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単利法の利息算

利息算とは元金\(P\),1期あたりの利率\(r\),期数\(N\),利息\(I\)のうち,3項の値を知って,他の1項の値を算出するものである。 1期の長さが半年で年利率が2%なら,1期あたりの利率は\(r=0.01\)とする。 元金\(P\)に利息\(I\)を加えたものを元利合計(または簡単に元利)という。

利息の算出

元金に利率をかけたものは,1期後の利息になる。 \[ I=rP \qquad (N=1) \] 単利法の場合,毎期の利息は定額の\(rP\)であるから,\(N\)期後の利息は1期あたりの利息\(rP\)のN倍になる。 \[ I=NrP \tag{1} \]

元金・利率・期数の算出

上の結果から利息以外のものも直ちに得られる。 \begin{align} P=\frac{I}{Nr} \tag{2}\\ r=\frac{I}{NP} \tag{3}\\ N=\frac{I}{rP} \tag{4} \end{align}

無利息の場合

利率が0(\(r=0\))のとき,または運用しない(\(P=0\)または\(N=0\))ときは,利息が0(\(I=0\))となる。 \[ \text{\(r=0\) または \(P=0\) または \(N=0\)} \iff I=0 \] 特に無利息(\(r=0\),\(I=0\))の場合は,元金\(P\)と期数\(N\)は任意で,値を決定できない。

複利法の利息算

単利法は元金に利率をかけたものが来期の利息となる計算法で,単利法での利息は毎期定額となる。 複利法は今期の元利合計(元金と利息の合計)に利率をかけたものが来期の利息となる計算法で,複利法での利息は徐々に増加するようになっている。 複利法においても,1期目の利息は元金に利率をかけたもの\(rP\)となる。 よって1期後の元利合計は元金\(P\)にその利息を加えたものである。 \[ P+rP = (1+r)P \qquad (N=1) \] 2期目の利息は1期後の元利合計に利率をかけたもの\(r \times (1+r)P\)である。 よって2期後の元利合計は1期後の元利合計\((1+r)P\)に新たに発生した利息を加えたものである。 \[ (1+r)P+r(1+r)P = (1+r)^2P \qquad (N=2) \] 元利合計は1期進むごとに\(1+r\)倍となることがわかる。\(N\)期後の元利合計は元金\(P\)に\(1+r\)を\(N\)回かけたものになる。 \[ P+I = (1+r)^N P \tag{5} \]

利息・元金・利率・期数の算出

上の結果から利息\(I\),元金\(P\),利率\(r\),期数\(N\)が得られる。 \begin{align} I &= \{(1+r)^N-1\}P \tag{6}\\ P &= \frac{I}{(1+r)^N-1} \tag{7}\\ r &= \sqrt[N]{1+\frac{I}{P}}-1 \tag{8}\\ N &= \log_{1+r} \left(1+\frac{I}{P}\right) \tag{9} \end{align}

無利息の場合

複利法の場合も, 利率が0(\(r=0\))のとき,または運用しない(\(P=0\)または\(N=0\))ときは,利息が0(\(I=0\))となる。 \[ \text{\(r=0\) または \(P=0\) または \(N=0\)} \iff I=0 \] 特に無利息(\(r=0\),\(I=0\))の場合は,元金\(P\)と期数\(N\)は任意で,値を決定できない。

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期間の細分化

利息は複利法で求めることとし,元金を\(P\),利率を\(r\),期数を\(N\),利息を\(I\)とする。 ただし利率\(r\)は1年あたりの利率(名目年利率)とする。 ここでは全体の期間を1年間に固定しておき,1期の長さを細かく分けていく。 各々の場合で満期時(1年後)の元利を比較しよう。 年利率が12%(\(r=0.12\))の場合の元利を併記した。

1期の長さが1年のとき

1期の長さを1年とすると,このとき期数は\(N=1\)である。 期数が\(N=1\)のときは複利法でも単利法と変わらない。 満期時(1年後)の元利は, \begin{align} P+I &= (1+r)P& &= P \times 1.12 \tag{1} \end{align} となる。 後半の数値は年利率が\(r=0.12\)の場合の元利である。

1期が半年の場合

1期の長さを半年とすると,このとき期数は\(N=2\)である。 1期あたりの利率は\(r\)の半分で\(r/2\)となる。 満期時(1年後)の元利は, \begin{align} P+I &= \left(1+\frac{r}{2}\right)^2 P& &= P \times 1.1236 \tag{2} \end{align} となる。 1期が半年の場合の元利は1期が1年の場合より多くなる。

1期が1か月の場合

1期の長さを1か月とすると,このとき期数は\(N=12\)で,1期あたりの利率は\(r/12\)となる。 月により1か月の長さが異なるがここでは考慮しない。 満期時(1年後)の元利は, \begin{align} P+I &= \left(1+\frac{r}{12}\right)^{12} P& &= P \times 1.12682 \cdots \tag{3} \end{align} となる。 1期が1か月の場合の元利は1期が半年の場合よりさらに多くなる。

1期が1日の場合

1期の長さを1日とすると,このとき期数は\(N=365\)で,1期あたりの利率は\(r/365\)となる。 閏年は考慮しない。 満期時(1年後)の元利は, \begin{align} P+I &= \left(1+\frac{r}{365}\right)^{365} P& &= P \times 1.12747 \cdots \tag{4} \end{align} となる。 1期が1日の場合の元利は1期が1か月の場合より僅かに多くなる。

実効利率

上の計算から,複利の期間を細分化するほど満期時(1年後)に受け取れる元利が増加することがわかる。 もとの年利\(r\)のことを名目利率という。 複利法で得られる利息を,単利法で得るために必要な利率のことを実効利率という。 1年を\(N\)期に分けたときの実効利率を\(r^{(N)}\)と表すことにすると、 \(N=1\)の場合は実効利率\(r^{(1)}\)が名目利率\(r\)と一致する。 \begin{align} r^{(1)} &= r& &= 0.12 \tag{5} \end{align} 1期が半年(\(N=2\))のときの実効利率\(r^{(2)}\)は \[ \left(1+\frac{r}{2}\right)^2 P = (1+r^{(2)}) P \] を満たすから,\(N=2\)のときの実効利率\(r^{(2)}\)は \begin{align} r^{(2)} &= \left(1+\frac{r}{2}\right)^2 - 1& &=0.1236 \tag{6} \end{align} となり, その他の\(N\)でも実効利率を求めると \begin{align} r^{(12)} &= \left(1+\frac{r}{12}\right)^{12} - 1& &= 0.12682 \cdots \tag{7}\\ r^{(365)} &= \left(1+\frac{r}{365}\right)^{365} - 1& &= 0.12747 \cdots \tag{8} \end{align} となる。 期数を多くすると実効利率は徐々に大きくなっていくが,しかし際限なく上昇するわけではない。 ところで,次の式の極限値をNapier数といい,\(e\)で表される。およそ\(e=2.718 \cdots\)の値をもつことが知られている。 \[ e = \lim_{N \to \infty} \left(1+\frac{1}{N}\right)^N = 2.71828 \cdots \] 複利法において,期数\(N\)を限りなく多くすると, 満期時(1年後)の元利は \[ \lim_{N \to \infty} \left(1+\frac{r}{N}\right)^N P =\lim_{N/r \to \infty} \left\{\left(1+\frac{1}{N/r}\right)^{N/r}\right\}^r P =e^r P \] となる。期間を限りなく多くしても,元利の上限は\(e^r P\)でこれ以上にはならない。 実効利率の上限は\(r^{(\infty)}=e^r-1\)となる。 \begin{align} r^{(\infty)} &= e^r-1& &= 0.12749 \cdots \tag{9} \end{align} 名目利率が\(r\)のとき,実効利率は名目利率より大きく,\(e^r-1\)より小さい。 \[ r < \text{実効利率} < e^r-1 \]

割引現在価値

現在価値が\(P\)である資産があるとき,その資産の\(N\)年後の将来価値\(F\)は複利法による利息が加算されて\((1+r)^N P\)となる。 \[ F=(1+r)^N P \] 時間を逆行させた解釈もできる。 \(N\)年後の将来価値が\(F=(1+r)^N P\)である資産を現在保有するならば,その資産の現在価値は\(P\)に相当する,と考える。 将来価値\(F\)から現在価値\(P\)を得るには \[ P = \frac{F}{(1+r)^N} \] とする。 将来価値から現在価値を得る場合,利率\(r\)のことを割引率,将来価値\(F\)から割り引かれた現在価値\(P\)のことを割引現在価値という。 上の計算では\(N\)が年数のため,利率\(r\)は実効利率を用いる。

Excel関数

EFFECT

名目年利率が\(r\)のとき,1年を\(N\)期に分けたときの実効年利率は次の式で得られる。 \[ \text{実効年利率} = \left(1+\frac{r}{N}\right)^N-1 \] 実効年利率はEFFECT関数を使って求められる。

名目年利率期数実効年利率
0.122EFFECT(0.12,2)\(=0.1236\)
0.12365EFFECT(0.12,365)\(=0.12747\cdots\)
NOMINAL

1年を\(N\)期に分けたときの実効年利率が\(R=r^{(N)}\)のとき,名目年利率は次の式で得られる。 \[ \text{名目年利率} = N(\sqrt[N]{1+R}-1) \] 名目年利率はNOMINAL関数を使って求められる。

実効年利率期数名目年利率
0.12362NOMINAL(0.1236,2)\(=0.12\)
0.3313NOMINAL(0.331,3)\(=0.3\)

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元利均等返済の利息算

元利均等返済とは,借入金の返済を毎期定額で行う方法である。 1期あたりの利率を\(r\),返済期数を\(N\),初期の借入額を\(S\),満期時の借入残高を\(F\),毎期の返済額を\(C\)として,各変数の相互関係を求めよう。 たとえば年利率が12%で,1期の長さが1か月なら,\(r=0.01\)とする。 満期時の借入残高\(F\)は通常は0とする。 借り手と貸し手の立場を替えれば,借入金の返済は貸付金の回収と見なせる。

借入残高の数列表現

第\(n\)期終了後の借入残高を\(S_n\;(0 \le n \le N)\)とする。初期の借入額は\(S\),満期時の借入残高は\(F\)(通常は\(F=0\))なので \begin{align} & S_0=S && S_N=F=0 \tag{1} \end{align} が成り立つ。ここでは借入金の返済または貸付金の回収を想定しているので,\(S > F > 0\)を仮定する(厳密には\((1+r)^NS > F > 0\)を仮定する)。 第\(n\)期の残高はひとつ前の第\(n-1\)期の残高に利率をかけて得られる利息\(rS_{n-1}\)の分だけ増加し,返済額\(C\)の分だけ減少するから,次の漸化式が得られる。 \[ S_n = S_{n-1}+rS_{n-1}-C \qquad (1 \le n \le N) \tag{2} \] \(r \ne 0\)のとき新しく数列\(\{S_n-C/r\}\)を作ると,この数列は等比数列となる。 \[ S_n-\frac{C}{r} = (1+r) \left(S_{n-1}-\frac{C}{r}\right) \] よって借入残高\(S_n\)の解は次の形で表せる。 \[ S_n = \frac{C}{r} - (1+r)^n \left(\frac{C}{r}-S_0\right) \qquad (0 \le n \le N) \]

満期時の残高の算出

この解において\(n=N\)とし,\(S_0=S\),\(S_N=F\)を代入すると,各変数の間の相互関係が得られる。 この式は満期時の借入残高\(F\)を他の変数によって表現するものになっている。 \[ F = \frac{C}{r} - (1+r)^N \left(\frac{C}{r}-S\right) \tag{3} \] 少し変形しておく。 \[ C-rF = (1+r)^N (C-rS) \tag{4} \]

返済額の算出

もっとも興味があるのは返済額\(C\)であろう。 \[ C = \frac{r(1+r)^NS-rF}{(1+r)^N-1} \tag{5} \] \(F=0\)のときは \[ C = \frac{r(1+r)^NS}{(1+r)^N-1} \] となる。 毎期の返済額\(C\)を\(N\)倍したものは第\(1\)期から第\(N\)期までに支払った返済総額になる。 返済総額\(NC\)は,初期の借入額と満期時の残高との差\(S-F\)に利息を加えたものに等しい。 \[ NC > S-F \]

初期の借入額の算出

初期の借入額\(S\)は次のように表せる。 \[ S = \frac{C}{r}-\frac{C-rF}{r(1+r)^N} \tag{6} \] \(F=0\)のときは \[ S = \frac{C\{(1+r)^N-1\}}{r(1+r)^N} \] となる。

期数の算出

期数\(N\)は次のように表せる。後半の式では対数の底は任意である。 \[ N = \log_{1+r} \frac{C-rF}{C-rS} = \frac{\log(C-rF)-\log(C-rS)}{\log(1+r)} \tag{7} \]

利率の算出

\(x=1+r\)とおくと,\(x\)は次の\(N+1\)次方程式 \[ Sx^{N+1}-(C+S)x^N-Fx+(C+F)=0 \] の解となる。 この方程式は解\(x=1\)をもつことは分かるが,それは無利息(\(r=0\))の場合なので除外される。 このような方程式を一般的に解く方法はないため,利率\(r\)の厳密解を求めることはできない。 \(r\)は\(C/S\)より僅かに小さいことはわかるので,数値計算で求めることになる。

無利息の場合

無利息(\(r=0\))のときは改めて漸化式を解くと,利率\(r\)を除く各変数の間の相互関係が得られる。 \[ NC = S-F \tag{8} \]

完済可能な条件

借入残高の漸化式によると,第1期終了後の残高が増える要因は利息\(rS\)であり,残高が減る要因は毎期の返済\(C\)である。 最終的に完済できるのは,返済が利息を上回るときだけである。 \[ \text{完済可能} \iff C > rS \tag{9} \] もし\(C=rS\)なら利息と返済が釣り合って,借入残高は永久に一定値\(S\)のままで完済できない。 \(C > rS\)なら返済が利息を上回って残高が減り,来期以降の利息も減ってくるから,いつかは完済できる。 反対に\(C < rS\)なら利息が返済を上回って残高がさらに増え,来期以降の利息も増加するから,決して完済できない。

返済能力\(C\)があらかじめ分かっているなら,借入額\(S\)の上限が逆算できる。 上の式を変形すると,完済可能な初期の借入額\(S\)の上限は\(C/r\)となる。 \[ S < \frac{C}{r} \]

元金返済額と利息返済額

毎期の返済額\(C\)のうち,元金相当額と利息相当額の内訳を考えよう。 ここでは無利息ではなく(\(r > 0\)),完済可能とする。 \[ C-rS > 0 \] 各期終了後の借入残高\(S_n\)はすでに求めた。 \[ S_n = \frac{C}{r} - (1+r)^n \frac{C-rS}{r} \] この式の形から,完済可能のときは残高\(S_n\)は単調に減少する。 \[ S=S_0 > S_1 > \dots > S_n > \dots > S_N=F \] 各期の返済額\(C\)を元金返済額\(P_n\)と利息返済額\(I_n\)に分解する。 \[ C = P_n+I_n \qquad (1 \le n \le N) \tag{10} \] 第\(n\)期の利息\(I_n\)はひとつ前の第\(n-1\)期の残高に利率をかけたもの\(rS_{n-1}\)となる。 各期の返済額\(C\)のうち,利息返済額\(I_n\)を超えて支払った部分は元金の支払に充てられると考えて,\(C-I_n\)を元金返済額\(P_n\)とする。 \begin{align} I_n &= rS_{n-1} \\ P_n &= C-rS_{n-1} \end{align} \(C-rS > 0\)かつ\(S > S_{n-1}\)であるから元金返済額は正の値(\(P_n > 0\))になっている。 \(S_{n-1}\)はすでに求めてあるから,利息返済額\(I_n\),元金返済額\(P_n\)は次のように表せる。 利息返済額\(I_n\)ははじめは多いが徐々に減少していき,反対に元金返済額\(P_n\)ははじめは少ないが徐々に増加していく。 \begin{align} I_n &= C-(1+r)^{n-1}(C-rS) \tag{11}\\ P_n &= (1+r)^{n-1}(C-rS) \tag{12} \end{align} 元金返済額\(P_n\)の総和は初期の借入額と満期時の残高との差\(S-F\)に等しい。 利息返済額\(I_n\)の総和を\(I\)とおく。 \begin{align} &S-F = \sum_{n=1}^N P_n & &I = \sum_{n=1}^N I_n \end{align} 返済額\(C=P_n+I_n\)の総和は\(NC\)であるから,次の法則が成り立つ。 \begin{align} &NC = \sum_{n=1}^N I_n + \sum_{n=1}^N P_n & &NC = I+(S-F) \end{align}

定額貯蓄への応用

借り手にとっての借入金の返済は,貸し手にとっての貸付金の回収と見なせる。 借り手からみたとき,借入と返済はお金の流れが逆向きになっている。 貸し手からみたときも,貸付と回収は逆向きである。 ここでは借入と返済,または,貸付と回収が同じ向きになるような場合を考えよう。 毎期定額の貯蓄をする場合がこれに当たる。 1期あたりの利率を\(r\),貯蓄期数を\(N\),初期の貯蓄残高を\(S\),満期時の貯蓄残高を\(F\),毎期の貯蓄額を\(C’\)として,元利均等返済を応用すればよい。 ただし毎期の貯蓄額\(C'\)は元利均等返済の返済額\(C\)とは符号が逆になることに注意する。 \[ C' = -C \tag{13} \] 定額貯蓄の場合は\(F > S > 0\)を仮定する(厳密には\(F > (1+r)^NS > 0\)を仮定しなければならない)。 元利均等返済の相互関係において,返済額\(C\)から貯蓄額\(C'\)に取り替えたものを示す。 \[ C'+rF = (1+r)^N (C'+rS) \tag{14} \]

毎期の貯蓄額の算出

毎期の貯蓄額\(C'\)は次のように表せる。借入金の返済の場合とは符号が逆になる。 \[ C' = \frac{rF-r(1+r)^NS}{(1+r)^N-1} \]

満期時の残高の算出

満期時の貯蓄残高\(F\)は次のように表せる。 \[ F = (1+r)^N \left(\frac{C'}{r}+S\right) - \frac{C'}{r} \]

初期の残高の算出

初期の貯蓄残高\(S\)は次のように表せる。 \[ S = \frac{C'+rF}{r(1+r)^N}-\frac{C'}{r} \]

Excel関数

RATE,NPER,PMT,PV,FV

たとえば1期あたりの利率が\(r=0.1\),期数が\(N=5\),定期返済額が\(C=50,000\),現在価値が\(S=200,000\)のとき,将来価値が\(F=16,847\)となる。 \[ \begin{array}{cllll} & \text{期首} & +\text{利息} & -\text{返済} & =\text{期末} \\ 1. & 200,000 & +20,000 & -50,000 & =170,000 \\ 2. & 170,000 & +17,000 & -50,000 & =137,000 \\ 3. & 137,000 & +13,700 & -50,000 & =100,700 \\ 4. & 100,700 & +10,070 & -50,000 & =60,770 \\ 5. & 60,770 & +6,077 & -50,000 & =16,847 \end{array} \] 1期あたりの利率はRATE関数で,期数はNPER関数で,定期返済額はPMT関数で,現在価値はPV関数で,将来価値はFV関数で求められる。 最終引数の0は期末払いを表している。

1期あたりの利率RATE(5,-50000,200000,-16847,0)\(=0.1\)
期数NPER(0.1,-50000,200000,-16847,0)\(=5\)
定期返済額PMT(0.1,5,200000,-16847,0)\(=-50000\)
現在価値PV(0.1,5,-50000,-16847,0)\(=200000\)
将来価値FV(0.1,5,-50000,200000,0)\(=-16847\)

Excelでは収入を正で,支出を負で表す。借入/返済の場合は,現在価値を\(S > 0\),定期返済額を\(C < 0\)とする。 貸付/回収の場合は反対に,現在価値を\(S < 0\),定期回収額を\(C > 0\)とする。 将来価値の符号は,全体の収支が0になるように決める。 よって定額貯蓄では,定期貯蓄額を\(C < 0\),将来価値を\(F > 0\)とする。

PPMT

各期の元金返済額はPPMT関数で求められる。 元金返済額PPMTと利息返済額IPMTの合計は定期返済額PMTに等しい。

元金返済額
1PPMT(0.1,1,5,200000,-16847,0)\(=-30000\)
2PPMT(0.1,2,5,200000,-16847,0)\(=-33000\)
3PPMT(0.1,3,5,200000,-16847,0)\(=-36300\)
4PPMT(0.1,4,5,200000,-16847,0)\(=-39930\)
5PPMT(0.1,5,5,200000,-16847,0)\(=-43923\)
IPMT

各期の利息返済額はIPMT関数で求められる。 元金返済額PPMTと利息返済額IPMTの合計は定期返済額PMTに等しい。

利息返済額
1IPMT(0.1,1,5,200000,-16847,0)\(=-20000\)
2IPMT(0.1,2,5,200000,-16847,0)\(=-17000\)
3IPMT(0.1,3,5,200000,-16847,0)\(=-13700\)
4IPMT(0.1,4,5,200000,-16847,0)\(=-10070\)
5IPMT(0.1,5,5,200000,-16847,0)\(=-6077\)

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元金均等返済

元金均等返済とは,毎期の元金返済額が定額となるような返済方法である。 1期あたりの利率を\(r\),返済期数を\(N\),初期の借入額を\(S\),満期時の借入残高を\(F\),毎期の返済額を\(C_n\),毎期の元金返済額を\(P\),毎期の利息返済額を\(I_n\)とする。 満期時の借入残高\(F\)は通常は0とする。

第\(n\)期終了後の借入残高を\(S_n\;(0 \le n \le N)\)とする。初期の借入額は\(S\),満期時の借入残高は\(F\)(通常は\(F=0\))なので \begin{align} & S_0=S && S_N=F=0 \end{align} が成り立つ。ここでは\(S > F > 0\)を仮定する(厳密には\(S > (1+r)F > 0\)を仮定する)。 第\(n\)期の残高はひとつ前の第\(n-1\)期の残高に利率をかけて得られる利息\(rS_{n-1}\)の分だけ増加し,返済額\(C_n\)の分だけ減少するから,次の漸化式が得られる。 \[ S_n = S_{n-1}+rS_{n-1}-C_n \qquad (1 \le n \le N) \] 返済額\(C_n\)を元金返済額\(P\)と利息返済額\(I_n\)に分解すると, 毎期の元金返済額\(P\)は定額で,初期の残高と満期の残高の差\(B-F\)を\(N\)等分したものに等しく, 第\(n\)期の利息返済額\(I_n\)は第\(n-1\)期の残高に利率をかけたもの\(rS_{n-1}\)である。 \begin{align} &C_n=P+I_n& &P=\frac{S-F}{N}& &I_n=rS_{n-1} \end{align} 各項を漸化式に代入すれば,次の式が得られる。 \[ S_n = S_{n-1}+rS_{n-1}-\left(\frac{S-F}{N}+rS_{n-1}\right) \] よって借入残高\(S_n\)の解は次の形で表せる。 \[ S_n=S-\frac{n}{N}(S-F) \tag{1} \] \(F=0\)のときは \[ S_n=\left(1-\frac{n}{N}\right)S \] となる。 各期の利息返済額\(I_n\)と返済額\(C_n\)も求められる。 \begin{align} P &= \frac{S-F}{N} \tag{2}\\ I_n &= rS-r\frac{n-1}{N}(S-F) \tag{3}\\ C_n &= \frac{S-F}{N}+rS-r\frac{n-1}{N}(S-F) \tag{4} \end{align} \(F=0\)のときは \begin{align} P &= \frac{S}{N} \\ I_n &= r\left(1-\frac{n-1}{N}\right)S \\ C_n &= \frac{S}{N}+r\left(1-\frac{n-1}{N}\right)S \end{align} となる。

返済総額

元金返済額\(P\)の総和は初期の借入額と満期時の残高との差\(S-F\)に等しい。 利息返済額\(I_n\)の総和と返済額\(C_n\)の総和を計算すると \begin{align} &\sum_{n=1}^N I_n = \frac{r}{2} \{(N+1)S+(N-1)F\} \\ &\sum_{n=1}^N C_n = S-F + \frac{r}{2} \{(N+1)S+(N-1)F\} \end{align} となる。 \(F=0\)のときは \begin{align} &\sum_{n=1}^N I_n = \frac{r}{2} (N+1)S \\ &\sum_{n=1}^N C_n = S+\frac{r}{2} (N+1)S \end{align} となる。

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元利均等返済の利息算

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2013.1.1 作成 / 2014.12.20 更新

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