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「上原きみこ傑作集2」 「上原きみ子自選集4」に収録

 

−ぼくたちの青春は−

愛も涙も笑いも銀盤の上にちりばめて・・・

−今・・・青春−

 

 

<登場人物>

斉藤沙織・・・フィギュアスケートをやっている高校3年生

日向 大・・・青春のすべてをスケートにかけている

コーチ・・・スケート部のコーチ。沙織に好意を持っている

沙織の父母

<ストーリー>

長野の高校に通う斉藤沙織は2年生のとき、フィギュア・スケート女子シングルスで優勝した。
3年生になった春、学校側の勧めで大学紹介入学とひきかえに、ペア・スケーティングで優勝をねらってみることになった。
パートナーを組むことになったのは、昨年1年生でありながら男子の部で優勝した日向大。 東京の高校から引き抜かれてきた大とのペアを沙織は承知できなかった。
それは姉の死にあった。4年前、沙織の姉と大の兄は日向家が抱えた借金を理由にお見合いをし、愛し合うようになったが、突然、日向家に莫大な遺産がころがりこんだため、一方的に婚約解消を申し入れてきた。姉が年上だからという理由をつけて・・・。だが、二人はかけおちし、半年後、姉はひとりで命を絶った。
日向家に利用されて死においやられた姉。今度は自分がペアで優勝するために弟の大を利用し、そして優勝したらその場でペアを解消しようと考える沙織。理由は・・・年下だから。
ペアスケーティングの練習をはじめた二人。
ある日大が無断で練習を休んだ。今まで無断で休むようなことはなかったので、沙織が帰りに大の下宿に寄ることになった。そこで大は熱を出して倒れていた。医者から一晩ついているように言われ、気づいたら夜が明けていた。
このことを父に責められ「彼は優勝するまでのの大事なパートナー」だと言い切った沙織。だが、これをきっかけに大に対して心を開いていくのだった。
全日本高校スケート大会の当日、沙織は大の元恋人でペアを組むはずだったというユリに動揺されられ、ショートプログラムで転倒し7位になってしまう。
このあとのフリーで最高点を出しても優勝出来ないとわかった沙織は試合を放棄しようとする。そして、引き止める大に対し、利用して捨てるつもりだったと言ってしまう。
大のせっとくにより、二人はフリーを滑りきることが出来た。結果は2位。
大は沙織に別れを告げ、会場を出て行った。
大会の後、年下の男の子を利用して捨てたという噂が学校中に広まったため、休みつづけていた沙織のところへ大が訪ねてきた。
沙織に学校へ出てくるように話したあと、姉の遺影に手を合わせ、大の兄が2年前精神病院で亡くなったことを告げた。
残りわずかの高校生活を過ごし、学校側からの紹介入学を断って自力でM大に合格した沙織は、東京へむかう列車の中で大以外の人とはペアを組まないと心に決めるのだった。

<名場面・名セリフ>

   沙織と大がパートナーとして顔を合わせる直前の大のスケーティングシーン

   大会でのデス・スパイラルのシーン

   「ぼくはいやだ流した汗と涙と青春をムダにはしない!!」

 

 

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