F1観戦と観光 in Belgium

第1日目 ベルギーへの道程
第2日目 ブリュッセル観光、そして食う
第3日目 フリー走行を見ずして観光をする in ブリュージュ
第4日目 予選にてスパウェザー
第5日目 決勝、悲喜交々、オールージュを駆け登ってみる
第6日目 帰路

 第1日目 ベルギーへの道程


(経緯)

 9月に予定していたイタリア旅行が没になったので、急遽趣味友リリコ(仮名)ご一行のツアーに便乗参加することで決定した今回のベルギー旅行。旅行というかF1観戦メイン。初のヨーロッパ旅行なのにF1観戦メイン。ああ。
 旅の連れは、今年一人F1漫遊状態
(オーストラリア、スペイン、アメリカ、ドイツGPを観戦済み)の趣味友リリコ(仮名)と、似非関西人と、本当の関西人、そして私の合計4人。夏休み時期とはいえ、ヨーロッパにF1を見に行こうというのが4人(しかも3人は幼馴染み)も集結。我ながら自分の交友関係はおかしいと思います。
 
 ベルギーGPは、昨年タバコ広告の絡みで中止になってしまったけれど、今年は晴れて復活!天候の変化が激しかったり、コースが難しいなど、見ていて楽しいサーキットなので、復活は嬉しいです。今年は再開催されたけれど、タバコ広告の問題は未解決らしいので、来年以降の開催は不確実。いつ見れなくなってしまうか分からないので、今回見ることができて良かったー。


(とりあえず到着)

 片道13時間の飛行時間で、途中飛行機が遅れたりしたものの、無事にベルギーはブリュッセルに到着。8月なのに激寒でした。8月の最高平均気温23度と聞いてはいたけれど、まさかこんなに寒いとは…!持ってきた服も夏服ばかりで、翌日からやっていけるのかとちょっと心配になりました。寒いー。
 街を歩いている人はみんなセーターやコート
(スプリングコートだけではなく、冬物のコートの人もいた!)を着ている中、薄手のTシャツに、薄手のブルゾンという格好で街の中心部の広場、グラン・プラスに食事に向かいました。時間は既に8時だったけれど、まだ空はうっすらと明るくて、広場を歩いている人も多数。大部分が写真を撮っている観光客でした。
 寒いから酒だ!寒いけどベルギーだからビールだ!
(ヨーロッパの人は冬でもビール飲むのか?)ということになり、事前にガイドブックでチェックしておいたブラッセリーへ。お酒も食事も、というお店のことをブラッセリーというらしく、カフェとそれほど違わないけれど、カフェよりはお酒の品揃えが良いので呼び分けているみたいです。苦いビールはあまり得意ではないけれど、ベルギーのビールはフルーツ味のものも多く(ちなみにビール自体は300種類以上あるらしい)、チェリーのビールとフランボワーズのビールを注文。ワインとカクテルの中間のような味で、ビールが苦手な人でも飲みやすい味でした。

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 第2日目 ブリュッセル観光、そして食う


(世界三大がっかり)

 午前中はツアー付属の市内観光バスツアー。ブリュッセル市内は狭いのに、こんな大型バスでどこへ行くのか?と思うような大きいバスでホテルを出発。ヨーロッパのバスは初めて乗りましたが(ヨーロッパ旅行が初めてだから当たり前)、乗降口が狭くて、もの凄く急な階段で、乗るのが結構大変でした。ついでに席も微妙に狭かったなあ…。
 バスは当然小回りが利かないので、市内の有名所
(教会や王宮、有名な通り等)は横をスルーするだけで、向かった先はやや郊外になる凱旋門近辺。パリの凱旋門は有名ですが、ガイドさん曰く「負けないくらい素晴らしいものなのに、こっちは無名なんですよー」とのこと。確かに作りは立派だったけれど、でも一体何に勝って凱旋してきたのか知らないから、無名なのはしょうがないんじゃ。上に登ることができる(しかも無料)とガイドブックに書いてあったので、もちろん登ってみました。何とかと煙は高いところが好き…。
 ブリュッセル市内を大まかに回った後、最後はグラン・プラスへ。ベルギーはブリュッセルで有名なのは、チョコとワッフルと小便小僧のジュリアン君。この小便小僧はグラン・プラスからちょっと歩いたところにあるそうです。ところでこの小便小僧、実際に見るとがっかりするということで「
世界三大がっかり」と称されているらしい(ちなみに後2つはシンガポールのマーライオンと、デンマークの人魚姫の像とのこと)。グランプラスからてろてろ歩いて人だかりのできているそこに辿り着いたんですが。

 それはもう「世界三大がっかり」の名に恥じない小便小僧でした。

 どの辺りががっかりかというと、全長30センチくらいしかないことでしょう。見る前は実際の子供くらいのサイズのものをイメージしていたので、「ほんとにこれ?」と一瞬呆気にとられるほどでしたよ。流石世界三大がっかり!人が集まっているから気付くようなものの、そうでなかったらスルー確実。像自体が小さいから、出ている水もほんとちょろちょろ〜という感じだし。
 以前「トリビアの泉」で「導火線についた火を小便で消したので有名になったジュリアン君。本当に消せるのか?実際にやってみた」というトリビアがあったなあ。結果は、案の定ジュリアン君
(レプリカ)大爆破されておりましたが。
 そんな世界三大がっかりにみごとにがっかりさせられている私を尻目に、同行関西人は「頭の上に小便かけられているように見える角度で写真撮れ!」と大はしゃぎでした。さすが関西人…。


(食べ物三昧)

 ベルギーの何がいいって、景色はもちろんいいんですが、多分それはヨーロッパ共通。というわけで、ベルギーの良さは食べ物のおいしさにあると断言します。本当に、すべてが、美味しかったです。
 有名なのはチョコとワッフルで、特にチョコはゴディバやノイハウスといった王室御用達の高級チョコが有名。日本で買うと激高なので滅多に食べる機会がありませんが、現地では半額くらいで購入できるので、ここぞとばかりに買っては食べてを繰り返しておりました。
ダイエット?何それ?旅のダイエッターは掻き捨て。生のイチゴやフランボワーズにチョコが付いたものなんかは、現地でないと食べられないしー。
 高級チョコだけではなくて、スーパーでもやたらにチョコレートコーナーが大きいのが流石です。本当にチョコ三昧ベルギー人。

 もう一つの有名品、ワッフルも至る所で販売中。しかし日本の露店感覚で購入するには、そのワッフルでかすぎです。2倍とは言いませんが、日本人が「これなら食べ歩きできる」と思うサイズより随分大きいです。結局食べ歩きは断念して、ワッフルは食後のデザートとして頼むだけだったんですが、露店ワッフルよりも更にボリュームたっぷり。ただでさえ大きいワッフルにホイップクリームが乗り、更にアイスクリームが乗り、更にチョコレートがかけられ、ついでにフルーツも盛りだくさん。倍率ドン、さらに2倍的。絶対一人じゃ食べつくせません。
 ワッフルといえば、時々「Mikado」と名付けられたワッフルを見かけたんですが、何故に「帝」?とりあえず頼んでみましたが、デコレーションはごくごく普通のワッフルでした。

 街角には沢山のオープンカフェがあり、お客さんも沢山。男の人もやたらに甘いものを食べているのが目に付きます。食事の時隣に座っていたイタリア人は、食後にパフェ(しかもかなりでかい)を一人で堂々と食べてました。その生クリーム、全部一人で平らげるんですか。男一人でパフェはある意味カルチャーショック

 甘いものだけでなく、ベルギーはごはんも美味でした。
 旬から大幅にずれたムール貝(名物)がツアーのランチで出されたのはさておき
(でもまあ美味しかったけど)、全体的に味付けが濃い目でこってり味ですが、濃い味好きの愛知県人としては無問題。

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 第3日目 フリー走行を見ずして観光をする in ブリュージュ


(ブルージュへの道程)

 ブリュッセルから電車で1時間、ブルージュは中世の街並みがそのまま残る都市として有名(といってもガイドブック読むまでは私は知らなかったけれども)。昔は水運で栄えた都市だったけれど、運河の底に泥炭が溜まり、運河として機能しなくなったためそのまま衰退。逆に言うと発展しなかったため街並みがそのまま残り、現在は観光都市として栄えている。

 …というのはまあガイドブックの受け売りなので、いまさら目新しさも何もないので適当に書いてみましたが。
 ツアー日程では、この日はスパ・フランコルシャン・サーキットでフリー走行を見ることになっていたのですが、独自に予定変更。昨年のルール改正以来、フリー走行はあまり見ても面白くないような気がしているので。それにやはり観光したいし!
 しかしツアー日程を自分たちだけ変更したので、手配その他は全部自分でやらなければいけない。といっても別に難しいことをするわけでもなく、とりあえず(1)目的地までの切符を購入する(2)間違った駅で降りない、という2点のみを最重要課題として行って参りましたブルージュ。
 ブルージュに行く電車は30分に1本で、我々がブリュッセル中央駅に到着したときには、発車10分前。とりあえず「ブルージュ、片道、四人!」と片言英語で切符を購入。後になって、10回の回数券を購入した方がかなり安上がりだったということが判明しましたが
(ガイドブックに書いてあった。4人だから、往復で8回分使用)、まあ無事にブルージュに到着できたので不問とす。1時間の道程の間、駅は3つくらいしかなくて(しかもそのうち1つはブリュッセル市内のもう一つの駅)、これで間違った駅におりるのは逆に至難の業(かもしれない)。まあ一等車と二等車の区別が付かなくて、間違った車両に乗ったりはしたけど。車掌さん済みません。
 途中の駅が極端に少なく、ということは間には都市がない。車窓から眺める風景はひたすら牧草地with牛。あと時々民家。自分の住んでいるところが田舎なので、牛なんぞ全く珍しくはないのだが、同行していた関西人は「すげー、牛がいる!」と一人大興奮
(残りの3人は幼なじみで同じ田舎出身)。「放牧はしてないけど牛舎が沢山ある」「小学生の時の写生大会は牛舎で牛を描いた」「時々近所の田圃の中を馬が散歩してた」などと出身地話をすると「この田舎者ー!」と小馬鹿にされた。うるさいやい。
 そうこうしている内に電車はブルージュへ無事到着。さあ観光だー!

※以下現在準備中

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 第4日目 予選にてスパウェザー


(フリー走行)

 前日のフリー走行は見に行かなかったため、土曜日にようやく今回の旅行の主目的、F1観戦。朝7時15分にホテルを出発して、スパ・フランコルシャンサーキットに到着したのは9時半。バスの駐車場からオー・ルージュ付近の指定席へは30分の道程。
 
 って、
第1回目のフリー走行もう終了してるんですけれど…!

 「土曜日に2回フリー走行あるから金曜日は観光でいいや〜」という思惑を見事に裏切ってくれました。しかもその第2回目のフリー走行は、途中で事故があって、予定時間を消化する前に中断、そのまま再開することなく終了。翌日の決勝の日はフリー走行がないので、結局フリー走行を見ることができたのは30分位だけになってしまいました。一応F1見にヨーロッパまで来たのに…。

 ここスパ・フランコルシャンサーキットは「スパ・ウェザー」と呼ばれるほど天気の変化がめまぐるしいことが有名で、このフリー走行の間も振ったり止んだりで、これぞ正にスパ・ウェザー!


(予選)

 現在は予選終了後にマシンに手を加えてはいけなくなったので、決勝日の午前中にもフリー走行は無くなってしまいました。ちなみに予選方式も、以前は1時間内に好きなときに走って(最大で12周まで走ることができる。ピットに出入りする関係で、タイムを計ることができるのは4回まで)、その中で一番早いタイムを採用していたのですが、現在はその予選も変更されています。1回目予選は2回目予選の出走順番を決めるためのもので、いわば「予選のための予選」(でも昔の予備予選とは違う)。で、予選1回目も2回目も、タイムを計測するのは1周だけ。一発勝負です。
 この方式は、テレビで見るにはそれなりにいいんですが
(下位の選手もちゃんと見れる、順位がどうなっているのか分かりやすい)現地で見るとものすごぉぉぉく退屈だったりします。それは何故かというと、まず単純に一台辺りが走る回数が少ない。タイム計測が2回(=2周)、ピットから出るのと入るのが2回ずつで、合計6周足らず計測する周回以外はガソリンを節約するために超スロー走行だし。それから、1台ずつ順番に出走するので、妙に間延びした感じが…。以前の予選方式ではいつ出走するかも重要なポイントだったんですが(最初は路面状況が悪いけれど、最後は込み合ってクリアラップが出せない)、今は出走順番も全て決まっているのでその駆け引きもないし。
 特にここスパ・フランコルシャンサーキットは天気が目まぐるしく変わることで有名で、この日はそれが大当たりで降ったり止んだりと天気が目まぐるしく変わる日だったので、もし旧方式
(出走のタイミングを自分で決められる)だったらもっと面白かったんじゃないかと思います。残念。
 
 で、実際の予選の話。
 第1回目予選はとりあえずどうでもいい気分で見てました。なぜならコースの所々で雨が降ったり止んだりで、車の早さの比較ができないし、今後の天気がどうなるか分からないので「1回目予選が早い=2回目予選の出走順位が遅くなって有利」といういつもの理屈が通じない
(最後になって雨が降ったら、出走順遅い人の方が不利になる)
 第1回予選前に結構雨が降っていたので、序盤に走った方が不利かな?と思っていたけれど、最初に走ったフェラーリのシューマッハ&バリチェロが他チームに大差を付けてさくっと1,2位を獲得。けれど他の序盤で走った車は順位が悪かったので、単にフェラーリがやたら速いだけか?それともブリヂストンタイヤを履いているチームがいつもより上位に来ているから、タイヤの差か
(ちょい濡れの時は特に早かった)?などと適当に考えてみる。ちなみに応援している日本人ドライバー佐藤琢磨は11位とよろしくない順位。

 天気は相変わらず不安定なまま、少しの時間をおいて第2回目予選が開始。今度は、第1回予選で遅かったドライバーから順に出走。
 ミナルディやトヨタといった大抵下位争いをしているチームが最初の方で出走。普段なら後から出る車出る車が1位になっていくのですが、今回はいつまで経ってもトヨタのパニスが1位のまま。自分の座っている所はそれほど雨は降っていないけれど、きっと見えないところで大雨で、走りにくくなってるんだろうなあ。ちなみに佐藤琢磨は、最後の方のシケインで見事にコースを外れるミスをして
(コースの反対側だけど、ちょうど自分の席から見える)下位に撃沈…。ううう。近くに座っていたオランダ人のおっちゃんズに「また琢磨がやらかしたな〜」的なことを言われ、ちょっと悔しい。そりゃしょっちゅうエンジンブローしたりエンジンブローしたり周囲をよく見ずに頑張りすぎて激突したりしてるけどさ…。
 しばらくは雨の影響で予想外にパニスが首位を保っていたけれど、ルノーの2台やマクラーレンのクルサードとかが追い抜いて、上位の顔ぶれを見ると結局いつもの感じに近い並びに。珍しい顔ぶれとしてはザウバーくらいで、これはちょい濡れに強いブリヂストンタイヤのおかげかも。暫定首位がトゥルーリの状態で、残るはフェラーリの2台。
 まずはバリチェロが出走。途中まではトップタイムを出していたものの、最後の方で大きなミスをしたので、結局その時点では5位。最後はシューマッハ。雨がどんどん激しくなっているのでポールは無理だろうと思っていたら、途中まではやっぱりトップタイム。すげえ。最後の最後で2位になってしまったものの、これだけ雨が酷くなっているのに僅差って、一体どれだけ早いんだ…。
 どれだけ早いって、まあシーズン途中にしてコンストラクターズチャンピオン
(チーム別での優勝)があっさりと決まっちゃって、13戦中12戦をシューマッハが優勝するくらいフェラーリがダントツで早いんですけどね…。
 それだけフェラーリとシューマッハが勝ちまくっていると、別の人の活躍が見たくなるのが人情ってもので、バリチェロがミスをして暫定5位、シューマッハが2位になった瞬間、
周囲の観客総立ちで大歓声。スパ・フランコルシャンサーキットはかなりドイツに近い位置にあるけれど(だからドイツ人のシューマッハを応援に来ている人は多い)、さすがに一人勝ちは飽きるんでしょう。ポールにはスタートの上手なトゥルーリ、3位にはこれまたスタートの上手なアロンソが控えていて、さらにシューマッハはお世辞にもスタートが上手とは言えないので、翌日の決勝も面白いこと(=フェラーリ以外が優勝)になるといいなあ。


(恐るべしヨーロッパトイレ)

 フリー走行が終了し、1回目の公式予選まで時間が大分あったので、とりあえずトイレに行くことに。そしたらそのトイレが…トイレが…うわああああ!(悲鳴)
 まず、常設トイレは全然なし。私の行ったことのあるサーキットは鈴鹿とセパン
(マレーシア)だけですが、両方とも常設トイレの数はかなり豊富だったので、常設トイレ一切無しという状態にはかなりびっくりしました。
 で、
もっとびっくりしたのは仮設トイレ。そもそも数自体も少なかったんですが、その仮設トイレの凄まじさはあの中国のトイレを凌駕していました。まあ、中国のトイレは常設トイレだったんで、それと仮設トイレを比較するのも何ですが、とにかくもう凄かった…。
 仮設トイレは水洗ではなかったこと、便器の中がそのまま丸見えだったこと…そう、本当に全てのものが丸見えでした。思い出しただけで気持ちが悪い…うえええええ。サーキットに来ていた多くの人もこのトイレの惨状を知らなかったようで、一旦トイレの中に入っていったものの、即出て来る人多数
(特に女性)
 少数ですが水洗の仮設トイレがあって、トラックのコンテナのような形をしたものの中に3個のトイレと洗面台2つが備え付けになってました。長蛇の列ができていましたが、水洗ではないトイレの方があまりにももの凄いので、こちらを使用。
 そのコンテナが3つ並べてあったんですが、ちゃんと3つのトイレが機能していたコンテナは1個だけで、残り2つのコンテナのトイレは3個中2個が詰まってしまって使えなくなっていた模様。そりゃ大行列になるよ…。
 まさかヨーロッパでこんなにもの凄いトイレ事情に遭遇するとは予想してませんでした。うう。

 ついでに、ヨーロッパ人は手を洗ったあと紙で手を拭くらしく、洗面台の前には半濡れのティッシュの山。うわー。ゴミ箱くらい設置して下さい…。


(フィンランド人と物々交換)

 「スパ・ウェザー」というほど天気の代わりが激しいことで有名なサーキットなので、昨年鈴鹿で購入した白いポンチョを持っていきました。ポンチョ、着脱するのが楽だし、鞄の上から着れるし、椅子が濡れていてもそのまま座れるしで、サーキットではかなりお役立ちです。
 このポンチョを着てリリコ
(仮名)とサーキット内をふらふら歩いていたところ、不意に呼び止められる。ほっぺにはフィンランド国旗のペインティング、帽子はマクラーレン(フィンランド人ドライバーが所属している)、一見しただけでフィンランド人と分かる格好の女の子。
 余談ですが、以前マレーシアにF1を見に行ったときに、フィンランド人が10人くらいの集団で闊歩しているのに度々遭遇した。顔はペインティングしているし、変な金髪カツラ被っているし、でかい国旗持っているし、「ミーカミカミカミーカハッキネーン
(当時活躍していたフィンランド人ドライバー)と野太い声で合唱していたしで、どうやらフィンランド人は(F1に対しては)やたらに熱い人々だという印象があります。
 で、そのフィンランド人の女の子はティアという名前で、私とリリコ
(仮名)の着ているポンチョをどこで購入したかを尋ね、日本で購入したと答えたところ「そのポンチョを譲ってくれないか?」と持ちかけてきました。話を聞くと、「ピア」という名の友人がおり、我々の着ているポンチョは「PIAA MOTOR RACING」と書いてあるので、ぜひ友人のためにそのポンチョが欲しいとのこと。
 「でも今あげちゃうと、私が着る雨具がなくなっちゃうし」と答えると「じゃあポンチョ代金と、私の今着ているポンチョもつける」と返され、彼女の着ているポンチョはゴミ袋くらいの薄いビニールだったけれど、まあ今日1日くらいはしのげるかと思い交換を了解しました。ティア、大喜び。
 もの凄く嬉しかったみたいで、「じゃあこの帽子もあげるわ!ここにミカ・ハッキネンのサイン入り!」と言って、被っていた帽子までくれました。帽子、どう考えてもポンチョより高いのにいいのか??さらに「あ、あなたにはこれをあげるね!」と、隣にいたリリコ
(仮名)には振るとガラガラ音がする、プラスチック製のフィンランド国旗を渡していました。
 そんなに喜んでもらえると、交換を了解した甲斐があったってもんです。でも、私もリリコ(仮名)もフィンランド人ドライバーを応援しているわけではないのに、こんなに応援グッズを貰ってどうするんだ。…せっかく貰ったんだし、記念に部屋に飾っておこう。

 ところで同行した友人は鈴鹿サーキットで購入したポンチョを着用。黄色地に紫色の文字で目立つ上に、鈴鹿サーキットの文字とコースが書いてあるので、F1好きなら一目で見てそれと分かる代物。そのせいで多数の人から「一緒に写真撮ってくれ!」とモテモテ(男が男にもててどうする)だったそうです。

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 第5日目 決勝、悲喜交々、オールージュを駆け登ってみる


(ふらついてみる)

 ゲート付近に行くと、前日にもまして長蛇の列。「さすが決勝だなー、客増えてるなー」と思ったら、それは入り口の混雑ではなくて来シーズンのベルギーGPチケット販売所の列でした。
 …来年って、タバコ広告の関係で開催できるかかなり微妙だったんじゃないのか?いいのかもう販売しちゃって?しかも今買うと40%オフっていいのか。
 主催者のためにもチケットを買ったファンのためにも私のためにも
(ベルギーGPは面白いので)来シーズンも開催されるといいんですが。

 さて、前日のフリー走行&予選では、雨が降っていて足下がぬかるんでいたのと、終了後バスにすぐ戻らなくてはいけなかったため、ほとんどサーキット内をふらつくことができませんでした。
 しかし本日は暑いくらいの晴れ!晴天!どこ行ったスパウェザー!しかしこの午前中はF1マシンは全く走らない
(他のカテゴリーのレースはあるけど)ので、ある意味無駄な晴天…。でもせっかくなのでサーキット内をふらついてみることに。
 私の席は「オー・ルージュ
(赤い川)」と呼ばれる急な上り坂の前で、ここをマシンが全開で駆け上って行くのは迫力満点。…なはず。だって、前日のフリー走行&予選は雨だったから、全開ではなかったのでその真偽のほどは不明。席の近くには、当然事故防止のために金網が張られているのですが、せっかくだからコースの写真を撮ろう!と金網越しに写真を撮っていたところ。

 金網の向こう側にいたマーシャル(コース付近で旗を振って合図を出す係員)が中に入れてくれました。イヤッホー!
  
 金網にへばりつきながら「くー、この金網さえなければオー・ルージュ丸見えなのになー!」とか大騒ぎしつつ写真をちまちま撮っていたから気の毒に思ってくれたんだろうか。はたまた同行関西人の「中に入りたいオーラ」(本人談)のおかげか。
 5人ほどいたマーシャルの人たちはやたらにフレンドリーで、佐藤琢磨応援のためにBARウェアを着た我々4人に対して「サトウ!ナカジマ!スズカ!」とやたらに日本ネタを振ってくれるし、一緒に写真に写りたがるし
(しかも大はしゃぎでピースするし)。コース上は誰も走っていないときとはいえ、こんな風に融通をきかせてくれて本当に嬉しかったです。

 金網越しでないオー・ルージュを堪能した後は、コースの下をくぐりながらピット方向へ探索の脚を伸ばしてみる。
 4人がBARウェアを着て並んで歩いていると、やたらに「
サトゥー」「サトゥー」と話しかけられる。話しかけられると言うか、単にすれ違いざまに「サトゥー」と声をかけられるだけですが。こちらも「もちろん佐藤っすよ!」と返す。日本語で。しかし佐藤琢磨、いい意味でか悪い意味でかはともかく、知られているのだけは間違いないみたいです。もともとイギリスのF3で走っていたわけだし(年間チャンピオンになった)、F1で走るようになってからは無謀にアグレッシブで、時々は格好良くオーバーテイクしたり、度々クラッシュしたり、今季は派手にエンジンブローしたりして、インパクトだけは強いからなあ…。成績も何とかならんか、というのは禁句です…。
 ふらついている途中では、全身佐藤琢磨ウェアに身を包んだイギリス人にも遭遇。どうやらイギリスの佐藤琢磨ファンクラブの人らしく、怪し気な法被を着ているし、日本国旗持ってるし、「行け琢磨」と書かれたステッカーを持っているし
(そして我々に配ってくれた)

 行く先々で「サトゥー」と呼びかけられながら、さらに進むとピット付近に到着。入り口の隙間から普通にピットが見えた。しかも下位チームだけではなくてちゃんとフェラーリピットだって見えちゃうし、写真だって撮れました。普通は金網+目隠しで見えないようにしているはずなのに、何てアバウトなんだ!(←誉め言葉)


(ある意味予想通り…)

 元々は別のチーム&選手を応援している我々4人ですが(それぞれ贔屓選手が違っている)、今年のチャンピオンシップも序盤で事実上決定(ちなみにチーム別はもう決定済み)してしまっているので、「ここは一致団結して日本人ドライバーの佐藤琢磨を応援しよう!」ということになっておりました。
 が、この佐藤琢磨、速いといえば速い
(多分歴代日本人レーサーの中では一番速いんじゃないかなあ)けれど、無謀に頑張りすぎる傾向があって、上手くいけば凄いオーバーテイクになるけれど、失敗すると大クラッシュの原因になってしまう(しかも失敗率の方が明らかに高い)という見ていて心臓に悪いことこの上ないドライバー。いやまあ、そこが良いといえば良い所なんですが。そして本人のせいかどうかはともかく、やたらに事故に巻き込まれる率も高い。
 「
せめて私達の前を1回でも走ってくれればいいよ
 とは、決勝前における友人談。もちろん半ば冗談で言っておりましたが、ひょっとしたらその通りになるんじゃないかという予感もちらほら。

 で、予感的中。ぁぁぁ…!

 佐藤琢磨が私達のいるオー・ルージュの前を通ったのは、本当に1回だけでした。私達の前を通った時点では順位があがってたようなので「おお!」と思っていたら、その直後オーロラビジョンではBAR(琢磨の所属チーム)の車がリタイアしている映像が…。画面が小さいので「琢磨か!?バトン(BARのもう一人のドライバー)か!?」と目を凝らしながらも、「きっと琢磨の方だろう」という確信がありましたとも…。何故って、リタイアしていた車が他にも少なくとも2台いたのが見えたから。琢磨の巻き込みor巻き込まれ率は高いですから…ウフフ(もうヤケ)
 オー・ルージュを通過したすぐ後に起きた事故だったので、リタイヤしたドライバー達が近くを通って行きました。最初はジョーダンとミナルディのドライバー、そして少し遅れて琢磨。琢磨だけ遅れて歩いているから「やっぱり原因は琢磨か!だから離れて歩かれているのか!」などと勝手に思っていましたが、更に少し遅れてジャガーのドライバーが通っていったので、勝手な妄想だったようです。でも今までのクラッシュ実績(嫌な実績だ…)があるので、つい、ねえ。

 いきなり4台が事故でリタイアという荒れたスタートでしたが、他にも波乱が。
 まず、予選で2位だったフェラーリのシューマッハがいきなり後退。オー・ルージュを通過したときは4位か5位くらいだったような。すぐ後方にスタートの上手な選手が複数いたので「絶対スタートで抜かれる」と確信しておりましたが
(シューマッハはスタート下手)、案の定…。そしてスタートで失敗したのみならず、その後もモントーヤにもパスされる。で、そのたびに観客席大喜び。…シューマッハはドイツ人で、このサーキットはドイツに近いんだけど、観客は大喜び。あれー…?世間は判官贔屓らしいです。かく言う自分も、普段はフェラーリ応援してるんですが、今季の独走状況を見て佐藤琢磨応援に変更してますが。
 波乱はシューマッハだけでなく、ミシュランタイヤ勢のタイヤバースト
(多分)によるリタイヤが多発。先頭を走っていたアロンソ、序盤にクルサード、最後のほうでバトンがそれぞれタイヤによるリタイヤ。アメリカGPの時も同じようなトラブルがあって、大事故になってしまったけれど、原因は一緒なのか違うのか…。いきなりマシンが制御不能になるので、大事故になる率が高そうです。波乱の多いレースは見ていて楽しいけれど、危ないのはちょっと。
 タイヤ以外のトラブルでは、ウィリアムズのピッツォニアが表彰台目前にしてマシントラブルでリタイア。ちょうど目の前でスローダウンしてしまいました。しばらくその場から離れずに、ずっと頭を抱えてました。代役でシーズン途中からの出場だったので、ここで表彰台が取れれば良かったのに。歩いてピットに帰るとき、客席に手を振る姿が切ない。
 もう一台、ゴール直前でリタイアしたのがトヨタのゾンタ。スパ・フランコルシャンサーキットはドイツに近く、ドイツにはトヨタのファクトリーがあるので、トヨタ応援団が指定席一ブロック占拠しておりました。トヨタの車が通るたびに、旗が揺れる揺れる。その時点の順位はゾンタ4位、もう一台も入賞圏内でレースも残り数周だったのに、敢えなくリタイア。嗚呼…。

 序盤にクラッシュ、途中上位陣が脱落、最後もトラブル、と大波乱のレースでした。
 で、最後に優勝したのはマクラーレンのキミ・ライコネン。「あー、前日会ったフィンランド人の女の子は今頃大喜びなんだろうなー」と、琢磨のことを応援していた日本人である私は、ちょっと切ない気分になりました。まあ、レースとしては波乱あり、オーバーテイクありと非常に楽しいレースでした。贅沢を言っちゃあいけないわー。


(オールージュを駆け上がれ!)

 優勝が決まった後、観客大挙してコース上へなだれ込み。私達の席の所はコースから大分上の方だったにも関わらず、金網をよじ登って、さらに土手を駆け下りてコース上へ出ようとする人もちらほら。「うおぉぉぉ、コースに入ってみてぇー!」と思いつつも、いくら何でも金網よじ登りはまずいだろうと自主規制して(そりゃあね)、サーキットの出口へ向かう人の波の中に紛れる。
 しかしその途中、「さあコース上へいらっしゃい」とばかりに金網の扉が開かれていたら、しかもみんな普通にそっちの方へ流れていく状況ならアナタ、一緒に入りたくなるのが人情ってもんです。
 
 金網をくぐり抜けると、そこはオー・ルージュであった。
(川端康成の「雪国」的に)

 さっきまでF1マシンが駆け上がっていたまさにその坂を全力で走って駆け上ること2回、それをデジカメの動画モードで記録してみる、路面に落ちているタイヤのかすを拾ってフィルムケースに保管する、写真を撮る等、我々4名いい年をした大人各自が真剣に大はしゃぎ。だってアナタ、オー・ルージュですよ、オー・ルージュ!足下が直にオー・ルージュ!興奮するなって方が無理ってもんです。

 しばらくオー・ルージュを堪能した後、観客の流れに乗ってコース上を延々と歩きバスの待つ駐車場へ帰還。コース上に出られるなんて初めてだったので、ほんとに楽しかったです。

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 第6日目 帰路

※現在準備中

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