基礎知識

π/4 DQPSK変調(Differential Quadrature Phase Shift Keying)

サイン波の位相成分に離散信号(ディジタル信号)を重畳させるための変調手段の一つです。
例えば、下の図のように、ある瞬間に45°である正弦波に対して、次の瞬間に90°であるなら、位相差は45°(π/4)です。
この例では、キャリアの周波数をベースバンド(DC)にしていますので、正弦波の一周期がシンボル周期です。
変調は位相の差であり、絶対位相が問題にならない事に注意して下さい。

送信側からしてみれば、瞬間的な位相としては8値の離散的な位相値を持ちますが、復調側(受信機)でその差分をとった時には4値になります。
従って、ある瞬間での位相を検出してから、次の周期の信号を受信してからでなければ、その信号成分は解りません。
次の周期の信号との位相の引き算をする事で、復調が出来る訳です。これを一次後退差分をとる、と言います。
その復調信号は位相で4つの変化である、と言う事です。

当然、位相が変化する瞬間というものがありますから、その瞬間を捕らえてみれば、それは正弦波ではありません。
正弦波が正弦波として持続する期間が、信号周期(シンボル周期という)になります。

ここで位相差の計算法を考えてみましょう。

とします。
位相差を求めるのが目的であり、シンボル周期による時間差Tはあえて無視している点に注意して下さい。
この位相差φは、f1と、f2の複素共役との積を求める事で求める事ができます。

となります。このφが位相差です。*は複素共役を表します。

復調信号が4値を持つ、と言う事は2bit分の情報を信号周期に送れる、と言う事ですから、例えば1msec(1/1000秒)の信号周期なら、
1000×2=2kbps
が伝送容量になります

明らかに、その位相が変化する瞬間には、正弦波以外の周波数成分が含まれるので、その分だけは正弦波と異なる周波数成分になります。
勿論、この正弦波以外の成分は、他の周波数にとっては妨害ですから、帯域制限する必要があります。
結局、何処まで情報を送れるかは、不確定性原理で表されます。

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