概要

世界のWRCラリーで実績をあげ続けているランサー。その市販版となるエボリューションもなん と七代目になる。数多いカーファンを魅了して止まないのは今も同じ。そこに一大改革が起こった。 そう誰もがピュアスポーツカーにはMTという認識をもっていたのに、そのピュアスポーツの代表 というべきエボにAT仕様が登場すると言うのだから・・・。これは、このパワーユニットを支え るだけのAT技術の進化、また、一つのエボの新しい領域への挑戦と言えるのかもしれない。
5速のINVECS-UスポーツモードATを採用し、これに伴ってエンジンの方もATには特に 気にかけたい出足も考慮に入れた中低速トルクのレスポンス向上しているのが特徴。また、吸排気 系も音の改善に向けた見直しも実施。足回りにいたっても、ランサーエボリューションZのスピリ ッツをきっちり生かし、AT用にチューン。単にエボZをATにしたわけではないのだ。エボファ ンをこれはやっぱりエボだというものをきっちり残しつつ新しいエボを生んだと言っていいだろう。


外観

ランサーエボリューションZの贅肉を殺ぎ落としたような無駄の少ないシャープなデザインは基本 的に同じ。しかし、ボンネットフードに大きく口を開けるエアインテークをレス化やナンバーがセ ンター位置になっている、又、リアテールもクリアレンズ内にめっきの立体形状を浮き出させるよ うなものに変更されている。そして、リアスポイラーもキャラクターの象徴ともいうべき大型のも のではなく標準サイズでより幅広いユーザーを意識している。当然、角度傾斜機能付の大型リアス ポイラーもメーカーオプションで選択できるし、スポイラーレスも可能。サイドはオーバー化した フェンダーラインを強調することで鍛えられた筋肉のような動きのあるキャラクターラインに表現 され、アンダーフロントのバンパーエクステンション、大型のサイドエアダム、リアアンダースポ イラーと相乗して厚みの増した重厚な存在感を出している。紛れも無くここにあるのは”エボ”な のだ。

LANCER EVOLUTION 7 GT-A FRONT

ランサーエボリューションZ GT−A・フロント部

LANCER EVOLUTION 7 GT-A REAR

ランサーエボリューションZ GT−A・リア部

LANCER EVOLUTION 7 GT-A SIDE

サイドシルエット

カラーバリエーションは6色。全体的に落ち着いた色が多く採用されている。

写真上は、ランサーエボリューションZ GT−A(ボディカラー:ワインレッド) オプション装着車


装備

計器は、めっき光沢リングを採用した独立3眼のホワイトメーターを採用。センタータコメーターも スポーツカーであることを強調するかのように大きく設置。バックが黒地で白いメータなので反転効 果もあって視認性良好。

METER PANEL

メーター周り

正面のダッシュボードラインにはブルーメタリックのガーニッシュが入り落ち着きの中にもおしゃ れな装いをしている。このパネルはシフトのベースやパワーウィンドウスイッチなどのパネルにも 使用され、ブラック基調の落ち着いた室内のアクセントになっている。シートは専用スポーツシー トが標準だが、オプションでレカロ製セミバケットシート、本革4WAYパワーシートも選択できる。 GT−Aはスポーツ一色ではなく、さりげなく上質さを演出しているのも特徴。

D.B.

ダッシュ一面

IN.PANE.

インパネ周り

オーディオ関係は、基本はレス仕様でオプションの設定。純正のDVD-MMCSナビシステムや 6スピーカーの2DIN対応キットはメーカーオプション設定。ディーラーオプション装着するも 良し、市販品を装着するも当然良しだ。

室内ユーティリティは、基本は通常セダンのもの。4人大人の乗車でも実用レベルなのはセディア でも実証済み。広いという印象は少ないが、ベースの5ナンバーセディアを考えれば納得もいく。

LUGGAGE1

ラゲージルーム

ラゲージは可倒式リアシートなどは強度上仕方ないと思うが装着されない。しかし、セダン上特に 不足はなく、実用レベルにある。4ドアとしての最低限はきっちりクリアされているのは評価しよ う。

安全装備系では、セディアベースのボディにドア開口部の周りに更にスポット溶接を増してより剛性を 高めている。又、サスペンションの取り付け部、フロントピラー結合部、リアピラーホイールハウス結 合部位、シートバックブレース(カタログより)などに補強、フロントストラットタワーバーの採用な ど、ねじり、曲げにはより徹底した補強を実施。そして、デュアルエアバッグ、スポーツABS(アン チロックブレーキシステム)、EBD(電子制動力配分制御)、フロント3点式ロードリミッター付プ リテンショナーELRシートベルトなど。特にボディ面の剛性強化が重点的に行われている。


車種構成

いうまでもなく、GT−Aは1グレードというか設定は他に無い。リアスポイラーのバリエーションと か、サンルーフとかシートぐらいのオプションによる差別化程度。


現車の印象

筆者はこの度機会をいただき貴重な試乗をすることができた。GT−Aとはいえ、エボはエボ。この価値 を体感してそのよさを知るまたとない機会これはファンならずとも必見の機会であったわけなのだ。
乗った後の感想は、もう快感。これじゃ書き手としては貧弱な表現かもしれないが、多くを語るよりまず 出る一言というべきかな。
ブルーメタ塗装のガーニッシュも入り一見アダルトな装いもあるインパネ周りの雰囲気だが、アクセルを ONすれば、その瞬間からエボが顔を出す。シートバックに体を押さえ込むGはまがいも無く普通のター ボ車とは一線を画するものだ。ブレーキは利き初めまでの遊びが少なく、踏み込みを増すことで制動力も 増すタイプ。初期制動重視のタイプとは違うが容量的にも流石のもの。不安はない。ステアリングは14 80kgを支えるとは思えないくらいの軽快で切れのいい操舵感覚、流石に鍛え抜かれた車であることを 良く感じることができた。ATも5速化することで一速一速の間が妙に長いという印象はなく、Dレンジ でも強力な加速感とショックの少ないことに評価したい。ただ、INVECSの学習中はマニュアルモー ドでは若干の応答のタイミングがあるのか微妙な反応を示すが、学習後はよりドライバーに合った変速フ ィーリングをしてくれるだろう。
通常の車選びでは当然難しい車。これだけ、フィーリングにもテイスティングが出来上がった車だから当 然万人受けはしないだろうが、エボにあこがれていたユーザー、コンセプト、MTに乗りつかれてATに 乗ろうか・・・しかし、スポーツスピリッツを忘れたくないユーザーなんかは絶対に”買い”でしょう。 興味ある方は急いで近くの販売店に在庫を確認しよう。
個人的には角度調節機構付の大型リアスポイラーでエボを強調した乗り方をしたい。贅沢をいえば、MT 仕様のボンネットフードに大型エアインテークが空いたあの仕様も選択できるとうれしいのですが、コン セプト上はずされたのか、若干寂しい。

ENGINE ROOM

EVOZ GT−Aのエンジンルーム

HEAD COVER

名機4G63:レッドメタリック塗装されたヘッドカバーがかっこいい・・・EVOの刻印もつく


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