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舞楽装束

雅楽会で、舞楽を初めて舞う機会があり、京都に行って来ました。舞は「五常楽」。左舞を習う時に、最初に教わる事が多い平舞です。私はこの「五常楽」すら、まともに舞えてるのかも微妙なド素人。ドキドキです。今回初めて蛮絵袍という、舞楽用の装束を着ました。めっちゃ嬉しい〜〜!舞楽の装束は、大まかに4種類有り、今回着た蛮絵袍はその中の一つです。装束は、自分一人で着るのはとても難しいので、人に着せて貰わなければいけません(うちの先生は、陵王の装束を一人で着たはりますが)。まるで、着る人はお人形さんのよう.....着る人も着せる人も、大変です。

昔の人は、この格好で普段の生活してたらしいけど、日頃楽な服装ばかりしている私は着ているだけで精一杯。袖は長いし袖口は広いし、後ろには引きずるぐらいデロデロ〜ンと、長い裾。この装束が、舞楽の優雅さになっている事は、言うまでも無い事なんですが……。素人の私は、少し動くだけでイライラ・ハラハラ、、、そして高価な物なので、何かあったらどうしよう、、と、気が気じゃなくてヒヤヒヤもしました(^^;)


<表袴下襲>
蛮絵袍の下に袴の変わりに表袴というズボンのような物と、下襲という蛮絵砲の下に着用します。
表袴は白色の絹で亀甲の地紋が、下襲は霜の地紋があしらわれています。袖と襟部分は朱色が付けられています。

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今回の装束は、昔の衛府官人の服装に由来すると言われています。この装束の袍(袍とは装束の上着)は、
獅子が向かい合わせに模様化したものがあり、「向獅子」と呼ばれています。これらのデザインは「蛮絵」と呼ばれ、
鳥獣草花などを円形に描いた模様です。この袍の色は古代紫と言われ、平安時代では未婚男性が着る色だと
先生から聞きました。「蛮絵」は様々な色糸で刺繍され、袍に煌びやかな印象を与えてくれます。

<腰帯>
蛮絵袍を上から締める役割をしているのは、腰帯とよばれているものです。腰帯は、黒うるし塗りの革の表面に、金や銀・石など
の飾りをつけた物です。腰帯の飾りには、階位などさまざまな規定があったようです。舞楽装束の腰帯は、石帯・金帯・銀帯が
あり、今回は金帯を付けています。

<絲鞋>
絲鞋とは、舞楽で使われる白い沓で、足袋を履いた足に付けます。底は井草で、全体は白い絹の組紐で編み上げたものです。
本体には紐が付いていて、この紐で足を固定させます。

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蛮絵装束で舞う、平舞と言われる舞いの時につける冠は、巻櫻冠と言われます。冠の上に付いてるクルリンと丸い物が巻櫻。
冠を括る紐には馬の尾毛を黒漆で固めた半月状の老懸(おいかけ)を左右に付けます。挿頭花(かざし)は桜・山吹・撫子・菊
などがあり、本来は造花を付けますが今回の挿頭花には、桜の生花をつけました。

参考資料「雅楽 ―雅楽と装束と着装―」財団法人下中記念財団
「雅楽のデザイン王朝装束の美意識」小学館1990

 

 

下襲。白い所に亀甲の地紋

 

ズボンみたい、、

  絲鞋。沓に紐が付いてお洒落
 

 

 

  出番前で緊張〜。腕が真っ直ぐ上がってないよ・涙)

蛮絵袍を金帯で締め、
冠を付ける

 

蛮絵袍。金帯は後ろ
からしか見えません

 

巻櫻冠。左右の黒いフサフサ
が老懸。丸い物が巻櫻

 

出来上がり〜

◆   ◆   ◆

おまけ(追記 2009.01)

同じ蛮絵袍でも、片袖を脱ぎ太刀を佩く舞の装束は、こんな感じになります。
後ろにも石帯に笏を挿したりします。

春庭花を舞った時の写真↓

 

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