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催馬楽

雅楽会では元神宮楽長O先生のご指導のもと、催馬樂の「伊勢海」「更衣」を稽古しています。催馬樂とは、奈良時代後半
から平安時代初めにかけて庶民の間で歌われていた風俗歌が、雅楽や神楽歌等と影響しあって新しく生まれた歌曲です。
元々通俗的な歌詞だったですが、貴族が祝宴や儀式などで使うために荘重で気品のあるものになっていきました。
催馬樂は鎌倉時代くらいまで、貴族から庶民まで幅広く親しまれていたようです。

演奏に使われるのは、龍笛・笙・篳篥の三管、琵琶・筝、笏拍子です。それに歌を合わせるのですが、お神楽のように舞はなく
声と最小限の楽器のみで表現される催馬楽は、素朴でゆったりした時間を醸し出します。催馬楽の特徴には、歌詞中の和歌の
部分を歌う時の「容由」というものがあり、その場所はゆるやかに歌います。もう一つの特徴は、拍子の一つ目は大きく歌い、
2つ目・3つ目は小さく歌う「入節」という表現です。(と、言うものの、まだイマイチ理解できないのです......私)

私達は、先生がわかりやすいように作って下さった「容由」「入節」の場所がわかる楽譜↓を見ながら稽古していますが、
先生が若い頃は譜面も説明もなく、ただ先生に「歌えばわかる」と言われたらしい。。。だから、完璧に場所を覚えるまで何回も
歌ったそうです.....凄過ぎます!はぁ、この時代に生まれてきて良かった〜(^o^;。先生には『あんた達は楽しすぎとる!』と
言われ、雅楽の世界って本当は厳しい世界なのだと、改めて思いました。まだ、催馬楽を習い始めて間もないので、音程を
取るのがとても難しい……、お稽古大変!でも、お神楽もそうなんですが、歌詞を声に出して歌うと、譜面を見ただけでは
見えてこない感情(リズム)が出てきて、とても面白いです。

神宮元楽長O野先生の譜面

伊勢海
伊勢海の 清き渚に潮間に
 神馬藻や摘まむ貝や拾はむ 玉や拾はむ

伊勢の海の 汚れの無い美しい渚で 潮が引いている間に、なのりそを摘もう、貝を拾おうよ、
玉を拾おうよ 

「なのりそ」は海藻のホンダワラの古称。玉は綺麗な石の事。

更衣
衣がへ せんやしや公達
 我が衣は野原篠原萩 の花摺や しやきんだちや

衣替えをしましょうよ。私の衣は、野原や篠原の生える萩の花を摺ったものですよ 

 衣替えは陰暦4月に夏衣、10月に冬衣に衣服を改める事をいう。「萩の花摺」とあることから冬の衣替えの事を歌う。

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某所で先生に見せてもらった笛達。笛が一杯あるとワクワクするのは、なんで?

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