展示室1 組 曲「 女 の 四 季 」

の作品は、平成7年の12月に催した古典舞踊の発表会で初演さ
れたもので、僕がまったく個人的に発表した最初の記念すべき作品
です。日頃日本舞踊にどっぷり浸かっているお弟子さん達ではなく
あえて一般公募で集まった人達に演じて貰いました。内容は、「歌
麿が描いた浮世絵の美女達が、もし現代
にタイムスリップして来て
踊り出したら・・・」というもので、最初の作品なので無難な小品
集にして、「春夏秋冬」形式で上演しました。        


楽は、琴・尺八などの和楽器にシンセサイザーやパーカッション
が加わった、新しい曲を使いました。たまたま幸運にも素敵な曲に
恵まれたので、90%が正統的な古典舞踊のテクニックによる振付
だったにもかかわらず、新鮮な感じに仕上がりました。「宝塚」の
レビューや東宝歌舞伎の「春夏秋冬」とは違うものにしたくて苦労
しました。踊りの振りには直接関係のない小道具にまで細かく気を
使って、丁寧な仕事をしたつもりです。           


演者の殆どがまったく日舞の経験がない人達で、中には驚くべき
ことに「生まれてから一度も着物を着たことがない」という人もい
ました。それでもわ
ずか
6ヶ月の特訓で、カツラを付けて裾を引い
た状態で、見事に美しく踊ってくれました。今でも信じられない位
の出来で、本当に感謝しています。貴
方に見て頂けなかったのが残
念ですが、せめて写真を見て想像してくださいネ。      


  菜の花に つい道草の 宿下がり 

桜散る散る絵ひがさ日傘、お宿下がりの道すがら、花のひとひ
ら手に受けて、寄せて集めた花手毬、つい道草の乙女です。恋
知り染めた蕾の胸に、いとし殿子の面影抱いて、花恥ずかしい
絵日傘を、クルリと廻す乙女です。
           



[御守殿] 富永(旧姓日浦)明子・川上千鶴
[町娘] 中村礼子・平野裕見子


 梳きの 櫛の歯越しに 夕蛍

黄昏時の薄闇に、ほのかに浮かぶ白い肌。さっぱりと洗い上げ
た黒髪を梳きながら、女は何を想うのでしょうか。ふと見上げ
ると、アレ、流れ星・・・。その星屑が夏草に、落ちて来たよ
うな夕蛍。恋しい人の軒端の縁を、尋ね慕うて来たのでしょう
か・・・。
                      



[湯上りの女] 岡西康子  [洗い髪の女] 納富晴美


 宵宮の 月も浮かれて 酒機嫌          

子造りにご神燈下げて、心浮き立つ宵祭。あれは屋台か四丁
目か、浮かれ拍子にお神酒所で、チョイと重ねた菊の酒。
ほろ
 酔い機嫌でそぞろ歩く、玄人集の柳腰は、また格別に粋なもの。
戯れに舞う獅子舞も、こころなしかは千鳥足。祭の夜は更けて
いく・・・。
                     



[手古舞] 町田としえ
[芸者] 本田恵理子・後藤久美枝


 来ぬ人を 待つ身に 辛き夜の雪

前世からの定めゆえ、雪は我が身ばかりに降り掛かるのでしょ
うか。今宵も更けてしんしんと、雪は積もって恋慕も積もる。
心の丈をしたためた、この文あしたは届けようか。苦界に沈ん
だこの身には、所詮男は薄情者。小指に残る口紅が、淡い灯影
に滲みます・・・。
                  



[遊女] 境(旧姓八木)真美・濱口(旧姓吉岡)尚子



 フ ィ ナ ー レ 





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