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1. 不能と不定

1. 不能と不定
2. 自然数乗
3. 1乗
4. 0乗
5. 負の整数乗
6. 正の有理数乗
7. 負の有理数乗
8. 0の0乗

不能

方程式が解をもたないことを簡単に不能という。 次の x についての方程式は解をもたない。 \[ 0 \times x=1 \tag{1} \] どんな数でも0を掛けると0になるから左辺は常に0である。 そして右辺は1である。 x がどのような値であってもこの方程式を成立させることはできないから, この方程式は解をもたない。 つまり不能となる。

不定

方程式が複数の解をもち,解が一つに定まらないことを簡単に不定という。 次の x についての方程式は無数の解をもつ。 \[ 0 \times x=0 \tag{2} \] どんな数でも0を掛けると0になるから左辺は常に0である。 そして右辺も0である。 x がどのような値であってもこの方程式は成立するから, この方程式の解はすべての数である。 つまり不定となる。

零による除算

ある数 q とある0でない数 b との積が a であるとする。 これを満たす q のことを a を b で割った商であるという。 除法は乗法の逆演算で定義されている。 \[ q=\frac{a}{b} \iff bq=a \] b ≠ 0 の場合の商はこれでよいが,b = 0 の場合の商はこれではうまく定義できないのである。

1を0で割ること

a = 1,b = 0 のとき,1 を 0 で割った商を x とおくと, もし適当な x が存在するなら x は次の方程式を満たす。 \[ x=\frac{1}{0} \] この方程式は除法で書かれているが,乗法に書き換えると \[ 0 \times x=1 \] となる。(1)よりこの方程式は解をもたない(不能)ので,1 を 0 で割った商はうまく定義できない。

0を0で割ること

a = 0,b = 0 のとき,0 を 0 で割った商を x とおくと, もし適当な x が存在するなら x は次の方程式を満たす。 \[ x=\frac{0}{0} \] この方程式は除法で書かれているが,乗法に書き換えると \[ 0 \times x=0 \] となる。(2)よりこの方程式の解はすべての数となる(不定)ので,0 を 0 で割った商はうまく定義できない。 一般に 0 で割ることは禁止されている。 0でない数を 0 で割る場合は不能となり,0 を 0 で割る場合は不定となって, いずれの場合も商をうまく定義できないため,0 で割ることを避けているのである。

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2. 自然数乗

1. 不能と不定
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3. 1乗
4. 0乗
5. 負の整数乗
6. 正の有理数乗
7. 負の有理数乗
8. 0の0乗

a は任意の実数,n は正の整数とする。 冪 an は,a に a 自身を掛けた積,またはそれの繰り返しによって定められる。 \begin{align} & a^1=a, & & a^2=a \times a, & & a^3=a \times a \times a, & & a^4=a \times a \times a \times a, & & \dots \tag{1} \end{align}

指数が正の整数全体で定義されているとき,底の範囲は任意の実数である。 \begin{align} & (-3)^3=-27 && 0^3=0 && 2^3=8 && 5^3=125 \\ & (-3)^2=9 && 0^2=0 && 2^2=4 && 5^2=25 \\ & (-3)^1=-3 && 0^1=0 && 2^1=2 && 5^1=5 \end{align}

指数法則

指数が正の整数のときに成り立つ指数法則は次の通り。 a,b は任意の実数,m,n は正の整数とすると次の指数法則が成り立つ。 2番目の法則のみ m > n を仮定する。 \begin{align} & a^m a^n=a^{m+n} & & a^m \div a^n=a^{m-n} & & (a^m)^n=a^{mn} & & (ab)^n=a^n b^n \tag{2} \end{align}

指数の拡張

冪 ap を定めようとするとき, 指数 p がどのような数であるかによって,冪 ap が定義可能となる底 a の範囲が変化する。

以降のページでこのことを確かめよう。

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3. 1乗

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1乗の定義

a は任意の実数とする。 a2,a3,a4 等は積で定義されている。 \begin{align} & a^2=a \times a, & & a^3=(a \times a) \times a, & & a^4=((a \times a) \times a) \times a, & & \dots \tag{1} \end{align} しかし a1 = a は積で定義されていない。 当たり前なのかもしれないが,本当に a1 = a でいいのだろうか。

1に繰り返しaを掛ける方法

a1 も含めてすべてが積で定義されるように,冪の定義を次のように書き換えてもよい。 \begin{align} & a^1=1 \times a, & & a^2=1 \times a \times a, & & a^3=1 \times a \times a \times a, & & \dots \tag{2} \end{align} これですっきり解決,としてもよいが,定義が作為的すぎる点が気になる。 この方法では a1 = 1×a と定められている。 1 は乗法の単位元とよばれるもので, 乗法の単位元とは,任意の数 a に対して \[ a \times 1=1 \times a=a \] を満たす数 1 のことをいう。 この方法では a1 = 1×a と定められているので,単位元 1 とは \[ a^1=a \] を満たす数のことであると主張するのと同じになってしまう。 本当に a1 = a でいいのだろうかという疑問に対して, a1 = a と定義しますと答えるのと同じなのだ。

指数法則から導く方法

上の方法では気持ちよく解決とならなかったから,指数法則を利用して1乗の値を定めよう。 指数が2以上の整数のときに成り立つ指数法則は次の通り。 a,b は任意の実数,m,n は2以上の整数とすると次の指数法則が成り立つ。 2番目の法則のみ m−n ≥ 2 を仮定する。 \begin{align} & a^m a^n=a^{m+n} & & a^m \div a^n=a^{m-n} & & (a^m)^n=a^{mn} & & (ab)^n=a^n b^n \tag{3} \end{align} 2乗以上の冪 a2,a3,a4 等は積によって自然に定義され, m ≥ 2,n ≥ 2,m−n ≥ 2 に対して,指数法則が成り立つとする。 このとき,指数法則を保つような a1 を見つけよう。 a ≠ 0,m−n = 1,n ≥ 2 のとき,もし a1 が定義されて指数法則を満たすなら, \[ a^1=a^{m-n}=\frac{a^m}{a^n}=\frac{a^{n+1}}{a^n}=a \] が成り立つ。 指数法則が保たれ扱いやすい a1 は,a1 = a のみなので, これを定義とする。 \[ a^1=a \tag{4} \] 指数法則を利用して a1 を定義した場合,01 の値が不定となる。

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4. 0乗

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0乗の定義

指数が正の整数のときに成り立つ指数法則は次の通り。 a,b は任意の実数,m,n は正の整数とすると次の指数法則が成り立つ。 2番目の法則のみ m > n を仮定する。 \begin{align} & a^m a^n=a^{m+n} & & a^m \div a^n=a^{m-n} & & (a^m)^n=a^{mn} & & (ab)^n=a^n b^n \tag{1} \end{align} 1乗以上の冪 a1,a2,a3 等が定義され, m ≥ 1,n ≥ 1,m−n ≥ 1 に対して,指数法則が成り立つとする。 このとき,指数法則を保つような a0 を見つけよう。 a ≠ 0,m−n = 0,n ≥ 1 のとき,もし a0 が定義されて指数法則を満たすなら, \[ a^0=a^{m-n}=\frac{a^m}{a^n}=\frac{a^n}{a^n}=1 \] が成り立つ。 指数法則が保たれ扱いやすい a0 は,a0 = 1 のみなので, これを定義とする。 \[ a^0=1 \tag{2} \]

指数が非負の整数全体で定義されているとき,底の範囲は0を除く実数である。 × は定義されないことを示す。 \begin{align} & (-3)^2=9 && 0^2=0 && 2^2=4 && 5^2=25 \\ & (-3)^1=-3 && 0^1=0 && 2^1=2 && 5^1=5 \\ & (-3)^0=1 && 0^0=\times && 2^0=1 && 5^0=1 \end{align}

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5. 負の整数乗

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負の整数乗の定義

指数が非負の整数のときに成り立つ指数法則は次の通り。 a,b は0を除く実数,m,n は非負の整数とすると次の指数法則が成り立つ。 2番目の法則のみ m ≥ n を仮定する。 \begin{align} & a^m a^n=a^{m+n} & & a^m \div a^n=a^{m-n} & & (a^m)^n=a^{mn} & & (ab)^n=a^n b^n \tag{1} \end{align} 0乗以上の冪 a0,a1,a2 等が定義され, m ≥ 0,n ≥ 0,m−n ≥ 0 に対して,指数法則が成り立つとする。 このとき,負の整数 −n に対して指数法則を保つような a−n を見つけよう。 a ≠ 0,m = 0,n ≥ 1 のとき,もし a−n が定義されて指数法則を満たすなら, \[ a^{-n}=a^{0-n}=\frac{a^0}{a^n}=\frac{1}{a^n} \] が成り立つ。 指数法則が保たれ扱いやすい a−n は,a−n = 1/an のみなので, これを定義とする。 \[ a^{-n}=\frac{1}{a^n} \tag{2} \]

指数が整数全体で定義されているとき,底の範囲は0を除く実数である。 × は定義されないことを示す。 \begin{align} & (-3)^0=1 && 0^0=\times && 2^0=1 && 5^0=1 \\ & (-3)^{-1}=-\frac{1}{3} && 0^{-1}=\times && 2^{-1}=\frac{1}{2} && 5^{-1}=\frac{1}{5} \\ & (-3)^{-2}=\frac{1}{9} && 0^{-2}=\times && 2^{-2}=\frac{1}{4} && 5^{-2}=\frac{1}{25} \end{align}

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6. 正の有理数乗

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2. 自然数乗
3. 1乗
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5. 負の整数乗
6. 正の有理数乗
7. 負の有理数乗
8. 0の0乗

主要根

a は非負の実数,n は正の整数とする。 次の x についての方程式 \[ x^n=a \qquad (a ≥ 0,\; n > 0) \] を満たす x のことを a のn乗根という。 a ≥ 0 のとき,a のn乗根で非負の実数となるものが唯一つ存在するから, それを主要根とよんで次の根号で表す。 \[ x=\sqrt[n]{a} \ge 0 \iff x^n=a \ge 0 \]

正の有理数乗の定義

指数が正の整数のときに成り立つ指数法則は次の通り。 a,b は任意の実数,m,n は正の整数とすると次の指数法則が成り立つ。 2番目の法則のみ m > n を仮定する。 \begin{align} & a^m a^n=a^{m+n} & & a^m \div a^n=a^{m-n} & & (a^m)^n=a^{mn} & & (ab)^n=a^n b^n \tag{1} \end{align} a ≥ 0 のとき,1乗以上の冪 a1,a2,…,am 等が定義され, m ≥ 1,n ≥ 1,m−n ≥ 1 に対して,指数法則が成り立つとする。 このとき,正の有理数 m/n に対して指数法則を保つような x = am/n を見つけよう。 a ≥ 0,m ≥ 1,n ≥ 1 のとき,もし x = am/n が定義されて指数法則を満たすなら, \[ x^n=(a^{\frac{m}{n}})^n=a^{\frac{m}{n} \times n}=a^m \] が成り立つ。 x ≥ 0 のものを選ぶなら,x は am のn乗根(主要根)に等しい。 指数法則が保たれ扱いやすい am/n は,am のn乗根(主要根)のみなので, これを定義とする。 \[ a^{\frac{m}{n}}=\sqrt[n]{a^m}=(\sqrt[n]{a})^m \tag{2} \]

定義可能であること

a は非負の実数とし,m,n,m',n' は正の整数で m/n = m'/n' を満たすとする。 常に am/n = am'/n' が成り立つなら,am/n が定義可能(well-defined)といえる。 これを確かめよう。m/n = m'/n' のとき mn' = m'n である。 x = am/n の n'乗を求めると \[ x^{n'}=(a^{\frac{m}{n}})^{n'}=a^{\frac{mn'}{n}}=a^{\frac{m'n}{n}}=a^{m'} \] となるが,xn' = am' を満たす非負の x は一つだけだから \[ x=a^{\frac{m}{n}}=\sqrt[n']{a^{m'}}=a^{\frac{m'}{n'}} \] が成り立つ。 よって am/n は定義可能である。

非負の底に限られること

指数 m/n の異なる表現に対して am/n の値が不変であることが求められるが, a が負の場合は am/n は定義可能でない。 たとえば (−27)1/3 の値は定めることができない。 \begin{align} & (-27)^{\frac{1}{3}}=\sqrt[3]{-27}=-3, & & (-27)^{\frac{2}{6}}=\sqrt[6]{(-27)^2}=3 \end{align} 指数の異なる表現 1/3 = 2/6 に対して, (−27)1/3 = (−27)2/6 である値を定めることができない。 また,3乗根 \(\sqrt[3]{-27}\) は定義できるが,1/3乗 \((-27)^{\frac{1}{3}}\) は定義できないことに注意しよう。

指数が正の有理数全体で定義されているとき,底の範囲は非負の実数である。 \begin{align} & 0^{\frac{1}{3}}=0 && 4^{\frac{1}{3}}=\sqrt[3]{4} && 8^{\frac{1}{3}}=2 \\ & 0^{\frac{2}{3}}=0 && 4^{\frac{2}{3}}=\sqrt[3]{16} && 8^{\frac{2}{3}}=4 \\ & 0^{\frac{3}{2}}=0 && 4^{\frac{3}{2}}=8 && 8^{\frac{3}{2}}=\sqrt{512} \end{align}

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7. 負の有理数乗

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2. 自然数乗
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4. 0乗
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7. 負の有理数乗
8. 0の0乗

負の有理数乗の定義

指数が正の有理数のときに成り立つ指数法則は次の通り。 a,b は非負の実数,p,q は正の有理数とすると次の指数法則が成り立つ。 2番目の法則のみ p > q を仮定する。 \begin{align} & a^p a^q=a^{p+q} & & a^p \div a^q=a^{p-q} & & (a^p)^q=a^{pq} & & (ab)^p=a^p b^p \tag{1} \end{align} p > 0,q > 0,p−q > 0 に対して,指数法則が成り立つとする。 このとき,指数法則を保つような a0 を見つけよう。 a > 0,p−q = 0,q > 0 のとき,もし a0 が定義されて指数法則を満たすなら, \[ a^0=a^{p-q}=\frac{a^p}{a^q}=\frac{a^q}{a^q}=1 \] が成り立つ。 指数法則が保たれ扱いやすい a0 は,a0 = 1 のみなので, これを定義とする。 \[ a^0=1 \tag{2} \] p ≥ 0,q ≥ 0,p−q ≥ 0 に対して,指数法則が成り立つとする。 このとき,指数法則を保つような a−q を見つけよう。 a > 0,p = 0,q > 0 のとき,もし a−q が定義されて指数法則を満たすなら, \[ a^{-q}=a^{p-q}=\frac{a^p}{a^q}=\frac{a^0}{a^q}=\frac{1}{a^q} \] が成り立つ。 指数法則が保たれ扱いやすい a−q は,a−q = 1/aq のみなので, これを定義とする。 \[ a^{-q}=\frac{1}{a^q} \tag{3} \]

実数乗

a > 0 のとき,任意の実数 r に対して冪 ar を定めることができる。 r に収束するような有理数の列 q1,q2,q3,… を任意にとり, aq1,aq2,aq3,… の極限値により ar を定義する。 \[ r=\lim_{n \to \infty} q_n \implies a^r=\lim_{n \to \infty} a^{q_n} \tag{4} \]

指数が有理数全体(実数全体)で定義されているとき,底の範囲は正の実数である。 × は定義されないことを示す。 \begin{align} & 0^{\frac{1}{3}}=0 && 4^{\frac{1}{3}}=\sqrt[3]{4} && 8^{\frac{1}{3}}=2 \\ & 0^0=\times && 4^0=1 && 8^0=1 \\ & 0^{-\frac{1}{2}}=\times && 4^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{2} && 8^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{\sqrt{8}} \end{align}

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8. 0の0乗

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指数による分類(指数が整数のとき)

指数が正の整数の場合(→誤りを修正2020.1.2)

指数 p が正の整数のとき,底 a の範囲は任意の実数である。 \begin{align} & (-4)^3=-64 & & (-2)^3=-8 & & 0^3=0 & & 2^3=8 & & 4^3=64 \\ & (-4)^2=16 & & (-2)^2=4 & & 0^2=0 & & 2^2=4 & & 4^2=16 \end{align}

指数が0または負の整数の場合

指数 p が0または負の整数のとき,底 a の範囲は0を除く実数である。 × は定義されないことを示す。 \begin{align} & (-4)^0=1 & & (-2)^0=1 & & 0^0=\times & & 2^0=1 & & 4^0=1 \\ & (-4)^{-2}=\frac{1}{16} & & (-2)^{-2}=\frac{1}{4} & & 0^{-2}=\times & & 2^{-2}=\frac{1}{4} & & 4^{-2}=\frac{1}{16} \\ & (-4)^{-3}=-\frac{1}{64} & & (-2)^{-3}=-\frac{1}{8} & & 0^{-3}=\times & & 2^{-3}=\frac{1}{8} & & 4^{-3}=\frac{1}{64} \end{align}

指数による分類

指数が正の実数の場合

指数 p が正の有理数(実数)のとき,原則として底 a の範囲は非負の実数である。 \begin{align} & (-4)^2=\times & & (-2)^2=\times & & 0^2=0 & & 2^2=4 & & 4^2=16 \\ & (-4)^{\frac{1}{2}}=\times & & (-2)^{\frac{1}{2}}=\times & & 0^{\frac{1}{2}}=0 & & 2^{\frac{1}{2}}=\sqrt{2} & & 4^{\frac{1}{2}}=2 \end{align} ただし,指数 p が整数のみに限定されている場合は,定義できることがある。 \begin{align} & (-4)^2=16 & & (-2)^2=4 & & 0^2=0 & & 2^2=4 & & 4^2=16 \end{align}

指数が0の場合

指数 p が0(有理数または実数としての0)のとき,底 a の範囲は0を除く実数である。 \begin{align} & (-4)^0=1 & & (-2)^0=1 & & 0^0=\times & & 2^0=1 & & 4^0=1 \end{align}

指数が負の実数の場合

指数 p が負の有理数(実数)のとき,原則として底 a の範囲は正の実数である。 \begin{align} & (-4)^{-\frac{1}{2}}=\times & & (-2)^{-\frac{1}{2}}=\times & & 0^{-\frac{1}{2}}=\times & & 2^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{\sqrt{2}} & & 4^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{2} \\ & (-4)^{-2}=\times & & (-2)^{-2}=\times & & 0^{-2}=\times & & 2^{-2}=\frac{1}{4} & & 4^{-2}=\frac{1}{16} \end{align} ただし,指数 p が整数のみに限定されている場合は,定義できることがある。 \begin{align} & (-4)^{-2}=\frac{1}{16} & & (-2)^{-2}=\frac{1}{4} & & 0^{-2}=\times & & 2^{-2}=\frac{1}{4} & & 4^{-2}=\frac{1}{16} \end{align}

底による分類

底が正の場合

底 a が正のとき,指数 p の範囲は任意の実数である。 \begin{align} & 2^{-3}=\frac{1}{8} & & 2^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{\sqrt{2}} & & 2^0=1 & & 2^{\frac{1}{2}}=\sqrt{2} & & 2^3=8 \end{align}

底が0の場合

底 a が0のとき,指数 p の範囲は正の実数である。 \begin{align} & 0^{-3}=\times & & 0^{-\frac{1}{2}}=\times & & 0^0=\times & & 0^{\frac{1}{2}}=0 & & 0^3=0 \end{align}

底が負の場合

底 a が負のとき,原則として指数 p の範囲は0のみである。 \begin{align} & (-2)^{-3}=\times & & (-2)^{-\frac{1}{2}}=\times & & (-2)^0=1 & & (-2)^{\frac{1}{2}}=\times & & (-2)^3=\times \end{align} ただし,指数 p が整数のみに限定されている場合は,定義できることがある。 \begin{align} & (-2)^{-3}=-\frac{1}{8} & & (-2)^{-\frac{1}{2}}=\times & & (-2)^0=1 & & (-2)^{\frac{1}{2}}=\times & & (-2)^3=-8 \end{align}

0の0乗

0を掛けると常に0なので 0y = 0 が成り立ち, 0乗は常に1なので x0 = 1 が成り立つ。 それでは 00 の値は 0 か 1 のどちらにするべきだろうか。 実はすでに結論は出ていて 00 は定義されないということになっている。

定義可能性

指数 y が制限されないとき(指数 y が実数のとき),2変数関数 z = xy の定義域は, 第一象限,第四象限と,x軸の正の部分と負の部分,y軸の正の部分である。 原点や y 軸の負の部分は含まない。 指数 y が整数のみに制限されるとき,2変数関数 z = xy の定義域は, x = 0,y ≤ 0 を除いた部分である。 たとえば (−2)−3 は定義されたり定義されなかったりする。 指数 −3 を実数の一つとみなすと (−2)−3 は定義されず, 反対に,−3 を整数の一つとみなすと (−2)−3 = −1/8 が定義される。

極限値による定義

ただ 00 が定義されないというだけではつまらないから, 極限を利用して 00 の値を定めることができないか調べておこう。 x0 の形の冪において,x を限りなく 0 に近づけたときの極限値を求める。 \[ \lim_{x \to 0} x^0=\lim_{x \to 0} 1=1 \] 次に,0y の形の冪において,y を限りなく 0 に近づけたときの極限値を求める。 冪 0y は y > 0 の範囲だけで定義されるから,右極限値を求める。 \[ \lim_{y \to 0+} 0^y=\lim_{y \to 0+} 0=0 \] 近づける方向によって極限値が異なるため, 関数 z = xy に対して (x,y)→(0,0) の極限値は存在しない。 やはり冪 00 の値は極限値によっても定めることはできない。

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0の0乗

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2014.11.22 作成 / 2020.2.17 更新

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