Black Birthday 
ブラック バースディ
くまくま さま
八戒の誕生日へと日付が変わった深夜、三蔵は予定通り八戒の住んでいる家に辿り着いた。
部屋に1人でいた八戒は、突然の三蔵の訪問に驚いたようだった。
信じられないというような顔をしていた。後で八戒に聞いたら、『自分に都合のいい夢を見ているのかと思いました。』と言っていた。
三蔵は心の中で八戒に言う。
『でも、これは夢じゃない。現実なんだよ、八戒』
今も俺は、八戒の家にいる。



窓際での再会から、早2時間が経過している。
その間に八戒は、三蔵の為にお風呂を沸かし、軽い食事の用意をしてもてなした。
その後2人は八戒の寝室へと移動した。
「八戒、遅くなったが…」
そう言って三蔵が取り出したのは、リボンのかかった箱だった。
「僕にですか?ありがとうございます」
八戒は三蔵の手からプレゼントを受け取る。
「開けてみていいですか」
「ああ」
三蔵の許しを得て、八戒は丁寧に包装をといていった。
箱の中からは、シルクと思われるシャツが出てきた。
そのシャツを、八戒は体に合わせる。
「三蔵、似合いますか?」
八戒は笑顔で三蔵に聞いてきた。



三蔵は包装をといている八戒を見つめた。
箱の中身を見た時の八戒の反応が、とても気になる。
寺院の用事で出た先で見つけた、シルクのシャツ。
八戒の瞳を淡くしたような綺麗なグリーンのそのシャツは、一目で三蔵を虜にした。
きっと八戒が着たら、その瞳と相俟ってさぞかし映えるだろうと、三蔵は思った。
おりしも、八戒の誕生日は目前。即決で購入に踏み切った三蔵であったが、八戒が気に入ってくれるかどうかが心配だった。
だから、八戒のリアクションを見るまで、三蔵は柄にもなくドキドキしていた。
箱の中身を見た時の八戒の表情は、一生忘れられないと三蔵は思う。
驚きを隠せなかった表情は、次第に嬉しいような、それでいてはにかんでいるようにも見える笑顔に変わった。
その表情が何とも言えず、可愛かったのだ。
そしてシャツを手に持ち、体に合わせる八戒の無邪気さも、三蔵をいたく満足させた。
「気に入ってくれたか?」
「ええ、ありがとうございます」
八戒は、三蔵をクラクラさせるような笑顔で答えた。




「三蔵、このシャツ着てみていいですか?」
八戒の問いかけに、三蔵はすぐさま頷いた。
三蔵はベットの上で、八戒が着替えるのを見ていた。
八戒のあまりの無防備さに、三蔵は目をそらせた。そうでもしないと、三蔵は自分の欲望を抑えられなくなりそうだったから…。
だが、その直後に三蔵に届いた八戒の声が、三蔵の全てを狂わせる。
「似合いますか?三蔵」
その声に反応して三蔵は八戒をベットの上から見上げた。
思った通り、そのシャツは八戒に似合っていた。想像以上に似合っていたと思う。
ほっそりとした体にまとわりつくようなシルクのシャツを着ている八戒は何とも色っぽい。その八戒の姿は、三蔵の欲望を今まで以上に刺激してしまった。
三蔵は八戒を手招きする。
近づいてきた八戒の腕を引っ張ると、三蔵は一気に八戒の体をベットに押し倒した。
そして、三蔵は八戒の抵抗を奪うかのように、口付ける。
八戒にプレゼントしたシャツのボタンを、三蔵は一つずつ外し始めた。
突然の三蔵の行動に八戒は目を丸くする。
だが、今の八戒の体制では三蔵から逃れる術はなかった。
唇は既に三蔵に奪われているし、八戒の脚の間には、三蔵の体がしっかりと入ってしまっている。
もちろん三蔵とこの様な行為をするのは始めてではないし、今日訪ねてきてくれた時から、こうなる事は八戒も分かっていた。
だけど、こんな乱暴にされるのは嫌だった。
八戒は何とか首を振って三蔵の口付けから逃れた。
「さんぞっ、急にどうしたんですかっ」
睨みながら言う八戒に、三蔵はニヤリと笑った。
「八戒、知っているか?男が洋服をプレゼントするのは、脱がせる為だという事を…。今まで俺は、そんな事を思った事はなかった。だけど、お前が着たのを見て、その気持ちがよく分かった。」
「三蔵…」
「八戒、愛しているよ。俺を拒むな」
乱暴に自分を抱こうとしている三蔵なのに、その声は優しく、甘かった。
真剣な三蔵の瞳に、八戒は吸い寄せられる。
そして、八戒は自分から三蔵へ口付けた。
三蔵はその口付けが八戒からの答えとして、行為を再開した。
シャツの前のボタンは既にすべて外されていた。三蔵の指は八戒の胸に悪戯をしかける。と、同時に首筋には三蔵の所有の印が赤く、はっきりと残されている。
三蔵はキスを与える場所を、徐々に八戒の胸へと下げてきている。
そして、八戒の胸の飾りを三蔵は執拗に愛撫しながら、時々刺激を与える様に軽く噛む。
「いたっ…」
その痛みに、八戒は声を上げた。
だが、その痛みが三蔵の行為によって甘い疼きに変わるまで、そん
なに時間はかからなかった。
今や八戒の体は三蔵に支配されている。
三蔵の愛撫は、八戒の一目に晒される事のない場所へと移動してい
った。
そして、三蔵は八戒自身をいきなり口に含んだ。
「あっ…んんっ」
八戒はその強すぎる刺激に絶えられず、声を漏らす。
その声に煽られるように、三蔵はますます八戒自身への愛撫を強くする。
「はっぁ、い…やっ」
八戒が快感のあまり自身から三蔵を引き剥がそうと、手を伸ばす。
それを見越したかのように、三蔵は八戒自身に軽く歯をたてた。
その瞬間、八戒は耐え切れずにすべてを放った。
そして、八戒の目に映ったのは、自身の放ったものを飲み下している三蔵の姿だった。
「三蔵っ、きたないっ」
八戒は、三蔵の行動に悲痛な叫び声をあげた。
だが、三蔵は取り合わない。
「お前のが汚いわけない。それどころか美味いぞ。」
はずかしげもなくそう言うと、三蔵は愛撫を再開した。
三蔵は八戒の奥深くに指をはわせ、特に念入りに蕾を弄った。
蕾が解れたころを見計らって、三蔵は指を挿入する。
愛撫を存分にうけていた八戒の蕾は、なんの抵抗もなしに三蔵の指を受け入れる。
三蔵の指は八戒の中で、蠢いている。そして、三蔵の指が八戒のある一点を探り当てた。
「やっ、さんぞっ…。そこっ…は、いっ…やっ」
息も絶え絶えに八戒が、哀願した。
「そうか、ここが八戒のいいところなんだな」
三蔵は、哀願を無視して、八戒を責め立てる。
次第に八戒の中を探る指の数も、1本から2本へ、そして3本へと増えている。
集中的に性感帯を刺激され、八戒は再び自身を開放しようとした。
だが、三蔵の意地悪な指は八戒自身を遮ぎっていて、いきたくてもいけない。
「三蔵っ、おねがっ…いっ」
「八戒、どうして欲しい?」
八戒の言葉を遮って、三蔵が問い掛ける。
『…いかせてっ』
小さな声が聞こえる。だが三蔵は、それを無視した。
「何か言ったか?八戒。ちゃんと言わないと、ずっとこのままだぞ」
本当は三蔵ももう限界に近かった。だが、八戒の痴態をもう少し見ていたかったし、八戒から三蔵を欲しがる言葉を言って欲しかった。
八戒は三蔵を潤んだ目で見上げている。
三蔵はその目を見つめて笑うと、ますます愛撫を激しくする。
「もうっ、いやっ。おねが…いっ。いかせてっ」
とうとう八戒の口から、三蔵の行為を促す言葉が出た。
恥かしさのあまり八戒の目尻には、涙が溢れている。
「八戒…」
三蔵は、八戒のその色香に目を見張る。快感に溺れた八戒の美しい事…。
三蔵もおのれを保つ限界を感じた。
そして、三蔵は八戒の蕾に己自身を突き入れる。それと同時に八戒を塞き止めていた戒めをはずす。
八戒は双方からの快楽に、意識が飛んだ。
だが、三蔵からの突き上げによって、八戒の意識は再び現実に戻される。
三蔵は、八戒の意識が戻った時を見逃さずに言った。
「八戒、愛してる」
お互いが繋がったままの体勢で、三蔵は八戒を抱きしめる。
三蔵の耳には、八戒の「私も…」という掠れた声が届いた。
曖昧な意識の中で出てきたであろう言葉は、八戒の心を如実に表わしているように感じる。
「八戒…」
三蔵は、今まで以上に強く突き上げると、八戒の中にすべてを放った。
その刺激で三度目の解放を迎えた八戒の意識は、深い闇へと落ちて
いった。



この世で一番愛しい人は、隣でまだ眠っていた。
寝顔を見つめながら、三蔵は煙草を燻らせている。
「やりすぎたか…」
三蔵は思う。
だが、今日は歯止めがきかなかったのだ。
それほど、今日の八戒は妖艶だった。
三蔵は八戒の髪をすきながら、額にキスを落とした。
「酷くしてごめんな、八戒。」
三蔵は今度は八戒の唇に軽いキスをした。
そして、八戒の眠りを妨げない様に、三蔵は八戒の隣に潜り込む。
「おやすみ、八戒。いい夢を…」
三蔵の声が、部屋に響いた。



おわり 



表ではもうおなじみのくまくまさま。今回は八戒の誕生日ということでお初の裏仕様のをいただきました〜っ!きゃあ〜っっ(><)有難うございますっっ!!これが届いたときにはとても驚きましたよ。まして表のお誕生日のSSが送られてきた次の日かその次の日あたりだったので。それにしてもこれでお初だなんて……さすがだ…。それにしてもシルクのシャツ……それだけでいやらしい気がするのは私だけでしょうか。これでくまくまさまも、もう裏仕様の小説はばっちりねvv
ところで。最後の方の「やりすぎたか…」の三蔵の台詞になぜか大笑いしてしまった私。あの台詞は私のツボに入りました。まあ、終ってから気付くまでセーブできなかったということは、それほど八戒が魅力的だということですよね。
本当にくまくまさん。有難うございましたっ(><)