本文へジャンプ

TCBFヒョウモントカゲモドキの飼育方法


 <はじめに>

 それぞれ飼育場所・環境・地域も違いますので、この飼育方法が全てにおいて当てはまるというわけではありませんので、参考として
 お考え下さい。
 あくまでもTCBF(国内)CBの飼育方法です。WC個体や海外CB、他の国内ブリーダーさんとは飼育方法が異なる場合がありますので、
 ご注意下さい(飼育環境は徐々に変更し順応させて下さい。急激に変更すると状態を崩す場合があります)。

                                

 <飼育方法>

 飼育ケース(ヒョウモントカゲモドキの全長の倍くらいのサイズ以上でしたら、プラケースや100円ショップなどで販売されている容器に
 穴をあけて使用しても可能)を用意し、底面ヒーターに飼育ケースが半分乗るように配置し、湿度を保てる床材(赤玉土)を底に敷きヒーター
 に乗っていない側にウェットシェルターなどを置き、ヒーターに乗っている側には水入れを配置します。
 キッチンペーパーを床材として使用する場合は、湿度維持が難しいのでこまめにチェックするようにして下さい。出来れば湿度維持が可能
 な床材を使用する事をお勧めします(ぺットシーツ、人工芝、新聞紙は湿度維持には向かないのでお勧め出来ません)。
 ヒョウモントカゲモドキは野生化では、木の根や倒木、岩などの隙間に穴を掘り生活していますので、飼育下でも、土の床材を使用
 し、本来の生活環境に少しでも近づける事により、湿度維持以外にも穴を掘る行動などでストレスを軽減する事が出来ます。

 温度は、シェルター側を低め(約25℃前後)に設定し、ヒーター側を高め(約30℃前後)に設定し、ヒョウモントカゲモドキが自由に
 選べるようにケージ内の温度差を付けてやります。

 ヒョウモントカゲモドキは乾燥飼育と思われている方も多いですが、多湿を好む種類ですので、特に休息するシェルター内は床材を湿らせ
 ウェットシェルターなどを使い湿度を高めに設定します。
 また、夜の活動時は霧吹きなどをしてケージ内の空中湿度を高くしてやります。その場合、ケージ内は過度に蒸れ過ぎないようにします。
 蒸れ過ぎると、カビの発生や、病気の原因になりますので注意して下さい。また過度の乾燥も拒食や脱皮不全の原因になりますので、
 冬期に暖房器具を使い部屋を保温される場合は、加湿器などを併用する事をお勧めします。
 特にベビー〜ヤングサイズの時期は湿度に敏感ですので、ケージ内の空中湿度には十分気を付けて下さい。
 ケージ内の空中湿度(シェルター内ではありません)は、昼間50%〜60%、夜間70%〜80%位あれば良いと思います。過度に蒸れ
 なければ、多少空中湿度が高くても問題はありません。

 餌は、触角を取り後足を折ったコオロギ(フタホシ・イエコ)にカルシウム剤をまぶし、ピンセットで直接、またはケージに放して与えます。
 アルビノ種など放し餌が捕食出来ない視力の悪い個体などは、匂いが分かるようにコオロギの頭を潰し、ピンセットで直接与えます。
 ジャイアントミルワームは副食程度に与える事をお勧めします。多用すると肥満の原因になる可能性があります。
 与える場合は、必ずジャイアントミルワームの頭を潰してから与えます。そのまま与えると腹内で暴れ内臓を傷つける恐れがあります。
 餌の与え過ぎには注意して下さい。ベビーの頃は成長期ですので、食べるだけ与えた方が良いですが、アダルトサイズに成長して以降
 は腹八分目位で問題はありません。野生下とは違い狭いケージ飼育ですので、代謝以上に与え過ぎると肥満の原因になります。

 基本的には単独飼育をお勧めします。オス同士は激しく争いますので、絶対に同居させないで下さい。
 メス同士やオス1メス2などの複数飼育の場合は、必ず全ての個体が餌を食べているか、攻撃されていたり、ストレスなどで弱っている
 個体がいないかなど、こまめにチェックするようにして下さい。問題がある場合いは、直ぐに単独飼育に切り替えて下さい。

 余談ですが、以前(昔ですが)にヒョウモントカゲモドキの原産国のパキスタンに行き現地の環境を体験して来ましたが、空港を出た直後に
 遠くから銃声が聞こえるなど原産国の治安の悪さにも驚かされましたが、それよりもかなりの多湿(特に夜間)な環境には驚きました。
 原産国に行く事で、ヒョウモントカゲモドキの飼育環境を知る良い経験をする事が出来ました。その経験から、ヒョウモントカゲモドキの
 飼育環境に関して、温度や餌、設備なども重要ですが、一番は湿度だと考えています。特に日本の冬期は乾燥し、その上に保温をする
 為、さらにケージ内が乾燥する恐れがありますので、湿度管理には十分に注意が必要です。

 ヒョウモントカゲモドキは飼育方法を勉強し、温度・湿度・餌などをしっかり管理出来れば、初めての方でも比較的簡単に飼育可能な
 種類ですので、上記飼育方法を参考に是非挑戦してみて下さい。


 ヒョウモントカゲモドキには、なぜ高めの空中湿度が必要なのか?乾燥した環境だと何故脱皮不全になるのか?

 脱皮に湿度が必要なのは、古い皮を柔らかくしたり、ふやけ易くするためと思っている方も多いかも知れませんが、そうではありません。
 ヒョウモントカゲモドキに限らず生物全般に言える事ですが、生物の皮膚や空気中、地中など、その生息環境のあらゆる場所には、
 多種多様なバクテリアが存在しており、生物はそれらのバクテリアと共存しています。そのバクテリアの中には、生物にとって有益な
 バクテリアが存在し、表皮には有益バクテリア(表皮バクテリア)が存在します。
 その有益バクテリア(表皮バクテリア)は生息環境の空中湿度が高ければ活性レベルが上がり、低ければ活性レベルは下がります。
 その有益バクテリア(表皮バクテリア)は表皮の代謝を手助けしてくれる働きがあり、その働きを活発にするには、ある程度継続して
 高めの空中湿度が維持されている環境が必要不可欠になります。(因みに人の皮膚には表皮ブドウ球菌などの常在菌がいます。)
 それは、ヒョウモントカゲモドキの飼育環境でも同じです。高めの空中湿度を適度に維持し、有益バクテリア(表皮バクテリア)の活性
 レベルを上げる事により、脱皮をスムーズにします。また、古い表皮を分解する過程で使用される分解酵素は、殺菌作用や有害雑菌の
 侵入や増殖を抑える作用があり、それらの有害雑菌などから身を守る役割があるとされています。その事から、常時乾燥した環境や
 継続して高めの湿度を維持出来ない環境で飼育した場合、有益バクテリア(表皮バクテリア)の活性レベルが下がり、脱皮不全や拒食、
 病気などを誘発する原因になるので注意しましょう。
 最近では爬虫類飼育も、除菌や抗菌などと言われる事がありますが、悪影響な雑菌を抑える事はある程度は必要だと思いますが、過度
 な除菌や抗菌対策をされた環境での飼育は、上記の様なバクテリアの働きも減少し、生体自体も抵抗力が無くなりますので、床材などに
 長時間湿度維持が可能な自然由来の赤玉土などを使用する事で、下から上へとケージ全体の湿度を維持し、また床材の赤玉土に有益
 バクテリアを定着させることで有害な雑菌の増殖を抑え、本来の自然に近い環境作りが出来る生物の目線に立った飼育方法を心掛ける
 事が良い結果に繋がると考えいます。

 直接水入れから水を飲むと要注意!

 ヒョウモントカゲモドキは、適切な飼育環境では直接水入れから水を摂取する事は殆どありません。直接摂取する場合は、空中湿度が
 低く乾燥した飼育環境で水分不足に陥っている可能性が高いと考えられます。本来水分を常時摂取出来ない野生環境に生息している
 ヒョウモントカゲモドキなどの爬虫類の腎臓は、大量に水分を処理する事が出来ないため、大量に摂取し続けると徐々に腎臓などの内臓
 機能に負担が掛かり、いずれ死に至る場合もあります。死に至らなくても内臓を弱らせ機能を低下させる原因になります。
 野生のヒョウモントカゲモドキは、高湿度の環境にある程度いる事で乾燥から身を守り、餌の昆虫や、霧や夜露などが岩などに付着して
 出来た水滴などを舐めて水分を摂取しています。それはWCでもCBでも基本は同じです。
 直接水入れから水を摂取し始めたら、乾燥による水分不足のサインです。手遅れにならないうちに空中湿度を上げて、適切な飼育環境
 にしましょう。

                                

 最後に、ヒョウモントカゲモドキは、基本的には丈夫な生き物ですので、多少の悪環境や本来の野生での生息環境と違う環境でも、ある
 程度は飼育や場合によっては繁殖まで可能になります。それが逆に、間違った飼育方法でも気付かず飼育出来てしまうと言う結果に
 なってしまいます。しかし、それは数年単位の短期飼育(生かしている)が可能であるだけで、長い目で見れば本来の原産地により近い
 環境で飼育する事により、病気やストレス、短命などを軽減し、結果、長期飼育に繋がると考えています。ヒョウモントカゲモドキが何世代
 にも渡り人の手で改良され、本来の野生のヒョウモントカゲモドキとは違った容姿になっているとは言え、基本的な飼育環境はWCでもCB
 でも変わりはありません。是非、当ファームの飼育方法を参考にしていただければ幸いです。

                                  
                     詳しくは、私が監修しましたヒョウモントカゲモドキと暮らす本をご覧下さい。



 Copyright (C) 2009 TERAO CASTLE BREEDING FARM. Aii Rights Reserved.


戻る