明ちっく。主人公のベルといい、ほうきになってしまった恋人やら、女性にやたら優しくて調子いいので、思わず冴羽遼思い出してしまいましたよ(←年齢ばれる)。食事シーンの時のはじけっぷりは素敵の一言に尽きます
 他にはお腹から衣装出しつつ朗々と歌うタンス夫人、ガストンが好きですねー。ガストンは悪役なんですが、いうなればドラえもんにおけるジャイアン
(スネオのような三下もいるし)アメコミのヒーローを混ぜたようなキャラクターでした。ステキッ!しかし主人公のベル以外の街の女性からはモテモテなのが不思議だ…。腹筋割れ衣装がいいのか?
 衣装といえば、主人公の野獣は最初は上半身が裸という設定が不思議でした。ベルを意識し始めてシャツを着るくだりは面白いんですが、いくら野獣に変えられてしまったとはいえ、あんた元々は王子でしょ!と突っ込みたくなります。
 衣装や演出はさすがに四季バージョンの方が豪華で素晴らしかったです。特に食事シーンのゴージャスっぷりは良い!宝塚のレビューのような
(実際に見たことないのですが、イメージで)電飾バリバリ。ルミエールの独壇場でした。あとは、同じく食事シーンの足拭きマット衣装が面白かったです。衣装自体は単純で、長方形の布の中に人が入っているだけなのですが、それが側転していくと本当にマットが飛び回っているように見えます。
 パンフレットにも衣装の話が載っていて、第1部と第2部では同じキャラクターでも衣装の質感が変わっていると書いてありました。第2部になると物化が進んで、ビニールっぽい服装になっていました。ディズニーのゴージャスな
(そしてややアニメチックな)世界そのものという感じで、楽しんでみることができました。
 最後にまたDoIとの比較になってしまいますが、野獣が最後に人間の王子に戻ったとき
(早業凄かった。どうやってるんだろう?)、王子役の人が当然ながら日本人だったのに激しく違和感を感じてしまいました。普段ミュージカルで白人役を日本人役者が演じても全然気にならないのに、なまじDoIで金髪の外国人王子に慣れてしまったせいで気になってしょうがなかったです(苦笑)。

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 03年7月  「レ・ミゼラブル」東宝

 劇団四季以外のミュージカルを見るのは、実はこれで2つ目。ちなみに今回の観劇は長野でスケート観戦の際にお誘いいただいて実現の運びとなりました。
 「歌がメインで、踊りはほとんどないよ」と以前レ・ミゼラブルを見たことのある友人が言っていたため、どちらかというと歌って踊って的な賑やかなものが好きだから、どのくらい楽しめるのかなーと少し心配しつつ、東京は帝国劇場へ向かいました。

 舞台上に年代と場所(確かツーロン(徒刑場))の文字が浮かび上がって、「囚人の歌」が始まりました。始まる前は「踊り無し舞台を楽しめるのかなあ」などと思っていたのに、この重低音であっさり舞台に引き込まれました。重苦しい吐息のような男声合唱は、声が地面の底から響いてくるようでゾクゾクしました。
 そして、途中からはジャン・バルジャン=山口祐一郎さんの声。「これが噂に聞く山口さんの歌か!」と、初っ端から感動。低音の合唱の中で、山口さんの声は本当に綺麗で迫力がありました。合唱の低い声と対称的な高い音が綺麗ではっきりと聞こえて、伸びもあるし。
某友人が彼のことを「佑様」と呼ぶのが少し理解できた気がします(笑)。
 特に印象の残った歌は、裁判で自分の正体を明かす「裁き」、ジャベールとの「対決」
(でも2人の声が重なり合って歌詞が聞き取れなかった…)、マリウスを思って歌う「彼を帰して」。迫力のある歌も、しっとりした歌も、それぞれ雰囲気が出ていましたが、どちらかというと迫力のある歌の方が感情がはっきりと表現されているような気がします。
 
 他に歌で印象が残った役者さんは、エポニーヌ=新妻聖子さん、テナルディエの妻=森久美子さん、それからプチ・ガブローシュ。
 エポニーヌの声は迫力があって、しかもマリウスを健気に思う気持ちが伝わってくる切ない歌と合っていて素敵。原作を読んだときはあまり印象に残らなかったキャラクターなんですが、舞台では本当に印象的な人物(と声!)でした。「On My Own」、切なくて良かったなあ。最後に銃弾が当たって亡くなるシーンでは、死亡直前なのにちょっと声が元気良すぎと思わないでもなかったですが、いい声している役者さんでした。
 テナルディエ妻は、その役柄とテレビで見る森久美子さん自身のキャラクターが混ざり合っていて、性悪だけど、どことなく憎めない面白い雰囲気が出ていて、そしてその恰幅の良さ
(失礼)のため、ついつい目が行ってしまいます(もちろんオペラ歌手だから声も目立ってましたし)。旦那の歌につっこみ(愚痴?)を入れる「宿屋の夫妻」の歌詞の悪妻っぷりと、コゼットを虐める意地悪な継母っぷりが堂に入っていて、重苦しい雰囲気が多いレ・ミゼラブルの中でコミカルな雰囲気を楽しませてもらえました。コゼットの結婚式の時のメイクは旦那共々凄かった…。
 そしてプチ・ガブローシュ。えーと、でも役者さんが誰なのかチラシを無くしてしまったのでちょっと分からないです。子役なのに歌が上手でびっくり。今まで何人か子役の歌を聴いた中で、ダントツで上手かったです
(でも誰なのか分からない…)。難を言えば、銃弾に撃たれて死ぬまでの間までもが妙に元気で、死ぬ直前も声の調子が変わらなかったので「あれ?今死んだの?」と戸惑ってしまった。エポニーヌといい、元気のいい声の人は弱々しい様子を表現するのって難しいんでしょうかね??
 実はレ・ミゼラブルの中の曲を一つも知らないまま観劇したのですが、同じ主題が形を変えて何度も出てくるので、途中からは聞き慣れた曲を聴いているような気分になりました。「事前に予習しろよ!」と突っ込まれそうですが
(済みません)、曲を知らなくても自然にメロディーを覚えられる音楽を作ることも良いミュージカルの条件じゃないかなーなどと、勝手に考えてます。
 ただ、曲自体は良かったものの、曲と曲の間がちょっと短く感じました。全体に話が早く進みすぎているせいでそう感じたのかも知れませんが、 曲の余韻に浸る間もなく次の曲が始まってしまうせいでとても慌ただしくなり、勿体ないと思います。観劇後に聞いた話では、この舞台は短縮バージョンの舞台だったらしく、いくつかカットされたシーンがあるそうです。だったら、せめて曲と曲の間くらい長目に取ってくれても良かったのに…と思います。
 そんな多少の不満はあったものの、「レ・ミゼラブル」は役者さん一人一人の歌も、アンサンブルもそれぞれに迫力があって、歌だけで充分楽しむことができました。

 それからストーリーについて。
 事前に原作を読んでおいたからストーリーは理解できましたが、もし予備知識無しでこの舞台を見たら訳が分からなかったかも…と思います。何しろ展開が激早。元の非常に長〜い話をミュージカル用にアレンジしたというよりは、原作の粗筋みたいになってしまっています。
 登場人物の気持ちの描写は歌である程度まで表現できるけれど
(場合によっては文章よりも伝わったけれど)、社会背景を歌で伝えるのには限界があるし、本当はもっと複雑な感情に基づいての行動なのに「正しいことだから」という一言で片づけてしまう描写が多々あったし。倒れた馬車をの下敷きになった人を助ける、自分の身代わりに裁かれるそうな人が人違いであることを申し出る、といったジャン・バルジャンの行動が特に突飛に感じました。コゼットが自分から離れていく時の葛藤は省略されていたし、ジャン・バルジャンの心理描写は全体的に不足気味に感じます。尤も、あれだけ長い原作を最初から最後まで描く以上、全てを表現できないのは仕方ないんでしょうけれど。
 逆に原作で読むより上手に伝わったシーンとしては、既述ですがエポニーヌのマリウスに対する恋心、学生たちの革命に対する熱意とそれに対するマリウスの無関心。学生たちがカフェで革命について熱く語っているのに、コゼットに夢中だと延々と歌うマリウスは原作以上にドリーマーでした。学生たちの単調で迫力のある歌とマリウスの乙女な歌が対照的で、お互い思うところが全然違うのが上手く表現できていたんじゃないかと思います。
しかし「革命だ!」って騒いでる側からしたら、マリウスって凄くむかつく奴かも…(笑)。
 それから、これはどちらかというと原作を読んでの感想なんですが、ジャベールについて思ったことを少し。
 舞台ではジャン・バルジャンが主人公のせいで、その対比としてのジャベールはどうしても単純な悪役のイメージが強かったです。「星よ」の歌詞を聞くと、ジャン・バルジャンをしつこく追っていく、独善的で本当に嫌な奴になってます。ジャン・バルジャンを個人的に憎んでいるように思わせる歌詞があるし。
 19世紀の人々は進歩を素直に信じていた、と言われることがあります。人間は本来善性を持っている、社会は進歩する、未来は過去より素晴らしい、という歴史観です
(社会主義なんかは典型的かも)。だからレ・ミゼラブルにおけるジャン・バルジャンは紆余曲折ありつつも苦難を乗り越えて超人的な善人になる様子が描かれています。こちらを「光」の面とすると、法の厳格な遵守者ジャベールは、最後には自殺に至る善性を信じない不幸な人物、「闇」として描かれていたように思います。
 けれど現在において、「世の中はいい方へ進歩するもの」という単純な(あるいは幸せな)思想は支持されていないので、性善説を全く信じないで自殺したジャベールを単純に悪人として表現するのは違和感を感じました。
 19世紀的倫理観と現代的職業的倫理観
(というのは私の勝手な感想ですが。でも悪人を自分の判断で逃がしてしまったのはこれに近いんじゃないかと)の乖離で自殺するジャベールは、原作ジャベール好きとしてはもう少し同情的に描いて欲しかったです。橋から飛び降りる自殺の演出は凝っていて感心したけれど、この話の中で一人で淋しく死んでいくのはジャベールだけだもんなあ…。

 余談。観劇終了後に一緒に観劇した方たちでお茶をしたんですが、私以外の方は事前にちゃんとCD(数種類あるらしい。そんなことも私は知らなかった…)を聞き込んで観劇に挑んでいらっしゃいました。か、肩身が狭い…。事前にCDを聞くという発想が私には全く無くて、自分のミュージカル観劇歴の浅さと、知識と情熱の不足を悟りました(笑)。
 音がCDと違う箇所があるとか、誰それは以前の役者と比べて良かったor悪かった、アンサンブルの声質の違い、オーケストラについてといった辺りは、ミュージカル初心者の私にはもちろん分かりません。それから「○○の場面では○○さんが○○の役で出ている!」というところも、皆さんちゃんとご存知だったようです。後日パンフレットを見たら香盤表
(劇に出演する俳優全員の役名と出場場面を書いた一覧表。この単語自体初めて知った)が載っていました。皆さんこういったものを事前に見てチェックしているんでしょうか。 オペラグラスも持たずに観劇に出かけた私とは根本的に気合いが違います。

 以上、感想でした。歌についての知識が無いので長々と書いた割にはミュージカル自体の感想が少ないですが、ご容赦を。

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 03年7月  「マンマ・ミーア!」劇団四季

 「アバのCDたくさん持ってます」と言って「お前の歳はいくつだ!」と同僚(40代女性)からつっこまれた過去を持つ私としては、「マンマ・ミーア!」を見逃すわけにはいきません。そんなわけで今回は東京は汐留の四季劇場「海」に行ってきました。
 
 「マンマ・ミーア!」は70年代にたくさんのヒット曲を持つスウェーデンのポップ・グループ「アバ」の曲だけを使ったミュージカル。メロディーはそのまま使い、歌詞を少しずつ変更するだけで物語を上手に語らせている。この変更が気にならないほど見事に自然に
(そしてストーリーにマッチするように)歌詞が置き換えられている
 …というのがアメリカでの評価(らしい)。しかし、いくら英語→英語の歌詞を上手に変更したって、英語で聞き慣れたアバの歌を日本語で聴く違和感は、それはそれはもの凄いものがあります。「Dancing Queen」とか「Money, Money, Money」、「Mamma Mia」、「Thank You For The Music」のようなサビの部分は英語そのままで歌うから、余計日本語の違和感があるのかなあ…。尤も、英語で歌われたら全く意味が分かりませんが
(←じゃあどうしろと)

 さて、その「マンマ・ミーア!」の舞台はギリシアの小島。自由奔放な70年代を生きたシングルマザーとその友人2人、20歳で結婚するその娘、そしてその父親(候補)3人が主な登場人物です。母親ドナの日記を読んで自分の父親候補が3人いることを知ったソフィーが、誰が自分の父親か見極めるべく、3人全てに結婚式の招待状を送ったことから物語がスタート。結婚観やシングルマザーの気持ちといった真面目なテーマも織り込みつつ、メインは70年代ばりばり(だった)ドナ、ターニャ、ロージーのトリオのはじけっぷり。特に背が高くてグラマーで離婚歴2回(?)のターニャの迫力が凄かったです。かっこいいなあ、マダム…。
 以下、印象に残ったシーンを。

「Honey, Honey」
 ドナの日記がなかなか面白くて
(セックスした日の記述は3回あって、「素敵な夜だった。(中略)そして…」で統一してある)私は思わず笑いそうになったんですが、客席はクスリともしていない下ネタはNGですか。ソフィーがこの日記を読み上げるという場面で使われる「Honey, Honey」の下ネタな日本語歌詞とメロディーが合っていて良い感じ。下品な感じの歌い方も良かったなあ。

「Dancing Queen」
 アバの曲の中で一番有名な曲のひとつ。愛娘の結婚式直前に昔の男3人があらわれたせいで落ち込んでいるドナを励ますためにターニャとロージーがドライヤー片手に熱唱。最初は落ち込んでいたドナも途中から派手に歌う踊るで、昔取った杵柄だろうと何だろうと、3人のはしゃぎっぷりが若くて可愛い。

「Under Attack」
 後半の最初のシーン。3人の父親候補がでてきてしまったりで不安なソフィの内心を歌い上げる「ソフィの悪夢」とパンフレットにはあるんですが、悪夢の割にはやたらコミカルで可愛い。だって後ろで踊っている人たちの衣装がウェットスーツにゴーグルにシュノーケル、水掻き。足をばたばたと上げて走ったり、水をかき分ける動きをしたり、妙な動きがたくさん。ある意味悪夢かも知れないけど、随分コメディーな悪夢。ソフィーがいるのに別の人がウエディング・ドレス着て出てきたけれど、あれはスカイだったような気がする…
(オペラグラス持参しなかったのでよく見えなかった)

「Does Your Mother Know」
 セクシーな熟女ターニャが随分年下の男の子から誘われたときに使われた歌。「こんな年上の女を口説いているなんて、ママは知ってるの、坊や?ハハン」といった感じで、鼻先で笑いつつドスの利いた声で歌うターニャが本当に格好いい!途中で開脚180度(以上かも)で何回もジャンプする男の子も凄かった!…結局相手にされないんだけどね。

「Take A Chance On Me」
 曲が始まる前の「私、フリー」のロージーの台詞が面白すぎ。椅子を盾にしながら逃げるビルをものともせず迫っていくロージーは迫力満点でした。追っかけていくときの体勢ががに股っぽくて更にコメディーな雰囲気。ワイルドな旅人ビルよりも更にワイルドでした。

 ここまで書いて、気に入ったシーンがことごとくコメディーなシーンだということに気付きました。いや、しんみりとしたシーンも良かったですよ?でも70年代(に若かった)おばさんズ3人のパワフルさの方が印象が強いです。ポスターのイラストがウェディングドレスの女の子だったから、てっきり主役は娘のソフィーだと思っていたけれど、真の主役はこの3人(特にドナ)だったようで。 多少話に無理があるところもあるけれど(20年前の日記読んだだけで3人の現住所が分かるのか?とか、いきなり娘らしき女の子が現れて喜べるものか?など)、話のテンポが良かったせいかそれほど気にはならなかったです。

 ついでに客席と観客について。舞台上はもちろんのこと、カーテンコールでは客席でもスタンディングして踊っている人が沢山いました。40〜50代のお客さん(そして夫婦連れ)が多くて、この世代の人たちはアバが全盛だった頃に20歳前後だったはず。昔は踊ったりしていたのかなあ…。
 席は2階だったのですが、1階席の前半分くらいまで2階席が被さっていて意外に舞台に近いです
(京都劇場の2階は舞台が遠く感じた)。舞台全体が見えるし傾斜もきついので、「海」劇場の2階席はなかなかお勧めです。終演後1階席に降りてみると、中央より後ろだと舞台の上半分が2階席のせいで見えなくなっていました。劇の最後に大きな月が上の方から降りて来るんですが、1階席だと満月になる月の下半分しか見えないんじゃないかなあ…。

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 03年7月  「キャッツ」劇団四季

 片道150キロの道のりをものともせずに行ってきました、劇団四季「キャッツ」静岡公演。よくよく考えてみると、劇団四季の「キャッツ」を見るのはもう6回目。我ながらよく飽きもせずに見続けているなあ…。私が最初に見たミュージカルで、今でも一番好きな(ってほど作品数見てませんが)ミュージカルです。

 ただ、この公演を見る前にはちょっと心配していたことがあって、
  ・劇場広すぎるのでは?
(席表をみると、いつも行く名古屋劇場より相当広い)
  ・あまり好きじゃない or 見たことがない役者さんが多い  
 が、結論からいうと今まで見た「キャッツ」の中で一番いい舞台でした。感動したよ…。

 まず、会場の広さは席位置によっては無問題。というか「広い会場の前の方の席」>「狭い会場の後ろの方の席」なのは当然といえば当然ですか。ついでに、後ろに沢山の観客がいると拍手の音が大きく感じて盛り上がった気分になれたし、却って良かったかも。ただ、役者さんも会場の広さを把握しきっていないのか(でももう何ヶ月もこの会場で上演してるのですが)、いつもは客席から舞台上に音楽ぎりぎりで戻って来れた!という演出があるのに、随分余裕を持って舞台上に戻ってしまい、微妙な間が空いていたような。まあご愛敬ということで。
 会場が広いのでゴミの飾り付けは前半分くらいしかされていなかったけれど、自分がいる辺りはぎりぎりその範囲に入ってました。静岡なのでサッカーボールのゴミがあった。浜松名物うなぎパイが無かったのがちょっと意外。それから会場の色んな所に出没するマキャヴィティの登場(と退場)の仕方にびっくり。ギターの形をしたゴミだと思っていたものが扉みたいに動いてました。小さな足場があるポールをスルスルと登っていく猫も間近で見れたし!席位置が違うと色んな発見があるのが「キャッツ」の面白さのひとつだと実感。

 それから役者さんについて。「キャッツ」を見るのが6回目なので、自分的に当たりの役者さんと微妙な役者さんがいるのですが、開演前のキャスト一覧を見て正直言ってちょっとがっかり…。
 と思っていたら、同じ役者さんでも、前に見たときより随分上手になっていて、十分すぎるくらい堪能してしまいました。例えばミストフェリーズは、同じ場所で何度も回転して上から照明が降りて来るというシーンでは、以前見たときは軸がぶれてどんどん横に移動して行ってしまうし、よろよろしていたのに、今回はぴしっと同じ場所でターンしていました。上達している!あとグリザベラの「メモリー」が今まで聴いたなかで一番迫力があって、涙腺が緩みかけました。見るの6回目だというのに、自分でもびっくりしたよ…。

 びっくりといえば、会場の観客のノリ。初めて大阪で観劇したときに「さすが関西…!」と思いましたが、さらにその上を行く静岡って一体何者ですか。「キャッツ」でスタンディング・オベーションが起きたのは初めて見た(石丸幹二以外でもスタオベやっていいんですね)。アンコールで指笛は鳴るし、「ヒュー!」とか歓声は起きるし。ここはフィギュアスケートの会場ですか(←違)

 今回は趣味友リリコ(仮名)だけでなく、初ミュージカルの友人2人も同行したんですが、その2人も楽しめたみたいで、誘った側としては一安心です。猫と握手できた〜と喜んでました。私は握手できなかったですが、席位置的にそもそも無理な所だったし、初めて見る人が楽しんだ方がいいよね、とか、誘った側としては楽しんでもらえたら大成功だし、などと自らに必死で言い聞かせております。大人になれ自分!
 そういえば去年も「キャッツいいよ!」とミュージカル見たことのない同僚を大阪まで観劇に連れ出した過去がありますが、初ミュージカル作品に「キャッツ」というのはなかなか良いんじゃないかと思います。歌と踊りがずっと続くし、間近で役者さんを見れる(運が良ければさわれる)というのはインパクトあるので。ときどきあの猫メイクにおびえた子供が泣いてますが。

 ちなみに交通費も一人当たり2000円程度で済んだし(車で行くと安い)、静岡公演は意外に行きやすいのかも知れない…今後の観劇機会が増えそうです。しかしこれ以上出費増やしてどうするよ。
 などと多少自己嫌悪に陥ったフリをしつつも、次に「キャッツ」を見るのは全然距離が近くない仙台になりそうなんですがね。

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 03年3月  「アンデルセン」劇団四季

 ファミリー向けミュージカルということで、案内が来た当初は見に行かない予定だったのですが、チラシをよーく見ると後方にバレエダンサーが写っているではないですか!内容を読むと「バレエダンサーに恋をする」、とあるし、「これは絶対踊る!」ということで、急遽見ることに決めました。発売開始から随分日数が経っていたので、後から2列目と遠い席でしたが。今後はちゃんとチラシの内容チェックしようと悔い改めました。それからファミリーミュージカルだからってチラシをチェックしないのは止めよう(以前ファミリーミュージカルの「夢から覚めた夢」を見て楽しかったのに)

 さて、アンデルセンはもちろん童話作家で有名なあのハンス・クリスチャン・アンデルセン。本職は靴屋。いろんなお話を作って聞かせるので子どもから大人気。
 このアンデルセンが、子ども達の教育に良くないからと村を追い出されて、行き着いた先の首都コペンハーゲンでプリマドンナ、マダム・ドーロに恋をする…というのが話の始まり。
 彼女は既婚者で夫との仲も良かったので、アンデルセンは結局失恋してしまうんですが、その過程で「人魚姫」や「醜いアヒルの子」といった有名な童話を作り、それがバレエの題材になったり新聞に掲載されて作家として成功する、というサクセスストーリでもあります。
 夫に愛されない可愛そうな(とアンデルセンは勘違いした)マダム・ドーロへ愛を伝えるために書いた「人魚姫」、病気で頭髪を剃られていじめられている子を励ますために書いた「醜いアヒルの子」、背の低いことを気にしている女の子のために語った「親指姫」など、有名な童話が作られたエピソードも話の中に詰め込まれています。ちょっとほのぼのしていて、このあたりファミリーミュージカル的。
 たくさんある童話の中でも「人魚姫」のエピソードがメインの扱いで、これを題材としたバレエが劇中劇として演じられました。アンデルセンは語り手として舞台に上がってます。
 で、この劇中劇がある意味一番インパクト強かった…。そりゃ確かに深海魚は見た目が可愛くはないけれど、何もそんな張りぼて感丸出しの魚やヒトデにしなくってもいいじゃないと思うんですがどうよ?人魚姫が決死の覚悟で脚の生える薬を飲むシーンも、全然緊迫感がないぞー。バレエって見たことありませんが、こんなコミカルな張りぼてがわらわらでてくるバレエなんて嫌です(笑)。

 主人公を演じたのは石丸幹二。歌って踊って、それからちょっとコミカルな演技も入り、とさすがスタンディングオベーションの起きる(「異国の丘」感想を参照)役者さんでした。弟子の靴職人の男の子との掛け合いも可愛い。しっかりものの子どもとドリーマーな大人のやり取りって微笑ましいです。
 プリマドンナのマダム・ドーロの役者さんは高久舞さんで、先日見た「コンタクト!」第3部の「黄色いドレスの女」を演じていた人でした。「コンタクト!」ではスイング、今回はクラシックバレエと何でも踊れる人で、こういう人を見ていると本当に自分と同じ人間なのかと不思議な気分になります。でも、歌のほうはちょっと…。高音部を出すのが本当に苦しそうで、音を外すんじゃないかと聞いていてどきどきしてしまいました。夫役の人が踊りも歌もこなしていたのに比べると、両方こなすことのできるバランスも大事だと思いました、安心して見ていられるって重要だわ…。
 アンサンブルが多いのも見所。子どもがたくさん出てきてその会話のほとんどが歌、もちろん踊りながらでした。バレエの群舞シーンも長時間あって、踊り好きの私としてはかなり満足でした。ミュージカル役者の人はバレエもちゃんと踊れる人が多いんですね。パンフレットの役者プロフィールを見たら、ほとんどの人が習っていました。

 それから、やっぱり最後はスタンディングオベーションでした。子供の観客が多かったので「異国の丘」の時ほどじゃないけど、やっぱりこれは石丸幹二効果なんでしょうかね。

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 03年1月  「コンタクト!」劇団四季

 昨年8月に一度見た「コンタクト!」、3部構成のミュージカルで、それぞれが独立したお話になっています。第1部が非常に微妙な内容ですが、第2,3部は見応え十分な内容です。前回は東京での公演でしたが、今回は地元名古屋の公演を見に行きました。

 内容、時間の長さ共に メインは第3部なのですが、私は第2部「DID YOU MOVE?」が一番好きです(もちろん第1部は却下ということで)
 現実には旦那の言いつけ通りおとなしくしている奥さんと、妄想の中で踊る奥さんのギャップが面白いです。それからその境界が微妙にクロスしていて、奥さんが妄想中にナプキンを顔の上に広げてうっとりと手を組んで座っているところに旦那が戻ってきたり。あの絶妙な間、コントだ。
 ちなみに今回密かに目標としていたことは、銃がどこに行ったかを突き止めること。 レストランを舞台とした第2部では、怒った旦那さんが銃を取り出し、それを取られたり落としたりすったもんだの末奥さんが逆に旦那に銃口を向けるシーンがあるんですが、この過程がとても私的ツボなのです。
 床に落ちた銃を旦那に取らせないために、従業員が銃の上に蓋
(料理の上にかぶせる銀色のやつ。名称知らない…)を被せ、1個ではばれるから蓋を3個に増やし、床の上で必死にシャッフルをして旦那に三択をさせます。旦那が指さしたものを開けるとお約束通り外れ蓋。数回選んでも当たらず、というのはそもそも3つの蓋の中には銃は隠されていないからなんですけれど、いつの間に銃を別の場所に移したのか前回見たときに分からなかったんです。
 で、今回は2回目の観劇なので銃の行方を一生懸命目で追ったのですが、またしてもいつ銃を移動させたのか分からなかったです…。隣に座っていた友人は分かったのに。くう。

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 02年8月  「コンタクト!」劇団四季

この舞台を見る前の私の予備知識は
 (1)3部構成らしい。
 (2)何だかとにかく踊るらしい。
 (3)台詞がなくて踊って表現するらしい。
の3点のみ。というか(2)と(3)は一緒じゃねーか、という気もする。まあいいや。

(第1部)
 始まってすぐ、会場には微妙な雰囲気が…。「え?この調子で1部ずっと続くの?…まだこのノリで行くの?…おいおい1部おわちゃったよ!まさか3部までずっとこの調子か!?」言葉にするならこんな雰囲気だったでしょうか。
 つまり、とにかく微妙だった第一部。内容は、18世紀風の貴族の男と女がブランコで遊ぶ。ブランコを綱で揺らす召使い。そのうち貴族の男に酒を取りに行かせる女。その隙に召使いとブランコで「遊ぶ」。遊び方が、大股開いたり、腰を突き出したりと結構えぐい。パンフレットには「アメリカでは客が大爆笑!」的に書いてあったけれど、これで大爆笑できるとしたら、アメリカ人の笑いのツボって謎だ。

(第2部)
 微妙な第1部が終わって「まさか次も…」と奇妙な緊張感が客席に漂う中、第2部開始。幸いなことにこちらの内容はヒットでした。ほっと一安心。
 内容は、無口で無愛想でおっかないマフィアの旦那と、その奥さんのレストランでの一幕。何を話してもまともに応対しない旦那
(でも「その服似合うじゃねえか」とか「他のやつと喋るな」と言ったり、実は奥さんのこと好きらしい)と、その態度に悲しみつつ白昼夢にふける奥さん。
 奥さんの白昼夢は昼メロチックかつダンサブル。踊って表現するって、もっと真面目なものを想像していたので、デフォルメされた感情の表現に意表をつかれて面白かった。カルメンの曲
(だっけ?)で怒りを表現する奥さんはコミカルです。どこまでが現実でどこまでが妄想なのか最後まで分からないところ、それから小技がいろんな所にちりばめられていて、これはもう一度見たい内容でした。
 …個人的にはインド人っぽい風貌のバーテンダーの踊りにメロメロ(笑)。

(第3部)
 第2部同様現実と妄想が入り交じったストーリー。どこまでが現実でどこまでが妄想なのか、結局最後まで分からなかったよ…私はストーリーの理解力がないのかもしれない…。でも多分、最後はハッピーエンドだった、ような気がする。多分。
 早く誘って踊れよ!と言いたくなる優柔不断な主人公。この踊りの下手な主人公を演じている人が、本当はめっちゃダンスが上手なんて不思議だ…へっぴり腰を演じるの上手すぎ。そしてヒロインは、生身の人間じゃないみたいにクールで綺麗でダンスの上手な「黄色いドレスの女」。この対照が面白かったです。それにしても、途中でいろんな男からダンスを誘われて
(誘い方が大げさで笑える。鳥の求愛ダンスのようだ)も断り続けていたのは、やっぱり主人公と踊ろうと思ってたからなのか??それともこれも妄想??

 全体を通してのテーマはタイトル通り「コンタクト」。特に第3部は時代設定が現代ということもあって何となくいいたいことが伝わったような。村上春樹いうところのコミットメントに近いのかも。しかし、何をどう考えても第1部がコンタクトをテーマとしていたようには見えない…。結局何だったんだ第1部! 

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 02年7月  「キャッツ」劇団四季

 この月は2回もキャッツを見に行った。そう言えばこの夏は4回ミュージカルを見るんだ…と気づく。しかも全部名古屋(最寄りの劇団四季常設会場がある)じゃないよ!あほか私!4回のうち2回はこの「キャッツ」。なぜこの短期間に2度も同じ舞台を見に行くかというと、
 (1)友人リリコ(仮名)と共にバックステージツアーに参加するため
 (2)ミュージカルを見たことのない同僚が「ミュージカルを見てみたい」といったため
である。

 劇団四季のバックステージツアーは、以前「ジーザス・クライスト・スーパースター」に参加したことがある。舞台裏の仕組み、裏方の苦労話(緞帳の開閉は本当に大変そうだ!)、小道具を間近でみる、など、舞台を見ているだけでは知ることのできないことを垣間見ることができて、本当に面白かった。
 そのバックステージツアーを「キャッツ」で経験することができるなんていわれたらアナタ、そりゃ参加するしかないでしょう!

 ちなみに私が人生で初めて見たミュージカルはこの「キャッツ」。その日客席はがらがらで、客席に来た猫は椅子の背によじ登って私たちの顔をぐーっとにらんでいったり握手をしてくれたり…ちなみにその猫はリーダー猫マンカストラップだったのだけれど、何の予備知識もない我々(友人も私もミュージカル初体験)にはそれがいかに豪華だったかということなど知るはずもなく、「ミュージカルってすげえ!」とただただ感動しておりました。歌も踊りも、楽しくて美しくてすこし悲しくて、生まれたての雛の刷り込みよろしく、最初に見た「キャッツ」が私の中のベスト・ミュージカルであり続けています。
 そんなわけだから、「ミュージカル見てみたい」と同僚に言われた時、多少の遠さ
(鈍行列車で4時間を「多少」と言って良いものか)などものともせず「キャッツがいいよキャッツ!大阪でちょっと遠いけどキャッツ!」と勧めてしまいました。「食べ物うまいし、大阪行こうよ」と「キャッツ」以外でもちょっと気を引く努力もしましたが。
 というわけで、一月の間に2回も、愛知から大阪まで「キャッツ」を見に行くこととなったわけです。ミーハー万歳。

 キャッツの大まかなストーリは、天上に昇って永遠に生きる猫を年に一度の集会で決める、というもの。その1匹に選ばれるために、次々と猫が自己紹介をしていくという形で話が進んでいくので、おばさん猫やらひねくれ者の猫、盗賊猫、政治家猫、役者猫、手品師猫、鉄道乗務員猫など擬人化された猫が沢山見れます。基本的に陽気な場面が多いけれど、最後はなかなか哲学的かも。猫は犬に非ず、だそうです。

 で、当日の様子ですが、バックステージツアー目的で見に行った回はチケットを取るのが遅かったため1階最後列。しかし最後列は通路沿いでもあるので、ほぼ確実に猫にさわることができるという特典が!今回もミストフェリーズとマンカストラップと握手をすることができました。やた!もう1回は、割と早めにチケットを取ったので、1階の真ん中で観劇。すぐ前が通路だったので、こちらもいろんな猫が通過して行くし、最初の方ではミストフェリーズがしゃがんで毛繕いをしている様子など、なかなか面白いものが見れました。
 それから見に行く前にいつも気になるのが、劇中劇のシャム猫軍団のリーダー
(ギルバート?)を誰がやるかということ。その他のシャム猫と同じ短い剣で殺陣(?)をやると全く目立たないけれど、長刀のような長い武器を持っていると京劇のように派手な立ち回りをしてくれるので、そちらに当たるととても得した気分になります。ちなみにこの2回中、1回は地味、もう1回は派手な立ち回りでした。むむ。
 歌あり踊りあり、それから幕間にステージに上ってオールドデュトロノミー
(長老猫)と握手をしてもらえたりと、沢山の楽しみどころがあって、何回か見た内容でもやっぱり楽しかったです。ミュージカルを初めて見た同僚もかなり楽しんでくれたみたいで、大阪まで連れ出した責任を全うできて良かった…。

 それから、バックステージツアーの内容。この公演の観客のほとんどはバックステージツアーに参加したんじゃないか?と思うくらいの参加人数でした。最初に舞台上の仕掛けについていくつか説明した後、20人くらいを1グループにして順番に舞台上と舞台裏を案内してくれました。後ろの方の座席だった私たちが舞台に上ることができた時には、1時間くらい経過してたと思います。
 舞台上の仕掛けは手動が多い、というのが予想通りというか意外というか。スタッフの人はやっぱり体力仕事なのね…。例えばラム・タム・タガーが夜空(の布)を破って登場するシーンがあるのですが、その部分はマジックテープで留めてあり、スポットライトが役者さんに当たっているうちに裏方さんがこっそりテープを留め直して穴を塞いでいるそうです。ちなみにバックステージツアーをしている間ずっと、布を剥がしたり留めたりを繰り返してくれていました。こんな時にも体力使わせてしまって恐縮です。
 舞台上では、車のトランクやオーブンの中に入ったり(ドアの開け閉めも手動!)、滑り台を滑らせてもらったりしました。それから一番楽しかったのは、タイヤの上に立った人にスポットライトを当ててくれて、さらにその照明を手の動作に合わせてフェードアウトしてくれたことです。これはカーテンコールでラム・タム・タガーがよくやる動作!
 普段は見れないところを見せてもらい、舞台上や舞台裏で質問をするとスタッフの方がとても親切に答えて下さって、本当に楽しい体験ができました。やっぱりバックステージツアーは楽しいなあ。

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 02年6月  「クレイジー・フォー・ユー」劇団四季

 確かCMのあおり文句が「大切な人と見たいミュージカル」だとか、そんな内容であった。女同士で見に行く我々に対する挑戦か、とちょっと自虐ネタに走りつつも、「歌って踊る陽気なミュージカル」好きとしては外すわけには行かないということで、行ってきましたクレイジーフォーユー。

 雰囲気は、ちょっと前に見たミュージカルムービーの「ムーラン・ルージュ!」のアメリカ版といった感じでしょうか。あれが退廃的で日陰者の陰気さをベースにしたゴージャスさなら、こちらはひたすらアメリカ的陽気さと豪快さ。
 野暮ったい(というかオットコマエの)ヒロイン、陽気な踊り子、主人公達以外の老若男女もどんどん恋に落ちていくというおもしろさ。いきなり白昼夢のように踊り子が出てくるのが可愛くって好きです。とくに、「そのサイズの車にその人数は有り得ねえ!」という感じで、踊り子ズが車からわらわらわらわら出てくるのはいい!それから日常の道具
(大工道具とか)を使って演奏と踊りが始まるのも面白かった。
 楽しいものを楽しく見たい、という私にとってはかなりヒットしたミュージカルでした。また近所で上演されるときは見に行きたいです。

 ちなみにこの日は、ロビーで写真を撮ることができるサービスの日だったのでラッキーでした。劇中で使う椅子と旗を使って写真を撮りました。なかなか良い出来でした。

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 02年4月 「異国の丘」劇団四季

 久しぶりに合う友人2人と、初めてお会いする方、そして私の4人で見に行った劇団四季の「異国の丘」。
 シベリア抑留がテーマ。重い…。こういう方向の
(初めっから「ここが悲しいのね!さあ悲しまなきゃ!悲しめ!」というのが予想できる)ストーリーってあんまり好きじゃないのです。いや、涙腺弱いのですぐ泣きますが(そして案の定泣きましたが)
 感想は、友人(私にミュージカルを勧めてくれた、いわば「師匠」)に送りつけたメールより抜粋。

−−−
今日は名古屋にいって「異国の丘」を見てきました。
今までの観劇経験(少ないけど)から、私は陽気に歌って踊ってというミュージカルが好きらしいとわかったので、多分それほど好きじゃないんだろうなあと思いつつ行ってきましたさ。
…やっぱり、日曜の午後にいい気分になる内容ではないわねえ、うん。悲しくて泣けてしまったりもしたけれど。

どうも私の悲しかったシーンは微妙に周囲の人々とずれていたみたいっす(周りのすすり泣きの量から察するに)。
私が悲しかったのはシベリアから一部の人が日本へ帰れることが決まったとき、帰ることのできない人(関西弁の人)と帰ることのできる人(九州弁の人)が罵りあったシーン。
強制労働は辛いだろうけど、それを一緒にしていた仲間を、仲間でなくしてしまうというのがすごく残酷だなあと。
(まあこれはミュージカルだからそんな風に思うのかも知れないですが。実際の強制労働はもっと凄まじくて、それに比べたら仲間割れなんて大したことじゃないのかも知れないけど。)
あともう一つは主人公の友人がピストル自殺をしてしまうところ。どういう繋がりか自分でも分からないけれど、夏目漱石の「こころ」の、先生の友人Kの自殺を思い出してしまった…。

ちなみに周りの人がすすり泣いていたのは、その後仲直り(?)して、長老の遺書をみんなで暗記するところでした。
うん、感動的なんだけど、心が一つになって良かったね、みたいな感じがして、私はそんなに悲しくなかったなあ…。

(中略)

あと、私の隣に座っていたのが70歳くらいのおじいさんで、「異国の丘」の歌が流れると、何度も顔をこすってたのが印象的だった(劇とは関係ないけど)。
−−−

 とまあ、こんな感じの感想でした。自分で書いておいて何ですが、どうしてここで夏目漱石がでてくるのか謎です。誰か解説して下さい。
 ミュージカルとして楽しむというよりは、特定のテーマを見せるためのストーリー、それをたまたまミュージカルで上演した、という感じでしょうか。
 あと、何度か四季のミュージカルを見に行ったけど、終わった後にスタンディングオベーションが起きたのは初めて体験したのでびびりました。
 内容は大受けするストーリーではないし、歌も踊りも「おおおっ!」とびっくりするようなものでもないから この日の主演が人気のある人だったからかなあ。石丸幹二さんだっけ?
 ちなみに私は俳優さん個人にはままったことがないので、会場の反応がなんだかとっても新鮮に感じました。 でも以前見た「壁抜け男」の時は、同じく石丸さん主演だったのにスタンディングオベーションはなかったしなあ。スタンディングオベーションの謎は深まる…。

 余談。
 この日のミュージカルは、約半年ぶりに会う友人と、約4年ぶりに会う友人と、全く初めて会う方と私、という4名で見に行きました。ミュージカル歴の浅い(3年も経ってない。数も少ないし)私に比べると、お三方とも、いやぁー、ディープで素敵でした。
 何が素敵って、
「実は出待ちしたときに撮れたいい写真があるんですよー」
「実は知人に焼き増ししてもらった写真があるんですよー。それからエリザベート録画したビデオがここにあるんですが」
「実は私も写真持って来ているんですよー」
といった感じで、全員が隠し球
(豪勢!)をちゃっかり所持していたことでしょうか。皆様素敵すぎ…。

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