国産自動車中自他共に認めるFRスポーツの最高峰の1台。それは日本自動車史の伝説にまでなっ
た名車中の名車。
R34がV35に切り替わることで、直列6気筒のRBエンジンに別れを告げ、直噴のV6のVQ
を採用。又、伝統の丸テールに別れを告げて、左右独立テールに変更など、内に外に一新されてい
るのが、良くわかる。
重量配分にもこだわり、従来理想とされていた50:50ではなく、通常は52:48とし、発進
加速時の荷重移動によって50:50となるように計算された。また、前輪への荷重配分を上げる
ことにより、コーナーリング時のステアリングへの荷重ののりに効果を上げている。それに、タイ
ヤの外径を大径化(φ680mm)にすることにより、設置面積を向上、安定した走りに貢献させる
など、徹底的な研究がなされている。
従来車はクーペモデルのほうがイメージの代表でセダンはどちらかというと影の存在だった。しか
し、新型にはクーペモデルは無く、現状はセダンのみのラインナップだ。かなり注目されていた丸
型テールランプを廃止し、斬新且つ大胆なフォルムで、そこに高級車テイストを盛り込んだ。日産
が謳う”プレミアム スポーツ”。その中身を紹介しましょう。
スカイライン・イメージ1
スカイライン・イメージ2
全体にワイドアンドローフォルム(といっても全高は1470mm)、且つロングノーズのスポーツカー
シルエットを与えられ、ショートオーバーハング、ロングホイールベースのパッケージングによっ
てスペース有効率を上げている。
フロントには縦目のヘッドランプに横に大きく広がったグリルを配し、個性を主張し存在感を大き
くアピール。従来のソリッド感を外観上では見ることはできないものの最近のスポーツセダンのパ
ッケージングを採用している。サイドはロングノーズなボンネットからショートなリアまで流れる
ような曲線で高い空力性能をうかがわせる(ちなみにアンダーフロアの徹底的な整流化の効果も合
わさってcd値がなんと!0.27とリアスポイラー装着車は0.26という非凡さ!!)。また、
シーマに匹敵するロングホイールベースにより居住空間への貢献も大きい。リアは、車を知らない
人でも、スカイラインの丸型テールという超有名なデザインを廃止し、独立型のテールランプとし
ている。しかも、従来のバルブ式ではなく、LED式で光量とパッと光る点灯状態を改良。視認性
の向上と鮮やかさの演出にもなっている。
スカイライン・存在感のフロント部
スカイライン・スペシャルティな雰囲気なリア部
スカイライン・均整の取れたサイドライン
※写真は、スカイライン300GT オプション装着車
ボディカラーは、ホワイトパール
全車の標準はブラック&エクリュのツートン調。品格あるスポーティさの雰囲気が漂い、スポーツ カーではなく、ゆったりとGTを楽しみたい、そんな主張が窺える。また、シート地はスウェード 調のクロスで、肌触り感、心地感ともに良好。Sコレクションにはブラックの内装とエクセーヌ& 合皮シートとなり、Pコレクションには、セージ&エクリュのツートン内装にエクセーヌ&合皮シ ートが装着される。また、Pコレクションにはメーカーオプションで本革&サラブーレ(エクリュ 色)のシートも設定されている。
フロント内装
リア内装
センターコンソールボックスに後席用のエアコン吹出口
※写真の内装は、ブラック&エクリュ/シートはスウェード調クロス
計器は、オレンジ照明(イエローオレンジ)のアナログ表示式。スタンダードながら視認性は良好。 ダッシュボードからインパネには流れるような曲面の段差によってつながっており、その上面の曲 面部には通常は小物入れとなるポケットがオプションではDVDナビやTV用の液晶モニターが格 納されている。ちょっと変り種。また、一体感の強いエアコン操作スイッチ類や純正オーディオが 収まっている(オーディオは250GTeではオプション)。
ダッシュボード
インパネ拡大
液晶モニター使用時
両サイドのさりげないポケット
オーディオは250系には、6CD、カセット、AMFMチューナー一体、120Wアンプ&6ス
ピーカーが標準装備(250GTeは4スピーカー、ガラスアンテナのみ)。300系は、BOS
Eサウンドシステム(6CD、カセット、AMFMチューナー一体、200Wアンプ&7スピーカ
ー)が標準装備(250系には250GTeを除く全車にオプション設定)と充実の内容だ。
ナビゲーションシステムは、メーカーでTV/DVDナビシステム、Jナビ(CDナビシステム、
TVチューナーはオプション)の2種をオプション設定。(共に、6.5インチ収納式液晶モニタ
ー:インパネ拡大写真参照)また、ディーラーでも、N’FITブランドでオプションがあるので
このあたり興味がある人は比べてみてはどうでしょうか?ただ、メーカーのTV/DVDナビは燃
費情報やメンテナンス情報、ドライブインフォメーション情報(走行距離、平均車速など)、ワー
ニングインフォメーション(オーバーヒートなどの警告表示)が追加機能となる。これとは別に、
オプションでコンパスリンク、ETCユニット(自動料金収受システム)も用意されている。
操作系では、集中ドアロックを挙げる。通常のドアのロック、アンロックに加えてトランク、そし
て、フューエルリッドのロック、アンロックが連動している。
また、ドライバーのベストツーリングポジションのために、運転席のパワーシートには240mmに
およぶロングスライドと60mmのハイトリフト、リクライニング、サイサポート機構がつく(25
0GTeを除く/助手席はスライドとリクライニング機構のみ(250GT,GTeを除く))。
チルトステアリングにメーターフードも連動するチルトメーターも採用。上下45mmの調整が可能
となっている。まさにパーソナルポジションを堪能できる空間を提供しているといっていい。
トランクルームは、燃料タンクの後席下への配置などで効果があり、全長の短さから考えても上々。
しかも、トランクのアームを従来のものからダンパー式にすることで、高さもアーム稼動範囲を意
識せず容量が最大限に活用できるのがうれしい。
トランクルーム
トランクアームのダンパー
安全装備系では、ゾーンボディに加え、デュアルエアバッグ、デュアルサイドエアバック(250, 300のSコレクション、Pコレクションにオプション設定)、カーテンエアバック(250,3 00のSコレクション、Pコレクションにオプション設定)、ABS(アンチロックブレーキシス テム)、ブレーキアシスト、EBD(電子制動力配分制御)、VDC(ヴィークルダイナミクスコ ントロール:300GT系にオプション設定)、ロードリミッター付きプリテンショナーシートベ ルト(前席)、アクティブヘッドレスト(前席のみ:250,300のSコレクション、Pコレク ションにオプション設定)などそれぞれ設定されている。
初めの印象は、従来の若く切れのあるものに対し、落ち着きや品格を見につけた点だろうか?それ が、特に悪印象というわけではないのだが、本当に生まれ変わった外観を実感させられた。R34 までのそれとは違う、新しいスカイライン。それは、ドアを開け、車内からも窺えた。質感や品格 、エクリュの温かみのある色の選択から配色まで。高級車にも通じるデザイン、造りがそこにはあ った。走りを追求する、又、そのイメージを養う一種マニアックな”コクピット”はない。しかし 、ハンドルを握ったとき、そこには確かに普通のファミリーセダンなどとは違う感覚に気づかされ た。ハンドルの独特の柔らかさ、手になじむ感覚もそうだ。そして、走り出したとき、巡航の直線 路では、安定感と静粛性を自然に与えてくれ、旋回時には、”あっ”と思うようななんとも表現し がたい安心感とその内に眠る力がある。これは、ワインディングなどでは一際安定感と操りやすい フットワークを堪能できるだろう。これも、内面の生まれ変わったところだ。攻め込むスポーツカ ーから、グランドツーリングを無理なく楽しめるワンクラス上のスポーツテイストのセダン。乗り 込むほどにその”味”が実感できそうである。・・・個人的にはサイドブレーキがほしかった・・ ・。
全車2WD(FR)で、大きくは2.5L4グレード、3.0L7グレードの計7グレードの設定。
各排気量には、Sコレクション、Pコレクションのグレードが設定されており、内装のカラー及び、
材質による選択幅としている。
Sコレクションには、エクセーヌ・合皮の2素材によるコンビシートとブラック内装が装備され、P
コレクションには、エクセーヌ・合皮の2素材によるコンビシートとセージ・エクリュの2トーン内
装が装備される。また、Pコレクションには本革仕様の内装がオプションで設定されている。気にな
る価格帯だが、250GTeがベースグレードの設定となり下記の通り。ミッションは全車ATで、
マニュアルモード付。2.5Lが4速(M−ATx)で、3.0Lが5速(5M−ATx)になってい
る。
では、迷ったという人のために一つお節介。
全長は5ナンバーサイズの短いものなのだが、自然吸気の余裕あるパワー感を堪能できる300GT
(車両本体価格 325万円〜)だろうか。17インチタイヤ&ホイールも標準化、ミッションが5
速になり、快適装備も充実の内容。DVDナビをつけて(車両本体価格 345万円〜)という手も
ある。
PコレクションやSコレクションは基本的に内装の選択になるので、ブラック内装が希望の場合は、
Sコレクションに、本革仕様を選択したい場合はPコレクションでオプション装着、ということにな
る。それ以外では、大きな変化はない。