マイ・ホビーズ・ミュージアム

翁(オキナ)
能楽の各流派とも【翁は能にして能にあらず】というが、この翁は神曲であって祭儀であり、能を始める式典のごときものと考えるものであろう。演者も、古来二十一日間、別火して、斎戒沐浴の後に勤めた。現在でも1日か2日はそうしている。それは曲の内容や用途が他のものと全く異なり、いわば源流が能楽以前のものだからである。たとえば、切顎の作り方とか皺の彫り方などは、舞楽面と共通する要素が多い。.「へ」の字型に刳り抜かれた目や、顎から頬にかけての皺や、植毛の丸いタンポ眉が、老翁のいかにもにこやかな表情が、神格を巧みに表している。