量子テレポーテーション












量子テレポーテーションなんて書くと、のっけから怪しげな与太話だろうと思われるやもしれませんが、れっきとした物理学及び通信工学の話です。
既に応用としての論議が始まっていますから、そのうちEPRなんて言葉が新聞紙上を賑わす日が来るんじゃないでしょうか?

実は、私も解らない所が多すぎるし、これについてはあんまり書きたく無かったのです。
しかし、「と学会」の所とかに書いた Aspect の論文の話やら何やらで、「いくら何でも説明が不親切だ」ってなお叱りもありまして、関係する話を一挙に書くこととしました。

私は物理学のプロではありません。本質的にはこういう話が好きですから、大学では量子論関係の単位は全部取りましたが、所詮は学部レベルです。
微分方程式をいっぱい解いたら、たくさん単位をくれたってだけですな(^^;;。ですから、間違いはあると思います。

だから、これについてメールで質問はしないで下さい。でも、間違いを見つけたらこっそり教えて下さい(^^;)。

話の発端は、有名な EPR 論文です。


1.EPR論文とは?

著者である Einstein, Podolsky, Rosen の頭文字を取ってこう呼ばれます。

元々、Einstein さんは量子力学に対して懐疑的だった−−こう書くと誤解されそうですが、量子そのものがどうとか、間違ってるとか思っていた訳ではありません。
そもそも、Einstein さんがノーベル賞を取った論文は「光量子仮説」、かの有名な E=hν です。相対性理論ではもらっていないのです。
この辺りには政治的な話も見え隠れするので、何とも言えないのですが。

彼はいわゆる不確定性原理によるコペンハーゲン学派の確率論解釈が、一つの粒子として見た時に物理的な事象を、厳密に表現出来ない不完全な理論と見なしていました。これは、Einsteinさんの「神はサイコロを振り給わず」のあまりにも有名な言葉に代表されます。
「シュレディンガーの猫」もそうですね。シュレディンガー波動方程式を完成させた Schroedinger さんは、コペンハーゲン学派の解釈が気に入らず、量子に関わることを止めて分子生物学に鞍替えしてしまいました。

そこで、Einstein さんは他の著者と共同で、「どや、見てみぃ、量子力学は不完全やろ?」と言う題名の論文、いわゆるEPR論文を書きました。(勿論 Einstein さんは関西弁で題名を書いてはいません (^^))

量子力学への反論の骨子は以下のような物です。

量子論によると、ある場所で一つのきっかけで2個の素粒子を発生させた時には、この二つの素粒子はある種の状態を共有することになるのです。
例えば静止したπ中間子はお互いに逆向きの光子に分解しますが、この二つの光子ペアは、一つの方程式(2粒子の波動関数)で表されます。

量子論では、観測しない限りは永遠に1つの式で表されるから、遥か彼方まで飛んでいった素粒子の情報--スピンとか偏光等の状態といったもの--を観測すればこちらの素粒子の状態が解る筈ですが、しかし一方を観測したら、その瞬間もう一方が不定になる、という事になるのです。

Einsten さんは Bohr さんとの激論で これを「気味の悪い遠隔作用」と呼んだらしいです。

だから、未だ見えない部分(局所的な隠れた変数)があるに違いない、となるわけです。
けど論文そのものは、なんか哲学的で、解り難くて、Einstein さんは不満だったらしいです。
それはともかく、十分離れた二つの粒子の観測値は独立で、お互いの測定結果に影響しない、と信じていたのは間違いないようです。

けど、論敵の Bohr さんはそうは考えなかったんですな。「いーや、この時の実験系も対で考えなきゃならん」、と言う主張をして、それに対してまた Einsten さんが反論して・・と既に泥沼化していた議論に拍車をかけました。

非局所的な「隠れた変数」の理論を考えた Bohm さんは、元々 Bohr さんの方に近かったらしいですが、どちらかというと Einstein さんに近い考え方に移って行って、隠れた変数によってこうなるのでは?と考えたみたいです。

でも、Bohm さんの理論では Einstein さんの最も厭がっていた部分は消せないらしいです。(この辺り、難しくて良く解らないから、間違っていそうです。誰か教えて。 (A^^;))

ここで、いろんな人達が出て来ます。颯爽と登場する人が Bell さんです。


2.Bell の不等式

Bellの定理なんて言い方もします。

Bell さんは、もしも EPR の言う様な「局所的な」性質があるのならば満たすべき不等式を導きました。
数学的には簡単そのもの、単純な代数ですが、EPR と Bohr さんの哲学的な話を、実験可能な科学の話にしたところが凄いところです。

量子力学的な「スピン」を例に取ると、一方が「上向き」で一方が「下向き」なペアなら、+1 と -1 しか代数的にはありませんから、X=A・C+B・C+A・D-B・D を与える X は、+2 か -2 です。
だから、平均値≦|2| であるはずですが、量子力学では、最大で 2√2 迄あり得る、と言っています。

もしも量子論が、隠れた変数によって局所的な性質を持つとするならば、この不等式を満たさなければなりません。
逆に、もしもこの不等式を満たさない場合には、量子は非局所的であることになります。
つまり、EPR の予言(と言って良いのか?)のように。

ただ、これに関しては別の考え方もあるみたいで、隠れた変数の理論を使わずに Bell さんの理論と同じ結果を導き出した Eberhard さんという方も居ます。(これも何やら良く解らない^^;;)
 


3.Aspect の実験:量子力学の非局所性

そのBellの不等式が破れていた、というとっても有名な実験です。
Aspect さんが実験してみたら、Bellの不等式を適用するとそれが破られていることを確認したもんだから、さぁ大変、って話です。

この実験結果の意味するところは、やっぱり Bohr流の解釈で量子論は正しかった訳で、その意味では Einsten さんは間違っていた訳だけども、逆に言えば「量子は EPR の言うような性質を持っていた」と言える訳です。
そこに着目した Einstein さんはやっぱりエライ?

誤解の無いように書きますが、Einstein さんの言うような矛盾、所謂‘EPR パラドックス’が生まれた、と言う訳ではありません。パラドックスなぞ無い、とした Bohr さんの理屈が正しかった、と言うだけです。
だからBohr さんはもっとエライ!?

何処でどう間違ったのか、ここで Einstein さんの相対性理論がマチガイだと信じちゃったのがコンノケンイチ氏です。
勿論 Bohr さんも Aspect さんも相対論は正しいと解っておられました。量子力学と同じぐらいにね。
コンノ氏は、UFO に乗った宇宙人が、遥か宇宙を数十光年越えて飛んでくるには相対論がある限りは無理があるモンだから、どうしても潰したいわけです。で、それらしい話に尾ひれを付けてやった、と。
(因みにこの前、TVでお見かけしたコンノ氏は、「物理科学評論家」として出てました。^0^;;)

実験の骨子:
励起されたカルシウム原子のカスケード崩壊((J=0)→(J=1)→(J=0))の際に放出される波長422.7nmと551.3nmの光子の偏光の相関を調たら、あら不思議、Bellの不等式が破れた相関値が検出されてしまったのです。

結果は量子力学による計算と良い一致を見ました。
これによって EPR 相関を示す量子力学の正当性が示された、と言うことです。

だから、離れた所にあっても二つの量子の間には「時空を越えたつながり?」みたいな物があるとしか思えないような、不思議な現象が観測できるって事ですな。それが理論的にも実際にも確認されたって事です。
 
でも、これが必ずしも正しく無いと言いだした、Franson という方も居ます。
Bellの不等式が破れていることを言うには、Aspect さんのやり方じゃ駄目だっ、と言っています。

Aspect さんは EPRペア測定に時間遅延を使っています。
光子が‘飛んでいる’間に偏光器の向きを変えて、ペアの統計的な検出結果に変化を与えた時と向きを変えた時との時間差です。その時間の評価に、光子の速度と2つの偏光器と検出器の間の距離から計算しました。

ここで問題になるのが「不確定性原理」です。
2つの粒子の検出の間に、粒子がどこに居るのか当たりを付けてはいかんのです。「何処にでも同時に居ることが出来る」のが量子力学の決まり(?)だから、予測不可能なのです。

粒子が偏光器を通過するのは何時なのか、ということを、偏光器の位置で粒子を検出しない限り知ることはできないから、これではちゃんとしたBell測定にはならんぞ、ってワケです。


#断っておきますが、私自身の理解は、既に相当怪しい話になっております。(^_^;;)


4.量子力学における不確定性原理

この話は、量子力学のハイライトの一つなんですが、私はいまだに良く解らない(^_^;;)。

ごく微少な物質は、粒子性と波動性の両方を持ちます。こういう性質を持つものを量子と言います。

量子は、その運動量を正確に決定すると、その粒子の位置はどこにあるかが不正確になり、逆に粒子の位置を正確に決定すると、その運動量は不正確になります。よって、両者を同時に決定することは本質的にできません。

結局その運動量と位置の積がある一定値(プランク定数)以上になります。E=hνの h と同じです。
これが Heisenberg さんの「不確定性原理」です。
(科学史的には、Born さんの「確率論解釈」から Heisenberg さんがこれを打ち出したらしいです。)

結局、系の物理的観測量の全てを同時に知ることはできないと言うのが、量子力学の特徴と言うことになります。

しかし、一つずつはある一つの量子力学系を完全に記述できる観測可能な組み合わせ、というのは、いくつか存在します。
こういうのを、「良い量子数」の組み合わせと言い、「交換可能な観測量の極大集合」として知られています。

逆に、「交換しない」ものとして、先ほどの位置と運動量があるわけです。

だから量子は、その運動量がはっきり特定できるような状態にあるなら、その粒子が今どこにあるかを知ることはできません。実際、この時の粒子は「同時に、ありとあらゆる位置に」存在出来るのです。これは、技術的に測定できないから、という意味ではなくて、これこそ量子の本質だ、と言う意味です。(ほーら、解らなくなってきた。^^;;)

勿論、逆に量子の位置が特定できる状態なら、運動量は全然わからない状態となります。つまり、「どんな運動量でも取りうる」って意味であって、「多分これぐらい」という予想すら付けられません。っていうか予想しちゃ駄目なんです。

量子は波動性と粒子性を持つと言う話を最初にしました。波動性とは「確率の波」です。

大昔の「霧箱の実験」では、電子の通り道を霧の水滴が繋がることで見いだしています。
これを不確定性原理で解釈すると、観測によって位置を特定させたことで確率の波が無くなった、とします。「波束の収縮」と言って、人が見たから波が縮まってしまった、と考えるのです。

 量子君は、恥ずかしがり屋さんなのね・・・(^◇^)。

位置と運動量は、連続的な量ですから、これはまだしもですが、スピンのような不連続な量の観測でも、同じ事が言えるたりするんですよ。

‘スピン’なんて言うと、電子なんかがコマみたいに回っているイメージで、どんな方向にでも‘連続的に’変化しそうですが“量子力学的な”スピンは少し意味が違います。シュテルン-ゲルラッハ磁石と呼ばれる実験では、上下に強度の違う磁界をかけたスリットに電子を通すと、50%ずつ上下に分かれて、中間はありません。だから離散的です。
つまり、3次元的な空間軸に沿う粒子の量子力学的スピンは、相互に「交換しない」のです。
例えば、x軸に沿って「上向き」のスピンをもつ電子は、y軸およびz軸に沿うスピンは定まりません。
結局、電子のスピンは x,y,z の3つの軸について、その軸に沿った射影を同時には測れないのです。

実に困ったことに、この不確定性原理を巡って、いろんな解釈が出てくるわけですね。「多世界解釈」なんて俗にいう平行宇宙みたいなSFっぽい話もありますが、この場合は、どちらかというとSFがこれをネタに書いたんでしょうね。Hogan さんの本なんかは、はっきりそう書いてありますが。

もう一度、誤解の無いように書きますが、技術的に測定できないから状態が定まらないのではありません。
そう言うと、如何にも「自然の状態では、定まった状態はあるけど、我々には測定する術がないだけ」みたいに感じるでしょ。

そうじゃなくて、量子は観測するまでその状態が不定なのです。これは、量子論の黎明期で電子や光子の波動性を示した「二重スリットの実験」とか、「遅延選択」と呼ばれる実験なんかを説明するには、そう考えるしか無いからです。
(もう何が何だか解らないじゃないですか。量子論は描像を思い描いちゃ駄目なんです ^^;;)

この辺りは哲学的なものもありまして、何をもって「完全である」とするかとか、経験的に当然と思ってきた事、・・・事象AとBがある時にAでもBでもなきゃ、それは間違いだろう・・・なんて常識が通用しなくなっちゃたりするんですな。逆にそれが量子力学の特徴であるっ、てな話から難渋を極める哲学論争が始まってしまうんですね。
実際、Bell の定理が破られるのは、私の頭で考えられる「常識的なイメージ」を完全に越えています。(^^;)

一応、主流派は、上に書いたような所謂コペンハーゲン学派の解釈で、詰まるところは、

「観測する人がどうやって観測するかでその量子の状態が決まる」
「えっ?」と思ったでしょ。私もそうでした。あぁ難しい話だこと。もう私の手には負えない。(^^;;)
でも、これが量子テレポートでも重要な役割を果たしています。
Heisenberg さんが「部分と全体」なんて本を書いてますから、読んでみて下さい。


5.量子テレポーテーション

Aspect さんのやり方(つまりBell さんの理論)に沿った形で、すごい実験を考えた人が出てきました。
Bennett さんです。

さて、ここからが本題であります。だから地下鉄は、どこから入れんねん?(古い^^;)・・じゃあない!

光子の偏光だの原子のスピンだのが遠くの量子(EPRペア)と関連があった所で(EPR相関)、意味のある情報とはいえません。不確定性原理から、観測しない限りどちらにも何も分からんのだから、こっちで選択的に送れる情報でなければ、やっぱり意味が無いのです。変なつながりがあって、どうやって解釈しようか?って話だけです。

いまいちこのままでは情報伝達とは行かないのですが、世の中には頭のいい人がいるものでして、ここで、出て来る人がBennettさんです。

IBM にお勤めの Bennett さん達は、EPR相関によるテレポーテション理論を示しました。とはいえ、この時テレポートするのは物質ではなく、物質の状態ですが、素粒子には「顔」が無いので(^^;)、どの素粒子か区別するなんて出来ませんから、状態が伝送されれば同じ物と言えます。これを量子テレポーテーションと言います。

実は Benett さんが考えたのは、 Aspect さんのEPR実験を二つ繋いだだけなんですけどね。ナントカの卵ですかね。

ともかく、アリスが持っている粒子がある状態にあったとすると、遠く離れた地点にいるボブの粒子が、全く同じ状態になるように瞬間的に情報を伝えられるのです。(アリスとボブは、Benett さんの論文にこう書いてあったので、みんなこう書くようになりました。)

これだけだと、Franson さんの論文もあることだし、本当かウソか解りません。ところが・・・その後、Zeilinger さん達が、Benett さんのやり方で、光子の偏光を使った量子テレポテーション実験に成功してしまいます。

「やった!超光速通信だ、テレポートだ、SFだ、ムーだ、奇想天外だ!」
・・・と Zeilinger さんは言ってません(^^;;。

結局、通常通信でBell測定の結果を送って、初めて観測可能になるのです。
Bennett さんの頭の良い所は、フツーの情報伝達を組み合わせた所なのです。当然、光速以下での通信になります。
 

実験の骨子:
情報の送り手のアリスがある「粒子a」を持っています。
EPR光源から照射されたEPRペアの「粒子b」をアリスが、「粒子c」を情報の受け手のボブが持って居ます。

先ほどの「交換可能な観測量」で「粒子a」と「粒子b」を観測すれば、絡み合いが起こって「粒子aとb」ペア状態になります。必ず量子状態が反対になるのです。この時に「粒子c」は「粒子a」との絡み合いがとけて、絡み合いの交換により「粒子a」の状態が「粒子c」にコピーされます。

元々、アリスの「粒子b」とボブの「粒子c」は EPRペアですから、状態が丁度反対です。だから「粒子a」と「粒子c」は同じ状態になります。

そして、この時のBell測定値を通常の通信でアリスからボブに伝え、その方法でもってボブが「粒子c」を観測すれば、情報の伝達が可能になります。

尚、米国IBM のサイトに、Benett さん達の論文の詳しい話が書いてあります。

だから、ユーザーサイドで見るなら、これは別に超光速通信の話でも何でもなくて、単に暗号の問題なんですな。でも決して破れない暗号なんです。何しろコピーはできないし、途中で観測されると直ぐ解るんだから。

今までは、カギさえ持っていれば破れる暗号でした。ハッカーの腕がものを言った時代です。
でもこれは、物理的な理論限界により破ることが出来ない暗号です。
きっと警察は困るでしょうから、警察無線以外には反対するんじゃないでしょうか?^^;;

もう少し夢のある話をするなら、もしかして百年後ぐらいには、素粒子に分解された原子の状態が送れれば、物質のテレポートができるかも知れません(材料は受け手持ちですが^^;;)。すると、千年後ぐらいには、人もできるかも知れません。
すると、SF映画‘FLY’の様な事も・・・これは起きません(^^;;。

で、結局は時間の因果性は保たれている?そう。残念でした。(^◇^;;。
有名な車椅子の宇宙論学者、Hawking さんは「時間順序保護仮説」なんてのも書いておりますです、はい。
 

追記:

シュテルン・ゲルラッハ磁石:実験した人の名前でこう呼ばれます。もう少し言うと、上下に分かれるだけじゃなくて、例えば x 軸に沿って上向きと観測された量子を、別の向き(例えば y 軸)に沿って観測して、もう一度 x 軸に沿って上下を観測すると・・・また上下に泣き別れ。

量子に顔が無い:正確には「毛が無い」です。no hair theorem(毛が無い定理)とホントに言うんです。私はこの名前を付けた物理学者のセンスに脱帽します(^^;)。
例えば、二つの粒子が左右に飛んでいく時を考えます。両方が右に、両方左に、一方が右で一方が左、という場合がありますね? もし片側に毛でも生えていれば(^^;)毛がある方が右か左か、で場合分けとしては全部で四つある筈ですが、毛が無いせいで三つの場合分けしか無いのです。
「だって、そうは言っても右に行ったのと左のは違う粒だろう」って思う? だから、毛が無いんですってば。無いったら無いの!

暗号:実際問題、量子コンピュータ完成の暁には、今の暗号(「中国人の剰余定理」とか数学の法則を使います)なんて無意味になります。その時、社会はこの量子暗号を要求するでしょう。お上が人の話を傍受する事も無くなるのです ;)
尚、通信経路での雑音誤りを除去する為のものは、暗号ではなく「符号」と言いますので、混乱しないやうに(^^;)。更に書くと、警察無線は傍受し難いですが、あれはスペクトラム拡散で暗号でも符号でもなく「変調」の一種です。
アメリカの衛星ラジオでは、音声を暗号化&符号化してからTDM変調して送り出しています。今の科学技術の範囲で、雑音が無く、しかも金を払わない人が聴けない工夫ですな(^^;)。


付記:かつのごく個人的な意見

私的には、そもそもこの不可思議なEPR相関の存在自体が、量子論のややこしい哲学に終止符を打つカギになれば、と期待しています。
個人的な「感じ」としては、「多世界解釈」が一番好き。(^o^;;) でも、いまいちマイナーですし、第一、反証も確認も不可能です。つまり科学ではなく、まさしく「解釈」の問題。

しかし、そもそも量子の「スピン」とか「波動」とか、離散的な値を取る事をもEPRと合わせて考えるなら、この解釈は、わりに感覚的には‘すっきり’するような気がしています。(無限の宇宙を認めなきゃならんですが。)
きっと、Einstein さんが生きてらっしゃたら、同じように思う事でしょう。(^^;/


文献:(エライ学者さん達が書いた、私みたいな素人には解り難い論文や本なんか)

Einstein, A., Podolsky, B., Rosen, N. : "Can quantum-mechanical description of physical reality be considered complete?" Physical Review 41, 777 (1935)

Bohr, N.: "Discussion with Einstein on Epistemological Problems in Atomic Physics" ;山本義隆訳「因果性と相補性」

Bell, J.S.: "On the Einstein Podolsky Rosen Paradox" Physics (1964)

Aspect, A., Dalibard, J. & Roger, G. : "Experimental Test of Bell's Inequalities Using Time-Varying Analyzers" Phys. Rev. Lett. (1982)

Bennett, C. H. et al. : "Teleporting an unknown quantum state via dual classic and Einstein-Podolsky-Rosen channels" Phys. Rev. Lett.(1993).

Bouwmeester, D., Pan, Jian-Wei, Mattle, K., Eibl, M., Weinfurter, H. & Zeilinger, A.:" Experimental Quantum Teleportation", Nature vol.390, 11 Dec 1997.

量子論一般については:
トランスナショナル カレッジ オブ レックス編「量子力学の冒険」(ヒッポファミリークラブ)が一番好きです。^^;;
(エラくない人達が書いた、素人にも解り易い本ですが、数学無しの解説本ではありません。)
但し、この本には Bell さんの理論なんかは書いてありません。最近出た本には Bell さんの理論も Aspect さんの実験もちゃんと書いてありますから、日本語で読める本は沢山あるでしょう。
 

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Last up date 2003/2/28 
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