北条 冬姫
          さま 
  僕のご主人様
2000.8.13
八戒(…ジープ?)
僕はジープといいます。
今は大好きなご主人様と一緒に旅をしています。
ご主人様の名前は八戒です。
最初はご主人様と僕の2人(?)の旅でした。
普段の白竜の姿から、車に変身してご主人様を乗せるのも、僕の大切なお仕事です。
でも、いつの頃からかお邪魔虫達が僕たちの旅に合流したのです。
ご主人様は、僕のものなのに、彼らは邪魔ばかりするのです。
本当は車に変身しても、彼等を乗せたくありません。でも、乗せないとご主人様が悲しそうな顔をするのです。
だから、僕はしかたなく彼等を乗せる事にしています。でも、運転はご主人様にしかさせません。ご主人様以外がハンドルを握るなんて、到底許せるものではありません。
僕のプライドにかけても、それだけは守るつもりでいました。
だけど、ある日、僕はご主人様以外にハンドルを握らせてしまったのです。
その事自体は、後悔していません。
あの時は、倒れたご主人様を宿のある村まで運ぶ事が第一優先事項だったのですから。
ただただ、ご主人様を早くゆっくり休めるところに連れて行きたくて、その時ハンドルを握っていたのが悟浄だったのに、全然気になりませんでした。
だけど、ホッと一安心して気づくと、僕の最後の砦を意図も簡単に破ってしまっていたのです。僕のプライドは粉々です。
落ち込んでいる僕を、元気になったご主人様が見つけてくれました。
「ジープ、ありがとうございます。おかげで元気になりました。
それと、ごめんね。ジープ」
そう言って、頭を撫でてくれました。
僕は嬉しくて涙が出てきました。そうです、ご主人様は僕の心を分かってくれていたのです。
「きゅー、きゅー」
僕はご主人様にお礼を言いました。そして、ご主人様の頬を舐めました。
「甘えん坊ですね。ジープは」
ご主人様は笑ってくれています。僕は嬉しくなって、もっともっとご主人様に擦り寄りました。
そして僕は決心しました。ご主人様の為に、僕のちっぽけなプライドを捨てる事を…。
プライドを捨てても、ご主人様は僕の事をちゃ〜んと見てくれています。
たとえ世の中の人が僕を分かってくれなくても、ご主人様だけが分かってくれてさえいれば、僕は十分だという事に気づきました。
そして、ご主人様に飼われている事が、僕の誇りになりました。


ご主人様達の旅はまだ続いています。
もちろん、僕も一緒です。
よく観察してみると、お邪魔虫達は悪い奴等じゃないという事が分かりました。
僕と一緒でご主人様が大好きなようです。
お手軽な奴と言われるかもしれませんが、ご主人様を大切にしてくれる人達は僕の仲間です。僕の中でお邪魔虫から仲間に格上げしました。
ただ、僕には不思議に思っている事があります。
僕とご主人様はいつも一緒のお部屋でお泊りをします。
でも、時々「お外に出ていて下さいね」と言われて、お部屋を追い出されてしまいます。そんな時は決まって、三蔵がお部屋に来ています。
前に一度、その言葉を言われても、お部屋から動きませんでした。そしたら、ご主人様はとても困ったような、悲しそうな顔をされたのです。
そんな顔をされたらお部屋から出ないわけにはいきません。僕は言われた通りに、お外で過ごします。
三蔵がご主人様を大事にしているのは、側で見ていると良ぉぉ〜く分かります。
ご主人様に疲れが見えると、直ぐに休む様に言ってくれます。どんなにご主人様が、「大丈夫ですよ」と言っても、有無を言わさず寝かしつけてくれるので、僕は一安心です。
でも、僕とご主人様とのお休みタイムを邪魔するのは許せません。
でもでも、その時のご主人様はいつもより一層幸せそうです。だから、僕は何も言えないし、出来ません。
ご主人様も僕に対して、悪いと思っているのか、そんな事があった次の日の朝は、一緒にお散歩にいってくれます。
僕とご主人様、二人の時間を作ってくれるのです。
ご主人様の優しい心遣いに、僕は全てを許してしまいます。
僕って、ご主人様にはとことん甘いなぁと思います。
でも、ご主人様が笑ってくれていると、僕も本当に嬉しいです。
だから、三蔵と一緒に過ごすのも認めているのです。だって、だって、ご主人様は本当に、三蔵の隣で幸せそうに笑うのです。
いつも以上に綺麗な笑顔でです。
その笑顔に、僕は騙されてしまうのです。
だから、三蔵がその笑顔を曇らせるような事をしたら、とっちめてやろうと思います。
でも、甘い僕はそんな日が永遠に来ないといいなぁと思っています。
ご主人様には、いつでも笑っていてほしいから…。


これから、どれくらい長い旅になるか分かりません。
だけど、僕はご主人様とずっと、ずぅ〜っと一緒に旅をしてくつもりです。
これは、誰にも邪魔はさせません。
ご主人様の笑顔を見る事が、僕の幸せ。
ご主人様とずっと一緒にいる事が、僕の望み。


ご主人様の為に、僕は頑張ります。






END
 私のジープが可愛いと仰ってくださって、光栄にも書いてくださいました。うっ、嬉しい〜!!
 ジープ好きには、もうやめられない1作ですっ(><)めちゃくちゃジープが可愛いですよね
 っ!しかし、そんな中でも彼女が好きな三八がベースになっているところが、さすがです。加
 えてジープがわかるほどに幸せそうな八戒…。こっちまで幸せになります〜。それにしても
 ジープのあまりにも理解の深さに完敗です。            有難うございましたっ!!